2016年12月の投稿

笛吹市社会福祉協議会地域福祉活動計画策定プロセス

社会福祉協議会が住民等とともに策定する地域福祉活動計画は、その策定プロセスを大切にすることとが不可欠である。そもそも、住民や、保健医療福祉に関わる専門職、専門機関に留まらず、地域にある教育機関、ボランティア、民生委員児童委員、町会、商工会、農協等との協働を図り、地域を耕していかなければ、課題の解決にはほど遠い。したがって、地域座談会等で開催し、課題を共有し、築いていく地域の姿を描き、それぞれの役割を確認していく協働作業をするかしないかは、地域福祉活動計画が実現できるかできないかの分岐点である。

笛吹市社会福祉協議会は、地域に根ざした社協を目指し、活動計画の作成を行っている。その実績を掲載します。

はじめまして、笛吹市社会福祉協議会です。

私達は、今年6月から市川一宏先生に、第3次地域福祉活動計画策定の特別アドバイザーをお願いしています。そこで、私達が市川先生にご指導いただいて実践した「地域座談会」の様子をご報告させていただきます。

「住民のムーブメントが感じられない。」「住民の同意は得ているの?」私達の計画策定における本当の作業は、市川先生のこの言葉から始まりました。今年の8月のことでした。私達が、住民に計画の意義をきちんと伝えてこなかったことや、住民と共に作り、それを根拠に、活動実践を進めていくことの意識に欠けていたことが反省としてありました。そこで、住民主体の原則を改めて意識化し、直接、住民の声を聞き、住民とともに活動することを具体化した計画の策定を行うことを目的として、市川先生のご指導により、「住民座談会の開催」を行なうこととなりました。

9月15日、笛吹市において、「第2回地域福祉活動計画策定委員会」が開催され、市川先生に「多世代交流・共生のまちづくりの実現における地域福祉活動計画策定の意義について」の講義をしていただきました。また、特別アドバイザーとして、委員の皆さんにその意義と策定委員の役割についてお話していただきました。

同日、策定委員会の時間をはさんで、笛吹市社協職員が、計画策定の意義を改めて市川先生から学び、また、住民との協働を実現するための一歩として「住民座談会の運営方法」を具体的に学びました。

先生のご講義を聞いて、社協職員としての意識と姿勢を改めて学びました。

先生から、学んだ職員たちは、早速、「住民座談会」の開催に向けて動き出しました。KJ法による実際の座談会の運営方法を学びました。2時間で、いかに住民の意見を聞き取ることができるか、皆真剣に学びました。

先生から、学んだ職員たちは、早速、「住民座談会」の開催に向けて動き出しました。笛吹市は、7つの町が合併しており、笛吹市社会福祉協議会(以下、笛吹社協という)は、7つの地域事務所に職員を配置して、各町の特性に応じた地域づくりを推進しています。そこで、7つの町の地域福祉推進委員会で、まず最初に,地域福祉活動計画についての説明を住民の皆さんに行い、住民主体で計画策定することをご理解いただき、座談会開催について同意をいただきました。そこまでの準備を11月までに行ないました。

11月14日・15日、いよいよ住民座談会の本番です。

特別アドバイザーの市川先生は、笛吹市においでくださり、2日間にかけて、2町の座談会に実際に参加して、直接指導をしてくださいました。開催時間前には、運営についてスケジュールの立て方、住民への配慮、まとめ方などについて、職員と綿密に打合せをしていただき、ご指導をいただきました。

座談会では、住民の皆さんへの直接のアドバイスもしていただきました。

住民の皆さんは、先生の貴重なアドバイスを真剣に耳を傾けていました。市川先生のお話は、どこでも住民に大人気で、「先生に『ボランティアは自分のためにするんですよ』と、励ましてもらった。」というボランティアさんや「先生のお話を聞いて、自分にも何かできると思った。」と住民達が楽しそうに話していました。

「昔のように、縁側でお茶を皆で飲みたいね」「近所でどうやって声をかけていいかわからない家がある」「子ども達が笑顔で育つといいね」などたくさんのご意見が住民の皆さんから出されて、当初、どうなることかと心配していた職員も驚くほど活発な座談会になりました。住民の皆さんの声は、そのまま7つの町の「こんなまちだったらいいな・・〇〇町のまちづくり」という活動計画にすることを皆さんと約束し、また、笛吹市全体の活動計画の資料とさせていただくことをお伝えしました。

座談会を終えた住民の皆さんからは「楽しかった。自分の地域のことを話せて本当に良かった」「子ども達に、今のふるさとを残していってやりたいね。」「声をかけたりして、簡単なことから始めればいいんだね」など、たくさんの意見が聞かれました。また、座談会を開催したことで、職員は、住民の皆さんと共に地域づくりを始めることができたとの一体感を感じることができました。

12月15日現在、6つの町の座談会が終了しています。山間の過疎の町、温泉街のある繁華街のある町・・・7つの町の住民が、それぞれに、皆「幸せになりたい」と願う気持ちをもっていることを職員は直接聞かせていただきました。この気持ちを大切に受け止めて、今後はその実現に向けて、一緒に地域づくりを進めていきたいと改めて考えているところです。

さて、「住民のムーブメントが感じられない」・・・市川先生のご助言で始まった、私達の本当の活動は始まったばかりです。住民の皆さんから「自分の地域でも座談会を開いて話し合いたい。」とのうれしい申し出もありました。これからもムーブメントを起こし続けられるように頑張っていきたいと考えています。

市川先生には、組織として、職員を育てて指導する上での大切なことと、何より住民を一番に考えることの大切さを改めて教えていただきました。それは、先生のご講義だけでなく、座談会の終了時に、職員と一緒に、住民のひとりひとりに丁寧に挨拶をされていた姿からもしっかりと教えていただきました。極度の緊張から、涙した職員に、市川先生がそっとハンカチを差し出して「よく頑張ってますよ。大丈夫」と励ましていただいたことを職員一同忘れないでしょう。

市川先生に心より感謝申し上げます。また、これからも、ご指導をお願いたします。笛吹社協の地域福祉活動計画が、住民のための活動計画として、すばらしいものとなるように職員一同頑張って参ります。

(笛吹市社会福祉協議会 事務局次長 古屋)

笛吹20174

過分な評価を頂いて、私も感謝しています。そして、これからが本番。私も汗をかきたいと覚悟を決めています。(市川記)