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ニューヨークの病院で働く卒業生から学ぶ⑴

<市川>4月2日午前8時、同期を介して、ニューヨークにいる卒業生の岩◎さんよりラインが届きました。私の卒業式のメッセージや卒業生への呼び掛け文を読んで、涙したこと、心が癒やされたこと、そしてニューヨークにおける医療現場の厳しさが書かれていました。

私は、早速、今でも繋がっている卒業生に対して、以下のメール・ラインを送りました。 

<市川><岩◎さんへの応援メッセージの依頼>

「こんにちは。

さて、1992年度岩◎さんから、ラインが届きました。励ましのメッセージを送ろうと思います。

「私は今、マンハッタンのMount Sinai Hospital と言う大きなhealthcare system の中の一つのHospital のCOVID ICUで働いています。3日前ですでにMountSinai System の全部の病院での死者が187人に上り、今日の時点では死者の数がもっと増えていると思います。霊安室も一杯でご遺体を置く場所もありません。ICUベッドもICUナースも足りないし、人工呼吸器も足りません。私の働くICUでは<省略>まさに、戦場下です。数週間前までは普通に生活をしていたのに、人間の生活ってこんなにまで急に変わってしまうのですね。自分の身を守るためのマスクやガウン、フェイスシールドなども不足して、自分の身も守れません。こんなに時ですが、いつも私が神様に願っていたこと「神様のために私を用いて下さい」と言うことが、もしかしたらこれなのかも知れません。・・・・・。」

励ましの気持ちを伝えたい卒業生は、私個人に100字以内のメッセージを送って下さい。今週末には、まとめて送りたいと思います。」

 そのメール・ラインを受けて、私にたくさんの励ましのメール・ラインが届きました。4日の午後、それをまとめて岩◎さんに送りました。私たちの思いを込めて。

 今日5日に、早速、岩◎さんからメールが届きました。

<岩◎>「市川先生、

ルーテルの皆さんからのメッセージを一つひとつ大切に読ませて頂きました。涙が止まりません。皆さん、本当にありがとうございました。

そして、多くの方の祈りに支えられて私の毎日があるのだと思いました。皆さんの祈りを大切にこれからも頑張っていきます。どうぞ、これからも私たちのために祈ってください。

今の時点で、NY市内でのコロナ患者さんの死者が2600人以上にのぼりました。まだまだ、上昇のスピードが衰えておらず、今後2週間後あたりにピークが来ると言われています。

統計からみると、病院にコロナで入院した3分の2の患者さんは後遺症があるにしても自宅や施設に退院しています。その反面、3分の1の患者さんは重篤な状況になり、ICUで治療されているか、または亡くなっています。重篤患者さんの増加に伴い、私の病院ではICU病棟が70床以上にまで増やされました。<省略>お年寄りの患者さんの数も多いのですが、若くて既往歴の全くない健康な30歳代、40歳代の重篤なコロナの患者さんも増えており、自分は若いから大丈夫だということはコロナに関しては通用しない恐ろしさがあります。

<省略>

ご存じのように病院のベッドが足りず、コンベンションセンターや海軍の船が病院としてコロナでない患者さんを収容していますが、今、一番深刻なのは看護師、医師不足です。特にICUの看護師が不足して、私たちICUナースは通常の2倍の量の患者さんを受け持っており、同僚たちもオーバーワークで次々に体調を崩していっているので、これからは体力勝負となってきました。

看護師、医師不足を解決するために各州で、免許を持っていて今は臨床で働いていない看護師や医師のリクルートも始まり、定年退職した看護師や医師にも現場に戻ってきてもらるようにしています。最悪の場合、看護学生や医学生の導入もバックアッププランとして考えられています。

医療従事者の不足もちろんのことながら、人工呼吸器やその他の医療器具の不足も深刻な中で、この状態が続けば患者さんのトリアージをして、助けられる命を選択して治療を行っていかなくてはいけないことになるかも知れません。それだけは避けたいと願っています。

患者さんの看護を通して見えない敵、コロナの怖さを見せつけられていますが、問題なのは効果的な治療がないことで、今は、防ぐことだけが多くの人の命を救うことにつながっています。日本でも、医療関係者が日本でも数週間後にアメリカのような状況になってしまうこともあるかも知れない、と言っておられますが、確かにその危険はあるかも知れません。ですから、今、一人ひとりができること、他人事とは思わずに外出自粛、自宅待機などを守っていくことで、アメリカのような状況は防げると思っています。

皆で心を一つにして生きていく時になりました。

私も皆さんの祈りに支えられて頑張っていきます。

また、近況をお知らせします。

本当にありがとうございました。

岩◎」

<市川:卒業生へ>今回の呼びかけを通して、私が感じたことは、以下の通りです。

1.私がメール・ラインを送った卒業生の多くは、相談やケアを行い、まさにギリギリのところで踏ん張ってくれていること。例えば、生活しているホームで働いていたり、医療現場で一般の患者の相談に応じ、また治療後の患者の復帰を支援している卒業生、訪問をして、高齢の方や障害をもつ方を支援する卒業生、子育てに関わる支援を行っている卒業生、生活困窮者を支援している卒業生がいます。彼らは、仕事の中で、自分がコロナウイルスに感染するのではないか、また利用者にコロナウイルスをうつすのではないかと、不安と緊張のただ中に置かれていること。でも、彼らの働きがなければ、利用者の生活が成り立たないことも事実であり、緊張の日々が続いていること。

2.それゆえに、自分のことで精一杯なことは、十分理解できること。

3.このように献身的に働いている専門職に対する社会の配慮、応援、理解が乏しい言動や動きが散見されること。

4.卒業生には家族がおり、小さい子どもを含めて、養育していかなければならないこと。また、親の介護の責任がある卒業生もいること。家族にウイルスをうつさないか、心配は尽きない。

5.ウイルスの感染によって大きな影響を受ける子どもを必死で守っている何人もの卒業生がいること。

私は、それぞれの卒業生の働きに心から感謝し、それぞれの生き方に敬意を表します。

確かに、コロナウイルスの広がりは、今までの関係を打ち砕き、不安、恐怖、不信、怒りを生み出し、負の連鎖が広がってきています。

だからこそ、私は、大切なもの、大切なことを守る決意が必要だと思います。私は、その中に「人への思いやり」を加えたい。そして、今回の卒業生との絆を、これからも大切にしていきたい。絆を寸断されるのではなく、より強めたいと思っています。そのためにも、皆には、何としても罹患せず、生き抜いてほしい。

非力な私ですから、それぞれの悩みや痛みを聞く役割しか担えません。しかし、卒業生とこれからも歩んでいく可能性を模索し続けていきたいと思っています。一緒に明日を切り開いていきましょう。

市川の履歴(2020年3月)

市川一宏(いちかわかずひろ)                2020年4月1日現在

1.教育歴

 1983年4月より 日本ルーテル神学大学専任講師

 1992年4より ルーテル学院大学助教授を経て 教授

 2002年4月より2014年3月まで ルーテル学院大学学長

 2014年4月より2018年3月まで、大学院研究科長・学事顧問・教授

 2018年4月より2020年3月まで、ルーテル学院大学学長

2.現在 

ルーテル学院大学人間総合学部人間福祉心理学科・大学院人間福祉学研究科社会福祉学専攻 教授

3.学歴

 早稲田大学法学部、日本社会事業学校研究科、東洋大学大学院社会学研究科社会福祉専攻博士前期課程・後期課程、ロンドン大学ロンドン・スクール オブ エコノミックス(LSE)特別研究員2002~2004年

4.専門分野:社会福祉政策・地域福祉・高齢者福祉

5.研究テーマ:全国・都道府県・市区町村の行政、社協、民間団体における計画の策定、実施、評価および調査研究、人材養成・研修等に多数関わる。

全国各地の実践から、様々な「地域の福祉力」を学び、各地域に合った地域福祉実践を研究テーマとしてきた。特に近年、地域の福祉力を高め、孤立を防ぎ、「おめでとう」で始まり、「ありがとう」で終わる一人ひとりの人生が守られる、希望あるまちづくり、共生型社会づくりに挑戦している。

6.学会の活動

・日本キリスト教社会福祉学会会長(2017年6月まで)

・日本地域福祉学会理事(渉外担当)、査読委員<2020年6月まで>

・日本福祉学会監事<2020年5月より>、査読委員

7.法人関係等役員

・東京神学大学評議員

・三鷹ネットワーク大学推進機構副理事長

・福祉系大学経営者協議会理事

・医療法人財団慈生会野村病院監事

・ニッセイ財団高齢社会助成審査委員

・厚生労働省寄り添い型相談支援事業等選定・評価委員会委員

・学校法人九州ルーテル学院理事(2019年4月まで)

・学校法人浦和ルーテル学院評議員(2019年3月まで)

・日本ソーシャルワーク教育学校連盟相談役(2019年5月まで)

・認定社会福祉士認証・認定機構研修認証委員会理事(2018年5月まで)

8.最近の主な学外活動 

・国際基督教大学非常勤講師「社会福祉概論」

・石巻市ボランティアセンターアドバイザー・地域福祉活動計画策定委員会アドバイザー『第3次地域福祉活動計画』・石巻市地域福祉アドバイザー

・小金井市介護保険運営協議会会長

・調布市高齢者福祉推進協議会顧問

・三鷹市介護保険事業計画検討市民会議委員

・武蔵野市健康福祉総合計画推進会議会長・地域福祉計画策定委員会委員長

・練馬区介護保険運営協議会会長、練馬区地域福祉パワーアップカレッジ学長(2019年7月まで)

・世田谷区共同募金配分委員会委員長、評議員専任・解任委員会委員長

・東京都高齢者保健福祉計画策定委員会委員・東京都共助社会を進めるための検討委員会委員長・社会貢献表彰専門部会会長

・東京都社会福祉協議会総合企画委員会委員長、法人理事

・神奈川県地域福祉支援計画評価・推進等委員会会長(2019年6月まで)

・全国社会福祉協議会全国ボランティア市民活動振興センター運営委員長、評議員選任解任委員会委員

・『日本の都市総合力評価(JPCI)有識者委員会(Expert Committee)』 委員<社会福祉担当>(森記念財団)

9.著書・論文等

(単著)

・2014年6月『「おめでとう」で始まり 「ありがとう」で終わる人生 福祉とキリスト教』教文館

・2009年5月『知の福祉力』人間と歴史社 等

(2019年度における論文等)

・2019 年1月この人に聞く「ソーシャルワーカーは、専門職である前に一人の人間であれ」聞き手松本すみ子先生、『ふくしと教育』(日本福祉教育・ボランティア学学会機関誌)2019 通巻26 号、p.38〜p.41

・2019年5月「岡本榮一理論へのキリスト教社会福祉からのアプローチ」(単著) p.90〜108『ボランティア・市民活動実践論』ミネルヴァ書房

・2019年5月「序章 三鷹市における地域ケアの現状と未来への展望」(単著)p.9〜22、「第1章 三鷹市における地域包括ケアシステム構築の現状と課題」(単著)p.28〜37、「地域ケアの過去、現在、将来」(特別対談 清成忠男前理事長)p.243〜251、「地域ケアネットワーク創設への想いを語る」(インタビュー 清原慶子前三鷹市長)p.235〜242、『人生100 年時代の地域ケアシステム―三鷹市の地域ケア実践の検証を通して』(編集代表・共著)NPO法人三鷹ネットワーク大学推進機構

・2019年10月(有識者委員)『日本の都市特性評価2019』森記念財団都市戦略研究所

・2019年11月(書評)森清著『ひとりでも最後まで自宅で』『本の広場』p.12・13教文館 

・2019年11月「慈愛園から学ぶ」『100周年記念誌』社会福祉法人慈愛園

・2019年11月「健生会の歩みは地域に希望の光を届けてきた歴史である」『創立35周年記念誌』NPO法人健生会

・2020年1月「明日の地域を描く」(自著)『地域福祉パワーアップカレッジねりまの「歩み」』p.5〜7(発行人)パワカレの歩み編集委員会

・2020年1月「キリスト教社会福祉実践の原点を考える」(発題要旨)『キリスト教社会福祉学研究』52号、p.80〜82日本キリスト教社会福祉学会

・2020年2月「桐ヶ丘地域のまちづくり再生」実践の持つ意味」(コメント)『第33回ニッセイ財団シンポジウムの記録集「高齢社会を共に生きる」』p.63・64日本生命財団

・2020年3月「自治体とコミュニティの関係性を踏まえた人材確保のあり方」(全国市長会の講演録)『コミュニティの人材確保と育成~協働を通じた持続可能な地域社会~報告書』日本都市センター

・2020年3月「解説 民児協運営のポイントと会長としての心構え」(自著)p.6・7『VIEW No.214』全国社会福祉協議会民生部 

10.講演・研修等

5月20日「これからの民生委員・児童委員活動を考える」大阪府民児協、大阪府民生委員児童委員大会

5月27日「介護支援専門員らしく、利用者や地域を支えるために」大分市居宅介護支援事業者連絡協議会、研修会

6月10日「これからの民生委員・児童委員活動を考える」新潟市民児協、新潟市中堅民生委員児童委員研修会

6月12日「自治体とコミュニティの関係性を踏まえた人材確保のあり方」地域社会を運営するための人材確保と人づくりのあり方に関する研究会、全国市長会

6月17日「地域福祉の方向性と地域福祉コーディネーターの役割」(講義と演習)長野県社協、長野県地域福祉コーディネーター養成講座

6月28日第60回日本キリスト教社会福祉学会大会シンポジウム「神と隣人に仕えるー地域共生社会形成におけるキリスト教社会福祉の役割」(発題)

6月20日・9月12日「地域援助技術」(コミュニティソーシャルワーク):「これからの地域福祉と主任介護支援専門員の視点」(講義と演習)「地域福祉を進める専門職の目指す方向」(講義と演習)長野県社協、長野県主任介護支援専門員研修会

7月4日・16日「社会福祉概論」裁判所総合研修所、家裁調査官研修

8月20日・3月1日・16日「特別講義:問い直される社会福祉の使命―新しい共生社会の創造」中央福祉学院、社会福祉主事資格認定通信課程

9月9日「地域福祉をめぐる課題と展望」神奈川県、地域福祉担当職員研修(初任者編)

9日29日・10月3日・11月12日・1月23日「地域福祉をめぐる課題と展望」自治大学校、(管理職)課程講義

10月9日「県民一人ひとりが作る地域共生社会について」沖縄県社協、沖縄県社会福祉大会

12月17日「地域福祉コーディネーターの役割」新潟県社協、地域福祉コーディネーター養成研修

1月28日「単位民児協会長・副会長の心構えと役割について」香川県民児協、単位民児協会長・副会長研修

1月29日「地域福祉を推進する者として」名古屋市民児協、研修会

2月4日「これからの民生委員・児童委員活動を考える」土浦市、全体研修会

2月7日「民生委員・児童委員協議会の運営と副会長の役割について」埼玉県社協、民児協副会長研修

2月13日・14日「民児協のリーダーに求められる役割」(講義と演習)全民児連、全国民生委員大学

2月17日・18日「地域共生社会と民生委員・児童委員の役割について」「相談技術」長野県社協、県内研修会

地域福祉パワーアップカレッジねりまの『歩み』

2019年12月、卒業生、行政、区社会福祉協議会、講師が協力して編集した『歩み』が刊行されました。私は、地域福祉パワーアップカレッジねりまの学長を12年させて頂いたこともあり、序文を書く機会が与えられました。

明日の地域を描く

 今、地域において、様々な課題が顕在化し、それを生み出す地域自体をどのように変えていくのかという問いが出されています。地域福祉パワーアップカレッジねりま(以下、「パワカレ」という)は、自主的に地域福祉を学んだ方々が、それぞれの生活の場でカレッジの学びを実践できるように支援することを目的として、創設されました。

ふりかえって、2005(平成17)年、志村豊志郎前区長の強いお気持ちもあり、練馬区の幹部の方々がルーテル学院大学に来られ、私は、学長室で、地域福祉を担う人材の育成などを目指した学びの場を創設したいとの相談を受けました。迷いましたが職員の方々の熱意に心を動かされ、検討の責任者をお引き受けしました。検討会では、区民、行政、社協、NPO等が、テーマごとに複数のテーブルを囲み、ワークショップを行い、受講生の意思やお考えを尊重した、柔軟で将来の練馬区の地域を描く学びの場について何度も話し合いがなされました。そして区独立60周年を記念し、平成19年10月にパワカレが開設されたのでした。そして、現在の前川燿男区長も積極的に応援して下さいました。

カリキュラムの主要な方針は、地域福祉の基礎学習、地域探索と実践の見学等による実践重視、発表等の自己研鑽で構成され、一年目は基礎知識を、そして徐々に実践的理論と方法を学ぶ機会を取り入れていきました。運営に関しては、受講生の意思やお考え、取り組みを尊重しながら、行政、社協が協力してパワカレの運営を支えました。また、カレッジ祭は、パワカレにとって、学んだことを地域の方々にお示しする機会であり、私は、地域福祉を高める役割を担ってきていたと思っています。しかし、1回目から今回の12回目のカレッジ祭を通して、在学生の方々は大変苦労をなさってこられたことは、承知しています。

また、パワカレは地域そのものです。今までの生活や価値観が異なる住民が、話し合い、啓発し合い、そして助け合って2年間の学びをなさって卒業していかれた。また、様々な理由でお辞めになった方々もおられますが、私は、すべての方が、出会った大切な方々であると考えています。パワカレで学んだ方々の出会いが、パワカレの歴史を創り上げてきました。

 今一度、パワカレを振り返り、その特徴を5つ述べさせて頂きます。

 第1の特徴は、パワカレで学ばれたそれぞれの方々が、 地域の課題と様々な取り組みを学び⇒自らの立ち位置と、課題そして可能性に気付き⇒自らが今までとは変わり⇒自分の周りを変えていくというプロセスをたどっておられると私が感じることは度々ありました。同期の方々が助け合い、励まし合い、支え合い、時には意見や考え方の違いに失望し、また新たな関係を築いていく過程を通し、これからの自分の生き方を模索していった方々に、私は感動を覚えました。

第2の特徴は0か100ではない学びと実践です。0か100とは、実行するか、しないかという意味で使われます。しかし、パワカレは、その間にある1から99、そして100を目指していたと考えています。パワカレで学んだ方々は、様々な地域福祉活動をなさっておられます。また、一人の住民として、日々地域で暮らしながら、困難に直面する方々や地域福祉実践の理解者でおられる方々もいます。また行政や社協、民間団体の委員会のメンバー、役員の方々もおられます。それらの意味で、パワカレは、地域に根ざし、広がった草の根活動を生み出しています。パワカレのブランドは学ばれた方々です。

第3の特徴は、耐えず挑戦であったこと。今、地域では、様々な生活問題が生じています。2025年問題、8050問題、孤立死、児童虐待、自殺等の問題は、日本社会全体で生じています。たくさんの方々がそれらの問題の発生を防ぎ、問題の解決に取り組んでいますが、いまだ絶対的な解決策を見いだしていない。福祉政策も明らかに地域福祉を制度に組み込んでいますが、従来の家族、地域、職場が果たしてきた扶助機能は想像していた以上に弱まり、深刻な問題が顕在化してきています。だからこそ、アフリカで砂漠の緑化に取り組んでいたNPOのリーダーが言われていたように、「一本の木を植えなければ、砂漠の緑化は始まらない」のではないでしょうか。私は、パワカレが、卒業生の方々に、これからの自分を考えるさまざまな挑戦の機会を提供してきたと信じています。

第4の特徴は、自主的な同窓会活動です。2010(平成22)年に同窓会準備会が発足し、2011(平成23)年に同窓会が発足しました。その後、パワカレ生・同窓生・練馬区内の福祉団体等による会員制SNSパワカレネットワークシステムであるキャンディハートの運営が開始されました。練馬つながるフェスタ等の様々な行事への参加、パワカレ授業への協力等、練馬に根ざしたネットワークとしての役割を担っています。

そして第5の特徴は、一人ひとりの思いが輝いていること。パワカレの歴史をまとめ、後継に手渡しすることが私の最後の使命と思っていました。あまり長く学長を務めると、パワカレの運営がマンネリ化しますし、良くないと思いました。ただ、パワカレの変革期にあって、今までの卒業生の思い、活動実績を散失してしまうことは本当に残念です。一緒にパワカレの運営を考え、それぞれが支えあって築いてきたパワカレの足跡は、練馬区の財産であり、地域福祉活動そのものであると思います。今回歩みへの投稿をお願いした10期までの入学者は380名、卒業生は295名を数えます。様々な理由で途中でパワカレをお辞めになった方もおられます。

また、講師、区民、行政、社会福祉協議会、関係諸機関・団体の方々も一緒にこれからの練馬の地域福祉を考え、パワカレの運営に携わって下さいました。各期の特徴を大切にした練馬区の担当者は、創設の際に担当なさった北原さん、安定した運営の礎を築いた三枝さん、地域福祉の新たな展開に応じてパワカレを発展させたの稲永さん、社会の多様なニーズに応じた運営のためにパワカレの模索期を支えた横山さん、そして橋本さん等です。受講生への丁寧なお働きに心より感謝しています。また、練馬区社会福祉協議会の担当者による受講生の学習支援、活動支援は、受講生の可能性を広げ、地域福祉の担い手を養成するパワカレの土台を築いて下さいました。もちろん、講師の中島先生、西田先生、照井先生、正田先生のお働きなくして、パワカレは運営できなかったと思っています。

私の呼びかけに応じ、卒業生の方々が、パワカレの歩みの編纂に携わって下さいました。特に、編集代表として、1期岡本敬子さん、2期松村光典さん、3期須藤朔宏さん、4期高原進さん、5期小原あき子さん、6期二葉幸三さん、7期宮本幸一さん、8期清水明朗さん、9期橋本欣郎さん、10期渡部みさ子さんが、編集に携わり、自主的・主体的に本の内容を創り上げて下さいました。また、140名を超える卒業生が原稿を寄せて下さいました。編集委員の問いかけに応じ、原稿を書かれませんでしたが、本の出版を応援して下さった方々も何人もおられました。本当に感謝しています。なお、1期の編集をバックアップして下さった萬澤宏さんが、急逝されたことを本当に悲しく思います。ご冥福をお祈りいたします。

今もパワカレで学ばれたたくさんの方々の顔が浮かびます。授業だけでなく、カレッジ祭、懇親会、学外活動等で受講生の方々が一緒に悩み、考え、実行してきたいくつもの思い出が浮かび上がります。これは、私自身にとっても、かけがえのない経験ですし、これらの経験を共にしたパワカレ卒業生が、それぞれの場で、それぞれのやり方で、明日の地域を描いて下さると思います。もし卒業生の方々のお許しを頂けましたら、私は、このご縁をこれからも大切にしていきたいと考えています。2019年9月

私にとって、貴重な体験であり大切な思い出です。                       

            

2017年度高松市民生委員児童委員大会

2018年3月、レクザムホーにおいて、民生委員・児童委員活動の今後の展望に関して、講演を差していただきました。各地区社協の方々と情報交換をし、ご指導を頂いたこともあり、各地域にあった活動内容について、具体的にお話をすることができたと思っています。

また、午後の講演であり、午前中は、活動をなさっている地域を少し歩き、また栗林公園を見学することができました。栗林公園は、たくさんの松で構成され、園内の1,400本の松の内、1,000本は職人が手を加えている手入れ松だそうです。「約300年に渡って手入れされてきた松は、まるで盆栽のような見事な枝ぶりです」と書かれているように、見事な景色でした。東門⇒鶴亀松⇒ ⇒屏風松⇒ ⇒吹上げから見える池⇒北梅林

三鷹ネットワーク大学

平成17年10月に三鷹駅前協同ビル3階に開校した「三鷹ネットワーク大学」は、市内の国際基督教大学、杏林大学、国立天文台、ルーテル学院大学を始めとする14の教育・研究機関が集まって市と協定を結び、「民学産公」の協働によって運営する「新しい地域の大学」をめざしたプロジェクトです。現在は、19の教育・研究機関とともに運営しています(平成22年年8月現在)。

所属団体

アジア・アフリカ文化財団、亜細亜大学、杏林大学、国際基督教大学、国立天文台、首都大学東京、電気通信大学、東京学芸大学、東京工科大学、東京女子大学、東京農工大学、日商簿記三鷹福祉専門学校、日本獣医生命科学大学、日本女子体育大学、法政大学、明治大学、立教大学、ルーテル学院大学、三鷹市

三鷹ネットワーク大学総会2016

謹賀新年

あけましておめでとうございます。

昨年、学長の任を終え、「学事顧問」「名誉博士」の称号を頂きました。実り豊かな一二年間でした。皆様のご支援、お祈りに心より感謝いたします。

6月には私の原点である『「おめでとう」で始まり「ありがとう」で終わる人生 福祉とキリスト教』(教文館)を出版し、新たに歩み始めています。

本年は、一日一日を大切に、福祉実践、研究に携わる友人たちと、「希望を育むことができる」コミュニティの再生をめざし、挑戦していきます。

 この一年、皆様のお働きが守られますことをお祈りいたしております。                2015年1月

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三鷹ネットワーク大学(2014年5月22日)

三鷹ネットワーク大学は、市民、教育機関、産業、市行政が共につくる機関です。私も、設立当初より、副理事長を務めさせて頂いてます。理事長である清成忠男先生のリーダーシップのもと、実績を積み重ねてきています。
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三鷹市長特別感謝状(2013年9月27日)

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市長賞5

市長賞1

2013年度までの感謝(学長として)

感謝
今から丁度30年前、研究成果もなく、また教育経験も浅かった私に、本学院で働く機会を与えて下さったことに感謝しています。基盤を築いて下さり、お辞めになった後もたえず応援して下さった先生方、苦しい時にいつも支えて下さった卒業生諸君、後援会や教会の方々、また共に歩んで下さった関係学校、関係福祉施設の方々への30年間のご恩を忘れることができません。
また12年間の学長としての歩みを振り返りますと、大変な仕事でしたが、その分、感謝する機会が増えました。しかし、学長として達成した誇りよりその十倍の後悔を覚えています。
1期目は、はじめて信徒が学長になったのですから、まずできるだけ多くの教会を訪問し、信徒の方々にお会いし、大学を知って頂こうとチャレンジしました。現在、訪問できた教会数は、NRKと福音ルーテル教会の4分の3に達すると思います。
2期目には、大学の外部環境が急激に厳しくなり、全国的にも福祉学科の志願者が激減し、本学も予想しもしなかった定員割れを起こしました。「床が抜ける」ということを実感した時でした。しかし、総合人間学部キリスト教学科、社会福祉学科、臨床心理学科への改組をし、教育の幅を広げたことと、また社会福祉学専攻博士後期課程と臨床心理学専攻修士課程の開設によって高度の専門職教育を目指したことによって、難局を打開することができました。さらに神学校創設100年目を学院全体で祝い、浦和ルーテル学院・聖望学園・本学院の三校合同演奏会を行った東京カテドラル聖マリア大聖堂、100周年記念会を開催した三鷹市民公会堂にあふれた関係者の方々を見て、大学の復活を確信することができました。神学校の100年の実績が、大学を救ったと思っています。危機をチャンスに代えて下さった各教職員、関係する方々に感謝しています。
3期目は、改革の時でした。2014年4月より、大学は人間福祉心理学科キリスト教人間学コース、福祉相談援助コース、子ども支援コース、臨床心理コース、地域福祉開発コースになります。この改革は、「厳しい時だからこそ、皆が協力をして最善の一手をうつ」「計画を作成した中堅がそれを死守する」という方針のもと、中堅が中心になって生み出した改革です。力のない学長が12年以上学長職にいることは大学に迷惑をかけることになるとわかった時、神様は信頼する教職員を大学の将来を任せられる人材として育てて下さいました。神学校の江藤先生に大学の運営責任を委ねますが、本改革をブラッシュアップして、光を放ち続けて頂きたいと思っています。
この規模の大学でうまくいっている例がなく、いつも手探りで進まなければならなかったこと、将来を予測してたえず組織を整えないと、土俵から一気に押し出される危険性があることは、本当にプレッシャーでした。そして、狭い器、リーダーシップに欠ける能力、人間的弱さを痛感しています。3期目は、困難な時には、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」(ルカ1:38)というマリアの言葉が繰り返し聞こえ、覚悟を決め、いくつもの決断をすることができました。
振り返って、私の在任中に敬愛する石原寛理事長が天国に召されました。また、卒業生や在学生や、学院に関わって下さった関係者の方々の中にも天国へ召された方々がおられました。お一人お一人を思い出しますと、本当に辛く悲しい気持ちになります。また、PGCの閉鎖は本当に残念であり、責任を感じています。
私は、本来の姿である、研究者、教育者、実践者に戻り、「コミュニティの再生」「困難な状況にある人々を支援する専門職のバックアップ」「被災地支援」に取り組んでいきます。ルーテル学院で得た希望の光を、届けていきます。
学長としての12年、本当にありがとうございました。

2014年3月31日

市川一宏

PS.大切な卒業生Iさんのお家のクリスマスツリーです。とても暖かみのあるツリーだと思いました。病気で天国に先立たれた彼女の分まで、社会で踏ん張ってみます。それが、教え子Iさんに対する御礼。ありがとう。たくさんの方々がお支え下さったことを、決してわすれません。私は、自分の原点に立ち、社会福祉の実践現場、教育現場、研究現場で踏ん張ってみます。今後とも、お支え下さい。

石川恵美さんたが大切にしていたお家のクリスマスツリー

 

2013年度全国民生委員児童委員大会

第10集会(特別集会) 企画および進行予定について(案) 全民児連事務局

1.日 時 平成25年10月11日(金) 9時30分~12時30分

2.会 場  幕張メッセ「幕張イベントホール」

3.テーマ 東日本大震災被災地における民生委員・児童委員活動 ~被災地と全国との絆による被災地支援の強化に向けて~

4.本集会がめざすもの(主旨) 東日本大震災の発生から当日で2年7か月を迎えることとなるが、被災地はなお厳しい状況が続いているだけでなく、復興にはなお多くの時間を要することが見込まれている。 そうしたなかにあって、被災住民の支援にあたっている民生委員・児童委員の心身の負担が高まっており、委員支援も大きな課題となっている。また、本年12月には震災後初の一斉改選を迎えようとしている。 本集会は、震災被災地の復興状況や住民生活、そのなかで顕在化している課題、および被災地における委員活動の状況等について、被災地の委員からの紹介を通じて全国から参加する関係者が理解を深めるとともに、地元に戻り、広く関係者に報告いただくことを通じて全国的な理解や支援の継続につなげることをめざす。 さらに、被災地の経験を広く全国の関係者が共有することにより、今後に向け、災害時要援護者支援活動やそのための態勢整備に役立てていただく。

5.コーディネーターおよび報告者(敬称略)

【コーディネーター】 ルーテル学院大学 学長  市川 一宏

【発表者】 岩手県大船渡市民児協 副会長田代研三

・宮城県東松島市民児協 主任児童委員内野牧子

・ 福島県大熊町民児協会長秋正夫

・仙台市民児協 副会長森孝義

・千葉県浦安市西地区民児協 副会長渡邊武

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