<卒業生>新しい事業に挑戦

雲下加奈(旧姓 北井) 1999年卒業

嘉登美合同会社
海外投資家が日本で資産を保有するための情報提供・コーディネート。日本企業の海外へのプロモーション・マーケティング支援、コワーキングスペースやコリビングの運営、地方創生事業などを展開。

HP:www.kado-me.com
浅草橋駅チカコワーキングスペース「ANOTHER DESK」
インスタ:https://www.instagram.com/another_desk_2401/

卒業後、半年ほどソーシャルワーカーとして医療機関に勤めた後、転職。転職先で海外のサービスアパートメント(家具家電付きアパートメント)に出会い、日本に逆輸入するビジネスを2004年よりスタート。

日本に仕事をしに来る外国人ビジネスマンの生活を住宅まわりから支え、生活基盤の立ち上げをサポートする会社の経営に20年間携わった後に、2024年、嘉登美合同会社をスタート。地域を活性化させるためにこれまでの経験を活かした不動産の運営や人と人をつなげる事を通じて商店街の活性化や、若手・女性起業家の支援など
幅広い活動をしていきたいと思っています。

コワーキングスペース「ANOTHER DESK」では何かに挑戦してみたい方の応援をしています。セミナーや勉強会、ワークショップなど何かやってみたい事があるかた、サポートしますので是非お気軽にお声がけください。
<利用実績>
シニアの方→朗読会独演会を実施・リアルとZOOMとで個人の朗読会を主催。韓国語教師の方→韓国語講座を開催などなど。

<卒業生>大江峻太さんの活動を紹介します

大江さんは、ルーテル学院大学で社会福祉を学び、卒業後、私が学長をしていた練馬パワーアップカレッジに入学し、2年間の学びを終えて、福祉教育の推進のための活動に従事しています。私は、障がい者当事者として共に生きる社会づくりに取り組む彼の生き方に賛同し、大江さんを皆さんに推薦します。

彼は、以下のパワーポイントを教材に活動をしています。https://www.dropbox.com/scl/fi/t8wp4r0ynrtc5cgdmrdk6/2022.pptx?rlkey=zyu1qddi8bhrgpnc2xcjlkhs9&dl=0

以下、2024年1月26日下石神井小学校で行った授業のあらすじを紹介します。

大江 みなさんこんにちは!

スライド1 山内「私は介助ヘルパーの山内です。私は今日大江さんのヘルパーとして一緒に来ました。ヘルパーとは私のお仕事です。私はいつもヘルパーとして、大江さんの生活のお手伝いをしています。ヘルパーはお手伝いをするのが仕事ですが、私も大江さんに助けてもらっています。私はヘルパーになる前は別の仕事をしていました。コロナの影響でその仕事が出来なくなって困っていたら、大江さんのヘルパーとしてお仕事が出来るようになり、とても助かっています。それから、大江さんは私が毎日楽しくお仕事が出来るようにいつも助けてくれます。困ったことがある時は相談にのってくれます。一緒に美味しいご飯を作って食べたり、買い物に出かけたり、テレビを見たり、私たちは一緒に楽しく暮らしています。大江さんと私は、いつもこのトーキングエイドという機械を使ってお話をします。これからこのスクリーンにトーキングエイドの写真を映しますので見てください」

スライド2 山内「トーキングエイドは、口で話すのが難しい人が使う会話をするための機械です。大江さんがトーキングエイドを使ってお話しますので聞いてください。まず、“お”のボタンを押すと… “お”と言います。“は”のボタンを押すと… “は”と言います。そして、“よ”と“う”のボタンを押して… 最後に再生ボタンを押すと… “おはよう”と言います」

大江「おはよう」

大江 (トーキングエイドで)「私たちは、障がい、生まれた国など、いろいろなことに関係なく、みんな一緒に遊んだり勉強していけるといいなと思って活動しています。今日は私たちの話を聞いてください。よろしくお願いします」

山内 (繰り返し&補足)「そうですね。障がいがある人も無い人も、関係なくみんなで仲良くしようよ、というのが、大江さんがみなさんにお伝えしたいことです。みなさんは、もしかしたら自分と違う人や知らない人と話をする時に、少し恥ずかしかったり、困ったりすることがあるかもしれません。男の子は女の子と話すのが恥ずかしかったり、女の子は男の子と話すのが恥ずかしかったり、また大人の人や外国の人とどう話をすれば良いのか、困ることがあるかもしれません。話をしたことが無い人と初めて話す時は緊張することもあると思います。それでも、少し勇気を出して話をしてみれば、その人のことを知ることが出来、きっと仲良くなれます。それでは、ここからは、大江さんのお話を聞いてもらい、大江さんのことをよく知ってもらいたいと思います。質問コーナー車椅子説明

スライド3 山内「これは1才頃の写真です。我ながら、なかなか可愛い。赤ちゃんの時の一枚です。この頃、私は障がいがわかりました。生まれてこられた事に、とても嬉しさと感謝を感じています。母とお風呂に入るのが大好きでした」

スライド4 山内「小さい頃、千葉県の松戸に住んでいて、隣のアパートのチイちゃんとよく遊びました。砂場での一枚です」

スライド5 山内「ひとりで座れないので、特別な椅子で支えられています。みんなと同じように遊びたくて、なんでもチャレンジしてきました。噴水から流れた水を一生懸命、お皿に受け止めようとしています」

スライド6 山内「足の手術で入院中に一度家に帰った時、近所のサッカーチームの練習に入れてもらいました。仲良しのコウヘイ君が自分のユニホームを貸してくれました。後ろ向きの子がコウヘイ君です。コウヘイ君は私にとって初めての親友です」

スライド7 山内「保育園の学芸会も車椅子で参加しました。「ぞうのたまごのたまごやき」のにわとり役です。セリフもトーキングエイドで喋って、王子様役の子に車椅子を押してもらいながら舞台に上がりました」

スライド8 山内「保育園の友達と地域の小学校へ。入学式の写真です。いつもランドセルは車椅子の背中にかけていきました。どうしても保育園の友達と同じ学校に行きたくて、お父さんお母さんと相談して決めました。このあと地域の中学校、都立高校、そして大学へと進みました」

スライド9 山内「小学校の頃は、毎年 夏には海に行っていました。楽しかったな~。水の中は気持ちよく光がゆれて、身体も自由だったと思います。」

スライド10 山内「小6の時に友だちの家族とキャンプをしました。気分は一緒に木登りしています。保育園からの親友と夜はキャンプファイヤーやトランプが楽しかったです」

スライド11 山内「最後の写真は、大人になって成人式の時です。この頃はルーテル学院大学で福祉を学んでいました。福祉とは“みんなが幸せになれるよう”に取り組む活動のことです。 今は練馬を中心に小学校をまわって、障害のある人の暮らしを伝えるための活動をしています。障害のある子供もない子供も同じところで教育を受けて共に育つことを強く願っています。そして色々な人が暮らしやすい町を作れたら良いと思います。崚太さんの紹介はこれで終わりですが、最後に崚太さん本人からの言葉を聞いてください」

大江(トーキングエイドで)「私はずっと、まわりの友だちと、一緒の保育園、小中学校であたりまえに育ちました。そして都立高校、ルーテル学院大学へとすすみました。それは私の親や、その時支えてくれた人たちにとっても大変な道でした。でも色々な人がいる環境を過ごせたことが私自身の物の考え方や世界を広げたと思います」

山内(必要があれば繰り返し)「崚太さん、ありがとうございました。みなさんもしっかりお話を聞いてくれてありがとうございます」

スライド12 山内「次はみなさんに知ってもらいたい言葉があります。“ユニバーサル・デザイン”という言葉です。これから色々な例を出しながら、ユニバーサル・デザインとはどういうことなのか紹介します。まず始めに、この絵文字のようなものはサウンズアンドシンボルズといいます。先ほど少しトーキングエイドの話をしましたが、トーキングエイドで話すにはひらがながわからないと12言葉が喋れません。まだひらがながわからない小さな子供の時でも、伝えたい思いを伝えるのに、絵文字やシンボルマークなら伝わるだろうと、崚太さんのお母さんが見つけてきて、崚太さんと使いだしたのが、このサウンドアンドシンボルズです。うれしいって言うのはどれだかわかりますか?」

スライド13 山内「次にこれはトイレの写真です。小さい崚太さんがつかまっているのは、介助用のバーです。これにつかまれば安定して座っていられます。このバーは使わないときは跳ね上げて壁にくっつけておくもので、ほかの人がトイレを使う時でも邪魔になりません。これがあるだけで障がいのある人もない人も同じトイレを使うことができます。駅や公園によくある“だれでもトイレ”にはこのような設備があります」

スライド14 山内「小学校3年くらいから、お風呂に入るときにリフターという機械を使うようになりました。シャワー椅子という濡れてもいい布で作られた車椅子の座るところだけ持ち上げてそのまま湯船の中に入ります。ゆったり安心してお風呂につかれます。今も同じタイプのリフターとシャワー椅子を使ってお風呂に入っています。」

スライド15 山内「お風呂用のシャワーチェアとリフターです」

スライド16 山内「これは西武線の電車に乗るところです。駅の改札口で“○○駅まで行きたいです”と伝えます。そうすると駅員さんたちがいろいろ手配してくれてホームまでエレベーターを使って案内してくれます。予定の電車が来ると乗り降り用のスロープを出してくれて乗り込みます。降りる予定の駅には連絡がいっていて駅に着くとスロープを持った駅員さんが待っていてくれてドアが開くとスロープをかけてくれてスムーズに降りられます」

スライド17 山内「これは街中を走る低床バスです。低い床と書いて低床と読みます。バス停で車いすの人も他の人と一緒に待ってバスに乗れます。運転手さんがバスの低い床からスロープを出してくれて乗ります。崚太さんのお家は駅から離れているのでよく利用しています」

山内「サウンズアンドシンボルズ、だれでもトイレ、お風呂用のシャワーチェアとリフター、それから電車とバスを紹介しましたが、これらがすべて“ユニバーサル・デザイン”です。つまりユニバーサル・デザインとは、お年寄り、からだの不自由な人、妊娠している人、赤ちゃん連れの人、子ども、外国の人、色々な全ての人のことを考えて、みんなが使いやすいようにしようと考えることです」

皆さん今日は私達の話しを聞いてくれてありがとうございます。この街の中には身体に障害のある人、お年寄り、外国人の方など様々な人がいます。その人達それぞれがお互いを認め、手を取り合って暮らしやすい街を作っていけたらという思いで活動しています相手のことを知って違うことを認めて手を繋いでいく事が大切だと思います。皆さんもそんな街を作る仲間になってください。よろしくお願いします。

私は、大江さんの活動を推薦いたします。

なお、ご連絡は、talkingotoko@yahoo.co.jpのメールにどうぞ。

市川一宏

<卒業生>ハーブティー専門店 ウッドチャック

現在はカフェ(ハーブティー専門店)を経営しています。ルーテル学院大学で心理学やキリスト教に触れ、人に寄り添う仕事の大切さを知りました。入学当初のカウンセラーになる目標とは異なる道を選びましたが、今はお客様の心に寄り添えるカフェを目指して頑張っています。

ご機会あれば、ぜひ押上の『ハーブティー専門店 ウッドチャック』に遊びにきてくださいね!

◆ハーブティー専門店 ウッドチャック インスタグラム: @tea_woodchuck

<卒業生>高知県四万十町で地域の食材を使ったシュトーレンをつくるカゴノオトの挑戦

98年に卒業した小清水緑です。高知県四万十町に移住してカゴノオトというお店をしています。四万十の農家さんから素材を直接仕入れ、それらを使ってお菓子にしています。

メインに作っているのはシュトーレンです。

大学に在籍していた4年間。クリスマスの前のきらきらするアドベントが大好きでクリスマスまでの期間が楽しみでシュトーレンというお菓子が大好きになったんですよね。四万十町に移住したら農家さんが果物や野菜を育てそれらがどんなところで育つのかがわかるようになり農家さんが育てていることがとても尊く感じました。そんな素材をフレッシュなまま買わせてもらいドライフルーツにするところから加工して1年かけてずっとシュトーレンを作っています。

そんな1年かけてつくってきたシュトーレンを発送しはじめるのはアドベントからです。買ってくださる方の1年と同じ時を刻んでつくってきたシュトーレンです。みなさんの1年を祝福し1年を思い出しながら召し上がってもらいたいなと作っています。

https://www.kagonote.com/p/item-detail/detail/i3.html

また今年は四万十のいちごと金柑、ゆずを使ったチョコレートシュトーレンも販売開始しました。

https://www.kagonote.com/p/item-detail/detail/i118.html

シュトーレンの他に通年でいつでも販売している色とりどりのしまんと果実タルトもあります。

https://www.kagonote.com/p/item-detail/detail/i20.html

作業の一部は障がいがある方にも担ってもらっていろんな人の手を経てお届けしています。こんな事業ができているのもルーテルで過ごした大切な4年間のおかげです。いつでもルーテルの存在を感じながら過ごしています。

カゴノオト

https://www.kagonote.com/

カゴノオトの理念  *できてもできなくても認められる社会に貢献する  *カゴノオトに出会った全ての人がカゴノオトに出会えてよかったと思える事業を展開する

<卒業生>子どもにあった縦軸の生き方を守る長野県ひかりの学校の新たな挑戦

私が応援しているひかりの学校の新たな挑戦です。以下、いただいたメッセージを紹介します。

皆様

ルーテル学院大学卒業生の髙林真理です。

皆様にはいつも私たち夫婦が運営するフリースクール「ひかりの学校」を応援していただきありがとうございます。

「ひかりの学校」がある信州安曇野は、秋から冬へ季節が移り変わろうとしており、朝晩の冷え込みがこれから来る冬の寒さを告げ知らせているようです。教室は薪ストーブで暖かいのですが、休み時間になると子どもたちは毎日外に出て鬼ごっこやサッカーをしています!みんな元気です!現在10名の子どもが在籍しておりますが、1人の子どもは東京の公立学校に復帰することができました。また4人の子どもたちが来年度から公立の小学校に復帰するための準備をしております。

昨年度、「信州の特色ある学び すべての子どもたちに教室を!プロジェクト床・壁・天井 編」で皆様からたくさんのご寄付をいただき本当にありがとうございました。

寄付募集期間が終了した後もひかりの学校へ直接いただいたご寄付も合わせると、合計1,067,080円という今までにない多くのご寄付が集まり、夫婦ともども驚きと共に感謝の気持ちでいっぱいです。

どこまでの予算で、どこまで改築工事をするか、どんな補助金が活用できるかなど…、SATO建築工房の佐藤さんと話し合い、今年10月から改築工事が始まりました。

以前動画でもお伝えしたように、2階建の倉庫は元々蚕が飼育されていた場所で、つくりが頑丈な何もない物置きでした。ひかりの学校の活動の一つであるダンス練習をするのに、教室では狭いのでその物置きに畳をひいてダンス練習をしていました。そんな場所が今着々と素敵なスタジオに変わりつつあります!!現在まだ工事中ですが、その様子を動画にいたしましたので、どうぞご覧ください。

また、今年度は、昨年度の第二弾「信州特色ある学び すべての子どもたちに教室を!プロジェクト塗装・流し・トイレ編」として寄付を募っております。水回りも完備できると、学校での宿泊学習も可能になります!親の会・地域交流会など様々な活動を広げることができます。

この文章を読んでくださった皆さんが、今年も寄付にご協力してくださることもとても嬉しいです。しかし一方で、全国で社会問題となっている不登校や発達障害の教育活動に取り組んでいる「ひかりの学校」のことを、「私が応援している施設に、協力をお願いできませんか?」とお知り合いの方に宣伝していただけたら嬉しいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

髙林真理

https://www.dropbox.com/scl/fi/gir8pel1cgwh62gfelbcm/2024-10-17youtu.be.webloc?rlkey=1788iwh4z47tjo9y5203lh3yz&dl=0

https://www.dropbox.com/scl/fi/b47g9ojtme6iujyw2n8eh/.pdf?rlkey=8o7znxejha2wi6ar29znqrj71&dl=0

青山学院大学相模原校舎 メッセージ 2024年10月18日

『最も小さい者』

「はっきり言っておく。私の兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである」(マタイ第29章40節)

<東日本大震災発災時>

2011年3月11日14時46分、学長室で事務長と打ち合わせをしていた私は、強い地震に見舞われました。何が起こったかわからず、つけたテレビには、津波に襲われる東北の日本海側の惨劇が繰り返し映されていました。また続く余震に呆然としていた自分が思い出されます。しかしたくさんの学生、教職員が大学に残っていることを知り、我に返り、その晩を過ごす場所、食事の対応を始めました。また、その夜、被害に遭った市町村に住む友人に携帯で連絡をとりましたが、一切通じませんでした。連絡が入ったのは、それから5日後で、「先生、生きているから大丈夫。被害は甚大で、復興はたいへんだと思います。でも、頑張っているから」という友人からの電話に、ひとまず生きていることがわかり、思わず電話口で「よかった、よかった」と言っていました。

<被災地支援>

私は、翌月、海外の支援を受けて、教会関係者と宮城県に入りました。宮城県、福島県を中心に訪問しましたが、あまりに被災地が大きく、一人ではすべての支援は無理ですので、私は、死者・行方不明者が約4000人に達し、住まいや働く場所、学校や道路や港等が大きな被害を受けた石巻の復興支援に入ることを決めました。ボランティアとして、社会福祉協議会で仕事をさせて頂き、活動計画の作成、被災者の生活支援、現地のボランティア活動支援等をバックアップしました。その支援は2020年3月まで続きました。なぜなら、支援してきた団体が年々撤退していき、それを見送る人の気持ちを私なりに理解し、また完全に復興していない現実を無視できなかったからです。

<当初の戸惑いの中から生まれた明日への希望>

震災直後からしばらくは、何をどこからしたら良いのかわからずに、被害の大きさに圧倒されて、市街地を歩いていると、ある看板を見つけました。そこには、「始めることから始めよう」と書かれていました。また、石巻市を流れる北上川の河口から遡ること4キロ上流にあった大川小学校があります。津波は川を遡り、橋に堰き止められて戻ってきた津波の両方に襲われ、全校児童108人中死者64人、行方不明10人が犠牲になりました。夏には向日葵が飾られていました。その向日葵の意味を、ある時、知りました。「ひとつぶの小さな種が、千つぶもの種になりました。 そのひとつぶひとつぶが、 ひとりひとりの子どもたちの、 思い出のように思えました。また夏が来たら会おうね。ずっとずっといっしょだよ。」『ひまわりをうえた八人お母さんと葉方丹』親は、亡くなった子どもたちのことを忘れません。今は、震災遺構として被災した当時のままの建物が残され、伝承館が建てられています。このように、震災で家族や友人、そして家や生活基盤を失った住民の思いの出会うたびに、その悲しみに私の胸も掻きむしられました。

しかし、石巻には、全国から、たくさんのボランティアや支援者が応援に駆けつけてきました。石巻専修大学のグランドには、たくさんのテントが張られていました。医師や看護師、ソーシャルワーカーは避難所や、地域住民の支援にあたりました。自衛隊により行方不明であった方の発見も増えてきましたし、業者等によって壊れた建物は徐々に撤去され、道や建物が整備されてきました。その中で、自分たちで、コミュニティを再建しようとする、明日への希望を灯す地域の活動も生まれてきました。

<なぜ、被災地に心が向いたのか>

率直に言って、いてもたってもいられなかったから。今まで当たり前に思っていた生活を自然の猛威によって突然奪われ、また人間として当然の機会である学び、成長、安定等の機会と可能性を奪われた方々がおられた。「はっきり言っておく。私の兄弟であるこの最も小さい者の一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。」(マタイ第29章40節)と書かれている方々に、私は『もっとも小さい者』の姿が重なったのです。そして、2、3ヶ月に数日現地で活動していましたが、今までの大切な絆を断ち切られ、悲嘆しておられる方々の存在を神が守ろうとその方のそばに立って私たちを招いておられると思いました。

<たくさんの学びがあった>

何度も石巻を訪問する中で、私は生きていくことの尊さ、その日々の歩みを学んできました。自らも被害を経験した住民やボランティアが、一人暮らしの方々が集まれる場を提供し、またCSC(コミュニティソーシャルワークコーディネーター=地域福祉コーディネーター)が配置され、当初の仮設支援に始まり、復興住宅支援、地域支援に関わりました。ちなみに、10数名いるCSCの半数は、県外から応募してきた方でした。。当事者が困難に直面して思わず後ろをふりかえった時に、このような悲しみに寄り添う方々が多数おられた。たとえ長い道のりでも、今を誠実に歩むこと、他者との絆を確認しながら、ひたすら今を生きていくことによって、明日が拓かれいくことに何度も出会いました。支援する者だと思って活動を始めた私ですが、石巻での支援を通して多くの方々に教えられたのでした。

<最も小さい者は、私自身でもある>

今、どこに地震や大雨等による洪水が起きても不思議ではありません。そして、引きこもり等の関係性の危機、貧困という経済的危機等が深刻化し、私たちは厳しい生活環境にに直面しています。私は、今でも複数の行政計画や地域活動に関わっていますが、解決する手段が見つからない困難さを感じています。そして、倒れている「最も小さき者」に駆け寄って助け起こしたら、その人は私自身であったことに、何度も気が付かされます。最も小さい者は、自分自身であることを知る時、そこに共感が生まれるのです。だからこそ、共にもっている痛みの共感から始まる地域を描いていきたいと思います。

<それぞれが、生きる道、生きていく道を大切に>

私は、いくつもの行政、社会福祉協議会、社会福祉法人等と関わる中で、3つの重点課題を言っています。①自らの働きを問い直す、②地域・地域ケアのあるべき姿を描く、③協働した取り組みを目指すです。その呼びかけ応えて、たくさんの方々が取り組んで下さっています。感謝です。

私は、講演や会議において、キリスト教のことを決して申し上げません。一緒に困難な生活課題に直面する方々を支援していこうとする気持が一致しているからで、それで十分です。ただ、私の生き方として、この聖句が根底にあります。

皆さんは、これからどのような社会を築きたいですか。どのような生き方をしていかれますか。私は皆さんに期待したい。その答えを求めて、さまざまなことに出会う機会を大切にしてください。

一本の木を植えなかれば、砂漠の緑化は始まらない。

★以上は、当初予定していたメッセージの元原稿です。ただ、私は、参加者の表情を見ながら、アドリブや内容を多少変更して話しますので、このままお話ししたのではありません。

『実践者・開拓者であれ!信州の地域福祉の歩み』(2023年)

みなさん

お元気ですか。

私も、年齢に相応しく元気にしています。そして、私は幸せ者で、今まで一緒に歩んできたたくさんの卒業生、友人がおります。その方々のそれぞれの思い、働きが今の福祉の取り組みを築き、さらに未来を切り開いていく原点になると確信しています。だから、今までの実践や実践者の思いを、歴史の中から掘り起こし、光を当てていきたいと思っています。

最近は、今まで一緒に地域福祉等の向上に挑戦してきた仲間と一緒に『人生100 年時代の地域ケアシステム―三鷹市の地域ケア実践の検証を通して』NPO法人三鷹ネットワーク大学推進機構(2019年)、『練馬パワーアップカレッジの歩み』(2019年)、『実践者・開拓者であれ!信州の地域福祉の歩み』(2023年)として、活動の思いと実績をまとめました。

今回、NHKの元記者であり、福祉や市民活動にとても詳しい町永さんが、『信州の歩み』のコメントをしてくださいました。町永さんの書評は、本を一緒に企画し、執筆した仲間にとっても、励ましになります。

皆さんも、よろしければ、お読みください。

長野の方々の熱い思いが詰まっています。

ちなみに、町永さんは私を評価して下さいましたが、私は呼びかけとバックアップしかしていません。主人公は、地域福祉を推進した当事者の方々です。町永さんが書いてくださった私の評価は、私にとって、過分なものと思っています。

どなたにも、今を自分なりに誠実に生きることによって、それが接木となって、明日が開らかれていくことに感動する時が必ず来ると思います。今の私のように。

PS.信州の歩みを企画し、自らも歩みを執筆し、本として完成させた仲間の一人が、この夏、お亡くなりになられました。素晴らしいソーシャルワーカーでした。本当に悲しいですが、彼女の思いは、必ずや後継者に受け継がれていくと思います。

練馬区木瓜の会公開学習会のお知らせ

10月11日(金)13:40~16:00(開場13:20)、練馬区ココネリ研修室(西武池袋線・都営大江戸線「練馬駅」下車)におきまして、練馬区木瓜の会公開学習会において、『ボケたっていいじゃない!~共生社会実践レシピ~』というテーマでお話をさせて頂きます。参加費は無料です。

「まちかどピクチャーズ」認知症があってもその人らしく活躍できる時代を目指して

私が、認定NPO法人市民セクターよこはまとお会いしたのは、2023年10月25日です。「ニッセイ財団高齢社会地域福祉チャレンジ活動助成」に申請され、選考の結果、認められ、選考委員の1人であった私が担当として、認知症カフェ動画プロジェクト「まちかどピクチャーズ」の応援をすることになりました。25日は贈呈式が行われ、訪問させて頂きました。

本プロジェクトの目的は、以下のように書かれています。

「まちかどピクチャーズ」は、今後2年間にわたって横浜市内の認知症カフェ等18か所を動画で取材し短編映像作品を制作し、どなたでも見られるようYouTubeで公開していきます。認知症カフェ等に行ったことがない人にも様々な取組みの様子を手軽に見てもらうことができます。また取材チームに認知症当事者の方が参加することは今回のプロジェクトの大きな特徴です。これは「認知症があってもその人らしく活躍できる時代」を象徴するような活動になることでしょう。

以下、ホームページに書かれていることを紹介します。私も、当事者の方がまちかどピクチャーズとして取材される映像を見て、単なる記録ではなく、血の通った心温まる思いを共有することができました。当事者が参加なさる意味を大切に、映像にして頂くことを期待しています。

動画はこちらから ニュース | まちかどケア (machikadocare.jp)

2024.02.15

音楽のある認知症カフェ「結うカフェ」 まちかどピクチャーズvol.1

音楽のある認知症カフェ「結うカフェ」 まちかどピクチャーズvol.1

認知症カフェをご存じですか?
認知症の人や家族、専門職だけでなく、どなたでも参加できる学びと交流の場です。ぜひ多くの方に参加してほしいと思いますが、でも知らない場所に顔を出すのはちょっと勇気がいるかもしれません。そこでまずは動画で様子を知っていただこうというのが「まちかどピクチャーズ」のコンセプトです。

お伝えするのは認知症の当事者を含む市民リポーターのみなさんです。未経験ながら練習を重ね丁寧で誠実な取材を心掛けます。
 ぜひ動画をご覧になり、取材チームの人柄も感じ取っていただければ幸いです。

今回「まちかどピクチャーズ」取材チームBのあさみさんと大塚さんが訪問したのは、横浜市泉区の「結うカフェ」です。その記録をぜひご覧ください。

まちかどケアYouTubeチャンネルからご覧ください。
https://youtu.be/MLcY0oJhF9Y

まちかどピクチャーズは「認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき、集う場」である認知症カフェ等を映像化し、その様子を広く市民の方々に知っていただくことを目的とした認定NPO法人市民セクターよこはまの活動です。2024年から2025年にわたり18か所の認知症カフェ等を取材し短編映像作品を制作します。
※当活動・制作は公益財団法人日本生命財団の助成を受けて実施しています。

また、この度、まちかどピクチャーズの記事が、読売新聞神奈川版23面に掲載されました。紹介させて頂きます。

まちかどピクチャーズのアクションを参考に、私も練馬区木瓜の会の公開学習会で話させて頂きます。テーマは、「ボケたっていいじゃない!~共生社会実践レシピ~」です。

浅草橋にコワーキングスペースが9月30日にオープン

打ち合わせ、お仕事等に活用して下さると便利と思います。卒業生の店です。

https://www.instagram.com/stories/another_desk_2401/