希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

 強い緊張感を持ちながら、過重な負担に耐え、長期にわたって支援活動に携わっているルーテル学院大学卒業生の皆様に心から感謝

 新しい社会の在り方、社会福祉の在り方を考え、作りながら進んでいきましょう。

                 和田敏明

       ルーテル学院大学名誉教授・コミュニティ人材養成センター長 

 新型コロナ感染症の福祉、医療、生活現場に影響が広がる中、入所者、入院者、利用者、在宅生活者等、困難を抱えておられる方々の、命と生活を守るために強い緊張感を持ちながら、過重な負担に耐え、長期にわたって支援活動に携わっているルーテル学院大学卒業生の皆様に心から感謝申し上げます。ご利用者やご家族にも、利用の自粛や面会制限、施設や在宅福祉サービスの一時休止などをお願いし、つらい思いをさせていることにも心を痛めておられる事と思います。

 私は現在、社会福祉法人東京聖労院の理事長を務めています。高齢者関係では4つの特別養護老人ホーム、デイサービス、地域包括支援センター、訪問介護事業、児童分野で児童館や学童保育、放課後事業等を600名あまりの職員とともに取り組んでいます。会議、打ち合わせはZOOMを使用するなど3密を避けるように変えましたが、実際の仕事は、直接のサポートであり、リモートに置くかえることはできません。法人としては、職員が安心して仕事に従事できるよう、マスク、消毒液、ガウンをはじめ必要な機材の安定確保、環境整備に全力を尽くしています。それでも、利用者と家族、職員と家族などが濃厚接触者となり検査を受けるなどの発生は避けられません。経験を重ねながら対応の詳細なマニュアルを積み上げてきています。一つの事業所で、1週間デイサービスを休止せざるを得ない事態が発生した折も、関係機関との調整、ご本人やご家族へのきめ細かな対応等、職員の方々の強い使命感と適切な対応、献身ぶりに強く心を揺さぶられました。

 大学では、私がかかわってきた、コミュニティ人材養成センター主催の三鷹、小金井、武蔵野の各福祉行政と社会福祉協議会とルーテル学院大学との7者共催で11年間継続してきました、地域福祉ファシリテータ養成講座を今年は中止することになりました。今年から、新しく調布市と調布社会福祉協議会も参加し9者共催で進める運びになっていましたので、残念ですが已むを得ません。

 大学院の授業をZOOMで2回行いました。事前にレジュメや資料を送る、院生からのレポートをお互いに事前に送りあい授業に臨むなど工夫をしています。面白い発見もありますが、一日PCとにらめっこでは目が疲れると院生の感想がありました。もう1回ZOOMで授業を行い6月半ばからは大学で授業ができるようです。お互いに直接会うのは初めての人が何人もいて楽しみです。大学院はいろんな経験を持つている人で、現に働いているが集まっています。こういう人と一緒に学びあえる事が魅力です。

 社会的孤立の広がりこそが現在の生活、福祉問題の根底の問題だと思いますが、この新型コロナが恐ろしいのは、人々の社会的つながりを壊すことです。3密を避けるとして人々の間に「社会的距離」をとることを求めます。さすがに、「社会的距離」では人と人との心のつながりを失わせるのではないかと「身体的距離」のことだと言い換えようとの声が出始めています。福祉の現場やボランティア市民活動の現場では、物理的距離を取りつつ、心の距離をいかに近づけるかで様々な工夫が生み出されています。

 新型コロナウイルスへの対応はまだまだ継続します。政府の専門家委員会の一人は、現在は、野球に例えれば、9回のうちの1回の裏が終了した段階、ワクチンが開発され世界にいきわたるまでには相当の長期戦を覚悟して臨まなくてはならないといっています。すでに倒産、不況などが始まり、生活困窮者、ホームレスの増加などの波が押し寄せてきつつあります。目の前の事態に必死に取り組みながら、大きな社会の変化をしっかり見据え、新しい社会の在り方、社会福祉の在り方を考え作りながら進んでいきましょう。

 西原先生に倣って現在読んでいる本ですが、山本太郎「感染症と文明」岩波新書、山本太郎「新型インフルエンザ」、岩波新書、長谷川和夫「僕はやっと認知症のことが分かった」、足立巻一「やちまた」上、下中央文庫などです。