希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

ルーテル学院大学、大学院 卒業生の皆様

 石田賢哉と申します。2003年3月にルーテル学院大学大学院修士課程を修了しました。福山和女先生、前田大作先生に修士論文をご指導いただきました。2007年より青森県立保健大学で精神保健福祉士養成課程の担当をさせていただいております。出身は静岡県で青森県とは何のかかわりもなかったのですが、青森に来させていただいてから14年目をむかえています。職場の方々や、福祉や医療現場の方々、当事者の方々やそのご家族の方々、たくさんの素晴らしい方々と出会いがあり、多くのことを学ばせていただいております。プライベートでも青森の方と結婚しました…。最近では、青森の現場の方々、研究者と一緒になり、青森の福祉の取り組みを1冊の本(石田賢哉・工藤英明・村田隆史(2020)「福祉課題への挑戦~青森の未来へ~」泰斗舎)にまとめることができました。すべてはご縁なんだろうなと思っています。

 コロナ禍において、大学も大きな影響を受けました。一番は実習でしょうか。医療機関や福祉事業所、行政機関などで実習受け入れの中止、見送り等がありました。患者さん、利用者さんの命を守ることが最優先であり、実習現場の指導者の方々も申し訳ないということをお話してくださりました。

 養成校としては、学生にとって実践現場で学ぶことが何より大事であると考えていて、学生自身もそのように考えていてくれていると思います。学生は実習に気持ちを高めている中で、突然の延期、中止、本当に申し訳なく思いました。多くの学生は今できることに気持ちを切り替え、学内実習に取り組んでくれています。

 幸い、多くの医療機関、福祉事業所では、感染症対策をしっかりやるということで実習が再開されました。ただ、今年1年は実習受け入れNGという機関・事業所や、突然、実習中止ということがまだあり、安定しない状況は続いております。

 学内においても、手洗いうがいの推奨、マスク着用、Web授業など今までと異なる形で大学が再開されています。きっと不満があるのだろうと思うのですが、学生さんたちは、今の状況を理解し、学業、大学生活を送っています。若い人たちの生活態度、本当に素晴らしいと思います。こちらが学ぶことばかりです。

 現在、医療機関や福祉事業所、福祉行政等で活躍されている方々が多くおられることと思います。多忙な業務に加え、コロナ感染対策を含め、心身ともにきつい状況にあるのではないかと思うと、自分自身本当に苦しく思います。

 そのような中でも、皆さんの支援や応援を必要としている人たちがたくさんいると思います。私自身のことになりますが、昨年12月に母が亡くなりました。2017年から介護保険サービスを使うことになり、利用者の家族としてたくさんのスタッフの方々のケア、支援を受けました。そのなかで、素晴らしいスタッフの方々の応援があり、最後まで母を看取ることができました。病気や障害は良くならないとしても、最後の最後までその人らしさを尊重し、その人が旅立った後も、その人がいたことの意味を認めてくれる、本当に福祉の仕事は尊いこと、福祉は誰にとっても必要であるのだ、ということを家族という立場から実感することができました。皆さんが担当されている患者さん、利用者さん、ご家族の方々は、みなさんの支援やケアを必要としている人たちで、皆さんからの支援にきっと勇気づけられていると確信しています。

 感染症対策でやれることは皆さん徹底していることと思います。やれることが分かってきているので、その範囲でまず私たちはしっかり対策に取り組んで、必ず良くなる、必ず落ち着くということに確信をもって、誰のために仕事をしているかということを忘れず、今起きていることに向きあうことが私たちのすべきことだと思っています。落ち着いてから、いろいろな検証をおこない、責任問題などについて追及していけばよいわけで、今はそのような時期ではないと思います。不安を煽ったり、コロナ感染者のプライバシーを侵害したり、そのような情報を目にするたびに本当に怒りの気持ちになります。そうではなく、私たちがすべきは認め合い、問題があればお互いに注意し合って、すべきことをしっかりやって、ということだと思います。

 自分自身の挑戦ですが、青森には素晴らしい実践家、利用者さん、ご家族、行政スタッフの方々がたくさんおられます。とても魅力的な人たちですし、素晴らしい熱意や思いをもっています。そのような人たちの取り組みを継続的に全国に発信していけたらと思っています。記録がなければ、素晴らしい取り組みも引き継がれていくことは難しいですし、その活動を知らない人にとっては「ない」ということになってしまいます。文章に起こし、論文に残したり、本にするなどして、これからの社会の財産にしていくことが大事だと思っています。コロナ禍において何が行われたのかということは記録に残し、最終的には本に残して、医療・福祉現場の人たちがこんなにも頑張ったのだと、どのような取り組みが友好的であったのか、あるいはどのような取り組みに問題があったのかを検証するなどして、改善をしていく事が大事なのではないかと今の自分は考えております。

 最前線でチャレンジされている皆様を本当に尊敬します。自分も微力ではありますが、精一杯チャレンジをして、今起こっている出来事から学ぶべきことを記録に残していきたいと思います。