<卒業生>反貧困ネットワーク埼玉代表・特定非営利活動法人ほっとプラス理事 藤田孝典

歴史的な物価高を受けた生活困窮者支援現場について

市川一宏先生、卒業生の皆様、関係者の皆様、いつも大変お世話になっています。

私は市川先生に修士論文の指導をいただき、大学院在籍時から新宿区、府中市、のちにさいたま市で生活保護世帯、ホームレス状態にある方への支援活動を続けています。あわせて現在は埼玉県内で福祉専門職の養成に携わり、客員、非常勤で聖学院大学、文教大学に出講しています。

市川先生の教え、地域福祉の基本は地域におけるネットワーク型の支援活動だと思っています。ゆえに2000年代から福祉専門職、福祉事務所、社会福祉協議会という福祉関係者だけでなく、弁護士、司法書士、医師、看護師、臨床心理士、市議会議員、県議会議員などと連携し、埼玉県内で相談支援活動を続けています。

生活困窮者の脆弱性はその時代、その社会情勢の影響を強く受けることが指摘されています。以前はリーマンショック、東日本大震災、現在も新型コロナ禍、能登半島地震、歴史的物価高を受けて、生活困窮者からの生活相談が後を絶ちません。そのため、専門職・多機関連携型で2020年から全国一斉何でも相談会を実施しています。本年12月21日にもJR川口駅前でテント村相談会と電話相談会を同時開催して相談対応する予定でもあります。

歴史的物価高を受けても残念ながら、老齢年金、障害年金、生活保護制度など各種給付措置は据え置きか事実上の減額になっています。政策的にも社会的に弱い立場に置かれている人たちへの配慮が足りなく、それゆえに生活に困るべくして困っている現状です。多くの相談の声を受けて、定期的に国会議員、厚生労働省への政策提言も実施して現状変更を求めてきました。引き続きソーシャルアクションを基礎に置いた実証的な福祉実践を進めていきたいと思っています。

以前は貧困、ホームレス状態の方たちに対する視座は、自己責任、怠惰が問題、準備不足、と本人を批判する関係者も少なくありませんでしたが、いうまでもなく歴史的、理論的にも貧困は社会的・構造的問題です。

多くの方に貧困がなぜ起こるのか、と活動を通じて知ってほしいと思っています。まずは12月21日の相談会を成功させて、相談者の声を社会に届けていけるように、人的・金銭的ご支援、ご協力をお願い致します。長文をお読みいただき、ありがとうございました。