大学関連

2023年度卒業式

 2024年3月7日(木曜日)午後2時より、2023年度卒業式が行われました。(https://www.dropbox.com/scl/fi/kpts7s630v3ewezvh69k8/P1180787.JPG?rlkey=33p5emhshqf5q50uorwevemac&dl=0)

 コロナの影響で、卒業生、保護者、教職員が集合して卒業式を行うは、4年ぶりのことです。そのことは、本年に卒業する学生が、たくさんの友人と出会い、社会での生活を経験する人生の貴重な学生時代を、コロナの影響で制限されたことを意味しています。

 ふりかえって、今回卒業した学生は、多くが2020年4月に入学した学生であり、大学は感染予防のために学生の学びを制限せざるをえませんでした。また授業ですが、全国の大学と同じく、本学も全面的に遠隔授業を実施していました。私事になりますが、それまでは、遠隔授業のやり方をまったく知らなかった私は、ZOOMのやり方から基本から学ばなければなりませんでした。2020年4月より学長は石居基夫先生になりましたが、私のような新たな授業のやり方を経験したことがなく、何もわからない教員に対するケアを行うと共に、学生への対応、遠隔授業の環境整備等を行う新執行部の苦労は並大抵ではなかったことを知っています。

 特に、学生自身も、今までは当たり前にできていた学生同士の日常的会話がなく、教員による個別アドバイスを日常的に受けられず、画面に映る講義を自宅で受けていた状況に、ストレスをもったことは容易に想像ができます。また本学の特徴ですが、登校日に教員の研究室のドアをノックし、授業のテーマだけでなく、自分の様々な悩みを教職員に相談し、再出発する機会も、当初は少なくならざるえない状況にあり、当時の新入生は、学びのモティベーションを維持することが大変であったと思います。また、学園祭、スポーツ大会等、集合して行われる催しも制限せざるを得ず、今までの卒業生が経験し、卒業後の強い絆となっていた学生同士、学生と教職員の身近な交流も影響を受けました。

しかし、卒業式の中で、そして式後の学生同士、教職員と交わす笑顔、記念写真の撮影等の姿を見て、彼らの卒業を心より祝福したいと思いました。ルーテル学院大学・大学院で学んだことを心と学びの蓄えとし、これからも自分なりの歩みを始めて頂きたいと切に願いました。

 最後に私がルーテル学院大学、大学院、神学校を巣立っていく皆さんに願っていることを書きます。

①専門職である前に一人の人間であってほしい、当事者の方々の可能性が見えてきます。専門職として、自分勝手に作る利用者像に来談者を当てはめないように。

②皆祝福されて命が与えられました。この事実に疑問を挟む余地はありません。当事者の方々が生きていく歩みを大切に支援して頂きたいと思います。

③自分の原点となることにたえず立ち戻る心のゆとりをもつようにして下さい。簡単に解決できることは多くありません。くれぐれも自分だけで抱え込まないように。孤立を防ごうとする人が孤立してはダメです。同僚、仲間、地域の関係者と協働した取り組みを目指して下さい。

④お金を失うと生活の危機、名誉を失うと心の危機、希望を失うと存在の危機と言われます。人と関わる専門職にお願いしたいことは、困難に直面する方々に希望を届けていただきたい。解決が困難な場合には、それに取り組もうとする当事者の方と共に歩んで頂きたい。問題の解決ができないと戸惑う専門職もおられます。しかし、私は、こう言います。「その方と繋がり、相談する関係ができていること自体、援助の効果だと思います」

⑤利用者を理解するエビデンスを把握してして下さい。レントゲンには心は映りません。その人を一面的にではなく、関わっている方々の情報を得て、その方の全人的理解を目指して下さい。

⑥優れた専門職は、自分の限界をよく知っている人です。繰り返しになりますが、ふりかえる心の余裕を失わないように。また支援に関わる方々と協働する方法を模索して下さい。

⑦今日は、スタートラインです。今日を,学びの、出会いのスタートにして頂きたい。

 皆様、私たちのルーテル学院大学、大学院、神学校の卒業生をどうぞよろしくお願い致します。

                         2024年4月9日

                         市川一宏

急逝された卒業生を思う

2月4日、特別養護老人ホームの施設長で、私たちの大切な卒業生が、帰宅途中、大動脈瘤乖離ために急逝されました。その日の夜、知らせを聞いた私は、思わず言葉を失いました。あまりにも辛い知らせでした。

今は、夫であり、父親であり、息子である大切な方を天国に送られたご遺族の悲しさを思い、ご遺族に癒しのみ手が差し伸べられますことを切に祈っています。

今まで本当にありがとうございました。私はこれからも、ずっと、あなたのことを忘れません。

                                2024年2月5日 市川一宏

千葉ベタニヤホーム創立90周年記念会

2024年1月8日(成人の日)、午後より、オークラ千葉ホテルで、『社会福祉法人千葉ベタニヤホーム創設90周年記念会』が行われた。光栄にも、私が記念講演を担当させて頂き、「母子家庭・子育て家庭とともに歩んで90年〜千葉ベタニヤホームの過去・現在をふりかえり、共に未来を描く〜」というテーマで話をさせて頂いた。

千葉ベタニヤホームは、母子生活支援施設(旭ヶ丘母子ホーム 施設長:花島治彦 職員:15名 非常勤職員:1名 定員:40世帯、国府台母子ホーム 施設長:川口学 職員:13名 非常勤職員:10名 定員:30世帯)、青い鳥ホーム 施設長:山本裕子 職員:12名 非常勤職員:4名 定員:20世帯)、保育園(旭ヶ丘保育園 施設長:友田優子 職員:27名 非常勤職員:4名 定員:120名、国府台保育園 施設長:中村淳平 職員:18名 非常勤職員:27名 定員:120名【こあらっこ・こどもセンター】)、児童家庭支援センター(児童家庭支援センター・旭ヶ丘 センター長:花島治彦  職員3名、児童家庭支援センター・こうのだい センター長:川口学 職員3名)で構成される歴史のある法人である。

法人の源流は、エーネ・パウラス宣教師の祈りと実践にある。エーネ・パウラス師が来日した1919(大正8)年に開催された宣教師会年会は、当時の貧しい日本において身寄りのない老人が物乞いをしたり、少女たちが売春婦として売られたりする状況に対し『孤児、賤業婦の救済と幼老事業を開始するの件』を決議している。そして、「斯くのごとく信仰もし行為なくば、死にたる者なり」(新約聖書ヤコブ第2章第17節)という聖句を掲げる。そのような熱い思いをもつ宣教師であるエーネ・パウラス師は、佐賀幼稚園、熊本の慈愛園での働きを経て、日本福音ルーテル教会の要望を受け、東京、千葉での活動に入る。当時は、関東大震災、昭和恐慌によって、多くの国民が困窮し、特に、母子家庭がさらなる困窮に追い込まれ、困窮を主な理由とする母子心中の件数は年々増加し、新聞紙上にも大きく報道されていた。

千葉ベタニヤホームの歩みは、当日のレジメを参照されたい。

https://www.dropbox.com/scl/fi/2j3cfkmxclm3h0olw9reh/.pptx?rlkey=ugq28eusa0tnqsre8erc3vo8t&dl=0

今回の学びでも、私は、法人のミッション、実践の意味等、たくさんのことを学んだ。1月4日に記念講演の内容を固めるために、国府台保育園を訪れ、責任者の方々のお考えをお聞きした。

その後、青い鳥ホームを訪問した。施設を案内して頂いたが、相談室には、ルーテル学院大学の卒業生がいた。うれしい再会である。帰り際、予定されているマラソン大会の練習のために出かけていた子どもたちが帰ってきて、ホームは一気に賑やかになった。そして、案内をして下さった山本施設長が、別れ際に、青い鳥ホームが子どもたちや親たちの「ふるさと」でありたいと言われた。その言葉が、私の心をずっと離れなかった。そのことが、講演の最後に、東日本大震災で大きな被害にあった石巻の写真と有名な「ふるさと」という歌を示した理由である。

2020年3月まで、私は石巻市を定期的に訪問し、最後の数年は、石巻市社協と石巻市の地域福祉アドバイザーをさせて頂いた。2011年3月の発災時より何回、「ふるさと」の歌を歌っただろうか。そして何故、私たちは、ふるさとに気持を寄せるのであろうか。

作詞を手がけた小山薫堂氏は、「ふるさととは場所だけではなく、いつでも自分の心の中にあって、生きて行く上で芯になる、冒険でたとえるならば方位磁石のようなものである」と語っておられる。

確かに、子どもや親を取り巻く環境は厳しさを増している。だからこそ、母子ホームで生活する子どもたち、保育園に通う子どもたちにの「ふるさと」になることを目指し続ける千葉ベタニアホームの挑戦に敬意を表したい。そして、私の記念講演が契機となって、千葉ベタニヤホームの職員、役員の方々が、共に心と力を合わせて、子どもと子育てをする親を支え、共に歩む決意して頂けるなら、本当にうれしいし、その手応えを感じて、帰途についた。

なお、2023年9月16日には社会福祉法人ベタニヤホーム創立100周年記念会が、12月13日には社会福祉法人東京老人ホーム創立100周年記念会が、それぞれの形で開催された。いずれも、私が記念講演を担当させて頂いた。長いこと、ルーテル学院大学社会福祉学科の教員として、関わらせて頂いたからである。

その連携を確認した宣言がある。2002年5月15日に、宗教法人である教会と学校法人である大学、高校、中学、小学校、幼稚園、そして社会福祉法人である全国に展開する施設、保育園、またNPO等が協働を誓った『るうてる法人会連合設立宣言』が、るうてるの強みである。もちろん、ルーテル学院大学もその一員である。

日本福音ルーテル教会は、アメリカ南部一致ルーテル教会が、「御国の到来を早める」ために、人は神の恵みによって救われ、隣人に遣わされる、というルーテル教会の基本に立って、1893 年日本宣教を開始したことに由来する。

その宣教とは、聖書の教えるとおりキリストの愛を実践する働きとして、福音を宣べ伝え(伝道)、教え(教育)、いやす(奉仕)わざであった(マタイ9:35)。

 当初、このわざは日本の法制度に従って公益社団法人として行なわれた。

戦後、日本の法制度の改革並びに教会自立路線の選択などの歴史的社会的変化に伴い、キリストの愛を実践する働きとして一つであるはずのものが、伝道活動は宗教法人に、教育活動は学校法人に、奉仕活動は社会福祉法人にと、分割されるに至った。

今このような歴史をかえりみて、ここに、われわれは、聖書の示すところにたちかえり、主が私達を通してなされる宣教のわざを、この世全体に向けられたものとして綜合的に捉え直し、福音的信仰に立ち、伝道(宗教法人)、教育(学校法人)、奉仕(社会福祉法人)のわざに招かれた「宣教共同体」として総力を結集して新たなる宣教の展開へと向かうことを決意する。

 神が、われわれのこの決意を祝福し、この連合に連なる者を御旨の成就のために用いられんことを。

ここに、ルーテルの強み、アイデンティティがある。

https://www.dropbox.com/scl/fi/d4zr6nm4ksje7hpls0s7v/.pdf?rlkey=4ewwrpx1k9o710ym8kxd464h1&dl=0

東京老人ホーム創立100周年記念講演

東京老人ホーム100周年記念事業は、12月13日水曜日の午後、東京老人ホームを会場にして、利用者の方々、職員、関係者の方々と共に行われました。私は、「わたしたちの未来~希望へのスタート~」というテーマを与えられました。

私がはじめて東京老人ホームと関わらせて頂いたのは,1980年代の後半だと思います。私は、1983年に当時のルーテル神学大学で社会福祉を教えることになり、その数年後、当時の清重尚弘学長より紹介を受け、東京老人ホームの施設長であられた日高登先生にお会いしました。当時は、特別養護老人ホームの個室化をめぐる取り組みが始まった時であり、東京老人ホームは推進する方々を先導する役割を担っていました。私は、推進するための根拠を調査したり、また現在のホームでのケアを始めるにあたって、ルーテル学院大学で2ヶ月にわたる研修も行いました。またその後理事として、2000年代の前半まで関わらせて頂きました。今日は、100周年記念講演のご依頼を受けまして、光栄に思い、感謝をもって今までをふりかえりました。内容は、以下をご参照下さい。

https://www.dropbox.com/scl/fi/7f8kq3vg89i7c4h5e9zex/100.pptx?rlkey=7pt1s75ie8v118763q2y09czw&dl=0

https://www.dropbox.com/scl/fi/ws47fguikytz0lo98cpif/100.pdf?rlkey=de614wlqxro8bis43updb6p46&dl=0

ベタニアホーム創設100周年記念講演

2023年9月16日、ベタニアホーム100周年記念事業が行われました。私は、記念講演のご依頼を受け、話させて頂きました。

ベタニヤホームの働きは、1923年(大正12年)9月、関東大震災による罹災母子の緊急保護、救援活動を日本福音ルーテル東京教会会員及び海外のキリスト教会がおこなったことによって始められた。この救援活動がベタニヤホーム創立の基礎となり、現在地において事業を開始して以来、今日に至るまで、乳幼児保育、ひとり親家庭の自立支援、子育て支援へと事業を展開してきた。

 創立以来一貫し維持されてきた事業の基本理念は、キリストが示された隣人愛の精神に基づく信仰的実践である。詳細は、パワーポイントをご覧頂きたい。

https://www.dropbox.com/scl/fi/335fxgcrqc09toc3arxtb/100-9.14.pptx?rlkey=1ixr1aswfxafc8p4pdxi8l2l4&dl=0

ルーテル学院大学の紅葉

大学の紅葉の写真です。礼拝堂の横にあります。

授業をしていると、時々、太陽の光が草木にあたり、感動を呼び起こします。大学の学ぶ環境は、様々な感動を提供してくれています。

自己紹介

市川一宏(いちかわかずひろ)                2023年10月現在

                                                            市川一宏

1. 現在 ルーテル学院大学名誉教授

2.学歴 

 早稲田大学法学部、日本社会事業学校研究科、東洋大学大学院社会学研究科社会福祉専攻博士前期課程・後期課程、ロンドン大学ロンドン・スクール オブ エコノミックス(LSE)特別研究員2002~2004年

3.専門分野:社会福祉政策・地域福祉・高齢者福祉

4.研究テーマ:全国・都道府県・市区町村の行政、社協、民間団体における計画の策定、実施、評価および調査研究、人材養成・研修等に多数関わる。

全国各地の実践から、様々な「地域の福祉力」を学び、各地域に合った地域福祉実践を研究テーマとしてきた。特に近年、地域の福祉力を高め、孤立を防ぎ、「おめでとう」で始まり、「ありがとう」で終わる一人ひとりの人生が守られる、希望あるまちづくり、共生型社会づくりに挑戦している。

5.学会の活動

日本地域福祉学会監事・元理事、日本社会福祉学会前監事・元理事、キリスト教社会福祉学会前会長

6.最近の主な学外活動 

・三鷹市社会福祉協議会地域福祉活動計画策定委員会委員長・作業委員会委員長・副会長(現在に至る)

・三鷹市介護保険事業計画検討委員会市民会議会長(現在に至る)

・小金井市介護保険運営協議会会長(現在に至る)

・武蔵野市健康福祉総合計画推進会議会長・地域福祉計画策定委員会委員長(2023年3月まで)

・調布市高齢者福祉推進協議会顧問(現在に至る)

・世田谷区共同募金配分委員会委員長、評議員専任・解任委員会委員長(現在に至る)

・練馬区介護保険運営協議会会長(現在に至る)

・東京都社会福祉協議会総合企画委員会委員長、法人評議員(現在に至る)

・東京都つながり創生財団評議員(現在に至る)

・全国社会福祉協議会

全国ボランティア市民活動振興センター運営委員長(現在に至る)

「これからの民生委員・児童委員制度や活動のあり方に関する検討委員会」委員(2018年4月まで)

評議員専任・解任委員会委員長(現在に至る)

民生委員・児童委員研修体系検討委員長(2014年3月まで)

「単位民児協運営ハンドブック(令和4年3月版)」編集委員会委員長

・ニッセイ財団高齢社会助成審査委員(現在に至る)

・厚生労働省寄り添い型相談支援事業等選定・評価委員会委員(現在に至る)

・『日本の都市総合力評価(JPCI)有識者委員会(Expert Committee)』 委員<社会福祉担当>(森記念財団)(現在に至る)

・東京神学大学監事(現在に至る)

・医療法人財団慈生会野村病院監事(現在に至る)

7.近年の主たる編著書・論文・執筆等

・2014年6月『「おめでとう」で始まり 「ありがとう」で終わる人生 福祉とキリスト教』教文館

・2009年5月『知の福祉力』人間と歴史社 等

・2019 年1 月この人に聞く「ソーシャルワーカーは、専門職である前に一人の人間であれ」聞き手松本すみ子先生、『ふくしと教育』(日本福祉教育・ボランティア学学会機関誌)2019 通巻26 号、p.38〜p.41

・2019 年5 月「はじめに」「第1 章 三鷹市における地域包括ケアシステム構築の現状と課題」「清成忠男先生インタビュー:地域ケアの過去、現在、将来」編集代表・共著『人生100 年時代の地域ケアシステム―三鷹市の地域ケア実践の検証をとおして―』

・2020年3月「解説 民児協運営のポイントと会長としての心構え」p.6・7『VIEW No.214』全国社会福祉協議会民生部 

・2020年4月「ボランティアコーディネーターの皆さんへ〜皆さんへのエールと今の私たちにできること」『ボランティア情報』全国社会福祉協議会全国ボランティア・市民活動センター

・2021年4月「コロナ禍における地域ケアを考える」p.4『SAI-4月号』埼玉県社会福祉協議会

・2021年10月「リーダーに求められる役割」p.10〜13、『View221』全国民生委員児童委員連合会

・2021年12月「リーダーに求められる役割(第2回)対談:吉川郁夫氏(大阪市民児協会長)」p.10〜13、『View222』 

・2022年2月「全国民生委員大会シンポジウム:地域共生社会の実現と民生委員・児童委員活動〜新型コロナウイルス禍を踏まえて考える〜シンポジウムコーディネーター」p.12〜p.17、『ひろば』全国民生委員児童委員連合会、DVD配布

・2022年3月「はじめに」ⅲ〜ⅷ『単位民児協運営の手引き[令和4年3月版』全国民生委員児童委員連合会

・2023年3月「新体制を迎えた単位民児協の運営について」『View227』全国社会福祉協議会民生部 

・2023年2月「市川一宏の足跡~ 50 年の歩みをふりかえって~ 退職記念随筆」ルーテル学院研究紀要『テオロギア・ディアコニア』 ルーテル学院大学・日本ルーテル神学校紀要

・2023年3月「新体制を迎えた単位民児協の運営について」『View227』p.2〜7,全国社会福祉協議会民生部 

・2023年3月「はじめに」三鷹市地域福祉活動計画Ⅶ(2023〜2026年)

・2023年5月「福祉職が語る:ソーシャルワーカーは、新たな絆をつくり、未来の社会を切り開く」東京都社会福祉協議会『福祉情報』

・2023年6月「巻頭言 信州の実践者・開拓者の思いを紡ぐ」『実践者・開拓者であれ!信州の地域福祉の歩み』長野県社会福祉協議会・信州の地域福祉研究会

・2023年6月NHK ハートネットTV「フクチッチ」「社会福祉協議会」(HPで記事になりました。

https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/849/ <https://www.nhk.or.jp/heart-net/article/849/>

天畠大介さんが、社会福祉学会奨励賞(単著部門)を受賞!

ルーテル学院大学の卒業生の天畠さんは、『しゃべれない生き方とは何か』(生活書院)を執筆し、2023年の学会賞を受賞した。講評に関しては、学会のホームページをご覧頂きたい。

1981年に広島に生まれ、15歳の時、医療過誤により、四肢麻痺、発話障がい、嚥下障がい等、多くの障がいを抱え、2000年に千葉市袖ケ浦養護学校高等部を卒業後、様々な困難に直面しつつ、大学で学ぶ希望を捨てず、ルーテル学院大学総合人間学部に入学し、2008年、大学を卒業した。その後、立命館大学大学院先端総合学術研究科に進み、一貫性博士課程を修了した。現在、参議院議員。

私は、彼が本大学の学生であった時、多くの学生が学内で彼の支援を行い、一緒に育っていったことを覚えている。私にとっても、本当に身近な学生で、彼の前では自分も素直になって、接することができた。魅力的な人柄である。

また、天畠さんの受賞者として挨拶が代読されたが、その挨拶を聞いて、私は、彼の成長を誇りに思うとともに、育てて下さった立岩先生に心より感謝した。以下、代読された文章と彼が補足した言葉をご紹介する。

「あかさたな:立岩先生に感謝しています。(代読)代読します。この論文の執筆にあたって、お礼をお伝えしたい方は数え切れないほどいますが、今日この場を借りて恩師立岩真也先生に改めて感謝を伝えたいです。手も足も口も、自由に動かすことの出来ない私が、「ライフワークとしてできるのは研究しかない!」と思い立ったとき、大学院の門戸を開いてくれたのは立命館大学の立岩先生でした。前例がないほどの重度障がいの私に「ついに来たか」と声を掛けてくれました。研究に挑戦するチャンスを与えてくれた先生がいなければ今日、私はここにいません。信じられないことに、立岩先生は今年7月に急逝されました。奨励賞受賞の知らせを受けたのはその翌日のことでした。棺の中の先生に報告できたことは、深い悲しみの中で少し心の救いとなりました。

さて、この「しゃべれない生き方とは何か」は私の博士論文をもとに執筆しております。この論文執筆は私にとって「当事者性」を獲得していく過程そのものでした。私はそれまで、14歳で中途障がいになってから、自分の障がいを心から受け入れられたことはありませんでした。自分ではできないから人に助けてもらわないと生きていない、弱い存在。それが重度身体障がい者である自分だと捉えていました。

研究を続けていく中で、その考えが徐々に変わっていきました。

私は発話困難な重度身体障がいを持つ当事者の一人であり、この社会を生きていく上で生じる困難を、私が言語化して社会に発信していくんだ。

自分が先行研究から様々な気づきを得たように、私の研究が他の誰かの生きやすさのヒントになっていくかもしれない。

自分は自分の困難、障がいについて社会に声を届けることが出来る存在なんだ。

発信をすることで、たとえどんなに小さくても社会に影響を与えることができるんだ。

そう感じるようになったとき、無力な存在だと思っていた重度障がい者の自分の捉え方が変わっていきました。

あかさたな:当事者研究は自分に貼られたラベルを貼りなおすものです。<本人の言葉>

今も声をあげることができない、社会で生きづらさを抱える人はたくさんいます。その方たちに少しでも影響を与えられるような研究、活動を今後も続けていきたいと思っています。

本日はどうもありがとうございました。


 言いかえると、論文執筆の過程は自分に誇りを取り戻す作業であったとも言えます。<本人の言葉>

授賞式の後、私は控え室に彼を訪ねた。懐かしい彼に会って、共に笑い合い、私は約20年前の日々に一気に戻った。そして、彼が結婚し、自立したことを知った。(伴侶の方は、彼の右におられます。おめでとうございます。)また、今も天畠さんの通訳を続けている卒業生(左)の元気な姿に出会うことができた。私にとって、本当に幸せな時であった。

地域福祉を推進するルーテル学院大学卒業生の集い報告・希望の会」主催研修会報告

地域福祉を推進するルーテル学院大学卒業生の集い・希望の会」主催研修会

「被災地の復興とソーシャルワーク ー地域づくりの視点からー」報告

8月26日(土曜日)に、大学とzoomのハイブリッドで、研修会が開催されました。この何年か、社会福祉協議会で働く卒業生を軸に、学ぶ会を開催してきましたが、昨年より地域福祉に関心ある方々に対象を広げ。今回で2回目になります。

今回も多くの卒業生が参加して下さいました。また仕事等の理由で今回は参加できなかったたくさんの卒業生も、伝統のルーテルネットに対して、熱い思いを寄せてきて下さいました。

幹事である飯島ともえ(相模原市社協)、池永雄一郎(羽村市社協)、河島京美(元練馬区社協)、桑原信人(全社協)、関根裕恵(西東京市社協)、山本繁樹(立川市社協)、原島博・市川一宏(ルーテル学院大学)が、研修会報告の内容を要約し、思いをまとめ、最後に卒業生の皆さんへの連帯のエールを送ります。

1.基調講演:「宮城県における被災地支援の経過と今日における取組み -東日本大震災石巻市等の実践を検証して-」

講師 北川 進氏、元宮城県社会福祉協議会震災復興支援局、現社会事業大学専門職大学院講師 

2023年度の「地域福祉を推進するルーテル学院大学卒業生の集い・希望の会」主催研修会の基調講演は、元宮城県社会福祉協議会震災復興支援局、現社会事業大学専門職大学院講師の北川 進氏により、「宮城県における被災地支援の経過と今日における取り組み -東日本大震災石巻市等の実践を検証して-」というテーマで行われた。

 北川氏は県社協職員として、2011年の東日本大震災において被害が甚大であった石巻市をはじめとした宮城県沿岸部の社会福祉協議会災害ボランティアセンターの応援に入った際の多様な経験を基に、支援の経過と取り組みを検証し直しながら報告してくれた。 

講演のはじめに、「すべては、今後の災害に向けて」の備えのための振り返りと検証であることが強調され、「東日本大震災における急性期の状況」、「ボランタリー支援の成果と課題」、「被災地における地域福祉の取り組み」、「発災から復興の取り組みの時系列的展開の理解」などについて、沿岸部の被災地支援の継続的な取り組みの実体験を踏まえて検証しつつ、系統立てて話された。

「私たちの準備に不足していたことは何か」、「ボランタリーな支援の成果」、「ボランタリーな支援の成果の裏にある課題」、「災害対応を「緊急期・復旧期」しか見通せていなかった」、「「たくさんの方から聴いた「仮設の頃は良かった…」の声」、「「地域のために何か役に立ちたい」思いを持つ地元の方々」、・・・といった報告スライドのタイトルが示す通り、平時からの備えの段階での課題、災害ボランティアセンターの成果と今後の取り組みに向けた課題、生活再建・生活支援・復興期までを見通した段階ごとの具体的な取り組みの成果と課題など、北川氏のソーシャルワーカーとしての視点からの検証を踏まえた講演内容は、「長期的な視点を有しようとすれば、災害時特有の状況や課題だけでなく、通常のソーシャルワークの視点と相通ずるものが多々見えてくる。災害を特別視しない通常のソーシャルワークと重ね合わせる意識が大切ではないだろうか。」というまとめの言葉とともに、研修参加者各自の取り組みを省察さてくれる講演となった。   

文責:山本繁樹(立川市社協、2003年度大学院卒業)

2.実践報告「今、取り組んでいる被災地支援」

講師 吉村 誠司 氏 (通称 助さん)、NGOヒューマンシールド神戸代表 ・ 一般社団法人OPEN  JAPAN 理事

ルーテル学院大学の卒業生(1991年3月卒)であり、著名な防災士でもある吉村氏(通称 助さん)の実践報告は、国分寺市議会議員時代に経験した1995年の阪神淡路大震災における神戸市長田区への支援活動を契機として、被災者支援を自身の使命として二期目の市議会議員選挙に立候補せず、長期間の支援活動に入って以降の自身の全国各地、世界各地での被災者支援の様子を、多様な実践現場の写真とともに報告してくれた。

吉村氏は車両系建設機械・大型特殊免許などを所持しており、重機を駆使して、まずは災害ボランティアが活動できる環境の整備を行う最も初期段階の支援活動や、一般のボランティアでは対応できない倒壊した建物や自動車などの除去作業も全国の仲間や多様なボランティアによるチームを編成して担っている。その中でも被災地域が先祖代々、大切にしてきた文化財の保護の視点など、多様な視点から被災地支援の現場を紹介された。その豊富な実践内容は、20分の報告時間ではとても語りきれない幅広く奥深いものでありながらも、現在も全国各地の被災地の支援の先頭に立って活動している吉村氏の使命感、バイタリティの強さを十分に感じさせる内容であった。

吉村氏は、神戸元気村副代表の活動経験をはじめ、カンボジア対人地雷撤去支援活動、イラクでの反戦活動・医療支援、NGOヒューマンシールド神戸で中越、中越沖地震、パキスタン、中国雲南や四川省、インドネシア地震、アフガニスタン選挙NGO監視団など世界各地で支援活動を展開されており、また、全国各地や学校で講演会や防災の講師を務めている。東日本大震災では、発生直後から初期救援活動に従事し、石巻災害ボランティアセンターと連携するNPO連絡協議会の立ち上げ協力、旧石巻ボランティア支援ベース”絆”代表を経験されている。それらのミクロのみではない、メゾ・マクロシステムに働きかける吉村氏の被災者支援の多様な活動は、ジェネラリストソーシャルワークの視点からも、とても学びの多い内容であった。

※吉村誠司さんの活動の詳細を知りたい方は、吉村さんのフェイスブックをご覧ください。また、吉村さんの国内外の災害支援活動を応援したいという方は、下記の活動カンパ先を活用ください。

吉村さんの国内外災害支援活動カンパ先

 郵便振替口座00980 – 7 – 264796

文責:山本繁樹(立川市社協、2003年度大学院卒業)

3.グループワーク

 講演、実践報告を受けて、参加者は小グループに分かれ「防災への取り組みを通した地域づくり」をテーマに討議を行った。30分という限られた時間ではあったが、参加者それぞれの立場や経験から、自然災害に伴い発生する生活課題、地域課題を共有するとともに、現在、地域や各組織行われている実践や、これからソーシャルワーク求められる取り組みについて情報交換を進めた。

 その後再開した全体会で、各グループからの討議結果が報告され、自身の災害支援活動から、要支援者の把握や個別支援計画の策定、災害情報の伝達等で課題がみられること、社会課題の解決に向けてミクロとマクロの両方の視点からソーシャルワークが必要であること、などの意見が出された。また、複数のグループから、北川氏の講演、吉村氏の実践報告に共感する意見が出され、行政や多様な専門職・機関との関係づくりなど平時から災害に備えた取り組みが重要であることを再認識するとともに、復興住宅入居後の生活支援を見据えて災害時の福祉支援活動を展開すること、地域で活動の核となる人を探し継続的な活動となるように支援していくこと、などを参加者で共有した。

文責:桑原信人(全国社会福祉協議会、2020年度大学院卒業)

4.全社協 防災資料の説明  桑原 信人氏

参考情報として配布した、①全国社会福祉協議会の報告書(提言)「災害時福祉支援活動の強化のために -被災者の命と健康、生活再建を支える基盤整備を-」(令和元年9月)、②「災害から地域の人びとを守るために~災害福祉支援活動の強化に向けた検討会報告書~」(令和4年3月)、③内閣府が公開している地域の防災に携わる方のホームページの情報(「公民館における災害対策ハンドブック」「減災のてびき」等)について幹事から説明し、参加者で共有した。

このうち、②について、自然災害が頻発・大規模化し、災害時の福祉支援活動の重要性が高まるなかで、その強化を図るために、災害救助法等を改正し「福祉」の位置づけの明確化を図ること、また、平時から社会的脆弱性を抱えた人びとに寄り添い、支援を行うことができるよう、各地の実情にあわせて「災害福祉支援センター」の整備を図っていくことを提言していることを説明し、福祉関係者による取り組みへの理解を求めた。

①報告書(提言)「災害時福祉支援活動の強化のために −被災者の命と健康、生活再建を支える基盤整備を−」

https://www.shakyo.or.jp/bunya/saigai/fukushishiennkatudou.html

②「災害から地域の人びとを守るために~災害福祉支援活動の強化に向けた検討会報告書」

https://www.shakyo.or.jp/bunya/saigai/teigen/20220331/index.html

③内閣府 地域の防災に携わる方のページ

https://www.bousai.go.jp/kyoiku/keigen/chiiki/index.html

文責:桑原信人(全国社会福祉協議会、2020年度大学院卒業)

5.全体のまとめ 和田敏明氏

卒業生たちの素晴らしい働きに敬意を表したい。

北川さんの話を聞いて、日本中を巻き込んだ大きな災害である1995年阪神淡路大震災とともに、2011年の東日本大震災においても、長期にわたる生活再建が主要なテーマになっていることがわかる。そして、生活の再建を考えると、普段から社会的な課題を持っている方々に問題が集中している事、ボランティアのよる支援のあり方が、本当に被災した方々に良かったか、本人の自立に役立ったのかというソーシャルワーカーの視点を北川さんの報告から学ぶことができた。

ちなみに、ボランティアコーディネーターにソーシャルワーカーの視点からの支援を期待するのは難しく、本人の自立を目指し、寄り添いながら、当事者の視点に立って代弁したり、生活の再建を図る人材が必要ではないかと考えている。

 また、発災時の緊急支援から復旧、復興の時期を経て、生活課題は明らかに変化し、対応も異なることを北川さんの報告から再確認できた。そして、災害によって生じた問題は、今日の1人ぐらしの孤立の問題や高齢者の生活課題と共通し、普段の繋がりが大切であることが分かった。それは、日々の地域づくりの必要性を確認できた。吉村さんの報告から、緊急時対応において、重機を使って支援すること、また企業や様々な業種と連携して、緊急時に対応することの必要性を理解できた。そして被災地支援を専門的に行う人材の社会的役割を確認できた。また、阪神淡路大震災、新潟県中越沖地震、東日本大震災等の地震が続き、どこにいても安心であるということはできない。ならば、被災支援の専門的人材の役割を理解するとともに、被災地という現場に行くこと、そこで様々な経験することが、災害にあった時の対応や支援を組織しコーディネートする力を強めることに繋がると思う。

このような有意義な会を準備して下さった方々に心よりお礼を申し上げたい。そして参加者一人ひとりの働きに感謝したい。

文責:市川一宏(ルーテル学院大学)

6.閉会挨拶「ルーテル・希望の会」

2023年8月26日(土)午後2時~5時、ルーテル学院大学とオンライン参加者のハイブリット形式で開催することができました。

このルーテル希望の会研修会は、卒業生が1年に一度、今社会やまわりで起こっている事について、自分自身の活動を振り返る場として、また卒業生同士のネットワークを作る場として企画しております。

今年は、「被災地の復興とソーシャルワーク」をテーマとし、元宮城県社協震災復興支援局主任主査の北川進先生をお迎えして、東日本大震災の復興の状況から、自分たちの過ごしている地域づくりの視点や、自分たちの身の回りでの災害に備える準備について学ぶ機会が与えられました。また、ルーテル学院大学の卒業生でもある吉村誠司さんが活動されている「ヒューマンシールド神戸」の「今、取り組んでいる被災地支援」の実践報告をしていただきました。そして、その後は「募債への取り組みを等した地域づくり」をテーマとして、グループワークで参加者と共に自分たちの今できることを考える時間を持ちました。

学内では、和田敏明先生、浅野貴博先生もご参加いただきご協力いただきましたこと感謝申し上げます。

研修会終了後は、参加できる方で交流会の場も企画いたしました。参加された方々の自己紹介とルーテル学院大学への思いを語られ、さらにルーテル学院の結束が深められた場になりました。

皆様のご協力により、本日の研修会が実りある学びの場となったこと、また新しいつながりができたことを感謝しております。

また来年も研修会、交流会を企画しますので、今回ご参加できなかった卒業生の方も次回の参加をお待ちしています

文責:関根(岩波)裕恵(西東京市社協、1998年度大学卒業)

7.情報交換会

研修終了後は「うどん鷹」で懇親会を開催しました。

コロナ禍でzoom開催が続いたため、懇親会もできませんでしたが、対面開催なら必須と幹事も楽しみにしていました。

講師の北川先生をはじめ、市川先生、原島先生、学生さんもあわせて19人の参加。はじめまして、でもルーテルの絆ですぐに打ち解けました。

自己紹介から近況報告をして、先生の励ましのお言葉やお互いに応援しあいました。美味しい料理を前に話に花が咲き、時間がいくらあっても足りないほど。

「ルーテルで良かった」と参加者が思える豊かな時間で、来年再会することを誓いあいました。  文責:飯島(藤谷)ともえ(相模原市社協、1996年度大学・2020年度大学院卒業)

8.運営報告

今回は会場での参加と並行して、zoomを使ったオンラインでの参加も併せた「ハイブリット形式」で研修を行い、会場に来られない卒業生でも参加できるようにしました。

オンラインでの参加者は13名予定でしたが、当日欠席が多数あり、8名が参加となりました。

zoomのセッティングに不具合が生じ、グループワークへの移行に時間がかかり、グループワークの時間が少なくなってしまいましたが、参加者は各々に自身の状況、災害に関する地域課題や個々に感じている疑問などの意見を交わしました。

ハイブリット形式での研修会を開催する中で、生じた課題としては、会場の音声や映像をいかにオンライン参加者へクリアに届けるかであり、今回の研修会では、オンライン参加者へ情報提供に反省点もあった。

文責:池永雄一郎(羽村市社協、2007年度大学卒業

私たちからのメッセージ

1.毎年卒業生の皆様には研修のお知らせが届くと思います。

研修のテーマが自分の仕事とは直結しないから…と思っても、知らない分野を学ぶと世界も広がります。そして先生方を始め、懐かしい人たちとの再会や新たなつながりもできます。

また、研修後の懇親会もありますので、ぜひ、来年皆様の研修会&懇親会のご参加をお待ちしています。   飯島(藤谷)ともえ(相模原市社協、1996年度大学・2020年度大学院卒業)

2.ルーテル学院大学を卒業された皆様。
共に学んだ学友と離れ、様々な方面で活躍されていることと思います。
希望の会では世代を超えて、同じルーテルを卒業した仲間と出会うことができます。
その出会いの中では、素敵な発見もたくさんあります。
是非、私たちの輪の中に入ってみませんか。心よりお待ちしております。  

池永雄一郎(羽村市社協、2007年度大学卒業)

3.ルーテル学院大学・大学院卒業の皆様

私は今回は都合がつかず、研修に参加できませんでした。

私と同様に残念ながら参加できなかった方が多くいらっしゃると思います。

この研修は参加することで懐かしのお顔に会い、情報交換、情報共有ができ、仕事の幅が広がること間違いなし!です。

ソーシャルワーカーは何といっても情報収集、ネットワークが大切!

次回はお会いしてともに地域福祉推進を希望をもって語り合いましょう!(^^)!

河島京美(元練馬区社会福祉協議会、2003年3月大学院卒業)

4.今年も希望の会に参加し、ルーテル学院の卒業生のネットワークの広がりを実感しました。それぞれのフィールドで活動、活躍されている皆さまとの出会い、学びの機会を、これからも皆さまで育んでいければと思います。 

桑原信人(全国社会福祉協議会、2020年度大学院卒業)

5.ルーテル学院大学を卒業して日々頑張っていらっしゃる卒業生の皆さん。希望の会では一年に一度集まり、課題を共有しながら明日からの取り組みに繋げる学びと新たな繋がりを作る交流をしています。世代を超えて新たなつながりもできます。

ルーテル学院大学卒業生という誇りと恵みを感じる研修会にあなたもぜひご参加ください。お待ちしています。  関根(岩波)裕恵(西東京市社協、1988年度大学卒業)

6.「地域福祉を推進するルーテル学院大学卒業生の集い・希望の会」は、ルーテル学院大学の全ての卒業生・在学生に開かれている年1回の集まりです。「希望の会」という通称には、在学生・卒業生がそれぞれの道で希望を持って歩めるように、また、少しでも希望が持てる社会にしていこうという会の意図が含まれています。

2022年に行われた希望の会の1回目の研修会では、認定NPO法人抱樸 理事長の奥田知志氏より、「孤立のない社会をめざして~コロナ禍における伴走支援の現場から」をテーマとして講演をいただき、オンラインのブレイクアウトルームでの相互交流では、「コロナ禍における地域課題と地域福祉の展開」をテーマとして話し合いました。

2回目となる今回は、「被災地の復興とソーシャルワーク -地域づくりの視点から-」をテーマとして、北川氏と吉村氏のお話を基に、対面とオンラインのハイブリットにより、「防災への取り組みを通した地域づくり」を踏まえながら、これから必要となるソーシャルワークの取組みについて、今回は卒業生のみならず、大学や大学院の在学生も含めた参加者で話し合いました。

多様な状況のなかでそれぞれに活動している卒業生や在学生のつながり、ネットワークを感じながら情報交換ができることは、温かな勇気や希望をもらえる場ともなっています。

私が敬愛する故中村哲氏は、「一隅を照らす」という言葉を好んで使われていました。有名ではなくとも、それぞれの持ち場を支えている「小さな英雄」は数多くいるのだと。それぞれに多様な状況があるかと思いますが、それぞれの場で、温かな勇気と希望を持って歩んでいきましょう。 山本繁樹(立川市社協、2003年度大学院卒業)

7.幸い、今年になり、コロナ感染によって途切れていた人との関係も徐々に回復してきました。皆さんもそれぞれ大学同期やサークルの仲間との再会も果たしているかと思います。

第2回研修会では、コロナ禍で学んだコミュニケーションの新しい形を活かしたハイブリッド開催ができたことは、つながりを広げることができたのではかと思います。災害経験を丁寧な振り返りにもとづいた北川氏の講演、そして、“瞬時の判断で、今!動く”吉村氏(卒業生)の実践報告は大変示唆に富む内容でありました。一人ひとりのいのちの大切さや緊急時から地域復興へ向けたソーシャルワーカーの視点と関わり方を考えた研修でした。卒業生の皆さんと母校ルーテルでお会いできることを大変嬉しくお思います。来年も多くの皆さんとルーテルでお会いできることを楽しみにしています。

 最後に、大学の報告となりますが、今年はホームカミング・デーを再開しました。ぜひ、来年のホームカミング・デーでも皆さんとお会いできることを期待しています。皆さんの大学の福祉教育への常日頃のご協力に感謝をしています。お願いばかりで恐縮ですが、ぜひ、ルーテルの教育や学びを周りの方々にご紹介ください。ルーテルの輪をさらに広げていきましょう。

原島 博(ルーテル学院大学、1986年度大学卒業)

8.「福祉職が語る ソーシャルワーカーは、新たな絆をつくり、未来の社会を切り開く」『福祉情報』東京都社会福祉協議会、2023年5月号より

<ソーシャルワーカーの使命>

1983年、私は、現在のルーテル学院大学で、社会福祉の専門職であるソーシャルワーカーの養成に携わり、学生の当事者理解と、援助の専門的知識と技術の習得を目指した。本年3月、約40年の教員生活を終えたが、その間、卒業生は、全国の行政、社会福祉協議会、社会福祉法人等の社会福祉領域、医療、教育機関等で重要な役割を果たしている。私の誇りである。

なお、ソーシャルワーカーの使命は、第1に当事者の様々な可能性を活かし、利用者自身が誇りをもって生活できるように、自立を支援すること。そのためには、自分勝手つくる利用者像に当事者を閉じ込めてはならない。「専門職である前に、一人の人間として」当事者理解を深めてほしい。

第2の使命は、サービス、活動、保健医療福祉等の専門職、住民、ボランティアという人材の支援等、コミュニティにある資源を活用し、もしくは掘り起こして、当事者の自己実現を図ること。

<コロナ禍における困難な生活状況にどのように臨むか>

コロナ禍にあって、ひきこもり状態にある人、被虐待児童、自殺者の数はますます増加した。さらに仕事を失った方々が増え、多くの方が生活の場、生活する術を失った。同時に子どもや単身世帯の貧困が広がっている。しかも、コロナ禍にあって、多くのサービスや支援が停滞した。その結果、支援してきた方々が生活困難のただ中に置かれた。また例えば特別養護老人ホームでは、感染を恐れ、家族や友人の訪問を制限せざるをえず、忸怩たる思いをもった。ソーシャルワーカーは、まず今までのサービスや活動を検証し、支援を再編、強化していくことが求められる。

私は、東日本大震災発災後から2020年3月まで、石巻市社協と関わり、地域支援を考えてきた。被災直後の津波による被害を見て、呆然と立ち尽した自分を思い出す。家が流され、家族や友人を失い、失意の中にある方々がおられた。しかも、支援者も傷ついており、支援は難しかった。

お金を失うと生活の危機、名誉を失うと心の危機。希望を失うと存在の危機に直面する。現地のソーシャルワーカーが目指していたことは、互いの存在を認め合い、支え合って共に生きていく寄り添うケアであった。それぞれの人生の一コマ一コマで、様々な出会いがあり、困難を乗り越えていくために、多くの絆が生まれる。第2に、ソーシャルワーカーは、相互の絆と希望のあるコミュニティを創り出す役割が求められる。

<これからの私の挑戦>

 今、福祉系の大学等教育機関に入学する学生が減少している。そして社会福祉機関・団体が求人を出しても応募者が少ない傾向が見られる。しかし、ソーシャルワーカーを必要とする人々は確実に増加している。この閉塞感を打開するために、生活課題に一緒に取り組み、学び、互いに励まし合いながら解決てきた卒業生、仲間と協働して、未曾有の危機に挑戦していきたい。

 なお、ルーテル学院大学と日本福音ルーテル教会の自然災害の被災地支援に関する情報は、以下からごらんになることができます。

学院 https://www.dropbox.com/scl/fi/cpvfhor95xc5ph684nlwc/Project.pdf?rlkey=tsoqaycn36i6kdmohs9rlr1uy&dl=0

教会 https://www.dropbox.com/scl/fi/2xct3jl1w5lzo66jy8esc/JLER.pdf?rlkey=9pufz85k94dffc7jdhyjlacg8&dl=0

市川一宏(ルーテル学院大学)

チャレンジ(「富士登山のご報告」)

 皆さま、こんにちは。ルーテル学院大学の学部、大学院博士前期課程の卒業生の御牧と申します。現在は、静岡県立静岡がんセンターで医療ソーシャルワーカーとして働いています。

 7月28日~29日、静岡県がん患者会一歩一歩の会のサポーターとして、がんサバイバー(がんの闘病を経験された方)と一緒に富士登山に挑戦しました。この患者会は、今年で創立20周年になります。毎年夏に、がんサバイバーの方とサポーターが協力し富士山に登っていましたが、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、この活動はしばらく実施できていませんでした。今年は4年振りに富士登山を再開することができました。

 がんサバイバーの方の「富士山に登りたい。頑張るぞ」という思いによって結成された今年のチームには、登山のインストラクター、陸上自衛隊富士駐屯地の曹友会の方々、看護師・理学療法士・MSWの医療関係者など総勢13名のメンバーが参加しました。

 一日目の朝、富士宮口の五合目から登り始めて、標高が高くなるに連れ、息苦しさが生じてきたり、リュックが重く感じるようになったり、足・肩・手の痛みやしびれ、強い日差しを浴びて体力が奪われるなどのつらさもありましたが、みんなでサポートし合いながら、一日目のゴールである八合目の山小屋に無事に到着しました。山小屋ではスタッフの方々の温かいおもてなしと美味しいカレーに心身が癒され、英気を養うことができました。

翌朝の4時40分頃、山小屋の前から美しい御来光を眺めることができました。そして、八合目から頂上を目指してみんなで励まし助け合いながら、ゆっくりゆっくり歩みを進め、参加者全員が登頂し、またその日のうちに五合目まで下山し、無事に戻ってくることができました。

がんの闘病を経験された方と共に一歩一歩踏みしめながら富士山に登ることにより、サポーターの私自身が大きな目標の達成感と勇気をいただきました。

富士山頂で、市川先生はじめルーテル学院大学に連なる方々のことを心に留め、皆さんのご健康を祈願しました。機会があれば、ぜひ皆さんも富士登山に挑戦してみてください。

上:8合目から見えたご来光

下:九合目辺りから見える風景、左手前に見えるのが山中湖