長野県地域福祉コーディネーター養成講座

歴史と実績のある長野県地域福祉コーディネーターの養成①地域福祉コーディネーターは、次のような役割を担う専門スタッフと位置づけています。・地域の住民ニーズの中で、専門的な対応が必要なケースへの対応・ニーズの発掘とその解決のためのコーディネート・制度によるサービスと住民活動をつなぐための実践的支援・住民が参加する地域福祉計画(地域福祉活動計画)の策定支援

②上記の役割を果たすため、地域福祉コーディネーターは、次のような活動を行います。・総合的な相談・生活支援・地域の福祉課題の把握と、課題解決のための活動の開発、支援・制度によるサービスと制度外のサービスをつなげる支援・多様な主体が協働するための地域のネットワークづくり(地域福祉コーディネーター養成研修実施要領から)

長野県社協では、地域の福祉・生活課題の深刻化と、それに対する福祉施策の変化も見据えながら、①現行の仕組みでは対応しきれない、多様な福祉・生活課題への対応、②地域住民のつながりを再構築し、支え合う体制の実現、③住民と行政の協働による新しい福祉の実現を目指す人材養成のため、市町村社協の他、行政、地域包括支援センター等の職員を対象に2010(平成22)年度から公益財団法人長野県市町村振興協会の補助を受け、「地域福祉コーディネーター養成事業」に取り組み、6年間で約1,000人が受講、100人近い受講者が全カリキュラムを修了しました。『長野県社協地域福祉研究会報告書(平成28年2月)』

もう10年近くになりますが、長野県社協の方と相談し、方針、研修内容、講演者、研修者を確定させてことを懐かしく思いだします。そして、たくさんの地域福祉コーディネーター、もしくは同じ役割を担っている方々を養成し、地域社会に送り戻したと実感しています。これは、長野県の地域福祉の強さを築いています。

長野県地域福祉推進セミナー開催要項※地域福祉Co研修と合同開催

ともに生きる ともに創る 地域共生・信州を目指して地域福祉コーディネーターの役割を考える

1 趣 旨

 長野県では、「ともに生きる ともに創る 地域共生・信州」を目標とした長野県地域福祉支援計画を策定し、多様な住民がごちゃまぜで暮らし、その人らしい居場所と出番がある長野県の創造を目指し、今年度より4カ年の計画が展開されます。

 本計画では、制度・分野ごとの縦割りや「支え手」「受け手」の関係を超えて、地域の誰もが地域の担い手として役割をもって地域とつながる「地域共生社会の実現」を目指し、介護・障がい、子ども・若者等の分野を超えて、他分野と連携した地域づくりを推進するために地域づくりを推進するための地域福祉のコーディネートを担う人材(地域福祉コーディネーター)の重要性にも触れています。

本セミナーでは、多様な分野の施策に基づいて住民主体の地域づくりを担うコーディネーターの配置が進む中、長野県の目指す地域共生社会の理念と地域福祉コーディネーターの役割について共通理解を図ることを目的として開催します。

2 主 催  社会福祉法人長野県社会福祉協議会

3 日 時  令和元年(2019年)6月17日(月)12:30~16:00

4 会 場  松本市勤労者福祉センター 大会議室

(松本市中央4丁目7-26、℡0263-35-6286)

5 対 象  県市町村行政職員(地域福祉計画・地域福祉・高齢・障がい・児童担当部局)、社会

福祉協議会職員、社会福祉法人・福祉施設・福祉団体職員、地域包括支援センター

職員、障がい者総合支援センター職員 他

6 参加費  無料

7 日 程(内容については変更する場合があります。)


1□開会

■基調説明「長野県地域福祉支援計画の概要と地域福祉コーディネーターについて」  説明:長野県健康福祉部地域福祉課

■講義「地域福祉を取り巻く制度変遷と地域福祉コーディネーターの役割と機能」  講師:ルーテル学院大学学長 市川一宏 氏

□休憩・会場転換

■実践報告「市町村における地域福祉コーディネーターの実践と現状」 報告者:黒岩秀美氏(長野市中条地区住民自治協議会)矢澤秀樹氏(伊那市社会福祉協議会)コーディネーター:市川一宏 氏(再掲)

□閉会

8 その他  本セミナーは「地域福祉コーディネーター総合研修 講座①」と同時開催します。

私は、当初から関わらせて頂き、学ばせて頂きました。心より感謝しております。


長野市地域福祉ワーカー研修会

長野市社会福祉協議会に、私は育てて頂いた。長野市社協の経営基盤強化の委員長として、10年を越えて、一緒に地域課題を把握し、休日にも長野市に来て、社協のあり方を考えました。そして、添付のような目標を確認しました。

 また、地区社協のあり方を巡って、何度も研修会を開きました。地区社協は、長野市社協の歴史でもありました。しかし、長野市が新たな地域組織をつくり、その実績を継承できなかった地区もあり、新たな課題が生じています。

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2019年5月、研修のご依頼があり、お引き受けしました。あらためて長野市社協の特徴を以下のように考えています。①市民のニーズ把握に力を注いだ地域福祉活動計画:地区懇談会、地域福祉推進ネットワーク会議、女性団体ヒアリング、地域福祉サービスコーディネーターヒアリング、ワーキングループヒアリング、市民アンケート調査、委員、社会福祉協議会役員・職員アンケートを通して、課題を2,300件に集約。②たえず、多くの方々よ合意し、そして12の切り口に整理し、共通目標を設定=❶学び、❷参加、❸交わる、❹つどう、❺見つける、❻防ぐ、❼支え合い、❽伝える、❾相談、❿ネットワーク、⑪まちづくり、⑫自治・治めるという切り口を生み出し、「誰もがみんな、自分らしく生きるために支え合いの地域づくり」という共通目標を掲げた。③目標に向けて努力してきことは、小地域福祉活動であり、地区社協を軸とした戦略であった。これは、合併をして大きくなった市において、地域福祉の推進を目指した社協、住民の挑戦であった。④行政との確執から協働へ。⑤生活困窮者支援、地域福祉権利擁護事業(日常生活支援事業)等の孤立や生活困窮への対応では実績がある。

今回は、地域福祉ワーカーへの研修です。地域福祉ワーカーのことを、支社協の土屋さんに教えて頂きました。

①地域福祉ワーカー設置の背景○「第一次長野市地域福祉計画」(H17年6月策定)において、30の地区(当時)を地域福祉推進の中核的単位として位置づけました。○そして、地区社会福祉協議会を推進基礎組織とし、地区の実情に合った活動を展開するために「地区福祉活動計画」を策定していくことになりました。○当時地区社会福祉協議会は役員中心の組織体であったため、地域に密着して支え合い活動等が展開できるよう、地区の課題・ニーズをさまざまなサービスや活動につなぐとともに活動の開発、地域の力の引き出し役となる人として地域福祉ワーカーを配置していくことになりました。②地域福祉ワーカーの所属 ○当初は、地区社会福祉協議会に所属。住民自治協議会設立後は、住民自治協議会に 所属。③地域福祉ワーカーの役割:主に地域活動への支援を担います。 地域福祉活動を推進するため、地区地域福祉活動計画に基づき、地区の団体等と連携して、以下の業務を行います。○地域の支え合い活動の創出、担い手の養成及び活動の紹介。○地域福祉に関する広報活動、○地域住民の福祉ボランティア学習の企画実施、○活動の提供主体間の連携体制づくり(新)○地域たすけあい事業コーディネーターの補助(新)

都市分権政策センター「地域社会を運営するための人材確保と人づくりのあり方に関する研究会」

2019年6月12日、全国市長会から選出された市長の方々を前に、講演をさせて頂きました。テーマは、「自治体とコミュニティの関係性を踏まえた人材確保のあり方」について、全国動向と施策の展開、具体的な実践を通して、地域福祉専門職の必要性について、述べさせて頂きました。特に地域福祉コーディネーターや生活支援コーディネーターについて、自説を述べさせて頂きました。

生活支援・地域福祉コーディネーターの関わり

①生活支援コーディネーター 地域包括支援センターを軸に A.高齢期の医療・介護・予防・住まい・生活支援を行う、B.介護予防を一体的に提供、日常生活圏域(具体的には中学校区)を単位として想定している、C.地域支援を軸、D.生活支援体制整備事業は地域包括ケアシステムの構築を専門職にまかせたりにするのではなく、住民が地域包括ケアシステムの担い手として関わるきっかけをつくる取り組みともいえる。


②地域福祉コーディネーター 地域共生社会、生活困窮者自立支援を軸に、A.子ども等への支援や、複合課題にも拡げたもの、全世代対象、地域生活課題に対応する総合支援の拠点としてふさわしい拠点を圏域ごとに設置、B.個別支援を軸に、C.生活困窮者支援における重要な役割を担っている。

③考察 A.地域包括ケアシステム、地域共生社会に関わる「我がごと、丸ごと」に関しては、人口規模や高齢化率、世帯状況、財政等に言及しておらず、国の一律的関与に限界がある。各市区町村で対応が異なる。その意味では、格差が生まれている、B.地域の資源を動員した総合的なケア=地域包括ケア、地域共生社会づくりが必要。すなわち、福祉のまちづくりと共通、C.方針と体制を明確化したうえで、独自の戦略を立てる必要がある、D.その際、行政、社協、社会福祉法人、事業者、NPO,ボランティアとの関係や理解がこれまで以上に重要になるり、カギになる。E.圏域の検討が必要。

そして、以下の意見を述べさせて頂きました。1.介護人材の養成・確保:全国の問題です。いくつもの自治体の高齢者保健福祉計画の策定において、随分検討しましたが、解決したとは思っていません。市区長村に関しては、事業者と、働き方、労働環境とともに、仕事を辞める要因への対応が大切と思います。2.関係人材が活動しやすいように、人材の権限、役割を政策的に明確にすること。またインフォーマルケアに対する支援を怠ると地域は疲弊していきます。3.圏域の明確化による効率的協働の可能性を模索して下さい、4.行政内部における各担当課の協働ができるか、問われていると思います。武蔵野市健康福祉総合計画推進会議等の取り組みは大切です、 5.社会資源としての人材の開発をご検討下さい。キイパーソンについてご検討下さい、また、認知症サポーター等、養成したものの、活動支援が不十分な人材はたくさんいるのでは?旭川市のステップアップ研修で学びました、6.当事者の参加の可能性を模索して頂けませんか。また。生活困窮者である方も、働く場、活動する場は?

委員の方々の中で、議会との調整がつき、熱心な市長の方々が出席され、貴重な発言を頂きました。感謝しています。


6月の大学の花

ルーテル学院大学には、年間を通して、花が咲いています。学生一人ひとりが、自然の恵みを受け、自分の思いを確認し、それぞれの可能性を見出していく、このような場所が、ルーテル学院大学だと確信しています。そして、この花は、三鷹市の花壇ボランティアが植えて、育てて下さいました。心より感謝しています。

大分市居宅介護支援事業者連絡協議会研修会

同連絡協議会は、平成13年に発足した任意団体です。名の通り、大分市内の事業所を単位とし、約140事業所のうち131事業所が加入しています。介護支援専門員の実人数は、約140事業所のうち131事業所が加入しています。介護支援専門員の実人数は、約460人です。

愛弟子が事務局を担当しており、その依頼を受けて、大分に行くことにしました。彼女の思いを大切にし、それを各参加者にお伝えしたいと思っていました。「私はたくさんの利用者が、今の私を育てて下さったと思っています。敬意と感謝があります。」との言葉を受け、うれしく思います。教員は、卒業生によって育てられると実感しました。彼女の感想は、後ほど公開します。

先日は、ありがとうございました。

本当に感想文です。とても刺激を受けました。田舎が恋しくなりました。業務に追われ、月に何度もやめたくなるのですが、今働いている地域を大切にしたいと思うようになりました。ありがとうございました。

『私ごとですが、ルーテルを卒業して24年。そのうち23年間は在宅部門に、今の職場に勤務して22年になります。その間、仕事もですが、私の人生もいろいろありました。いつも振り返ると、そこにルーテルがあり、当時の友がいました。会えるわけでもなく、連絡をとるわけでもなく、本当に私の心の支えでした。それと同じくらい私は、利用者の相談援助をしながら、その利用者に支えてもらっていると感じてきました。

私にとって介護保険は、利用者がサービスや事業所を選択できる画期的な制度でしたが、始まってみると、ケアマネジメントがビジネス化し、ソーシャルワークがなされていないのではないかと何度も問ってきました。介護保険法という法の中で働くこと、法令遵守や監査など形式的なところがどこか優先され、サービスに繋がらない困難事例は引き受け手がない。専門職の狭い知識に利用者をあてはめるのではなく、ひとりの人間として利用者と向き合う。その先に専門職の役割を見出せるようなマネジメントができているのだろうか。そんな振り返りや気づきの場を、同業の仲間と共有したい。それは私の願いでもありました。

10数年も前、先生から「いつでも連絡しなさい。協力するから…」のお言葉を信じて、思い切って連絡しました。「どうした~?」「わかったよ、いつ?」こんなに簡単に実現できるとは思ってもみませんでした。先生のご無理に感謝でした。

この度、先生には、大分市内の居宅介護支援事業者に勤務する介護支援専門員に『介護支援専門員らしく、利用者や地域を支えるために』と題してご講演をいただきました。面白おかしく、そして力強くお話しする姿は、学生時代と変わりませんでした。講演ではたくさんのアドバイスやアイデアをいただきました。自分の固定観念にも気づかされました。会終了後は、早速、仲間の多くから、企画した私のもとに好評が届きました。本当に嬉しかったです。

早いもので先生のご講演から、数日が経過いたしました。当日は先生との再会、会の運営、そして講演に胸がいっぱいになりました。翌日はいつもと変わらない業務に戻りましたが、心の中は整理され、気持ち穏やかに働くことができました。

先生、お忙しい中、本当にようこそ、大分へ。そしてありがとうございました。

KKD(経験と勘と度胸=旧いOJT)の私ですが、そうでない根拠をと先生から課題をいただきました。経験に根拠を重ねられるようになりたいと思いました。たくさんの利用者(きっと犠牲になられた方の方が多かったと思います)が、いろんなことがあった私の人生を支え、専門職としての私を育てて下さいました。何度も言いますが、敬意と感謝があります。その思いを、今やこれから出会う利用者の支援に活かすこと。介護支援専門員である前に、一人の人間として私らしく。それを与えられた場所で、ぼちぼちとやって行こうと思います。「悩みながら、あきらめないこと!!」が大事なのですよね、先生。』5月31日 小野育代

市川自身のことですが、早期に胃の問題が見つかり、11月に手術をしました。その後、12月に復帰し、1月より学長の仕事、教員としての仕事、社会的責任を担ってきました。気力は充実しており、体調も徐々に回復しています。ただ、体重が急激に落ちましたので、皆さんがいろいろ心配をなさいますが、ご心配は必要ありません。小野さんのような素晴らしい教え子がたくさんおり、その刺激を受け、充実した一日一日を送っています。感謝です。皆さん、どうぞ、今後とも、今まで通りお支え下さい。市川


第71回大阪府民生委員児童委員大会

1.日 時        令和元年5月20日(月)午後1時00分~4時00分

2.場 所        大阪国際交流センター(〒543-0001 大阪市天王寺区上本町8-2-

第一部        式 典 午後1時00分~1時40分

第二部        記念講演 (午後2時00分~3時15分)

演題:「これからの民生委員・児童委員活動を考える

講師:ルーテル学院大学学長 市川 一宏

大阪府民生委員児童委員連合会は、方針の作成プロセスを大切に、方針を明確にしているところに特徴がある。

大阪府民児協連合会の方針

社会的に孤立している人々への支援にむけての取り組み①あいさつや声かけ、訪問活動を通じて地域住民とのつながりを強化しよう!(1.飯綱の実践)

②助けあいのできる、SOSを出しやすい地域づくりを進めよう!(2.受け止める人を育てよう、3. それぞれが「自分らしく居られる」場づくり、4.生活の動線に合わせる

③関係機関や校区福祉委員会等との連携を強化し、地域の福祉力を高めよう!(Ⅳ.日常生活を基盤にした接ぎ木の取り組み)

④地区委員会等で事例検討を実践し、活動を見直す機会をもとう!⑤学びの場をつくろう!⑥全委員による児童委員活動を推進しよう!⑦連携の幅を広げよう!(5.資源を活用する)

大阪府民生委員・児童委員協議会連合会の取り組み

市町村民児協での取り組みの推進と内容

(1)事前調査(2018年5月依頼→6月末調査票提出締切)済

目的:調査研究事業の成果発信、市町村民児協での取り組みの具体化に向けた準備

(2)中間報告(2018年12月依頼→2019年1月末報告書提出締切)済

目的:市町村での取り組み実践の進捗状況の確認、さらなる推進の呼びかけ

(3)最終報告(2019年7月依頼予定→9月末締切予定)

目的:取り組み実践のふりかえり、地域の現状・課題や今後取り組むべきことの整理

一本のツツジ

近所で赤いツツジが、一本咲いていました。とてもきれいでした。私は、一本のツツジが、はっきりと語りかけていると思い、写真を撮りました。確かに、周りは、枯れた草が覆っており、写真としてはどうかと思いましたが、赤い一本のツツジが、私たち一人ひとりの生き方に思いました。

私は、1人ひとりには個性があり、持ち味があり、可能性があると思っています。そして、私は、それぞれの可能性を活かしあえる社会にしたいと思っています。これは、天から降ってくるものではなく、地面から天に向かって伸びていく、日常的な挑戦と考えています。

2005年度前期大学卒業式・大学院学位授与式には、「一本の山ツツジ」というメッセージを学生諸君に送りました。以下、掲載します。

聖書 ヨハネによる福音書第1章第1節〜5節

 初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。万物は、言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。

「つくられた、たくさんの山ツツジより、自然の中にある一本の山ツツジ」が人の心の原点に触れると言われたのは、後藤哲也氏。熊本県の北東部で、阿蘇のふもとにある熊本空港から1時間ほどの所にあり、客が来ないでまったく寂れていた黒川温泉を、全国有数の温泉地にした人。カリスマ経営者として全国に有名です。40年前、3年をかけて、自らノミとカナヅチで洞窟風呂を掘りました。そして、「説明なくとも見える姿がすべてを語る」と考え、自らの旅館を工夫し、また温泉地全体で一貫した雰囲気と環境を醸し出した。そこでは、川が流れ、苔がその周りを包み、いたる所で温泉の湯気が立ちのぼり、時間がゆっくりと過ぎていきます。

 今、たくさんの町や村が壊れつつあります。少子高齢化が急激に進み、まさに過疎化、そして構造改革といわれる大規模な改革が、日本のあらゆる地域に、熾烈な競争の原理を持ち込み、競争に敗れたいくつもの町や村が、貴重な文化と豊かな自然とともに、消え去ろうとしています。

 しかし、市場経済の荒波の中にあっても、その存在と個性は揺るがないと思われる黒川温泉の創設者後藤さんとは、この1年で2回お会いし、お話を聞くことができました。後藤さんの信念は、「たくさんの山ツツジより、自然に生える1本の山ツツジ」を大切にすることでした。

 私は、1本の山ツツジの意味は、何かと今まで考えてきました。そして、今、私は、こう考えています。

 1つは、気がつかなかった自然の営みが、心の中にある故郷を呼び起こし、来る者の心の疲れをとる。人の手によってつくられた、いわゆる人工的社会で生きていかざるを得ない私たちが、ほっとできる居場所はどこでしょうか。気を遣うことなく自然でいられるところ。故郷のように、いつも心の中のどこかで、灯火となっている場所。ありのままの自然を見つめ、大切にしようとしたからこそ、自然が安らぎを与えてくれている。

 2つめは、山ツツジが、厳しい自然の中で、ただひたすらに生き続けていること。そこに人の手による町があろうとなかろうと、山ツツジは、初めからあった。そこに、唯一かけがえのない、似ているかもしれないけれど、他とは違う1本の山ツツジを大切にしていること。

 3つめは、「説明がなくても、見える姿がすべてを語っている」けれども、その姿に私たちが気が付かない。1本の山ツツジは、相手に安らぎを与えるメッセージを送り続けていたのに。その意味を後藤さんに教えて頂きました。

 今日は、卒業式・単位授与式であると共に、本学院の創立記念礼拝です。「生きている事実だけではなく、生きる意味を学び、生かされていることを知る。だからこそ、人の生活、祈り、痛みに寄り添うことができる。」本学の使命は、その働き人を社会に送り出すこと。様々な苦労を乗り越えて、ここに立つ1名の卒業生を誇りを持って送り出したいと思います。さらに、超多忙な児童相談所に勤務しながら、大学院生としての勉強を両立させてきた者に、敬意をもって学位を授与したいと思います。

 今日の聖句は、私がもっとも好きな箇所の一つ。この聖句を、卒業記念として2人にプレゼントします。「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。この言は、初めに神と共にあった。万物は、言によって成った。成ったもので、言によらずに成ったものは何一つなかった。言の内に命があった。命は人間を照らす光であった。光は暗闇の中で輝いている。暗闇は光を理解しなかった。」すでに、私たちには言が与えられている。その言とは、イエスキリストです。1本の山ツツジのように、私たちが気がつかないところにおいても、命として、光として、私たちを支えてくださっておられます。いつまでも、そのことを忘れなければ、どんな困難にあっても、君たちの明日は必ず切り開かれる。  よく頑張りました。卒業そして学位取得、ほんとうにおめでとう。そして、これからもよろしく。

藤岡市庚申山総合公園の藤の花

平成最後の日、庚申山総合公園に藤の花を見に行きました。写真のように、たくさんの藤の花を見ました。また、公園には、藤以外にいろいろな花が咲いています。

 第25回「黒岩知事との“対話の広場”Live神奈川」開催結果  

http://www.pref.kanagawa.jp/docs/h3e/cnt/f300633/p30vol25.html

ルーテル学院大学の構内に咲く花(4月2日入学式)

校内のいたるところに咲き誇る桜