2016年08月の投稿

多世代交流・共生のまちづくり

2015年度に全国市長会は、『人口減少社会における多世代交流・共生のまちづくりに関する研究会』を設置し、公益財団法人日本都市センターと協働で、研究を進めてきました。私も、委員として参加し、2016年『研究会報告』が公刊されました。その中で、私は、「多世代交流・共生のまちづくりの施策・実践と地域社会の挑戦」をまとめましたので、お知らせします。

なお、報告書の販売につきましても既にAmazonでの販売が開始されたとのことですが、PDF版は公益財団法人日本都市センターのホームページからダウンロードが可能となっています。
http://www.toshi.or.jp/?p=10960

また、その要約が、全国市長会の機関誌「市政」にも掲載されましたので、添付します。

2016市政(多世代交流共生)①

2016市政(多世代交流共生)②

2016市政(多世代交流共生)③

日本国自身が、将来に向かってどのような共生社会をつくるか、問われていると思います。私なりに精一杯チャレンジしていきたいと思っています。

東京都共助社会づくりを進めるための検討会

2016年7月、「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、都民のおもてなし精神がボランティア文化として定着するために、企業、大学、NPO、ボランティ ア団体、地縁団体、行政などが、どのような方向性で取組を行うかを広い視野から検 討し、創意ある意見を求めるため委員会」の委員長に再任されました。

たくさんの方々のご意見を伺い、また実践から学ばせて頂き、共助社会づくりに努めたいと思っています。

 

「共助社会づくりを進めるための検討会」設置要綱 平成27年6月1日

(目的)
第1 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、都民のおもてなし精神がボランティア文化として定着するために、企業、大学、NPO、ボランティ ア団体、地縁団体、行政などが、どのような方向性で取組を行うかを広い視野から検 討し、創意ある意見を求めるため、「共助社会づくりを進めるための検討会」(以下「検 討会」という。)を置く。(組織)
第2 検討会は、学識経験者、中間支援組織、企業関係者、大学関係者等の中から、生活文化局長(以下「局長」という。)が委嘱する20名以内をもって構成する。
(検討事項)
第3 検討会は、次の事項について検討し、局長に進言及び助言する。
(1)社会貢献活動を推進するための基本的な考え方・方向性に関すること。 (2)多くの企業、大学、NPO等による東京の特性を活かした取組 (3)町会・自治会等による地域の課題解決に向けた取組 (4)行政の役割・施策に関すること。(5)その他必要な事項
(委員の任期)
第4 委員の任期は、1年とし、補欠委員の任期は前任者の残任期間とする。ただし、再任を妨げない。
(座長及び副座長)
第5 検討会に、座長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 座長は、検討会を代表し、会務を総理する。
3 座長に事故があるとき、又は座長が欠けたときは、座長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。
(会議等)
第6 検討会は、座長が招集する。
2 検討会は、委員の半数以上が出席しなければ、開くことができない。
3 検討会の議事は、出席した委員の過半数をもって決し、可否同数のときは、座長の決 するところによる。
4 検討会を招集するときは、各委員に対して、検討会の日時、場所、議題及びその他必 要な事項をあらかじめ通知する。ただし、緊急の場合その他やむを得ない事由の場合は、 この限りではない。
5 座長は、必要に応じて委員以外の者の出席を求めて、意見を聴くことができる。
(専門部会等)第7 第3に掲げる事項を検討するため必要があるときは、検討会に専門部会を置くことができる。
2 専門部会は、検討会委員の中から座長が指名する委員及び局長が別途委嘱する委員9名以内をもって構成する。
3 専門部会に部会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
4 部会長は、専門部会を招集し、部会の事務を掌理する。また、専門部会の経過及び結果を座長に報告する。
5 部会長に事故があるときは、部会長があらかじめ指名する委員がその職務を代理する。 6 部会長は、必要に応じて委員以外の者の出席を求めて、意見を聴くことができる。
(公開等)
第8 検討会は、公開で行うものとする。ただし、検討会の決定により非公開とすることができる。
2 検討会の会議録は、公開するものとする。ただし、検討会の決定により会議録の一部又は全部を非公開とすることができる。
3 専門部会は、非公開で行うものとする。
4 専門部会の会議録は、非公開とする.
(庶務)
第9 検討会及び専門部会の庶務は、生活文化局都民生活部において処理する。
(その他)
第10 この要綱に定めるもののほか、検討会の運営等に関し必要な事項は、座長が検討会に諮って定める。
附則 この要綱は、平成27年6月1日から施行する。

長野県飯田市の朝(2016年7月)

2016年7月、家裁の調査官の連続講義を終え、すぐに和光市から立川に向かい、中央本線特急に乗り岡谷に行き、そこから長野県社会福祉協議会の方の運転で、夜遅く飯田市に着きました。きついスケジュールでしたが、翌日の地域福祉コーディネーター養成研修は、すばらしい晴天でした。始まる前に少しの時間を見つけて、市内の一部を散策することができました。趣のある町並みを紹介します。

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人形美術館

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飯田市美術博物館

平成28年度長野県地域福祉コーディネーター養成研修

2010年度より、長野県で地域福祉コーディネーター養成研修が実施されてきた。このプログラムは、長野県市長村振興協会の財政的支援なくして実現できなかった。心より感謝したい。約8年前、元長野県社会福祉協議会の美谷島氏と話し合い、講座を組み立て、全国から優れた講師を依頼し、また元長野市社会福祉協議会の小林博明氏等と実際に運営してきたことを思い出す。そして、多くの有力な講師の方々が、はじめから、ずっと関わって下さったのである。心より感謝したい。

2015年にまとめられた長野県社会福祉協議会『地域福祉研究会報告』には、以下の記載がある。

「1)長野県の現状と課題

長野県も2000(平成12)年を境に人口減少に転じ、2015(平成27)年に約209万人いる人口が、2020(平成32) 年には 2 0 2 万人、その10年後には 185 万人になると予想されています(「長野県高齢者プラン」2015(平成27)年6月)。高齢化率も全国平均より高く、2020(平成32)年の予想では全国平均29.1%に対し、長野県では32.0%になると見 込まれています(同)。また、長野県は“限界集落”といわれる超高齢化した中山間地や、都市部から移住し、地域との関わりをほとんど持たないまま定住する人たちが住む別荘地など、様々な地域特有の課題もあります。

単独世帯の割合は25.7 % (2010(平成22)年 、国勢調査)と、全国の32.4%(同)より低いものの、“ 孤立死”に象徴されるように、長野県でも地域社会において人と人とのつながりの弱さ、孤立が拡がっています。数値には出てこないものの、様々な支援の現場から「子どもの貧困や虐待が深刻化している」「相談者に鬱を抱えている人が多い」 「近隣・家族とのつながりが全くない人がいる」との声も聞かれます。

こうした状況の中で、様々な福祉・生活課題を抱える当事者が、近隣に見逃され続けてしまったことにより、周囲に知られるようになった時には「どうしたらいいのか分からない」深刻な問題となって現れることが、私たちの身近な所でも起こっています。

この状況に対応するため、国でも地域福祉推進のための施策提言やモデルが示されてきました。しかし、こうした モデルでは概ね1万人~2万人程度の「中学校区」という設定がよく使われますが、長野県では1万5千人以下の自治 体が7割近くあり、全国的な提言・モデルをそのまま解決アプローチとしてあてはめるのは困難な場合が見受けられま す。

2)長野県における地域福祉コーディネーター養成研修の実施と現状

長野県社協では 、地域の福祉・生活課題の深刻化と、それに対する福祉施策の変化も見据えながら、①現行の仕組みでは対応しきれない、多様な福祉・生活課題への対応、②地域住民のつながりを再構築し、支え合う体制の実現、③住民  と行政の協働による新しい福祉の実現を目指す人材養成のため、市町村社協の他、行政、地域包括支援センター等の職員を対象に 2010(平成 22)年度から公益財団法人長野県市町村振興協会の補助を受け、「地域福祉コーディネーター養成事業」に取り組み、6 年間で約1,000人が受講、100人近い受講者が全カリキュラムを修了しました。

なお、同養成事業が目指した地域福祉コーディネーターとは、①住民の日常生活圏域としての小地域を主な活動の場として、②コミュニティワークによる地域生活問題の解決と福祉コミュニティづくりという目標を達成するために、③地域における個別支援とその基盤としての生活支援システムづくりと、④地域で解決できない問題を解決していく仕組 みづくりを進める役割を担う人としました。」

今でこそ、良く聞かれる地域福祉コーディネーターである。しかし、まだ試行錯誤であった時期、チャレンジしてこられた社会福祉協議会、地域包括ケアセンター、行政、社会福祉法人の職員の方々に敬意を表したい。その結果、本養成研修を、本当に多くの専門職が受け、地域で活躍していることを実感している。2016年度も、実施できた。この実績がこれからも継続することを切に祈る。

001-1_H28長野県地域福祉Co研修開催要領

001-2長野県H28地域福祉Co研修開催要領(選択講座)

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H26長野県地域福祉CDカリキュラム

「ひかりの学校」in 安曇野市

2016年6月、長野県生坂村に講演に伺いました。人口減少と過疎化が進行する小さな村で、どう支え合い、元気な村を作っていくかを考える機会にしたいとの主催者からのご要望に従い、テーマを「福祉によるまちづくり」にしました。講演の半ば頃、いっぱいとなった会場に親子連れの方が入ってこられました。女の子を飽きさせてはいけないと、時には手を振っていましたが、おとなしく聞いていてくれました。

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講演が終わり、女の子に握手をしに行ったら、お母さんから、「先生、お元気ですか。ここまで来て下さり、ありがとうございました」という挨拶。お母さんのお顔を良く見ると、それは、大学を卒業してから15年間児童養護施設に勤め、その間にルーテル学院大学大学院で修士論文を書き上げた浜野真理さんでした。職場で出会ったご主人と結婚し、生坂村に移り住まれました。ご主人の高林賢さんは教員をした後、長野県安曇野市で、「ひかりの学校」を創設したそうです。

以下、高林賢さんから頂いたメッセージです。

「うちの学校も一年が過ぎて子どもも増え、多くの方の理解頂くようになっては来ました。

現教育制度の問題点を3つ挙げて話しております。一つは、過度に競争的な教育制度であることです。いわゆる義務教育の9年間が、高等学校受験に偏重しており、子ども個々の能力の発達の支援が困難であることです。

二つ目は、月齢や年齢によって子どもの発達段階を厳しく評価することです。子どもの言語能力を含めた発達は、おおきなバラツキがあります。社会自立に問題のない子どもが、特別支援学級を利用することで、社会自立が困難になる事例を多く感じます。

三つ目は、休息、余暇、遊びの時間の絶対的欠如です。これらの軽視が、教育問題の最大の課題であると思っています。

ひかりの学校の理念は、

  • 子どもが望む活動を通した学習
  • 基礎学力の意欲・知識・技術の定着
  • 自己実現と社会自立につながる体験学習  です。

上記の理念の中で何より重要と思っているのは、意欲です。小学4年生くらいまでの基礎学力の定着と意欲があれば、何の職業でもなれると子どもに話しています。

学習の評価は、成果よりも取り組む意欲を見ています。文字や計算の学習でも、造形遊びのような木工作でも、音楽でも調理でもいい物ができたかではなく、子どもが没頭できる時間と場と機会を設けられたかを重視しています。

すべての学習は参加型をとっており、参加を子どもが選べます。同時に、いつでも好きな時に休息をとれるようにしています。

受け入れ体制は、就学年齢児童以上で上限は設けていません。現在は小学1年生から中学1年生までの子ども10名が利用してくれています。元気に学校へ通っていた子ども、不登校の子ども、特別支援学級を利用していた子どもなど様々です。

親御さんは面白く凄い方たちばかりです。」

  • ひかりの学校 あづみの本校
  • New Education School
  • ひかりの学校  ホームページ

http://hikarinogakko.web.fc2.com

  • ひかりの学校  ブログ

「すべてのこどもに新しい教育を」

http://hikarinogakko.blog.fc2.com

〒399-8301

長野県安曇野市穂高有明7015-1

☎︎0263-55-3353

代表:髙林 賢

☎︎090-9391-8954 soil@mac.com

ひかりの学校三つ折りチラシ前面

ひかりの学校三つ折りチラシ中身

 

長い間、長野県・長野市の地域福祉に貢献している親しい友人にメールを送り、ひかりの学校についてお話をしたら、「「ひかりの学校」の取り組みすごいですね。長野県の「子供白書」にも書かれていました。機会をつくっていきたいと思います。」との返事。

徐々に、努力が評価されていると聞き、うれしく思いました。最初は、たいへんです。私も、応援したいし、今度は直接お伺いしたいと思っています。

高林真理さんが、児童養護施設に働きながら、大学院に通った理由を今でも忘れません。「心の壺には、たくさんの愛情が入っています。しかし、その壺に入っている優しさや思いやり、愛する心は、子どもたちに与えながら、減っていきます。だから、その心の壺を満たすために、大学院に来ました」という真理さんの姿勢に、感動しました。真理さんが選んだご主人が、親御さんと一緒に精一杯築いてきた「ひかりの学校」を、私は推薦いたします。

第39回ICU教育セミナー基調講演

2016年8月4日・5日の両日、ICUにおいて、人権・平和と教育を総合テーマに、第39回教育セミナーが開催された。私は、ICUで、教職課程の社会福祉概論を担当させて頂いて5年ほどになる。授業は1タームに過ぎないが、学生諸君と話し合い、進めていく学習塾のような科目にしており、学生一人ひとりの印象が強い。参加者の中には、私の授業を受け、教員になった方が何人もおられ、私にとっては、同窓会のような雰囲気で2時間半の講演をさせて頂いた。感謝。

基調講演<子どもの命、尊厳、生活を守る〜「おめでとう」で始まり、「ありがとう」で終わる人生を大切にする社会づくり>

Ⅰ)子どもが直面している断絶

1.「生きること」と「生きていること」の断絶

①インターネット世界に住む自分と実社会に住む自分

②生み出されるクローン現象

③ロボットは人格を持ちえるか

2.「生きること」と「生きていくこと」の断絶=「過去」「今」「明日」の断絶

①人生が見えない  ②希望が見えない

青少年にとって、人生が見えない理由の1つは、将来に向かって希望が見えないこと。ある小児科医が、多くの青年が非行にはしらない4つの理由をあげた。第1は、適度な忙しさ、第2は関心事があること、第3は家族や友人との心の繋がり、第4は明日への希望である。財産を失うと生活の危機、プライドを失うと心の危機、希望を失うと存在の危機と言われる。今、希望を持てず、また希望を求めてさまよい続けている青少年は少なくない。

③自然に育まれて生きる姿が見えない

3.「生きること」と「生かされていること」の断絶

①冷戦状態にある自分の心

②人間関係を奪う社会

③苦しみを避け続けると、他人の苦しみも理解できない

4.共に生きていく人々の間の断絶

①コミュニティはあるのか

②日本に高齢者文化・障害者文化は根付いているか

③日本に他文化を受け入れる土壌はあるのか

④そもそも日本に、成熟した福祉文化はあったのか

5.利用者本人と専門職の断絶(問われている専門性)

 

Ⅱ)子どもを追い詰める要因

1.子どもの貧困

①厚生労働省によると、日本の子どもの貧困率は2014年で16.3%(2014年)で、過去最高を更新。実数で約328万人。

②一人親など大人が1人の家庭に限ると54・6%と、先進国最悪の水準。

③中でも深刻なのは、母子世帯。母子世帯になる原因の8割は離婚で、養育費が払われているのは約2割。8割の母親は働いているが、同居親族も含めた年間世帯収入は平均291万円(10年)。

(2015-10-10 朝日新聞 朝刊)

④2016年4月現在、生活保護を受けている世帯は、1,632,271世帯。世帯類型は、高齢者世帯が51.1%、母子世帯が6.1%、傷病者・障害者世帯が26.5%、その他の世帯が16.3%。なお、保護率は母子世帯が高く、近年で見るとその他の世帯の増加が顕著。(厚生労働省)

2.虐待に至るおそれのある要因(リスク要因)
(1)保護者側のリスク要因①妊娠そのものを受容することが困難(望まぬ妊娠、10代の妊娠)②子どもへの愛着形成が十分に行われていない。(妊娠中に早産等何らかの問題が発生したことで胎児への受容に影響がある。長期入院)③マタニティーブルーズや産後うつ病等精神的に不安定な状況④元来性格が攻撃的・衝動的⑤医療につながっていない精神障害、知的障害、慢性疾患、アルコール依存、薬物依存⑥被虐待経験⑦育児に対する不安やストレス(保護者が未熟等)
(2)子ども側のリスク要因①乳児期の子ども②未熟児③障害児④何らかの育てにくさを持っている子ども
(3)養育環境のリスク要因①未婚を含む単身家庭②内縁者や同居人がいる家庭③子連れの再婚家庭④夫婦関係を始め人間関係に問題を抱える家庭⑤転居を繰り返す家庭⑥親族や地域社会から孤立した家庭⑦生計者の失業や転職の繰り返し等で経済不安のある家庭⑧夫婦不和、配偶者からの暴力等不安定な状況にある家庭⑨定期的な健康診査を受診しない    出典 厚生労働省『子ども虐待対応の手引き』

3.子どもの命「こうのとりのゆりかご」 熊本の働きです。

①5年間で、保護した乳幼児は90人近い。そのうち県外が70%近い。

②相談件数は年々増加し、23年度は690件。年齢は15歳未満2%。15歳から18歳未満7%、18歳から20歳未満7%で、16%に及ぶ。20台は40%で、約60%が30歳未満。理由は、不慮の妊娠。誰にも言えずに葛藤の中にあり、助けを求めている。これは、事実です。また、子どもは親に育てられるもの。預けられた子どもはいつまで親を待つのかと、熊本の慈恵病院看護師長の田尻さんは言いました。子どもの視点から見ると、大切な親子関係が見えない。 2013年地域福祉学会シンポジウム

4.複合的・重層的な要因
埼玉・川口市祖父母強盗殺人事件

 

Ⅲ)子どもをめぐる支援施策

1.生活困窮者自立支援法(平成25年法律第105号)について

2.「社会的養護の課題と将来像(概要)」

3.子どもの貧困への対応

 

Ⅳ)目指す地域社会

「子どもの誕生を祝い、おめでとうと言う。そして、人生の最後にあって、世話をしてくれた人に感謝して、ありがとうと言う。おめでとうに始まり、ありがとうで終わる一人ひとりの人生」を目指すこと(『知の福祉力』人間と歴史社)

基本的視点1  共助社会づくりを進めるための検討会『東京における共助社会づくりを進めるための取組について 〜お互い様の心を大切にした社会を〜』 提言平成27年12月16日

基本的支援2 人口減少社会における多世代交流・共生のまちづくりに関する研究会『多世代交流・共生のまちづくりの施策・実践と地域社会の挑戦』 全国市長会2016年7月発行予定

1.生命の尊重
皆、神様から祝福されて命を与えられた。彼らの笑顔を私たちが守る

2.子どもを育てる地域
①誰もが当事者(福井県新庄小学校)、生かされている喜び

②自分にとって、居場所、誇り、愛着がある育つ場を地域がつくる(上越市自由学園)

3.学校教育プログラムに組み込んだ学習

事例1:宮崎県日向市大王谷学園初等部の福祉教育実践(福祉教育プログラムを活用した多世代交流・共生のまちづくり)

事例2:武蔵野市セカンドスクール

事例3:東京都三鷹市のコミュニティ・スクール(Community School)

4.地域が進める多世代交流

笛吹市NPOハッピースペースゆうゆう親子ボランティア抱っこsase隊

5.遊び場を通した多世代交流

6.予防は、住民が当事者として登場

7.世代を超えた寄り合い所=地域

8.コミュニティ住区と地域ケアネットワーク

9.様々な団体による子ども食堂

10.地域ふれあいホーム(「地域の縁がわ」の発展)

 

)明日の地域社会を描く

被災地の復興は、私たちの未来である

1.連帯

2.活動の原点を学ぶ

①「高齢者」「ご老人」「円熟者」?自分の名前で呼ばれたい。

「仮の生活」「仮の人生」はない。「被災者なんだから」という考えは、「高齢者なんだから」「障がい者なんだから」という考え方に通じる。(厚生労働省前対策責任者より)

②そもそも制度が、専門家が、事業者が、利用者の実像を見えにくくしていないだろうか。被災地では通用しない。生活者としての、住まい、仕事(産業)、援助(福祉)、生活環境、絆が、それぞれにあった自立の支援に結びつき、明日への希望と繋がる。

③地域の再生という視点からの復旧・復興が大切。全国各地で行われている「まちづくり」「福祉でまちづくり」と共通である。

④寄り添うケア。時を経て、状況が変わる。それぞれのニーズに対応していくこと。「靴に足を合わせるのではなく、足に靴を合わせる」という原点に立ち返る。

⑤忘れないこと。互いに理解し合うこと。学ぶこと。0か100ではない活動。これは地域の活動の歴史そのものである。

3.共に明日を目指して

被災地を訪問し、生活の拠点を失った方々の生活の場が、未だ築かれていない現実、支援が遅れている現状を見続けてきました。原発被害で、戻れない方々がたくさんおられます。

しかし、この現実を忘れず、また自分たちで、コミュニティを再建しようとする地道な歩みと足を揃えることが、今、本当に求められていると思います。明日を目指して、被災地で生まれた「希望の働き」と共に歩みたい。

そして、日本全国で、今回の死亡者、行方不明者の数を超える人たちが、自殺、孤立死している現状に、少しでも挑戦したいと思っています。

すなわち、被災地支援を通して、今、日本社会が求めている「希望」と「絆」を再生していくこと。今は、それぞれの場で、互いに支えあい、生きていくことが大切な時期になっています。

私は、その基盤を築き、若者たちが、希望を持って生きていくことができる社会づくりに努力したいと再度思いました。 

三鷹ネットワーク大学

平成17年10月に三鷹駅前協同ビル3階に開校した「三鷹ネットワーク大学」は、市内の国際基督教大学、杏林大学、国立天文台、ルーテル学院大学を始めとする14の教育・研究機関が集まって市と協定を結び、「民学産公」の協働によって運営する「新しい地域の大学」をめざしたプロジェクトです。現在は、19の教育・研究機関とともに運営しています(平成22年年8月現在)。

所属団体

アジア・アフリカ文化財団、亜細亜大学、杏林大学、国際基督教大学、国立天文台、首都大学東京、電気通信大学、東京学芸大学、東京工科大学、東京女子大学、東京農工大学、日商簿記三鷹福祉専門学校、日本獣医生命科学大学、日本女子体育大学、法政大学、明治大学、立教大学、ルーテル学院大学、三鷹市

三鷹ネットワーク大学総会2016

小川村「これからの生活を考えよう〜福祉が変わる・地域が変わる・生活が変わる」

2016年7月24日、小川村で講演をさせて頂きました。私の講演のテーマは、「これからの生活を考えよう〜福祉が変わる・地域が変わる・生活が変わる」坂口さんの思いを、元長野市社協・元長野県社協の小林博明さんより伝えられ、お引き受けしました。

小川村連続講座

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また、講演後、シンポジウムが行われました。シンポジストは、①高戸谷佳子さん(数年前から看護師として社協の老人クラブ対象の介護予防事業を月数回担当。民生委員としても活躍。サロン(まめってー会)のキイパーソン)、②川又路子さん(東京からのUターン女子。小川で生まれ・小川で育ち、東京に出て小川の良さを知った数年前帰ってきた若者。この村のいいところをみんなに気づかせてくれる)、③園沖支え愛ネットワークの代表3名の方でした。園沖支え愛ネットワーク

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当村は長野市の西隣に位置した、人口3,000人弱、高齢化率44%の小さな村です。近隣の小規模町村は平成の大合併時にすべて長野市や大町市となり、大きな市に四方を囲まれ、唯一この地域で自立を選択した村です。私たち社会福祉協議会は村でたったひとつの介護保険事業者としてデイサービス等の介護保険サービスの提供を中心に行ってきました。

しかしこの度の介護保険改正により住民同士の支え合いの体制づくりが求められるようになり、その検討の経過で社協とは何かを再考する機会となりました。また住民へのニーズ調査を行うなかで、行政等への依存度の高さや、山間地特有の濃密な人間関係のなかでその不自由さのみが目立つような回答が多く見受けられています。今も残る近隣の助け合いの価値を再評価し、それを多様な世代と共有し、この地域にあった新たな支え合いの仕組みを構築できたらと考え、今年度「やっぱりここで暮らしたい!」と題した連続講座を開催することとしました。その第1回目の講師を市川先生にお願いしました。

当日は大勢の皆さんが関心を持って参加してくれました。本講座を受講した多くの住民が、この講座を通して学び得たメガネをかけて、地域を振り返ることで、同じものが今までとはちがって見えたり、新たな発見がある、そんな講座となったのではないかと思います。何に気づき何を感じるのか、それは受講した住民一人ひとりちがうことでしょう。住民流の日々の営みから、きっと私には創造もつかないような発想が出てくるのかもしれません。すべてのカギは住民が握っています。そしてそれを住民から教えてもらい、私自身が学んでいけたらと思っています。(長野県小川村社会福祉協議会 坂口 和代氏)

市川のコメント:私を呼んで下さった坂口さんは、約5年前から村の社協で勤務して、村出身者でもなければ居住もしていない。また異動により約2年前から社協の福祉活動専門員として、地域福祉などの担当をおられるが、私でいいのかな?と日々悩みながら仕事をなさっておられるとのこと。しかし、外から見るから小川村の良いところがわかる。悩みながら、住民とともに歩んでいこうとしているから、住民の共感を生む。シンポジストの川又さんも、離れていたからこそ、良いところが見えてきた。

私は、訪問して、本当にたくさんの宝が小川村にあると確信しました。ならば、それを活かすこと。地域福祉の原点です。

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会場から見える風景