平成28年度長野県地域福祉コーディネーター養成研修
2010年度より、長野県で地域福祉コーディネーター養成研修が実施されてきた。このプログラムは、長野県市長村振興協会の財政的支援なくして実現できなかった。心より感謝したい。約8年前、元長野県社会福祉協議会の美谷島氏と話し合い、講座を組み立て、全国から優れた講師を依頼し、また元長野市社会福祉協議会の小林博明氏等と実際に運営してきたことを思い出す。そして、多くの有力な講師の方々が、はじめから、ずっと関わって下さったのである。心より感謝したい。
2015年にまとめられた長野県社会福祉協議会『地域福祉研究会報告』には、以下の記載がある。
「1)長野県の現状と課題
長野県も2000(平成12)年を境に人口減少に転じ、2015(平成27)年に約209万人いる人口が、2020(平成32) 年には 2 0 2 万人、その10年後には 185 万人になると予想されています(「長野県高齢者プラン」2015(平成27)年6月)。高齢化率も全国平均より高く、2020(平成32)年の予想では全国平均29.1%に対し、長野県では32.0%になると見 込まれています(同)。また、長野県は“限界集落”といわれる超高齢化した中山間地や、都市部から移住し、地域との関わりをほとんど持たないまま定住する人たちが住む別荘地など、様々な地域特有の課題もあります。
単独世帯の割合は25.7 % (2010(平成22)年 、国勢調査)と、全国の32.4%(同)より低いものの、“ 孤立死”に象徴されるように、長野県でも地域社会において人と人とのつながりの弱さ、孤立が拡がっています。数値には出てこないものの、様々な支援の現場から「子どもの貧困や虐待が深刻化している」「相談者に鬱を抱えている人が多い」 「近隣・家族とのつながりが全くない人がいる」との声も聞かれます。
こうした状況の中で、様々な福祉・生活課題を抱える当事者が、近隣に見逃され続けてしまったことにより、周囲に知られるようになった時には「どうしたらいいのか分からない」深刻な問題となって現れることが、私たちの身近な所でも起こっています。
この状況に対応するため、国でも地域福祉推進のための施策提言やモデルが示されてきました。しかし、こうした モデルでは概ね1万人~2万人程度の「中学校区」という設定がよく使われますが、長野県では1万5千人以下の自治 体が7割近くあり、全国的な提言・モデルをそのまま解決アプローチとしてあてはめるのは困難な場合が見受けられま す。
2)長野県における地域福祉コーディネーター養成研修の実施と現状
長野県社協では 、地域の福祉・生活課題の深刻化と、それに対する福祉施策の変化も見据えながら、①現行の仕組みでは対応しきれない、多様な福祉・生活課題への対応、②地域住民のつながりを再構築し、支え合う体制の実現、③住民 と行政の協働による新しい福祉の実現を目指す人材養成のため、市町村社協の他、行政、地域包括支援センター等の職員を対象に 2010(平成 22)年度から公益財団法人長野県市町村振興協会の補助を受け、「地域福祉コーディネーター養成事業」に取り組み、6 年間で約1,000人が受講、100人近い受講者が全カリキュラムを修了しました。
なお、同養成事業が目指した地域福祉コーディネーターとは、①住民の日常生活圏域としての小地域を主な活動の場として、②コミュニティワークによる地域生活問題の解決と福祉コミュニティづくりという目標を達成するために、③地域における個別支援とその基盤としての生活支援システムづくりと、④地域で解決できない問題を解決していく仕組 みづくりを進める役割を担う人としました。」
今でこそ、良く聞かれる地域福祉コーディネーターである。しかし、まだ試行錯誤であった時期、チャレンジしてこられた社会福祉協議会、地域包括ケアセンター、行政、社会福祉法人の職員の方々に敬意を表したい。その結果、本養成研修を、本当に多くの専門職が受け、地域で活躍していることを実感している。2016年度も、実施できた。この実績がこれからも継続することを切に祈る。
投稿日 16年08月11日[木] 11:56 PM | カテゴリー: 社会福祉関連