2005年06月の投稿

空の上の夕焼け

北星学園大学において開催された日本地域福祉学会全国大会を終え、帰路につく飛行機の中に、外から赤い光が差し込んできた。多くの乗客は寝ていたので気がつかなかったようだが、私にははっきり、それが夕日であることがわかった。あいにく、地上には強い雨が降ってきており、千歳空港では、空は厚い雲で覆われていた。しかし、飛行機が離陸して、しばらくして真っ白な雲の中を突っ切った時、そこには、快晴の空があった。

このような夕焼けを私は時々見るのだが、今回の場合は少し違っていた。だんだん沈み、そして赤さを増したその時、雲の中から山頂が突き出ていたのだ。

山の名前は知らない。また、その山頂の下は、きっと、雨と風で荒れ狂っているに違いない。しかし、平然と顔を出し、夕日を眺める山の雄大さに、言い尽くせない驚きを覚えた。山には人格があるわけではなく、意思があるわけでもない。それはあくまで自然現象だが、その姿から感じ取る自然の豊かさの源は、どこから来るのだろう。

生きていくことは、山の頂に向かって、一歩一歩、時には立ちどまり、時には降りたくなり、そして抱えられながら登っていくことだと思う。もうしばらくして始まる私の老年期は、山の頂に向かって歩む時としたいと思っている。特に、このすばらしい夕焼けを見られるならば。