大学関連
【新型コロナは、新しい自分を切り開く】
東京国際大学の松本すみ子と申します。 博士の学位を、2011年にルーテル学院大学で取得しました。博士論文は、「住民の福祉活動参加と主体形成プロセスに関する研究-精神保健福祉ボランティアに焦点化した質的分析-」というテーマです。
精神疾患や精神障害など、メンタルヘルス課題に直面している方々の地域での生活をより質を高めていくためには、 行政や専門職はもとより、地域住民の果たす役割がとても大きく重要であることに言及してみました。指導教授は、市川一宏先生。研究に向けて右往左往する私を常に優しく見守り、そしてたいへん丁寧に指導してくださいました。市川先生には、ただただ感謝の一言に尽きます。
私は元々は精神科病院のソーシャルワーカーでしたが、21年前に現職に就き、社会福祉士・精神保健福祉士の養成教育に取り組んでいます。一方、他学部に所属する、将来、ソーシャルワーカーになるわけではなく企業などへ就職していく学生たちに、講義を通して福祉のこと、そして福祉のこころを伝えていくことにも、たいへん 大きな意義を感じながら、日々の教育に取り組んでいます。
専門職はもとより、多くの市民が福祉についての理解と、困難な状況に直面する人たちへの理解や思いやりを もつことがとても大切だと思っていることが、授業への強いモチベーションになっています。
さて、新型コロナウイルスの感染拡大は、日本だけでなく世界中の人々を脅かしています。 私たちは、生活を変えることを余儀なくされました。 健康を害し、命の危険にもさらされ、仕事を失い、今までの生活を維持することが困難な 人たちがたくさん苦しんでいます。
私の勤務する大学は、急遽3月に春学期の授業を全てオンラインに切り替える決定をしました。 何よりも、学生の安全・健康・命を守ることを最優先と考え、全国の大学でも早い段階でオンライン での実施を決定し準備をスタートしました。 しかし、教育は言うまでもなく一方向ではなく、学生と教員の協働により成りたつものです。果たしてオンラインで大丈夫なのか? 大半の教員の思いでした。また、講義はともかく、スポーツ実技や実験などはオンラインにはなじみにくく、体験しないとどうしても教えられないことや、習得できない技術があります。担当の先生がたの戸惑いは、たいへん大きかったです。
大学の全ての教員が、4月16日からの春学期スタートに向けて、3月からオンラインでの授業の 練習をしました。 全学で、学部で、そして小さなグループを作って、何度も何度も何度も、練習を繰り返しました。 その過程の中で、 ・やっぱり、無理。授業は対面でないとできない ・オンラインで実施する授業の方法を何とか習得しよう ・確かに無理なところは多々あるけれど、対面ではできない何かがあるかもしれない。それを探してみよう。
いろいろな考え方と、行動が先生がたの中に生まれました 。そして春学期が終了した今、決して対面には及ばないものの、オンラインだからこそ可能な教育方法を駆使して素晴らしい授業が先生がたによって実施されました。とりわけ、スポ―ツ実技の授業で、すばらしいオンラインでの授業が誕生し、学生たちは その授業を通してたくさんの知識と技術の習得をしました。
「無理だと言っていたら、なんでも無理になってしまう!」 今回のことから、直面していることはみんな同じでも、そのとらえ方や処し方は、人それぞれだと 改めて痛感しました。「与えられた条件はみんな同じ。でも、その中で自分にできる最大限の努力をし、最高の仕事をする」 プロとはそういうことなのだと改めて学び、自分もそうありたいと強く願っています。
きわめて厳しい状況になり、与えられた選択の幅が狭かろうと、他者への思いやり、そして自分の果たすべき役割に真摯に向かいあっていくこと。そして、日々、前に進んでいく自分でありたいと、そう強く思っている今日この頃です。
東京国際大学 副学長 人間社会学部長 松本すみ子
投稿日 20年08月06日[木] 10:53 AM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,希望ある明日に向かってメッセージ,社会福祉関連
熊本からのメッセージ
九州学院 副院長・チャプレン 小副川 幸孝
忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ。
-マタイによる福音書25章21節-
わたしが住む熊本は2016年4月に2度にわたる大きな地震に見舞われ、ようやく震災から立ち直りかけた2020年に新型コロナウイルスの感染症の拡大と7月の豪雨による水害に見舞われました。いわば三重苦、四重苦の中に置かれています。このところ年々大きくなる自然災害で喪失感と絶望的気分はひどくなりますが、今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、中国からまたたくまに世界中に広がり、有効な治癒薬がないままに、現在もなお世界的な広がりを見せています。
人類は、有史以来これまでも、様々な感染症を度々経験してきました。しかし、社会活動のグローバル化が進み、複雑な社会構造を形成した現代社会の中での感染拡大となりましたので、これまでの日常生活の形態の多くが制限され、経済構造や社会行動様式を変化せざるを得なくなり、多くの不安や心配が渦巻いているのが現状です。
わたしが奉職しています学校も熊本地震で校舎のほとんどが被災し、今回の球磨地方の水害でも数人の生徒の家屋が浸水被害にあいました。また入学式や始業式をインターネットを用いた分散型で行ったり、遠隔授業などもしたりしましたが、長期の休校処置をとらざるを得なくなり、ようやく6月から再開するという事態になりました。教育現場としての学校教育の在り方も変化せざるを得ないだろうと思っています。
かつて14世紀から17世紀にかけて西欧中に広がったペストは、死者が1億人を超えたと言われ、北里柴三郎らがペスト菌を発見するまで「黒死病」として恐れられました。町や村が全滅するという事態にまで至ったことはよく知られています。しかし、その時、ある医者が「ペストに対する戦いの唯一の手段は、誠実であることだ。誠実に自分のできることをすることだ」と語ったと記されています。
このような事態の中で、「小さなことでも自分にできることを誠実にしていく」というのは、聖書が示す大事な在り方だろうと思います。イエスは、与えられたものを有効に用いた人に「忠実な良い僕だ。よくやった。お前は少しのものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ」と語られています。災害からの復興でも感染症への対策でも、あらゆる場面で、自分にできることを誠実に行うこと。そのとき「よくやった。主人と一緒に喜んでくれ」と神が祝福されることを覚えて過ごしたいと思います。
当時の日本ルーテル神学大学編入・1979年日本ルーテル神学校卒業
投稿日 20年08月05日[水] 3:43 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,希望ある明日に向かってメッセージ,教会関連
ニューヨークの病院で働く岩◎さんからのメッセージです。
岩◎さん、おはようございます。元気ですか。ニューヨークはどうですか?また、そちらから日本はどのように見えますか。
コロナは弱い層に打撃を与えています。僕は在宅の高齢者の支援に必死になっています。フレイルになった高齢者、フレイルから要介護になった高齢者、認知症を発症した高齢者、介護負担の増加した家族等の現状、福祉従事者の疲労、感染の危険等々の福祉崩壊の危機等、皆で福祉の絆を強めたいと思っています。
体調にくれぐれも気をつけて下さい。また会いましょう。
市川
気がつけば、もう7月ですね。元気にしております。こちら、NYでは新型コロナウイルスの感染率も低いまま落ち着いています。しかし、他の州では感染率の急激な増加で、医療機関はパンク状態です。既に、カルフォルニアではICUナースの不足が深刻で、カリフォルニア州の看護団体からリクルートが来ました。それほど、厳しい状態にあるようです。この新型コロナウイルスは気を許すとすぐに感染が増えてきてしまい、一人ひとりの行動が直接的にまた間接的に感染率の増加に結びついています。誰が、被害を受けるかと言うとやはり高齢者などの弱い立場の方たち、または低所得者の方たちですね。これは日本もアメリカも同じだと思います。私から見た日本の印象ですが、中央政府のサポートが一番働いている重要な人達の所に届いていないことです。アメリカもトランプ大統領がとんちんかんな事を言ったり行動を取ったりで、こんな大切な時に新型コロナウイルスの感染率の増加をあおるようなことが続いています。しかし、その反面、各々の州単位での州知事などのリーダーは素晴らしいリーダーシップを発揮してこの困難を切り抜けています。また、コミュニティの結束もそれに反映していると感じます。これからは、日本もコミュニティ単位、または地方自治体単位での結束を益々強めて行くべきでしょう。特に日本では福祉関係の方たち同士のネットワークが整っているので、この絆を強める良いコミュニティが出来ると思います。この福祉の絆がとても弱いのがアメリカの社会の問題点だと日本を見て思いました。先生がおっしゃる福祉の絆を強めることが、もしかしたら今後の日本の社会を担うことになるかも知れませんね。大変、尊いことだと思いました。岩◎
私は、また、岩◎さんに勇気をもらいました。僕たちルーテルの絆を、これからも守っていきたいです。そして、保健医療福祉実践現場や地域にいる、同じ志をもつ仲間と一緒に、今の日本の危機に挑戦していきたいと思います。
投稿日 20年07月19日[日] 10:17 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,希望ある明日に向かってメッセージ,社会福祉関連
九州各地の豪雨災害によって亡くなられた方々につつしんで哀悼の意を表しますとともに、被害に合われた方々の健康と生命と生活が守られ、一日でも早く復興がなされますことを祈っています。特に熊本県内の被害の大きさを知り、私も本当に辛い思いで胸が張り裂けそうになります。しかも、雨は続き、新型コロナ感染症が広がっている今、その影響が出ないことを切に願います。
今、私に何ができるかを考え、たくさんの方々から情報を得てきました。そこで、卒業生の吉村誠司さんの働きを知りました。彼とは、東日本大震災で大きな被害を受けた石巻市でも出会いましたし、今回も、熊本に真っ先に行き、情報を伝えてくれています。また日々、重機で流されてきた木々を取り除き、閉ざされた道を開き、また水浸しになった家や家具等の片付けをしています。吉村さんのfacebookをご覧下さい。https://www.facebook.com/seiji.yoshimura.73
そして、彼から、メールが届きました。<熊本県豪雨災害、長期戦への応援宜しくお願いいたします。●郵便振替口座 00980 – 7 – 264796「ヒューマンシールド神戸」>とのこと。私からも、どうぞよろしくお願いします。
PS.自然災害等、何が起こってもおかしくない時だからこそ、大切な絆を守りたい。
投稿日 20年07月11日[土] 10:44 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,災害支援
ご無沙汰しています!1991年3月卒の吉村誠司です。95年1月の阪神淡路大震災より神戸に救援活動に入り、そのままNGOとして12年被災地で活動を続けました。その後、神戸から長野県北部へ拠点を移動し、その後も国内外での災害への支援活動で動き続けていました。
忘れられない2011年3月11日発生の東日本大震災でも救助に入り、拠点を構えた宮城県石巻市にて、市川先生との奇跡的な再会を経て、現地に一般社団法人OPEN JAPANを設立し、今も理事として終わらない災害支援活動、特に昨年の台風19号千曲川決壊被災地支援活動を継続しています。(写真のオレンジジャケットが私です)http://openjapan.net/shien/201910taifuu10gou
今回のコロナ禍災害をきっかけに、人間の生き方、亡くなり方も問われている中、医療体制や防護体制も不備な発展途上国での支援も今、求められています・・・仲間はアフリカでの支援を開始。
また、お会いしてお話出来れば幸いです。ルーテル時代の仲間達とも時々、活動を共にしています。様々な出会いに感謝しつつ・・・(つづく)
投稿日 20年06月26日[金] 1:15 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,希望ある明日に向かってメッセージ,社会福祉関連
4月2日午前8時、同期を介して、ニューヨークの病院で看護師として働いている卒業生の岩◎さんよりラインが届きました。私の卒業式のメッセージや卒業生への呼び掛け文を読んで、涙したこと、心が癒やされたこと、そして新型コロナの感染が爆発的に広がっているニューヨークにおける医療現場の厳しさが書かれていました。
私は、早速、今でも繋がっている卒業生に対して、以下のメール・ラインを送りました。 <岩◎さんへの応援メッセージの依頼>「こんにちは。さて、1992年度卒業の岩◎さんから、ラインが届きました。励ましのメッセージを送ろうと思います。
「私は今、マンハッタンのMount Sinai Hospital と言う大きなhealthcare system の中の一つのHospital のCOVID ICUで働いています。3日前ですでにMountSinai System の全部の病院での死者が187人に上り、今日の時点では死者の数がもっと増えていると思います。霊安室も一杯でご遺体を置く場所もありません。ICUベッドもICUナースも足りないし、人工呼吸器も足りません。私の働くICUでは<省略>まさに、戦場下です。数週間前までは普通に生活をしていたのに、人間の生活ってこんなにまで急に変わってしまうのですね。自分の身を守るためのマスクやガウン、フェイスシールドなども不足して、自分の身も守れません。こんなに時ですが、いつも私が神様に願っていたこと「神様のために私を用いて下さい」と言うことが、もしかしたらこれなのかも知れません。・・・・・。」 励ましの気持ちを伝えたい卒業生は、私個人に100字以内のメッセージを送って下さい。今週末には、まとめて送りたいと思います。」 そのメール・ラインを受けて、私にたくさんの卒業生、教職員からの励ましのメール・ラインが届きました。4日の午後、まず第一陣として、それらをまとめて岩◎さんに送りました。私たちの思いを込めて。
早速5日に、岩◎さんからメールが届きました。「ルーテルの皆さんからのメッセージを一つひとつ大切に読ませて頂きました。涙が止まりません。皆さん、本当にありがとうございました。そして、多くの方の祈りに支えられて私の毎日があるのだと思いました。皆さんの祈りを大切にこれからも頑張っていきます。どうぞ、これからも私たちのために祈ってください。」
これらの応答から始まり、今は、卒業生、ルーテル学院の教員、関係者と一緒に「希望ある明日に向かって歩むぞメーセージ」を集め、『市川一宏研究室』に掲載しています。
新型コロナウイルスの世界的な拡散と混乱は、経験していない未知の世界です。将来がまったく見通せない。家での学生へ遠隔授業を行い、送られてくる一人ひとりのコメントを読んだり、メールで応えたり、ZOOMでゼミを行ったりという、今までとまったく異なる生活を強いられています。数年後に迎える定年のようです。
他方、私には、貧困、失業で住まいを失い、生活に行き詰まっている多くの方々の悲鳴が届きます。また、地域では、高齢者や障害をもつ方の孤立の問題が広がり、また介護者や親がコロナに感染した場合の濃厚接触者である要介護者や子どもへの対応も緊急の課題になっています。 コロナウイルスの広がりは、今までの関係を打ち砕き、不安、恐怖、不信、怒りを生み出し、負の連鎖が広がってきていると実感しています。だからこそ、私は、大切なもの、大切なことを守る決意が必要だと思います。私、そのなかに「人への思いやり」を加えたいと思います。
そのアクションの一つが、「希望ある明日に向かって歩むぞメーセージ」です。そこには、ルーテルの関係者が、援助を必要とする方々と共に生きる姿と日々の思いがメッセージとして綴られています。 このことを可能にした背景は何でしょうか。ルーテル学院という場における、友人との出会い、教職員との出会い、様々な学内外の活動との出会い、そして神様との出会いだったと思います。そこから、絆が生まれ、育ち、卒業してからも広がっていると、私は実感しています。 そして、私は、教員としての37年間の経験を通して、詩編23編の聖句にたどり着きました。皆さんと一緒に、読み、私のメッセージを終えたいと思います。
主は羊飼い、 わたしには何も欠けることがない。 主はわたしを青草の原に休ませ 憩いの水のほとりに伴い 魂を生き返らせてくださる。 主は御名にふさわしく わたしを正しい道に導かれる。 死の陰の谷を行くときも わたしは災いを恐れない。 あなたがわたしと共にいてくださる。 あなたの鞭、 あなたの杖 それがわたしを力づける。 わたしを苦しめる者を前にしても あなたはわたしに食卓を整えてくださる。 わたしの頭に香油を注ぎ わたしの杯を溢れさせてくださる。 命のある限り 恵みと慈しみはいつもわたしを追う。 主の家にわたしは帰り 生涯、そこにとどまるであろう。 詩編 23編
投稿日 20年06月22日[月] 5:16 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,大学関連,社会福祉関連
未来をひらく ボランティア活動
1.ボランティア活動とは新たな出会い 今から50年前、私が大学生1年生の時、たまたま友人の代わりに、ボランティアとして知的障害児施設の東京都大島の大島藤倉学園(現在は障害者支援施設・施設入所支援・生活介護事業を実施)を訪問しました。私が中学・高校を過ごした東京都内にも、伝統ある障害児者施設があるにも関わらず、学校の行き帰りに障害児者に出会うことはありませんでした。そのため、大島藤倉学園を訪問した際、日常とのギャップに戸惑ったことを思い出します。その時出会った言葉が、知的障害児者の父と言われた糸賀一雄先生の「この子らを世の光に」という言葉でした。私は、この子らが地域で当たり前の生活をしていることが、社会の光となり、それを一緒に実現する活動がボランティア活動であると胸に刻みました。
2. 「助ける」「助けられる」から、「互いに助け合う」ボランティア活動(福井県新庄小学校)
3.ボランティア活動の根本にある
Hospitality
1992年デンマークのクリスマス
4.必要な活動を生み出すボランティア活動
岐阜県垂水町 あゆみの家
5.人と人を繋げて絆を生み出し、地域を守るボランティア活動 コロナウイルスの広がりは、今までの関係を打ち砕き、不安、恐怖、不信、怒りを生み出し、負の連鎖が広がってきています。だからこそ、私は、大切なもの、大切なことを守る決意が必要だと思います。私は、その中に「人への思いやり」を加えたい。そしてボランティア団体や市民活動団体も守ろうとしてきたこの絆を、これからも大切にしていきたい。絆を寸断されるのではなく、より強めたいと思っています。今、私たちに問われていることにどのように答えていくかが、今回の感染症防止対応が一定終息した後の、これからのボランティア・市民活動の発展に繋がっていくと信じています。
投稿日 20年06月17日[水] 6:35 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,社会福祉関連
ルーテル学院大学の先生方、岩◎さん、卒業生の皆さまのメッセージを拝読し、励まされています。岩◎さん、卒業生の皆さまがそれぞれの現場で、感染の危機やそれによるさまざまな影響と向き合いながら、一人ひとりの命と生活を護り支えるべく日々ご尽力なさっている姿に触れ、深く感銘を受けています。
私は、がんセンター よろず相談のMSWとして、小児から若年、成人、高齢者までさまざまな年代のがんと向き合う方や家族からご相談を受け、闘病生活を支える仕事をしています。現在、多くの病院や施設では感染予防として面会が制限されており、オンラインでの面会等の代替方法で本人と家族のつながりを保つよう工夫していると思います。私の勤務先ではがんに対する積極的な治療だけではなく、緩和ケア病棟もあり終末期も含めてがんの闘病を支えていますが、余命がわずかしか残されていない患者さんとその家族もこれまでのように自由に面会できなくなっています。そのため、つらさをぎりぎりまで我慢して自宅で過ごし緊急入院する方も増えてきています。やっとの思いで入院した後、家族は患者さんのそばにいることが許されず、感染対策の必要性を理解していても気持ちがついていかず葛藤を抱えるというような事態がおきています。人が亡くなっていく時に直面するさまざまなつらさは医療的なケアだけではなく、家族や親しい方とのコミュニケーションや大切な方がそばにいて手を握るといったことにより和らぐこともあります。また、遺される家族にとってもその方との最期の時をどのように過ごすことができるかが、死別後の哀しみや喪失に大きく影響します。
私はさまざまな年代の方にお会いし、その方が大切になさってきたことや家族の関係性をどのように築いてこられたのかを教えていただきながら、面会制限があるなかでもその方と家族がお互いの存在を近くに感じることができるような方法を共に模索し、試行錯誤を繰り返している日々です。また、余命の限られた子どもが、学校の先生や友だちとのつながりを感じることができるよう、どのような取り組みができるかも大きな課題です。
昨今の社会情勢を受け収入が激減し経済的に厳しい状況に追い込まれているなかで、がんが見つかったけれど治療の費用を支払うことができないといった相談も増えてきています。一人ひとりの命を護ること、生活を維持できるよう支えていくこと、孤独にならないよう関係性をつないでいくことが我々ソーシャルワーカーに求められており、院内の多職種スタッフや地域の関係機関と連携しながら、どのように支援体制を築いていくことができるかが今まさに問われているように感じます。
今後もしばらくこのような事態が続くなかで、支援者である自分自身の心身の健康を維持していくことも重要だと思っています。市川先生が創り出してくださったこのルーテルの支援者支援のネットワークにより、多くの卒業生と関係者の方々が勇気とエールを分かち合うことができていると感じています。
先生方、卒業生の方々への感謝と祈りを込めて。
2020年6月14日 御牧由子
投稿日 20年06月14日[日] 4:59 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,希望ある明日に向かってメッセージ,社会福祉関連
児童養護施設でファミリーソーシャルワーカーをしています。市川先生、岩◎さん、そして皆さんの言葉に日々励まされています。
東京では2月末から学校や幼稚園が休校・休園となってから、3月・4月・5月の3か月間は完全にお休み、6月になってようやく分散登校が始まったところです。完全に元通りの学校生活に戻るのは、順調に状況が収束しても、今月下旬から7月になる見込みです。
これだけ長い期間が休みになることはもちろん子どもにとっても職員にとっても初めてのこと。「毎年の夏休みでも1か月以上休みだったじゃないか」という意見もありましたが、夏休みであれば、学校のプールがあり、キャンプなどの行事があり、映画や花火大会を見に行ったり、受験生は夏期講習だし、毎日部活やアルバイト漬けという子もいます。感染症の脅威と闘いながら、施設の敷地から何十人もの子どもたちが一歩も外に出ないような生活が何か月も続くことは、誰も経験したことがありません。
家庭の保護者にとっても、子どもの夏休みというのは負担があります。朝食の片づけが終わったと思ったらもう昼食の準備と、早く2学期が始まってくれないかなと思うものですが、当園の場合は本園に30名以上、それに3か所のグループホームにそれぞれ6名の子どもたちが生活しています。この人数がこれだけの長い引きこもり生活で、大丈夫かと心配していましたが、子どもというのはやはりたくましいもので、午前中は学習・午後は外遊びという生活リズムに適応し、もちろん小さな不満はあったものの、大きな問題は起きずに過ごせました。
職員一人一人の日々の働きもさることながら、多くのご支援をいただきました。特に唐突にやってきた「リモート学習」の波。教育委員会からの調査に「子どもが使えるPCが部屋に1台ずつある」と回答したところ、小中高校すべてでリモート学習を行いますとの通知。PC1台を多いところでは子ども6人で使わなければいけない状況になりました。しかも「決まった時間にZOOMでホームルームで出欠確認をします」などと言われ、複数の子が同じ時間に重なったらどうにもできない…と困っていたところ、ご寄付でPCやタブレットを用意していただけることになり、急遽各ホームへWifi環境を構築して乗り切りました。本当に感謝です。
余談になりますが、特に学校関係のICT化の推進と守秘義務は矛盾しませんか?利便性と施設以外の保護者の総意を理由にして、顔写真や氏名といった子どもの個人情報をネット上に出すのが当然と言わんばかりのさまざまな要請に対して、日々頭を痛めています。出せませんから。
さて、厚労省によれば、この3月の虐待件数は昨年よりも12%多かったそうです。 先ほども書きましたが、普段はそれぞれ別の場所で活動している家族がずっと一緒に家で顔を合わせているという状況は、時にストレスを抱くことがあります。食事の準備や片付けなど家事負担も増えます。休業で収入が減るという経済的なダメージもあります。STAY HOMEというこの密室の中で、虐待やDVのリスクが高くなることは容易に予測できます。
施設の中で私の役割は、虐待など不適切な養育によって、家庭から保護され施設で暮らす子どもたちを、再び家族のもとに帰すための支援です。日々電話や面接で保護者と接していると、コロナとは関係なく、この人たちは、家庭の中でストレスにさらされ、負担を強いられ、経済的不安の中を生きてきたことが分かります。そして周囲に信頼できる相談相手も味方もおらず、自分がなりたかった親の姿とはまるで違った状況になっていることに打ちのめされています。
生活や養育におけるさまざまな課題が解決できるよう、保護者に対し時に励まし、時に支えながら、さまざまな機関との連携をもとに親子の再統合を支援しています。なぜならば、暴力などの虐待の被害を受けていたとしても、施設に来た子どもたちの多くは、家に帰って家族とまた一緒に暮らしたいと思っているからです。その願いをかなえることは児童福祉法第48条の3にあるように、施設の役割です。もちろん例外はありますが、多くの子どもは、18歳で高校を卒業するまで家族と離れて暮らすことを求めていたわけではなく、ただ家族と仲良く暮らせるようにしてほしくて、支援を求めたのです。
コロナ第2波や経済不況など、今後も楽観できない世の中の状況ではありますが、これからもひとつひとつの課題、そしてひとりひとりに向き合いながら、日々の働きを続けていきたいと思います。
皆様、これからもどうぞご活躍ください。 N
投稿日 20年06月13日[土] 9:52 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,希望ある明日に向かってメッセージ,社会福祉関連
私は、2年ほど前にルーテル学院大学大学院を卒業しました。在学中から現在に至るまで、市川先生をはじめ、多くの先生方・卒業生の皆様とのつながりは、私の業務において欠かすことのできないネットワークとなっています。現在、新型コロナウイルス感染症が世界的に流行しているなか、岩間さんのように、医療・福祉・教育現場の最前線でエッセンシャルワーカーとして活躍されている皆様のご尽力があって、少しずつではありますが、世界が日常を取り戻しはじめています。
この間、国や自治体では、新たな日常の構築に向けて、テレワークやICTの活用による業務体制の見直しなどが積極的に進められています。社会はますますICT化が進み、そしてソーシャルディスタンスの名の下に、地域活動が減少していってしまうことも懸念されています。
こうした社会の変化には、社会的弱者と呼ばれる貧困世帯や高齢者・障害者などが取り残さやすいことも確かです。
医療・福祉・教育現場におけるICT化の推進と、人と人とのつながりの再構築の両立という一見相反する取り組みを、各地の実践を学びながら、進めることで、地域活動を停滞させることなく、むしろ活性化できるよう、全国各地の実践を学びながら、推進していきたいと思っています。思いをひとつに乗り切りましょう。
「未来の豊かな“つながり”のための全国アクション」ホームページ
2017年卒 全国社会福祉協議会 A.K
投稿日 20年06月11日[木] 7:02 AM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,希望ある明日に向かってメッセージ,社会福祉関連
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