希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

                                Marie O. 

―あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい。(Ⅰ ペテロの手紙4:10)―

 世界中の新型コロナウイルスの感染爆発により、私たちの生活は一変しました。公共交通機関を使っての通勤、仕事仲間との自由な意見交換、ちょっと気分転換の買い物、おいしいと評判のレストランに行くこと、すべてがあたりまえではなくなりました。そして、新たな生活行動様式という名のもとに3密を避け、他の人々との社会的接触を最小限に抑え努力することを要請されました。

 さて、自己紹介からさせて頂きます。私は、ルーテルを1990年に卒業し、他大学の大学院で修士を終えた後、大学病院のMSWとして勤務しました。その後、博士後期課程を終え、現在は東京都内の大学教員です。今年、教員生活20年目を迎えました。皆さんがご存知の通り、大学はオンライン授業が主流になりました。この5カ月、私も自宅での生活を余儀なくされ、毎日のようにパソコンに向かいリモートワーク、画面の向こうにいる学生達に話しかけ、理解を求め、慣れない生活から、身も心も限界に達することがしばしば。

 その間に、様々なことを振り返り、自分に、社会に、世界に問いかけてみました。人生において何が必要なもので、何が必要でないのか、どう生きていけるのか、どう生きたいのか、各人が問われてきたのではないでしょうか。

 今回は折角の機会、思いつくままに筆を走らせてみたいと思います。皆さんは、ルーテルで過ごした学生生活がその後の人生にどのような影響を与えたでしょうか。そんなことを思いながら、私は30年前にタイムスリップして、今回はルーテルの先生方から支えられたことが今の私の礎になってきたことをお話しします。

この企画をされた市川先生、30年前の話になりますが、アメリカに行くことが決まっていた私に、当時、入手困難な越乃寒梅で乾杯してくださり、送り出してくださったことを今でも覚えています。最近では、お仕事でご一緒させて頂くこともあり、素晴らしい研究者である先生にお頼りすることが多くあります。学生達を大事にされている市川先生の姿勢は多くの卒業生の励みであり、学生達から慕われる先生は私の憧れです。 

 そしてK先生、私にソーシャルワーカー魂を教えてくださったロールモデルであり、あり続けています。当時、先生は、「モーセは約束の地に辿り着くまで40年間かかったのだから、貴方も数年間の修業をしてきたら」と海外で学ぶ機会を与えてくださいました。これまでも人生のターニングポイントで適切なアドバイスを頂いています。今も忘れない・・お優しいお母様のようなI先生。当時ルーテルには実習がなかったのですが、精神科病院の実習先を探してくださいました。これが私のMSWになるきっかけとなりました。私にとっては本当に貴重な経験でした。

 皆さんもご存知の学生全員の名前を覚えてらっしゃった今は亡き、N先生。的確に、端的にご意見をおっしゃる先生からは、当時、苦手な英語の勉強方法を教えて頂きました。そうそう、どこからか頂いてきたパンを寮生に配っていた(と言えばわかるのでは)アメリカからいらしていたN先生は、偶然にもアメリカの大学でもご一緒することになり、テニス仲間でもありました。チャレンジ多き時期に「信仰」の大切さを先生から教えて頂きました。

 最後にF先生。学問の師であり、人生の師であり、言葉では言い尽くすことのできないほど、感謝しています。日本のソーシャルワーカーの育成のために邁進されている先生とご一緒させて頂ける機会が多くあり、私にとっては学びの機会でもあります。その中で「尊厳」の具現化するソーシャルワークを考えさせられています。これは人が人を「尊厳」をもって関わることですが、このコロナ禍だからこそ、尊い命ある一人一人が、自らを大事にし、自分と同じように他者を大事にすることが、互いに仕え合うことにつながり、誰にも優しい社会が生まれるように思います。

 ルーテルの卒業生の皆さんが、色々なところで活躍されていることを心から嬉しく、そして誇りに思いました。多くの私たちの仲間が牧会で、社会福祉の現場で活躍し、それぞれの賜物を神様が豊かに用いてくださっていることを皆さんの声を通して、私にも届きました。このコロナ禍にあっても、仲間が、そして神様がこれからもあなたを、私を支えてくれていることを確信しています。きっとお読みになっている方々も同じような思いではないでしょうか。