2020年08月の投稿

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

ルーテル学院大学、大学院 卒業生の皆様

 石田賢哉と申します。2003年3月にルーテル学院大学大学院修士課程を修了しました。福山和女先生、前田大作先生に修士論文をご指導いただきました。2007年より青森県立保健大学で精神保健福祉士養成課程の担当をさせていただいております。出身は静岡県で青森県とは何のかかわりもなかったのですが、青森に来させていただいてから14年目をむかえています。職場の方々や、福祉や医療現場の方々、当事者の方々やそのご家族の方々、たくさんの素晴らしい方々と出会いがあり、多くのことを学ばせていただいております。プライベートでも青森の方と結婚しました…。最近では、青森の現場の方々、研究者と一緒になり、青森の福祉の取り組みを1冊の本(石田賢哉・工藤英明・村田隆史(2020)「福祉課題への挑戦~青森の未来へ~」泰斗舎)にまとめることができました。すべてはご縁なんだろうなと思っています。

 コロナ禍において、大学も大きな影響を受けました。一番は実習でしょうか。医療機関や福祉事業所、行政機関などで実習受け入れの中止、見送り等がありました。患者さん、利用者さんの命を守ることが最優先であり、実習現場の指導者の方々も申し訳ないということをお話してくださりました。

 養成校としては、学生にとって実践現場で学ぶことが何より大事であると考えていて、学生自身もそのように考えていてくれていると思います。学生は実習に気持ちを高めている中で、突然の延期、中止、本当に申し訳なく思いました。多くの学生は今できることに気持ちを切り替え、学内実習に取り組んでくれています。

 幸い、多くの医療機関、福祉事業所では、感染症対策をしっかりやるということで実習が再開されました。ただ、今年1年は実習受け入れNGという機関・事業所や、突然、実習中止ということがまだあり、安定しない状況は続いております。

 学内においても、手洗いうがいの推奨、マスク着用、Web授業など今までと異なる形で大学が再開されています。きっと不満があるのだろうと思うのですが、学生さんたちは、今の状況を理解し、学業、大学生活を送っています。若い人たちの生活態度、本当に素晴らしいと思います。こちらが学ぶことばかりです。

 現在、医療機関や福祉事業所、福祉行政等で活躍されている方々が多くおられることと思います。多忙な業務に加え、コロナ感染対策を含め、心身ともにきつい状況にあるのではないかと思うと、自分自身本当に苦しく思います。

 そのような中でも、皆さんの支援や応援を必要としている人たちがたくさんいると思います。私自身のことになりますが、昨年12月に母が亡くなりました。2017年から介護保険サービスを使うことになり、利用者の家族としてたくさんのスタッフの方々のケア、支援を受けました。そのなかで、素晴らしいスタッフの方々の応援があり、最後まで母を看取ることができました。病気や障害は良くならないとしても、最後の最後までその人らしさを尊重し、その人が旅立った後も、その人がいたことの意味を認めてくれる、本当に福祉の仕事は尊いこと、福祉は誰にとっても必要であるのだ、ということを家族という立場から実感することができました。皆さんが担当されている患者さん、利用者さん、ご家族の方々は、みなさんの支援やケアを必要としている人たちで、皆さんからの支援にきっと勇気づけられていると確信しています。

 感染症対策でやれることは皆さん徹底していることと思います。やれることが分かってきているので、その範囲でまず私たちはしっかり対策に取り組んで、必ず良くなる、必ず落ち着くということに確信をもって、誰のために仕事をしているかということを忘れず、今起きていることに向きあうことが私たちのすべきことだと思っています。落ち着いてから、いろいろな検証をおこない、責任問題などについて追及していけばよいわけで、今はそのような時期ではないと思います。不安を煽ったり、コロナ感染者のプライバシーを侵害したり、そのような情報を目にするたびに本当に怒りの気持ちになります。そうではなく、私たちがすべきは認め合い、問題があればお互いに注意し合って、すべきことをしっかりやって、ということだと思います。

 自分自身の挑戦ですが、青森には素晴らしい実践家、利用者さん、ご家族、行政スタッフの方々がたくさんおられます。とても魅力的な人たちですし、素晴らしい熱意や思いをもっています。そのような人たちの取り組みを継続的に全国に発信していけたらと思っています。記録がなければ、素晴らしい取り組みも引き継がれていくことは難しいですし、その活動を知らない人にとっては「ない」ということになってしまいます。文章に起こし、論文に残したり、本にするなどして、これからの社会の財産にしていくことが大事だと思っています。コロナ禍において何が行われたのかということは記録に残し、最終的には本に残して、医療・福祉現場の人たちがこんなにも頑張ったのだと、どのような取り組みが友好的であったのか、あるいはどのような取り組みに問題があったのかを検証するなどして、改善をしていく事が大事なのではないかと今の自分は考えております。

 最前線でチャレンジされている皆様を本当に尊敬します。自分も微力ではありますが、精一杯チャレンジをして、今起こっている出来事から学ぶべきことを記録に残していきたいと思います。

新しい日常に向けて 共助のヒント

  皆さん、こんにちは。本当に暑いですね。コロナの感染拡大への警戒とともに、熱中症予防、当事者や家族への支援等々、本当に心身ともに大変な日々をお過ごしではないかと心配しています。

 さて、東京都生活文化局の「新しい日常における共助」に私のコメントが掲載されました。

https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/chiiki_tabunka/chiiki_katsudo/kyouyo/0000001479.html

 時間がある時にでも、ご覧下さい。機会があるごとに、皆さんへの応援メッセージを送れたらと思っています。

 「明けない夜はない」市川一宏

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

大学院卒業生の西田ちゆきです。

 岩◎さんのメールを市川先生から配信いただき、最前線で頑張っておられる様子にエールを送りたくなりましたし、そんなルーテルの仲間がいることがとても励みになりました。

 さて、私にとっても新型コロナウィリスの感染拡大は少なからず生活に変化をもたらしました。

 まずは仕事の面での影響についてご報告します。

 現在大学の実習指導室に勤務しており、学生を実習に出さなければいけないのですが、緊急事態宣言出された後、相次いで医師薬系実習がオンラインに切り替わっている中、SW・PSW実習の現場に送り出すかどうか話し合いが重ねられました。

 厚労省から、学内での実習(演習形式で行う)に代替えできるとの通知も出されましたが、たとえ事務室に座っているだけであっても、現場の雰囲気を体験するのとしないのとでは学びの深さが違ってきますので、私としてはどうしても現場に行って欲しいと考えていました。幸い加入している保険もコロナにも対応できるようでしたので実習実施となりました。

 その後、実習生受け入れ中止になった施設も多数ありましたが、なんとか再配属でき、一旦は安堵しました。ただ、現在は、第二波の到来による実習受け入れ中止の電話にハラハラドキドキする毎日です。また、夏休みに入り、すでに実習を開始している学生もおります。感染する・させることなく終わってくれるのを祈るばかりです。

 もうひとつは同居家族以外の人々との接点が極端に減少したことによるストレスの問題です。

 私自身は、コロナ禍でも、授業以外の仕事では対面で仕事ができていましたので不満を感じることなく生活できていますが、気になったのは障がいのある方のストレスです。

 私が所属する法人後見で後見をしているOさんは、グループホームに暮らし、作業所に通う日常でした。しかしコロナ禍で作業所は閉鎖、GH待機となりました。真面目な性格のOさんは、外出を極力控え、ストレスを感じていましたが、朝夕作業所からかかってくる確認の電話ではうまくその感情を伝えられず、体調を崩していました。幸い、7月から作業所に通えるようになったことや、訪問看護を開始することで、現在は日常を取り戻しつつありますが、障がいのある方のリモートワークの支援については課題が多いと感じました。総じて一見自立していそうに見える方の変化は見逃されやすく、放置されやすいので、後見人としては引き続きアンテナを張っていかなければならないと思ったと同時に、電話やリモートだけの対応に限界があることや対人コミュニケーションが少なくなくなる弊害について実感した出来事でした。

 コロナウィルスの猛威はまだ衰える様子がありません。今はただ、少しでも早く、以前と同様に教室で授業ができ、自由に出かけ、思いっきり知人・友人と話ができる生活に戻って欲しいです。

 ルーテル学院大学をご卒業された皆様のご活躍は市川先生や同窓会を通じて伝え聞いております。これからも皆さんの頑張りを励みに、様々な課題に取り組んでいきたいと思います。

 最後になりましたが、これからも市川先生はじめ、皆様のご健康を祈願しております。


令和2年度第3回調布市高齢者福祉推進協議会

 2020年8月13日、文化会館たづくり12階大会議室において、コロナ感染を予防する対応をとった会議場において、第3回の協議会(会長:小川聡子調布市医師会)が行われました。今年度より、私は、顧問として、司会を担当しています。

手前の2つのテーブルと右上のテーブルに委員が、
左上のテーブルとその後列が行政担当者が座っています。
司会を担当する市川。右隣は、小川会長。

 介護保険事業計画、高齢者保健福祉計画の策定においては、今までの実績を尊重し、調布市という地で育った木に新しい取り組みを「接木する計画」であることに留意することが大切です。すなわち、福祉施設、医療機関、サービス、住民活動、近隣関係等の社会資源、今までの取り組み等の実績という強みや実績を活かし、強めることが不可欠です。

 たとえば、調布市においては、ケアラー支援を事業として掲げており、他市にはない調布の目玉です。また生活支援コーディネーターと地域福祉コーディネーターの役割が整理されていること。地域包括ケアシステムも,理念と実績において理解が広がっていること。圏域ごとの計画も検討されてきたこと。医師会が委託を受けている「ちょうふ在宅医療相談室」が蓄積している在宅医療の知見。詳細は市のHPをご覧頂きたいですが、「セカンドライフ応援キャンペーン」という行政の担当部署を横断する企画を実施していること等、様々な実績をこれからも大切にしでいく必要があります。

 また、協議会運営に関しても、9名の公募委員に参加して頂き、いわゆる住民、利用者の視点からご意見を伺うとともに、行政は、毎回10名近くおられる傍聴者にも十分伝わる丁寧な説明に心がけています。また、小川会長は、委員の方々が話せるよう配慮してこられました。そして、協議会の討議内容を確認するため、ルーテル学院大学に担当者が10名近く来られ、相談をなさいました。

 本協議会を1つのきっかけとして、これからの地域を描いていくためにも、貴重な話し合いがなされ、当事者、住民、行政、社協、社会福祉法人、医療機関等のそれぞれの役割が確認され、住民のニーズに合わせたサービスや活動が地域で実践されることを願っています。

【8月11日・12日放送】 NHK BS1スペシャル放送のお知らせ

※このメールは、NHK制作局「復興・地域づくりプロジェクト」より、これまで収録や取材などでお世話になった皆さまにお送りしています。

 大変に暑い日が続きます。コロナ禍も危機ですが、気候変動も大きな危機であることが分かります。それに加えて、貧富の格差、海の汚染、農地の劣化など、これまで問題で、これからも問題であることがたくさんあります。

 コロナ後の未来を、どうデザインしていけば良いのか?現在の課題は何で、どんな社会を目指すべきか?こうしたテーマを世界の知性に問うBS1のインタビューシリーズに、我々のチームが参加しました。よろしければ、ご覧ください。

▼ 8月11日(火)[BS1]午後11:00~
「コロナ危機 未来の選択 ~ジャーナリスト ナオミ・クライン~ 」

災害や戦争などの危機に乗じる「ショック・ドクトリン」を告発するジャーナリスト、ナオミ・クラインは今巨大IT企業の動きを懸念。

▼ 8月12日(水)[BS1]午後11:00~
「コロナ危機 未来の選択 ~経済学者 マリアナ・マッツカート~ 」

「官は民よりイノベーション力で劣る」という“神話”を打ち砕いた経済学者マリアナ・マッツカートさん。コロナ危機の今こそ国家主導で技術革新を起こすべきだと提唱する。

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●番組の一部は地域づくりの先進例を紹介する、こちらのサイトで動画配信される予定です。
≪NHK地域づくりアーカイブス≫ http://nhk.jp/chiiki

●こちらのURLをSNSなどでシェアしていただけますと幸いです。
≪番組ホームページ≫https://www.nhk.or.jp/ashita/bangumi/
≪明日へ 復興サポート≫ http://www.nhk.or.jp/ashita/support
≪課題解決ドキュメント ふるさとグングン!≫ https://www.nhk.or.jp/chiiki/program/#gungun
人口減少・過疎・子どもの貧困など、様々な課題を抱える市町村に地域づくりの“達人”が訪問。
住民たちと一緒に魅力的な地域をめざしていきます。

NHK制作局 第2制作ユニット
復興・地域づくりプロジェクト
TEL 03-5455-3009   FAX 03-3465-1448
Mail s02711-fukkou-chiiki@nhk.or.jp

統括 棚谷克巳tanaya.k-hg@nhk.or.jp
デスク 河野泉洋kouno.i-do@nhk.or.jp
チーフディレクター 窪田栄一kubota.e-hs@nhk.or.jp
チーフディレクター 大野兼司oono.k-di@nhk.or.jp
スタッフ 山田千佳

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2020年度長野県地域福祉コーディネーター総合研修

第1回 地域共生社会の実現と生活支援コーディネーター・地域福祉コーディネーターへの期待

8月7日(金曜日)13:00〜16:00、長野県社会福祉総合センター、伊那市防災コミュニティセンター、松川村多目的交流センターすずの音ホールの3つの会場を使い、三鷹からZOOMで、講義、ワークショップを行った。各会場には、合わせて70名を超える方々が出席して学習し、相互の情報提供も行った。実施要項と研修内容、そして写真を掲載いたいます。

長野県社会福祉総合センター
伊那市防災コミュニティセンター
ワークショップ
ワークショップ

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

【新型コロナは、新しい自分を切り開く】

  東京国際大学の松本すみ子と申します。   博士の学位を、2011年にルーテル学院大学で取得しました。博士論文は、「住民の福祉活動参加と主体形成プロセスに関する研究-精神保健福祉ボランティアに焦点化した質的分析-」というテーマです。

  精神疾患や精神障害など、メンタルヘルス課題に直面している方々の地域での生活をより質を高めていくためには、 行政や専門職はもとより、地域住民の果たす役割がとても大きく重要であることに言及してみました。指導教授は、市川一宏先生。研究に向けて右往左往する私を常に優しく見守り、そしてたいへん丁寧に指導してくださいました。市川先生には、ただただ感謝の一言に尽きます。

 私は元々は精神科病院のソーシャルワーカーでしたが、21年前に現職に就き、社会福祉士・精神保健福祉士の養成教育に取り組んでいます。一方、他学部に所属する、将来、ソーシャルワーカーになるわけではなく企業などへ就職していく学生たちに、講義を通して福祉のこと、そして福祉のこころを伝えていくことにも、たいへん     大きな意義を感じながら、日々の教育に取り組んでいます。    

 専門職はもとより、多くの市民が福祉についての理解と、困難な状況に直面する人たちへの理解や思いやりを     もつことがとても大切だと思っていることが、授業への強いモチベーションになっています。

 さて、新型コロナウイルスの感染拡大は、日本だけでなく世界中の人々を脅かしています。     私たちは、生活を変えることを余儀なくされました。     健康を害し、命の危険にもさらされ、仕事を失い、今までの生活を維持することが困難な     人たちがたくさん苦しんでいます。   

 私の勤務する大学は、急遽3月に春学期の授業を全てオンラインに切り替える決定をしました。     何よりも、学生の安全・健康・命を守ることを最優先と考え、全国の大学でも早い段階でオンライン     での実施を決定し準備をスタートしました。     しかし、教育は言うまでもなく一方向ではなく、学生と教員の協働により成りたつものです。果たしてオンラインで大丈夫なのか? 大半の教員の思いでした。また、講義はともかく、スポーツ実技や実験などはオンラインにはなじみにくく、体験しないとどうしても教えられないことや、習得できない技術があります。担当の先生がたの戸惑いは、たいへん大きかったです。

  大学の全ての教員が、4月16日からの春学期スタートに向けて、3月からオンラインでの授業の     練習をしました。     全学で、学部で、そして小さなグループを作って、何度も何度も何度も、練習を繰り返しました。     その過程の中で、 ・やっぱり、無理。授業は対面でないとできない     ・オンラインで実施する授業の方法を何とか習得しよう     ・確かに無理なところは多々あるけれど、対面ではできない何かがあるかもしれない。それを探してみよう。

 いろいろな考え方と、行動が先生がたの中に生まれました 。そして春学期が終了した今、決して対面には及ばないものの、オンラインだからこそ可能な教育方法を駆使して素晴らしい授業が先生がたによって実施されました。とりわけ、スポ―ツ実技の授業で、すばらしいオンラインでの授業が誕生し、学生たちは     その授業を通してたくさんの知識と技術の習得をしました。

 「無理だと言っていたら、なんでも無理になってしまう!」   今回のことから、直面していることはみんな同じでも、そのとらえ方や処し方は、人それぞれだと 改めて痛感しました。「与えられた条件はみんな同じ。でも、その中で自分にできる最大限の努力をし、最高の仕事をする」 プロとはそういうことなのだと改めて学び、自分もそうありたいと強く願っています。    

 きわめて厳しい状況になり、与えられた選択の幅が狭かろうと、他者への思いやり、そして自分の果たすべき役割に真摯に向かいあっていくこと。そして、日々、前に進んでいく自分でありたいと、そう強く思っている今日この頃です。
              東京国際大学 副学長 人間社会学部長    松本すみ子

希望のある明日に向かって歩むぞメッセージ

熊本からのメッセージ

              九州学院 副院長・チャプレン 小副川 幸孝

忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。

            -マタイによる福音書25章21節-

 わたしが住む熊本は2016年4月に2度にわたる大きな地震に見舞われ、ようやく震災から立ち直りかけた2020年に新型コロナウイルスの感染症の拡大と7月の豪雨による水害に見舞われました。いわば三重苦、四重苦の中に置かれています。このところ年々大きくなる自然災害で喪失感と絶望的気分はひどくなりますが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、中国からまたたくまに世界中に広がり、有効な治癒薬がないままに、現在もなお世界的な広がりを見せています。

 人類は、有史以来これまでも、様々な感染症を度々経験してきました。しかし、社会活動のグローバル化が進み、複雑な社会構造を形成した現代社会の中での感染拡大となりましたので、これまでの日常生活の形態の多くが制限され、経済構造や社会行動様式を変化せざるを得なくなり、多くの不安や心配が渦巻いているのが現状です。

 わたしが奉職しています学校も熊本地震で校舎のほとんどが被災し、今回の球磨地方の水害でも数人の生徒の家屋が浸水被害にあいました。また入学式や始業式をインターネットを用いた分散型で行ったり、遠隔授業などもしたりしましたが、長期の休校処置をとらざるを得なくなり、ようやく6月から再開するという事態になりました。教育現場としての学校教育の在り方も変化せざるを得ないだろうと思っています。

 かつて14世紀から17世紀にかけて西欧中に広がったペストは、死者が1億人を超えたと言われ、北里柴三郎らがペスト菌を発見するまで「黒死病」として恐れられました。町や村が全滅するという事態にまで至ったことはよく知られています。しかし、その時、ある医者が「ペストに対する戦いの唯一の手段は、誠実であることだ。誠実に自分のできることをすることだ」と語ったと記されています。

 このような事態の中で、「小さなことでも自分にできることを誠実にしていく」というのは、聖書が示す大事な在り方だろうと思います。イエスは、与えられたものを有効に用いた人に「忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ」と語られています。災害からの復興でも感染症への対策でも、あらゆる場面で、自分にできることを誠実に行うこと。そのとき「よくやった。主人と一緒に喜んでくれ」と神が祝福されることを覚えて過ごしたいと思います。

      当時の日本ルーテル神学大学編入・1979年日本ルーテル神学校卒業