2013年04月の投稿

DOUBLE DIAMOND FUJI(佐藤弘氏撮影)

富士山を中心に、東側に山中湖(山梨県)、西側に田貫湖(静岡県)があり、今回の撮影は、山中湖での日没のDiamond Fujiと、田貫湖では日出のDiamond Fujiが見られます。

今回はともに 湖面にも反射したDouble Diamond Fujiの撮影に成功しました。

撮影は 山中湖は 2010-2-5 & 2011-10-26 の夕方で(山中湖の1枚は風が吹き波が静かでなくDoubleにはならず)、田貫湖は 2007-4-27 & 2009-4-27 (同日)の朝です。

両池ともに カメラマンに人気があり、撮影に苦労するより、三脚(撮影)場所確保 駐車SPACE確保に苦労したともいえます。

撮影時間の3-4時間前には撮影ポイントを決め三脚を立てます。カメラマンの間では 暗黙のルールがあり(?)、すでに三脚が立っていると あとからの人はその邪魔をしない。

市区町村社会福祉協議会会長・常務理事・事務局長研修会(2012年)

2012年夏、福岡県市区町村社会福祉協議会会長・常務理事・事務局長研修会の講演の機会を頂きました。私にとっては、お世話になった方々で、講演の機会を頂いたことは、本当に感謝でした。 しかし、2日間の予定は、福岡県内の水害の影響もあり1日に縮められました。要項は以下の通りです。 平成24年度市区町村社会福祉協議会会長・常務理事・事務局長研修会

1 趣 旨 昨年3月に発生した東日本大震災では、地域のつながりの重要性が再認識されるとともに、NPOや市民団体などによる活発な災害ボランティア活動が展開される中で、その拠点となる災害ボランティアセンターの運営とコーディネート役を担う社協の存在や役割も改めて見直される機会となりました。 一方で、少子高齢化の進行などにより地域社会や家族形態が変容するなか、社協の強みであるネットワークを活かした地域福祉活動の充実が求められています。 さらに、地方財政が逼迫するなかで、補助金・委託金の削減により社協経営は厳しさを増しており、組織体制の強化や事業の活性化を図ることもままならない状況ですが、地域主権改革等中央情勢を注視しつつ、地域のニーズの変化に柔軟に対応していくことが重要となってきています。 本年度は、社会福祉諸制度の動向を踏まえ、東日本大震災を通して見えてきた社協の役割や今後の展望等について共通認識を図ることを目的に開催します。

2 主 催 社会福祉法人 福岡県社会福祉協議会

3 開催日 平成24年8月1日(水)

4 会 場 ホテルパーレンス小野屋

5 参加対象 市区町村社会福祉協議会会長、常務理事、事務局長

6 内  容

11:00 〔開  会〕

挨拶・オリエンテーション

11:10 〔報  告] 「市区町村社会福祉協議会の現状と課題」 報告者 福岡県社会福祉協議会

11:25 〔事業説明〕 市区町村社協に関する本会事業の説明  説明者 福岡県社会福祉協議会

13:00 〔実践報告〕 テーマ①「災害に備えた関係機関・団体との連携について」 報告者 大刀洗町社会福祉協議会 事務局長 村山 真知子 氏

テーマ②「これからの人材育成、業務改善と効率化」 報告者 宮崎県都城市社会福祉協議会 総務課副参事兼法人係長 櫻田 賢治 氏

14:10 〔講  演〕

「東日本大震災を踏まえ、今後の社協のあり方を考える」 講師 ルーテル学院大学 学長 市川 一宏 氏

事業説明の時に、私は現地に到着しました。研修会は、福岡県の市町村が被災しており、2日も予定を1日に短縮されることになりました。事業報告で、福岡県内の被災地に、福島県内の職員が応援に来ることを知りました。しかもそのメンバーが、よく知っている職員と分かり、私は、講演の終了後に、福島から来た職員の方々に会いたいとお願いし、福岡県八女市社会福祉協議会災害ボランティアセンターを訪問しました。そこで、福島県社協の職員、福島県相馬市ボランティアセンター所長等とお会いしました。皆さんは、九州からの東日本大震災への応援に対して、感謝し、自分たちができることをしたいと、福岡県内のもっとも被害が大きかった八女市に、何時間もかけてやって来ました。私は、福岡県内の地元の焼酎を渡し、健康が守られ、ボランティアとして、精一杯頑張ってほしいと、伝えました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

下の写真は、福島県相馬市の被害に遭った海岸、そしてボランティアセンターの建物です。私が訪問した2012年4月には、センターの壁に、絵手紙が飾られていました。それは、少しでも早い復興を願い、送られてきたその一枚一枚に込められた思いに感動しました。そして、支援に対する感謝をもって、福岡県八女市に来た皆さんの思いを忘れることはできません。

10日近いボランティアを終え、福島に帰った彼らから、連絡がありました。「無事に帰りました。活動を終えた後、みんなで飲みました。ありがとうございました。」という電話に、私は、助け合って生きること、恩を返し続ける姿に、日本が失った絆、個々への思いやり、自然な助け合いの姿を見ました。日々、その絆を紡いでいくことが、日本の明日を切り開きます。

当日は、朝倉市のホテルパーレンス小野屋に泊めて頂きました。朝倉市のこの場所は、大雨の影響を受けた土地です。いち早く、被害に対する対応ができた地域です。私が宿泊したようなすばらしいホテルがあるのですが、必ずしも街自体がすべて活気があるわけではありません。

しかし、朝早く、部屋から見ていると、一人の若者が、自転車に乗って、目的地に急ぐ姿を見ました。私は、当たり前の日常生活に感動しました。一人ひとりが、自転車に乗り、それぞれの目的地の向かって、必死に歩んでいる。その心があれば、日本の復興は可能だと思います。今、そのエネルギーが、日本には必要とされていると思っています。

 

 

 

 

 

 

白浜レスキューネットワーク

「私は、必ずあなたと共にいる」というメッセージを届け続ける働きを紹介します。 私は、昨年、藤藪庸一牧師にお会いしました。来週、訪問する白浜レスキューネットワークのリーダーです。「自殺しようと苦しむ方々を何とかして助け、人生に希望を失っている方々に、もう一度人生をやり直そうと思ってもらえるように関わっていきたいと願って」、NPO法人白浜レスキューネットワークが立ち上げられました。

 和歌山県南部西海岸にある白浜三段壁(さんだんべき)は、断崖絶壁の名勝ですが、自殺者があとを絶ちません。保護した件数は、年間30件を超えるそうです。相談電話は、三段壁以外からもあり、1260件を超えるそうです。また、保護した方々が自立するには、自己破産や就職活動などとともに、もっとも大切な、心身の回復が不可欠です。これらの問題を解決していくために畑を作り共同生活をしていると、藤藪牧師は言われていました。

 藤藪牧師は、著書(藤藪庸一『<自殺志願者>でも立ち直れる』講談社)でこう書かれています。「私が何よりもうれしいのは、<略>共同生活を経て、自立していくことです。<略><教会に遊びにおいで><いつでも連絡をちょうだい>自立していく際には、また会えることを祈って送り出します。<略>私との関係を続けて連絡をくれ、そしてなんといってもその人が自立して生き生きと頑張っていることがわかると、私は励まされます。」 今、必要なことは、「共にいる」存在があることを、希望を失いかけている方々に届けることではないでしょうか。「共にいる」働きが、明日の社会を切り開いていくと、私は確信しています。」 この文章は、2012年度卒業式で私が話したメッセージの一部です。機会があって、実際に働かれている場で、藤藪牧師にお会いしてきました。午前に、弁当を調理し、かつ喫茶店として場を提供しているCOMBを訪問しました。先生は、調理に追われておられました。当日は、たくさんの弁当の注文があったそうです。生きていくことに絶望し、当地を訪れた人々が、最後の決断の前に、助けを求めてくることができるように、いつも心を開いている人がいる。絶望の中にあって、救いのみ手を差し伸べようとする働きがある。これから、未来に向かって再び歩もうとする仲間がいる。

 

 

 

 

 

白浜三段壁に行きました。本当にすごい絶壁。そして2枚の看板と電話ボックスに張られた紙を見て、驚きました。白浜レスキューネットワークのメッセージが置かれていたのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

藤藪先生の白浜バプテスト白浜教会

甲府市ボランティア団体連絡協議会『ボランティア講演会』

以下の要領にて、ボランティア講演会が開催されました。

◆日時 平成25年3月9日(土)

◆場所 甲府市総合市民会館 芸術ホール

◆定員 500名

◆演題 「明日の社会を築く~地域の絆をつくるボランティア活動~」

◆講師 「ルーテル学院大学 学長 市川 一宏 氏」

◇主催 甲府市社会福祉協議会(甲府市ボランティアセンター)

甲府市ボランティア団体連絡協議会

◇後援 甲府市

◇問合せ 甲府市ボランティアセンター

今、ボランティア活動の推進に以前の勢いがなくなっている気がしています。ボランティア活動の必要性はあり、その意味はわかっていても、参加する人が広がってきていません。多くの地域で、狭い個々の生活の中に目が向けられ、「明日を共に築く」姿が見えにくくなっています。

確かに、社会に閉塞感があります。明日への不安が先立ち、それぞれが今を生きることに精一杯です。しかし、そこには、2つの選択肢があると思っています。一つは、先が見えない故に、今を生き続けるという選択肢。もう一つは、先が見えない故に、立ち止まり、あきらめるという選択肢。

今回の主催者の挨拶を聞いて、私が勇気づけられました。紹介します。このような一つひとつの取り組みが、明日を切り開きます。「始めることから始めませんか」

1.主催者挨拶 甲府市ボランティア団体連絡協議会 市川会長

皆さん こんにちは

 甲府市ボランティア団体連絡協議会の市川と申します。

本日は、甲府市社会福祉協議会と、私ども甲府市ボランティア団体連絡協議会との共催によりますボランティア講演会に、ようこそおいでくださいました。

ありがとうございます。

この講演会は、主催者の双方とも、平成24年度の年間の事業計画には入っていませんでしたが、このたび、山梨県新しい公共支援基金事業を利用してのボランティア活動をすすめることを目的として企画いたしました。

講師の市川一宏先生には、後程ご紹介させていただきますが、ルーテル学院大学の学長として、大学および大学院で教鞭をとる傍ら、多くの学会の長としてのお仕事をこなし、また本日のような全国各地から招かれてのご講演、ご指導など大変お忙しい時間を割いて、私どものためにお越しくださいました。

ありがとうございます。

先生をお招きするに当たりまして、私どもが研修事業として参加しております、全国ボランティアフェスティバルに、先生は毎年招聘され、ご専門の分野で分科会を担当されています。昨年開催されました全国ボランティアフェスティバル三重での分科会では「平成24年度ふれあい・いきいきサロン全国交流会 広げよう地域の絆・増やそう地域の笑顔」をテーマに、コーディネーターとして、全国から参加者と交流されましたが、私たちの1泊2日の日程では、午前、午後と1日かけた先生の分科会には、残念ながら参加できませんでした。

今日は先生から直接お話をお伺い、学習をしたいという強い思いがありまして、先生にお越しいただくことになりました。

先生の業績につきましては、ルーテル学院大学のホームページに紹介されていますが、先生の研究室のページには、先生が自ら投稿された文章を見ることが出来ます。全国各地で公演をされた内容がたくさん出てまいりますが、その一つ一つが先生にとりましては、強く印象に残ったことばかりだと思います。

今日はボランティア団体のメンバーや地区社協、自治会、民生児童委員、学生の皆さん、そして、これからボランティア活動を始めようという思いの方など多くの方々のご参加をいただいております。

この講演会を聞いて、皆さん一人ひとりが、今後どのような役割を持って地域の絆をつくり、活動につなげていけるか、大いに期待しているところですが、先生にも今日は良い講演会だったと心にとめていただきますよう、皆さんのご協力をよろしくお願いいたします。

2.社会福祉協議会会長挨拶

本日は、お忙しい中、多くの皆様にこのボランティア講演会にご参加をいただき、誠にありがとうございます。

皆様もご承知のとおり、高齢化がものすごい勢いで推進しております。さらに、世の中は景気が長い間低迷しており、社会情勢が誠に厳しく、失業者が多く、正規雇用が少ない非常に厳しい状態にあります。

さらには2年前には東日本大震災があり、そのために生活に難儀している人々が大勢おります。こういった中で多くの人達がボランティアに精を出しており、本日会場にいらした方々の中にもいろいろな分野でボランティアに精を出している方々が大勢いらっしゃると思います。非常に尊い存在であります。

さらに、いつ来るかわからないと言われております、東南海地震がもし起きた場合は、更に多くのボランティアの手が必要になると思いますが、日本の福祉はボランティアに頼りすぎているようにも思えます。

最近よく聞く「絆」という言葉がありますが、隣近所でお互いに助け合っていくことの出来る世の中にしなければならないと思います。

さらに、今ここにいらっしゃる方々は年配の方が多く、自分自身の高齢化に伴い、後継者がなかなか出てこないことを心配している方も多いと思います。

自分たちの世代は頑張っていても、後を継いでくれる人がいないことを非常に心配しております。

このような中で、甲府市社協では、いきいきサロンや配食サービスを続けて、地域の活性化やお年寄りの元気を保つために一生懸命手を尽くしております。しかし、ボランティア不足もあり、なかなか思うようにいかないのが現状です。

ボランティアは要求されていますが、まだまだ不足しています。この状況をどうすれば良いのでしょうか。皆さんが温かい手を差し伸べる、温かいまなざしを向けるだけではどうにもなりません。一人ではそれ以上の事はできないと思いますので、やはり隣近所の人と手を取り合っていくしかないと思います。

本日は、ルーテル学院大学の市川学長の講演でございますが、甲府市ボランティア団体連絡協議会の皆様と甲府市社協職員が早朝からこの会場設営を頑張っておりました。そのことにお礼を言いたいと思います。

今日は市川学長のご講演を聞いて、さらにボランティアの輪が広がり、相互が熱くなるように甲府市の事業が進んでいけば良いと思っております。

簡単ではございますが、私からのあいさつとさせていただきます。

本日は、よろしくお願いします。

3.甲府市ボランティア団体連絡協議会の現状とこれからの展望

甲府市ボランティア団体連絡協議会は、平成6年度(平成7年2月)に発足以来、19年が経過し、今年20年目を迎える。

 主な事業は、「甲府地区ボランティア交流会ボランティア博」で、平成14年度は、「全国ボランティアフェスティバルやまなし」の中で行われ、それ以前は講演会が中心で平成15年度から(交流会及び活動展示だけでなく)舞台による発表が加わった。当時は、甲府地区ボランティア交流会という名称で、当団体の加入団体による交流会だったが、平成20年度からは、市内大学交流ネットワーク(市内4大学のボランティアサークル)、甲府市社会福祉協議会の2団体が加わり3団体共催事業となり、「甲府地区ボランティア交流会ボランティア博INこうふ」に名称を変更した。

「甲府地区ボランティア交流会ボランティア博」は、5年目を迎え、ボランティア団体だけでなく、一般の市民にも関心を持っていただくイベントとして定着してきている。

次に、研修会の一環としての全国ボランティアフェスティバルは、当団体からの参加者が毎年減少している。

赤い羽根共同募金、歳末助け合い募金街頭募金への協力は、甲府市社協が事務局を担う、山梨県共同募金会甲府市支会からの期待が大きい事業だが、参加者・募金額とも停滞気味である。

県民の日記念事業の中での、やまなし市民活動交流フェスタにも毎年参加しているものの当団体の活動紹介事業としての機能はあまり果たせていない。

当団体の実施事業は、努力の割には報われないという部分もあり、またボランティア自身の高齢化が要因となり、当団体への加入数も減少してきている。

甲府市社協には、ボランティア基金という財源があり、当団体に新規加入するボランティア団体には優先的に活動資金としての助成をしてきた経過があるため、今後慎重に検討した上で有効に活用できれば新規団体加入に有効ではないかと思われる。また、甲府市ボランティアセンターに団体登録しており、当団体に未加入のボランティア団体についても新規加入の勧誘等に努める。

当団体の組織に係る構想として、甲府地区ボランティア交流会ボランティア博にて高齢者・障害者・子供コーナー等のジャンルに分けてコーナーを設けたが、このグループをそのままの活動に繋がる部会として活動したら各団体同士の理解も深まりイベント等がやりやすくなると思われる。

新しい取り組みを予算がないから実行出来ないではなく、目的を見つけて、どのようにすれば実現できるかを考えることが大事だと思われる。

平成25年3月18日 甲府市ボランティア団体連絡協議会

会  長    市 川  孝 次

 

こだき富士とつるし雲(佐藤弘氏撮影)2013.4.11

久しぶりに精進湖に行ってきた写真です。

日出前の4時半ごろのシャッター15分開放で撮影の「すっきりした黎明のこだき富

士」、富士山特異の「つるし雲」です。

河口湖の桜(佐藤弘氏撮影)2013.4.14

桜の撮影に4/14河口湖まで出かけましたが河口湖のほとりの桜が満開となり、やや花吹雪きぎみでしたが花見の人とカメラマンで湖畔はいっぱいの人でした。

 

 

 

 

富士山と芝桜(佐藤弘氏撮影)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2008年5月に撮影した「竜神湖の芝桜と富士山」の写真です。

芝桜の芝つきが悪く ラフな芝目となっていますが。

これだけの芝桜を集めたのは 関東地区では 最大とのこと。

(実際に圧倒されました)

逆光気味で 日の光が強く 富士山を くっきり写すことができなかったけれど、見れば見るほど 圧倒される 芝桜でした。

2013年ルーテル学院入学式

2013年度入学式

テーマ「新しい出発のための5つのC」

聖書:「新しいぶどう酒を古い革袋に入れる者はいない。そんなことをすれば、革袋は破れ、ぶどう酒は流れ出て、革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。そうすれば、両方とも長もちする。」(マタイ福音書第9章第17節)

新入生の皆さん、入学おめでとう。ご出席のご家族の皆さま、関係者の皆さま、おめでとうございます。今日は、新たな学びのスタート台に立つ新入生諸君へ期待を込めて、お話をさせて頂きます。

1.「新しいぶどう酒」と「新しい革袋」

今日の聖句には、「新しいぶどう酒を古い革袋に入れる者はいない。そんなことをすれば、革袋は破れ、ぶどう酒は流れ出て、革袋もだめになる。新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。」と書かれています。当時は、ぶどう酒をビンではなく、革袋に入れて貯蔵していました。新しいぶどう酒はまだ発酵が終わっていないので、膨張します。古い革袋は固くなっているので破れてしまいますが、新しい革袋は弾力性があるので膨張にもちこたえることができるのです。

私は、新しいぶどう酒とは、私たち一人ひとりがもつ夢・希望だと思います。お金をなくすと生活の危機、名誉をなくすと心の危機、夢・希望をなくすと存在の危機をもたらします。夢は、生きていくために大切な宝であると思っています。

2.夢・希望

ある大企業が、2012年12月、20代~50代と2013年新成人の男女各100人、合計1,000人に対して行った「日本人の夢調査」では、日本人の約76%が現在叶えたい夢があると答えました。また新成人の約85%が夢を持っており、どの世代よりも夢の保持率が高いことがわかりました。

しかし、夢を持っていたことはあるが、現在は夢が無いと答えた人の約78%は、夢が叶ったからではなく、諦めたからと回答しました。もっとも多かった回答者が24歳であったことを考えますと、夢を持って社会人になり、社会の荒波にもまれることで夢を諦めてしまう人が多いと言えるかもしれません。

夢は描くだけでなく、実現するものです。だからこそ、自分にとってふさわしいぶどう酒をもち、それを現実のものとするために、さらにそれぞれの革袋を、学生時代につくっていただきたい。確かに、挫折はあります。しかし、挫折の意味を理解し、実現のためにたえず自らを成長させていってほしい。

厳しい生活の中で、夢を持とうとする子どもたちのことをお話しします。県民の約10%が自宅から避難している現実にあっても、子どもたちは自分の将来を見つめています。桃色の傘をさしてNHKの『八重の桜』に登場している福島県内370名の小学生高学年一人ひとりは、10年後の自分自身に宛ててスケッチブックに書いた短い手紙を持っています。

「10年後の私は、人を助ける仕事をしていますか?」や「よみがえった福島の自然のなかで精一杯生きていますか?」といった内容のメッセージだったそうです。彼らは、困難に直面しつつも、自らの夢の実現に向けて歩んでいきます。私は、彼らが夢を叶えることができるよう、一緒に歩んでいきたいと思っています。

3.アジアの子どもたちが夢を描き、夢を実現する支援(チャイルド・ファンド・ジャパン)

海外の子どもたちが夢を実現できるように支援している活動を紹介します。チャイルド・ファンド・ジャパンという日本の民間非営利団体は、アジアの貧困状態にある子どもたちが幸せに、そして責任ある大人に成長することを願って活動しています。

そもそも、同団体の起源は、第二次世界大戦後、アメリカの民間団体、CCF (Christian Children’s Fund:キリスト教児童基金)による日本の戦災孤児への支援に始まります。アメリカ、カナダ等の多くの方々からの資金援助が届けられ、22年後の1974年のCCFの支援終結までに、延べ86,000名の子どもが支援を受けました。

その支援は、翌年の1975年より、基督教児童福祉会(CCWA)国際精神里親運動部、そして現在のチャイルド・ファンド・ジャパンに受け継がれています。フィリピン、スリランカ、ネパールの子どもたちのためにスポンサー(里親)を募り、資金の提供を受け、今では、5,000名の子どもたちがこの支援により学校に通っています。目標は、子どもたちが学び、自分の夢と希望をもち、それぞれがもっている可能性を生かし成長し、それぞれの夢を実現すること。

今、支援を受けていた子どもたちが大人になって、貧しい子どもたちを支援していく。このような絆が生まれています。チャイルド・ファンド・ジャパンの創立時、また現在の組織において多くのルーテル学院の教員、卒業生等が役割を担っていることは、私たちの誇りです。諸君にも、人のために働くことができる人材に成長して頂きた。

さて、この聖句について、神学者のバークレー(バークレー著・松村あき子訳『マタイ福音書上』ヨルダン社)は、このように言います。「われわれの心は、新しい思想を受け入れるだけの弾力性がなければならない」と。「革袋」とは、自分自身そのものなのであり、問われているのは、私たち自身なのです。そのため、自らが、広さ、強さ、弾力性をもった革袋に育つことが必要です。

そのために、私は、学院だよりに書かれている5つのCを申し上げます。

4.大切な5つのC

①Compassion[共感]

人の悲しみがわかること、そして共に悲しむことです。また、他者の喜びを率直に喜ぶこと。それは大切な人間力です。

②Capacity building[能力育成]

自分の持ち味、弱さ、強みを知ること。弱さを少しずつ改善する謙虚さと、強みを活かす勇気を持って頂きたい。

③Collaboration[連帯]

様々な出会いを通して、人、文化、経験の違いを学び、排除しあうのではなく、互いに助け合い、直面する課題に取り組んでいていくように努力してほしい。

④Challenge[挑戦]

将来の目標を見出し、それに挑戦していくことは簡単なことではありません。自分にふさわしい目標を見つけ、一歩一歩、たゆまず、諦めず、目標に向かって歩んでいくしぶとさを持って頂きたい。

この4つのCを横軸にして、中心に⑤Christ[キリストの愛]という縦軸を置く。キリストは、苦しむ人間の姿に駆け寄り、寄り添い、その痛みを取り去ろうとされました。人間に対する深い愛情があったからです。そこを縦軸として頂きたい。

5.桜の木

私は、入学式の日が桜の満開の時に重なるといいと思ってきました。しかし、2日前の日曜日の早朝、用事で大学に来て桜を見上げた時から、その考えは、誤りであったと思っています。土曜日に仕事で鎌倉市に行った時、ほとんどの桜が散っていましたが、大学では残っていたのでした。待っていてくれたのです。

この礼拝堂を出て、ルーテル学院の建物の周りの桜を見て下さい。昨年の秋に、葉がすべて落ちた枝から、たくさんの若葉が出ています。花の間から、若葉が出て来ているのです。葉が茂り、厳しい夏に太陽の光を受け、養分を蓄え、さらに秋には散り、冬の寒さに耐え、春に花を咲かせる。これが桜の姿です。

また、満開の桜は一瞬ですが、今でもたくさんの桜の花が散らずに、皆さんを心から迎え、祝ってくれています。限られた時に咲き誇る、咲きそろう美しさより、一輪一輪の花にそれぞれの思いやりを感じます。

諸君には、この桜のように、新たな夢をもち、それを実現できる力を身につけて頂きたい。新しいぶどう酒を新しい革袋に入れる学びを、ルーテル学院でして頂きたい。その学びと成長の時に、私たち教職員も、一緒にいたいと思います。

皆さんのルーテル学院での学生生活が、実り豊かな時であるますように、切に祈り、皆さんへの言葉とします。

 

2012年度ルーテル学院後期卒業式

 

 

 

 

 

 

2012年度後期卒業式

テーマ「わたしは必ずあなたと共にいる」

聖書:「モーセは神に言った。<わたしは何者でしょう。どうして、ファラオのもとに行き、しかもイスラエルの人々をエジプトから導き出き出さねばならないのですか。>神は言われた。<わたしは必ずあなたと共にいるこのことこそ、わたしがあなたを使わすしるしである。あなたが民をエジプトから導き出したとき、あなたたちはこの山で神に仕える>」(出エジプト記第3章第11節・12節)

1.「燃えている柴」

芝が燃えている。消えずに、炎が燃え上がっている。その光景を目にしたら、皆さんはどうするでしょうか。

紀元前1280年頃、今から約3300年前、モーセが羊の群れを連れてホレブに来た時、目にしたのは、燃えている柴でした。ホレブとは、「荒涼とした場所、乾き切った場所」の意味であり、ほとんど雨が降らない大地であるホレブの芝が燃えていたのでした。(手島佑郎『出エジプト記—混迷を超えるプロジェクトー』ぎょうせい、p.53,54、平成4年12月)

モーセは、火を消さなければと燃えている柴に近づきます。

2.神との出会い(以降、大串肇『現代聖書注解スタデイ版 出エジプト記』2010年9月、日本キリスト教出版)

その時です。燃えている芝からモーセを呼ぶ神の声が聞こえました。そして神は、モーセに、「エジプトでとらわれている人々を連れ出しなさい」と命じられました。当時のエジプトは、ナイル川の流域に栄えたとても強い国で、イスラエルの人々を支配していました。その支配から脱することは、不可能と思われることであり、容易に引き受けることはできません。

3.モーセの4つの拒否

モーセは、その神からの命じられたことに対して、4回抵抗します。

第1の抵抗は、「私は何者でしょうか、どうして私はこのことをしなければならないのでしょうか」という抵抗です。そのようなとてつもないことを成し遂げられるほど、偉大でも、価値ある人間でもないということを、モーセは自覚していました。

第2の抵抗は、「どうやって神が私を遣わしたと伝え、神のことを人々に伝えたらよいでしょうか」と言う抵抗です。人々は、簡単には信じてはくれません。困惑させるだけだはないかとモーセは恐れました。

第3の抵抗は、「人々が<主がお前などに現れるはずがない>と言って信用せず、私の言うことを聞かない」ならばどうずれば良いのかという拒否です。

そして、さらに、「私は口が重く、舌の重い者です」「どうぞわたしの代わりに誰かほかの人をお遣わせ下さい」とまで言いました。これが第4の抵抗です。

ここまでして、命じられた使命に対して、抵抗するモーセ。神はその抵抗に対して、一つひとつお応えになられました。第1の、「私は何者か、どうして私はこのことをしなければならないのでしょうか」とい抵抗に対する神の答えが、「私は、必ずあなたと共にいる」という答えです。

4.「私は、必ずあなたと共にいる」

私は、大串先生の『出エジプト記』の注解書を読みながら、モーセの生きていく姿に共感を覚えるのです。モーセの一人の人間としての生きる姿、迷う姿を学びます。神の問いかけを何度も抵抗し、そして最後に「共にいる」存在をひたすら信じ、そして歩んでいく一人の人間の姿に感銘を覚えるのです。

5.私の青春時代

私の青春時代も、葛藤の時代でした。「幸せを数えたら片手にさえ余る 不幸せ数えたら両手でもたりない」「幸せを話したら5分でたりる 不幸せ話したら一晩でも足りない」(ばんばひろふみ)私は、良くこの歌を口ずさんだものです。確かに、当時の高校や大学は学園紛争のただ中にあり、混乱していました。何人もが傷つき、そして去って行きました。その時に口にした歌の一つがこの歌でした。

しかし、本当にそうだったのでしょうか。今は、ふりかえって、困難に直面した時に、「共にいる」人がいたし、そして神がおられたと気がつきました。困難だから、大切な存在が見えることを、その時は気付かなかったのです。

6.「私は、必ずあなたと共にいる」という働き

「私は、必ずあなたと共にいる」というメッセージを届け続ける働きを紹介します。

私は、昨年、藤藪庸一牧師にお会いしました。来週、訪問する白浜レスキューネットワークのリーダーです。「自殺しようと苦しむ方々を何とかして助け、人生に希望を失っている方々に、もう一度人生をやり直そうと思ってもらえるように関わっていきたいと願って」、NPO法人白浜レスキューネットワークが立ち上げられました。

 和歌山県南部西海岸にある白浜三段壁(さんだんべき)は、断崖絶壁の名勝ですが、自殺者があとを絶ちません。保護した件数は、年間30件を超えるそうです。相談電話は、三段壁以外からもあり、1260件を超えるそうです。また、保護した方々が自立するには、自己破産や就職活動などとともに、もっとも大切な、心身の回復が不可欠です。これらの問題を解決していくために畑を作り共同生活をしていると、藤藪牧師は言われていました。

 藤藪牧師は、著書(藤藪庸一『<自殺志願者>でも立ち直れる』講談社)でこう書かれています。「私が何よりもうれしいのは、<略>共同生活を経て、自立していくことです。<略><教会に遊びにおいで><いつでも連絡をちょうだい>自立していく際には、また会えることを祈って送り出します。<略>私との関係を続けて連絡をくれ、そしてなんといってもその人が自立して生き生きと頑張っていることがわかると、私は励まされます。」

今、必要なことは、「共にいる」存在があることを、希望を失いかけている方々に届けることではないでしょうか。「共にいる」働きが、明日の社会を切り開いていくと、私は確信しています。

7.希望を繋ぐ人生のリレー

NHKの『八重の桜』を見たことがあるでしょうか。番組の導入部分の最後に燃える柴ではなく、緑のきれいな柴の上に桜の花のような桜色の傘をさす子どもが映ります。

『八重の桜』の制作担当者にお聞きしました。緑の芝の上で傘を差しているのは、福島県内の小学生高学年の男女370人。幕末の会津の人々が大きな挫折を体験し、その哀しみを克服し再生していく。若者たちに降りかからんとする困難から、若者たちを守り抜いていこうとした主人公八重の思いを、桜色の傘のシーンで表現しようとしたそうです。

そして、370名の子どもたちは、一人ひとり、10年後の自分自身に宛ててスケッチブックに書いた短い手紙を持っています。私は、この希望を一緒に大切にしたいと思っています。

8.「わたしは必ずあなたと共にいる」という希望をもって

卒業生一人ひとりに申し上げる。一人ひとりのスケッチブックに「わたしは必ずあなたと共にいる」という神の言葉を書き、卒業していって下さい。

今、明日を描くことはなかなか難しい。手探りです。だから、精一杯、今を生きる。困難で辛い時にあって、もっとも輝き、そして励ましになることは、「共にいる」という存在です。苦しい時だからこそ、楽しいと思っていた時に気がつかなかった「共にいる」存在を確認できる。一人で生きていると思ったら、一人ではなかったことに、気付くことができるのです。

卒業する一人ひとりの日々の生活を通して、働きを通して、困難に直面し、心を閉ざしている人のその心に、希望を届けて下さい。

卒業、おめでとう。これからもよろしく。