2024年06月の投稿

北海道浦河ベテルの取り組み(グループホーム)

2024年6月21日・22日、北海道の浦河にで開催された、キリスト教社会福祉学会の大会に出席しました。現地主催は、浦河ベテルで、障がいをもつ方自身が当事者研究を通して、自己実現をはかっていく。そして、地域にベテルの施設が広がっていくことで、地域の基盤が向上していくという地域づくりが行われていました。

では、質問。写真には、動物が映っています。なんでしょう。

正解はキジの親子です。車が近づいても、中々逃げず、私が車から降りたら、急に小さい子どもも飛んでいきました。

そしてたどり着いたのが、このグループホームです。

このグループホームには統合失調症やうつ病などの症状をもつ5人の男性が住んでいます。このグループホームのすごい所は、建てる前に入居者を決め、どんなグループホームがいいかを一緒に話し合い、メンバーたちの意見をとり入れて設計したところです。

また、このグループホームには、いろんな人たちが訪れます。近所に住む引きこもりがちな人、統合失調症の病気を持ちながら子育てしてる母親と子ども(この子どもはグループホームのメンバーがごはんを食べさせたり、お風呂に入れたり、ドライヤーをかけてやったり)。その横でお母さんはのんびりテレビを見ています。その他、学校に行けない子ども、中高生、学校に行けない先生、いろんな理由で仕事にいけなくなり休職中の人たち、高齢者など、いろんな人が立ち寄ります。住人たちはピザを焼いてあげたり接待役です。

このような場所づくりが、コミュニティづくりの原点であると思います。それが、浦河の強みです。   私たちルーテル学院大学関係者が誇る伊藤恵理子さんが情報提供して下さいました。

世田谷区社協の取り組み

2024年6月17日、世田谷区共同募金配分推薦委員会があり、そこで今年度の取り組みが確認されました。また各地域協力会の代表の方々より、募金活動についてのご苦労をお聞きしました.

それぞれの町会の考え方もあり、共同募金をどのように理解して頂くか、話し合われました。その情報交換の中で、世田谷区社協の会費募集の資料がとてもわかりやすいという意見が何人からも出され、今後、募金活動も参考に共募の広報活動を強めていくことになりました。

ご紹介します。

https://www.dropbox.com/scl/fi/2a46ab57cwkgt04gu2qhs/R6.6.1.pdf?rlkey=9ifwmfucef2qfjeyf2ilm10hz&dl=0

三鷹市社会福祉協議会の挑戦

三鷹市社会福祉協議会合同部会研修会

令和6年6月5日(水) 午後2時~3時30分、改選後の部会員(新任含む)と社協職員の計約80名を対象に、「地域福祉活動計画Ⅶ」をテーマに研修会が行われました。私は最初に20分程度で、計画の概要版

https://www.dropbox.com/scl/fi/lz2jgb3ho7pwnolnpqnet/.pdf?rlkey=jmlw35ihgio4zuxq78wwglyha&dl=0

に基づき、講演を行いました。その内容をご紹介します。

地域福祉活動計画Ⅶについて

                      ルーテル学院大学

                      名誉教授 市川一宏

1.広がり、深刻化する今日の地域福祉問題

 2023年度はm三鷹市、小金井市、調布市、練馬区等において、第9期介護保険事業計画・高齢者保健福祉計画の策定の責任を担わせて頂いた。しかし、私は、危惧している問題に対する決定的な打開策を見出していない。

・70数万の人口をもつ練馬区において、2023年に自宅で熱中症で亡くなられた方は、20数名に及んだ。

・「孤独・孤立の問題への対策をめぐり、政府は5月13日、今年の1〜3月に自宅で亡くなった一人暮らしの人が全国で計2万1,716人(暫定値)確認され、うち60歳以上の高齢者が約1万7千人で8割近くを占める現状を明らかに。年間の死者数は約6万8千人と推計」(朝日新聞5月14日)⇒孤独・孤立政策推進法

・「認知症」とは、様々な脳の病気により、脳の神経細胞の働きが徐々に低下し、認知機能(記憶、判断力など)が低下して、社会生活に支障をきたした状態をいいます。日本では高齢化の進展とともに、認知症の人も増加しており、65歳以上の高齢者では、平成24年度(2012年度)の時点で7人に1人程度とされ、年齢を重ねるほど発症する可能性が高まり、今後も認知症の人は増え続ける⇒認知症基本法

2.三鷹市地域福祉活動計画の特徴

<計画策定プロセス・7つの実践目標・10の重点活動

3.三鷹市社会福祉協議会は何をすべき?、何ができる?、何を求められている?

①接ぎ木の活動 自らの活動を検証する

三鷹市における3つのC Community(コミュニティ)=コミュニティセンターの住民協議会⇒ケアネットワーク・ほのぼのネットというコミュニティ政策、Citizen participation(市民参加)=市民会議、Collaboration(協働)の伝統を継承すること。接ぎ木であることの大切さ、

社会福祉の概念の広がり 本年3月の全社協(社協基本要項第1次案)は、使命として「住民主体の理念に立ち、住民や地域の関係者と〝ともに生きる豊かな地域社会づくり〟を進める」を新たに規定

目指す地域社会を描く大切さ

③協働 同要項2025では、社協が協働する地域の関係者の例として、具体的に社会風刺法人、民生児童委員、ボランティアだけでなく、企業や医療、教育、司法など福祉分野以外の関係者を明記した。 ⇒ケアだけでなく、まちづくりを念頭に置いた取り組み当事者の自己実現・社会参加、個々の違いを認め合う共生社会の実現

④福祉人材が集まらない現状が顕在化しています。民生委員児童委員も欠員状態が続いています。しかし、地域の問題はますます深刻化しています。問題が深刻である故に、担い手は疲れています。私は思います。例えば、民生委員児童委員が足りないと言われますが、これは民生委員児童委員だけの問題ですか。地域の問題ではないですか。協働すべきネットが、いたるところで切れています。ならばそれを繋ぐ作業が大切です。

⑤能登半島地震の被害は深刻で、日本中を震撼させました。しかし、能登半島の復興は、遅々として進みません。また今まで私が経験してきた東日本大震災被災地支援について振り返りましたが、今もって、何をすべきであったか、何が相応しかったか、絶対的な正解を見出しえなかったのです。今一度、被災地の現状をふりかえり、自然災害はどのような困難を生み出し、復旧復興に何が必要か考えていくこと、すなわち被災地と協働した防災、災害対応について考え、自分が住むこの三鷹の地で、災害に強い地域を検討することが急務と考えます。

地域を繋ぐ専門家を支える仕組みを

 社協の地域福祉コーディネーターの仕事を、皆で共有していくこと。重点事項の強化を!

 社協が、皆さんの取り組みのプラットホームになってほしい。

 そもそも三鷹市社協の1つの特徴は、住民や当事者、民生委員児童委員、ボランティア、関係団体等で構成される啓発・組織強化部会、地域支援部会、生活支援部会、ボランティア活動推進協議会という部会が作られ、そこで議論されたことが、計画やその実施に反映されることであり、社協運営に関する重要な役割も担って頂いていると思います。

計画との関係は、以下にお示しします。

https://www.dropbox.com/scl/fi/5c8jffec7kk40ed8sxz7p/.pdf?rlkey=0v7cpbkar7f9hgideondzfmvx&dl=0

その後、各職員が、概要に書かれた重点課題を簡潔に説明し、そして各部会の話しあいに入りました。

確かに、今日の地域福祉問題は解決が困難です。国の財政の借金も膨大になっている。このような社会を、私の孫たちに自信をもってバトンタッチができるのでしょうか。本当に申し訳ないと思います。ただ、1本の木を植えなければ、砂漠の緑化はできません。今までの活動を受け継ぎ、それに接ぎ木してあらたな活動の生み出し、私たちが目指す社会を描いていく。そのような1つひとつの実践が必要とされていると思います。ですので、挑戦をやめるつもりはありません。

                    2024年6月12日

                    市川一宏