<卒業生>大江峻太さんの活動を紹介します

大江さんは、ルーテル学院大学で社会福祉を学び、卒業後、私が学長をしていた練馬パワーアップカレッジに入学し、2年間の学びを終えて、福祉教育の推進のための活動に従事しています。私は、彼の前向きな生き方に賛同し、大江さんを皆さんに推薦します。

彼は、以下のパワーポイントを教材に活動をしています。https://www.dropbox.com/scl/fi/t8wp4r0ynrtc5cgdmrdk6/2022.pptx?rlkey=zyu1qddi8bhrgpnc2xcjlkhs9&dl=0

以下、2024年1月26日下石神井小学校で行った授業のあらすじを紹介します。

大江 みなさんこんにちは!

スライド1 山内「私は介助ヘルパーの山内です。私は今日大江さんのヘルパーとして一緒に来ました。ヘルパーとは私のお仕事です。私はいつもヘルパーとして、大江さんの生活のお手伝いをしています。ヘルパーはお手伝いをするのが仕事ですが、私も大江さんに助けてもらっています。私はヘルパーになる前は別の仕事をしていました。コロナの影響でその仕事が出来なくなって困っていたら、大江さんのヘルパーとしてお仕事が出来るようになり、とても助かっています。それから、大江さんは私が毎日楽しくお仕事が出来るようにいつも助けてくれます。困ったことがある時は相談にのってくれます。一緒に美味しいご飯を作って食べたり、買い物に出かけたり、テレビを見たり、私たちは一緒に楽しく暮らしています。大江さんと私は、いつもこのトーキングエイドという機械を使ってお話をします。これからこのスクリーンにトーキングエイドの写真を映しますので見てください」

スライド2 山内「トーキングエイドは、口で話すのが難しい人が使う会話をするための機械です。大江さんがトーキングエイドを使ってお話しますので聞いてください。まず、“お”のボタンを押すと… “お”と言います。“は”のボタンを押すと… “は”と言います。そして、“よ”と“う”のボタンを押して… 最後に再生ボタンを押すと… “おはよう”と言います」

大江「おはよう」

大江 (トーキングエイドで)「私たちは、障がい、生まれた国など、いろいろなことに関係なく、みんな一緒に遊んだり勉強していけるといいなと思って活動しています。今日は私たちの話を聞いてください。よろしくお願いします」

山内 (繰り返し&補足)「そうですね。障がいがある人も無い人も、関係なくみんなで仲良くしようよ、というのが、大江さんがみなさんにお伝えしたいことです。みなさんは、もしかしたら自分と違う人や知らない人と話をする時に、少し恥ずかしかったり、困ったりすることがあるかもしれません。男の子は女の子と話すのが恥ずかしかったり、女の子は男の子と話すのが恥ずかしかったり、また大人の人や外国の人とどう話をすれば良いのか、困ることがあるかもしれません。話をしたことが無い人と初めて話す時は緊張することもあると思います。それでも、少し勇気を出して話をしてみれば、その人のことを知ることが出来、きっと仲良くなれます。それでは、ここからは、大江さんのお話を聞いてもらい、大江さんのことをよく知ってもらいたいと思います。質問コーナー車椅子説明

スライド3 山内「これは1才頃の写真です。我ながら、なかなか可愛い。赤ちゃんの時の一枚です。この頃、私は障がいがわかりました。生まれてこられた事に、とても嬉しさと感謝を感じています。母とお風呂に入るのが大好きでした」

スライド4 山内「小さい頃、千葉県の松戸に住んでいて、隣のアパートのチイちゃんとよく遊びました。砂場での一枚です」

スライド5 山内「ひとりで座れないので、特別な椅子で支えられています。みんなと同じように遊びたくて、なんでもチャレンジしてきました。噴水から流れた水を一生懸命、お皿に受け止めようとしています」

スライド6 山内「足の手術で入院中に一度家に帰った時、近所のサッカーチームの練習に入れてもらいました。仲良しのコウヘイ君が自分のユニホームを貸してくれました。後ろ向きの子がコウヘイ君です。コウヘイ君は私にとって初めての親友です」

スライド7 山内「保育園の学芸会も車椅子で参加しました。「ぞうのたまごのたまごやき」のにわとり役です。セリフもトーキングエイドで喋って、王子様役の子に車椅子を押してもらいながら舞台に上がりました」

スライド8 山内「保育園の友達と地域の小学校へ。入学式の写真です。いつもランドセルは車椅子の背中にかけていきました。どうしても保育園の友達と同じ学校に行きたくて、お父さんお母さんと相談して決めました。このあと地域の中学校、都立高校、そして大学へと進みました」

スライド9 山内「小学校の頃は、毎年 夏には海に行っていました。楽しかったな~。水の中は気持ちよく光がゆれて、身体も自由だったと思います。」

スライド10 山内「小6の時に友だちの家族とキャンプをしました。気分は一緒に木登りしています。保育園からの親友と夜はキャンプファイヤーやトランプが楽しかったです」

スライド11 山内「最後の写真は、大人になって成人式の時です。この頃はルーテル学院大学で福祉を学んでいました。福祉とは“みんなが幸せになれるよう”に取り組む活動のことです。 今は練馬を中心に小学校をまわって、障害のある人の暮らしを伝えるための活動をしています。障害のある子供もない子供も同じところで教育を受けて共に育つことを強く願っています。そして色々な人が暮らしやすい町を作れたら良いと思います。崚太さんの紹介はこれで終わりですが、最後に崚太さん本人からの言葉を聞いてください」

大江(トーキングエイドで)「私はずっと、まわりの友だちと、一緒の保育園、小中学校であたりまえに育ちました。そして都立高校、ルーテル学院大学へとすすみました。それは私の親や、その時支えてくれた人たちにとっても大変な道でした。でも色々な人がいる環境を過ごせたことが私自身の物の考え方や世界を広げたと思います」

山内(必要があれば繰り返し)「崚太さん、ありがとうございました。みなさんもしっかりお話を聞いてくれてありがとうございます」

スライド12 山内「次はみなさんに知ってもらいたい言葉があります。“ユニバーサル・デザイン”という言葉です。これから色々な例を出しながら、ユニバーサル・デザインとはどういうことなのか紹介します。まず始めに、この絵文字のようなものはサウンズアンドシンボルズといいます。先ほど少しトーキングエイドの話をしましたが、トーキングエイドで話すにはひらがながわからないと12言葉が喋れません。まだひらがながわからない小さな子供の時でも、伝えたい思いを伝えるのに、絵文字やシンボルマークなら伝わるだろうと、崚太さんのお母さんが見つけてきて、崚太さんと使いだしたのが、このサウンドアンドシンボルズです。うれしいって言うのはどれだかわかりますか?」

スライド13 山内「次にこれはトイレの写真です。小さい崚太さんがつかまっているのは、介助用のバーです。これにつかまれば安定して座っていられます。このバーは使わないときは跳ね上げて壁にくっつけておくもので、ほかの人がトイレを使う時でも邪魔になりません。これがあるだけで障がいのある人もない人も同じトイレを使うことができます。駅や公園によくある“だれでもトイレ”にはこのような設備があります」

スライド14 山内「小学校3年くらいから、お風呂に入るときにリフターという機械を使うようになりました。シャワー椅子という濡れてもいい布で作られた車椅子の座るところだけ持ち上げてそのまま湯船の中に入ります。ゆったり安心してお風呂につかれます。今も同じタイプのリフターとシャワー椅子を使ってお風呂に入っています。」

スライド15 山内「お風呂用のシャワーチェアとリフターです」

スライド16 山内「これは西武線の電車に乗るところです。駅の改札口で“○○駅まで行きたいです”と伝えます。そうすると駅員さんたちがいろいろ手配してくれてホームまでエレベーターを使って案内してくれます。予定の電車が来ると乗り降り用のスロープを出してくれて乗り込みます。降りる予定の駅には連絡がいっていて駅に着くとスロープを持った駅員さんが待っていてくれてドアが開くとスロープをかけてくれてスムーズに降りられます」

スライド17 山内「これは街中を走る低床バスです。低い床と書いて低床と読みます。バス停で車いすの人も他の人と一緒に待ってバスに乗れます。運転手さんがバスの低い床からスロープを出してくれて乗ります。崚太さんのお家は駅から離れているのでよく利用しています」

山内「サウンズアンドシンボルズ、だれでもトイレ、お風呂用のシャワーチェアとリフター、それから電車とバスを紹介しましたが、これらがすべて“ユニバーサル・デザイン”です。つまりユニバーサル・デザインとは、お年寄り、からだの不自由な人、妊娠している人、赤ちゃん連れの人、子ども、外国の人、色々な全ての人のことを考えて、みんなが使いやすいようにしようと考えることです」

皆さん今日は私達の話しを聞いてくれてありがとうございます。この街の中には身体に障害のある人、お年寄り、外国人の方など様々な人がいます。その人達それぞれがお互いを認め、手を取り合って暮らしやすい街を作っていけたらという思いで活動しています相手のことを知って違うことを認めて手を繋いでいく事が大切だと思います。皆さんもそんな街を作る仲間になってください。よろしくお願いします。

私は、大江さんの活動を推薦いたします。

なお、ご連絡は、talkingotoko@yahoo.co.jpのメールにどうぞ。

市川一宏