宇都宮の卒業生

 12月7日、栃木県民生委員児童委員協議会主催の単位民児協会長・副会長研修会で、講演をしてきました。栃木県社協には私の教え子がおり、会うことができました。また、宇都宮市内で蘭を育て、販売等をしている卒業生と電話で話すことができました。2人は卒業して30年以上になりますが、それぞれが頑張り屋さんで、人生のいろいろな出来事に会いながらも、誠実に歩んできた卒業生で、私も励まされて今があります。2人に感謝しています。

 コロナの影響で、蘭の販売も大変かと勝手に思い、自宅へ配送を依頼しましたところ、今日、黄色い蘭が届きました。見事な花で、早速飾りましたところ、居間が一気に明るくなりました。

 学生時代の出会いが、黄色の蘭になり、その蕾が、これからも咲いていく。楽しみです。

 株式会社蘭のすずひろ 〒320-0856宇都宮市砥上町76 ☎028-648-8054

福祉系大学経営者協議会勉強会

 2020年12月3日、zoomで、「with コロナ時代の福祉専門職の育成を考える」をテーマに勉強会が行われました。以下、報告いたします。

新型コロナウイルス時代の地域ケアを考えるトークセッション【Zoom講座】~三鷹市・調布市・小金井市の現場から~中間報告

まずは、感謝を申し上げます。

2020年2月に始まる新型コロナウイルスの広がりは、今までの人々の関係を打ち砕き、不安、恐怖、不信、怒りを生み出し、負の連鎖が広がってきています。そして、約10ヶ月を過ぎても感染症の危機はおさまらず、さらに自殺者の増加、失業者の増加、経済不況という状況は深刻化してきており、高齢者自身や介護する家族が直面する問題も改善の兆しはありません。

このような事態に直面して、今こそ、地域ケアに関わる者が、高齢者、高齢者を介護する家族の方々、サービスを提供する事業者が直面している課題を共有するとともに、目指すべき地域ケアを確認し、それぞれの役割を合意し、協働で取り組む時期であると考えています。

そこで、毎年、三鷹ネットワーク大学と共催して開講しているルーテル学院大学大学院『高齢者福祉研究』の4回分をトークセッションの場とし、三鷹市、調布市、小金井市の地域ケアの実績と知見をお持ちの方々に登壇していただき、地域ケアの現状と課題、そして打開策を具体的にお話しいただくことになりました。

ご多忙な中、本トークセッションのゲストとしてご参加いただき、貴重なご報告とご提案をして下った以下の方々、またプランに始まり、ZOOMの準備、受付、運営等の支援をした下さった三鷹ネットワーク大学の宇山陽子さん、貝原岳さん、田辺伸一さんに心より感謝いたします。ありがとうございました。

<トークセッションのプログラム>

第1回 新型コロナウイルスが猛威を振るう時代における地域ケア

第1部

医療・看護の専門的見地から最新の情報を提供していただき、新型コロナ感染症の実像と予防について学びました。また、社会福祉の視点から、現状と課題、対応について報告しました。

『新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るう時代における地域ケア〜医療の視点から〜』◎角田徹氏(東京都医師会副会長・角田外科消化器科医院院長) 

『新型コロナウイルス禍における地域ケア〜看護の視点から〜』◎嶋澤順子氏(東京慈恵会医科大学医学看護学科教授・JANPセンター「みんなの保健室」部門長)

『新型コロナウイルス禍における地域ケア〜社会福祉の視点から〜』市川一宏

第2部

◎原口彰男氏(調布市地域包括支援センターちょうふの里センター管理者)、久野紀子氏(小金井にし地域包括支援センター管理者)、◎麻生喜美江氏(三鷹市社会福祉事業団高齢者福祉部次長)より、地域包括支援センターや事業団の役割について説明を受け、顕在化している高齢者、高齢者を介護する家族、また事業所の問題について学びました。

第2回 困難な時代だからこそ、在宅医療・福祉サービスの原点に立ち返る

第1部 第1回目の議論を踏まえ、重点課題へ取り組む具体的な提案をして頂きました。

「集合住宅における高齢者の孤立とフレイルに対する試み」原口氏

「コロナ禍における退院・退所調整、介護予防活動をどう進めていくか~解決策の提案」久野氏

「現状の取り組みと今後に向けて~変化と役割 自分らしさと備え~」麻生氏

第2部

医療の最前線で働かれてきた医師としての経験と地域ケアの働きをふまえ、介護予防、医療介護連携の取り組み等をご報告いただき、コロナ禍におけると福祉の連携の意義と可能性について学びました。

『新型コロナウイルス時代の介護予防を考える』◎内原正勝氏(医療法人社団うちはら内科クリニック理事長・院長、三鷹市医師会会長)

『ちょうふ在宅医療相談室~調布市 在宅医療・介護連携拠点事業~』◎小川聡子氏(医療法人社団東山会理事長、調布市医師会理事)

『小金井市に於ける在宅医療・介護連携体制の構築』◎斎藤寛和氏(医療法人社団汎和会・さいとう医院院長、小金井市医師会理事・前会長)

第3回 明日の地域を切り開く介護保険・高齢者保健福祉計画

 高齢者及び介護する家族が直面する状況、福祉事業者等が直面する課題の認識、計画作成のプロセスと概要をご説明頂き、各市・都の計画の主要な取り組みについてご報告いただきました。なお、3市の比較表がまとめられていますので、ご参照ください。

◎市橋宗明(三鷹市健康福祉部介護保険課長補佐)

①地域の支え合いの仕組みづくりの推進による地域共生社会の実現、②介護人財確保事業の拡充

◎松井佳孝(調布市高齢者支援室室長)

①生活支援体制整備事業、②ケアラー支援

◎鈴木茂哉(小金井市介護福祉課長)

①小金井市さくら体操、②アプリを活用した見守り

◎武田文彦(東京都福祉保健局高齢社会対策部計画課長)

①ウィズコロナの介護予防・フレイル予防活動支援事業、②介護事業者の地域連携推進事業

③区市町村介護人材緊急確保対策事業について

第4回 明日の地域を切り開く福祉実践

 それぞれの地域福祉実践をご紹介いただき、地域ケアの原点と可能性を学ぶことができました。そして、3市におけるその働きは、3市の地域ケアに留まらず、地域発の「これから私たちが目指す社会づくり」に繋がると確信しました。

実践報告

[地域ケアネットワーク] ◎畑谷貴美子(地域ケアネットワーク・新川中原会長) 

[共生型デイ] ◎森田和道(NPO 法人地域の寄り合い所また明日)

[0 歳から 108 歳までの在宅ケア] ◎柳本文貴(NPO 法人グレースケア機構代表)  

[ボランティア・地域活動のバックアップ] ◎道三啓吾(三鷹市社協ボランティア推進係係長) 

[セカンドライフ応援キャンペーン] ◎藤島秀雄(調布市高齢者支援室計画係地域ケア担当) 

 私は、今回のトークセッションを通して、以下のことを学びました・

1.身に染みて学んだコロナ感染症に関する正確な医療・看護情報の大切さ

 1回目の最初に、角田先生より、コロナ感染症に関するエビデンスに基づいた情報をご提示いただき、コロナの実態を知ることができ、さらに感染症予防について具体的に考える機会をいただきました。また続いて嶋澤先生より、実際の現場の状況と地域看護から見た地域の現状と取り組みについて、ご報告をいただきました。医学的根拠に基づいた知識を得ることができ、地域ケアの今後のあり方を考える上で、示唆を与えられました。なお、市川は、福祉の視点から、コロナ禍における地域ケアについて報告しています。

2.地域ケアの最前線から届けられた課題と取り組み

地域包括支援センターや在宅福祉サービスの拠点という地域ケアの最前線で働かれている3名の専門職の方々より、高齢者や介護する家族が直面する、日常生活能力の低下、その結果としての自宅における骨折者増、サロンや見守り活動の休止による孤立に深刻化、認知症等の発症等高齢者本人をめぐる問題や、福祉機関や事業所が直面する事業の危機等を理解できました。また集合住宅における孤立予防、入退院の調整、地域における介護予防等の取り組みをご提案いただきました。課題を共有し、保健医療福祉の関係者、住民、当事者の役割の合意に結びつく道が開かれました。

3.それぞれの医療の実践から、地域ケアのあり方を学ぶ

3市の医師会において重要な役割を担っておられる方々より、新型コロナウイルス時代の介護予防、ちょうふ在宅医療相談室~調布市 在宅医療・介護連携拠点事業、小金井市に於ける在宅医療・介護連携の取り組みのご報告と共に、医師としての視点から、地域ケアへの明確な関わりをご提案いただきました。具体的には、①介護予防に関する体系的な学び、②市の特性に応じた、病院、かかりつけ医、地域包括ケアセンター、保健所、訪問看護事業者等による保健医療福祉体制と、医師会に設置された医療相談室の取り組み、③医療介護連携を目指した地道な取り組みと実績を学ぶことができたことは貴重な機会でした。今回、保健医療福祉等の関係者が協働して取り組む必要性を認識できましたので、コロナ禍に相応しい連携が進められていくと思いました。

4.コロナ禍において通用する計画の作成を目指した行政の挑戦

コロナの感染症の拡大が明確になった4月以降、三鷹市、調布市、小金井市、武蔵野市、そして東京都は情報交換を行い、できることに取り組んでまいりました。そして、本年は、2021年より2023年の介護保険・高齢者保健福祉計画の作成年度にあたり、①高齢者等が直面する生活課題の現状把握を踏まえた計画、②当事者や関係する事業者・団体・機関の意見に丁寧に解答し、取り組みの合意形成を目指した、計画策定のプロセスを大切にする計画、③新型コロナ感染症の影響による、未曾有の危機に対する協働の取り組みを目指した計画であったと思います。3市及び都の担当者の取り組みに敬意を表します。

5.足に靴を合わせた福祉は、地域ケアの可能性を提示するだけでなく、目指すべき社会づくりへと繋がる

「靴に足を合わせるのではなく、足に靴を合わせる福祉活動」とは、活動の枠組みに利用者のニーズを合わせようとするのではなく、利用者のニーズに合わせてふさわしい活動を創り上げていくという考え方です。地域ケアネットワークは、「共助」の取り組みで、たくさんの方々が参加しておられます。住民から求められる要望に応じ、薬剤師や保健師、地域包括ケアセンターの専門職のサロンへの関わりを依頼し、時にはPTAをかつて担っておられたOBと一緒に活動し、担い手を広げることに尽力しておられていました。「また明日」では、児童、高齢者、近隣の友人、職員間の関わりの中で、それぞれが認めあい、助け合い、人間としての誇りと存在と尊厳が守られていました。グレースケア機構は、高齢者等の、現在の制度では対応できないニーズにもこたえるとともに、介護サービスの担い手が働きがいをもち、適切な労働条件を整備できる仕組みを取り入れておられました。社協は、住民や行政、関係者、企業とともに地域福祉課題に取り組む社協の使命と多様な役割、具体的支援を丁寧に説明されました。行政は、2つのプロジェクトを通し、行政内の横断的連携とともに、行政の枠組みを超え地域におけるネットワークを広げ、市民や企業,福祉関係者と協働した運営を行う新たな行政の役割を提示なさいました。

3市におけるその働きは、3市の地域ケアに留まらず、地域発の「これから私たちが目指す社会づくり」に繋がると確信しました。

6.「求められていること」「したいこと」「できること」を模索しながら進められる福祉実践を考える

第一に、コロナ感染症が急激に拡大している今、予定していたサロン活動を延期した畑谷さんやメンバーの方々の判断をお聞きして、私は以下のように考えました。㋐皆で話し合い、医師のアドバイスをいただき、延期を決めたことに意味がある。そのプロセスは、活動の継続に繋がる。㋑サロン活動の目標は、サロンの実施ではなく、健康維持、孤立予防、幸せな生活であり、サロンはその手段だと思います。ならば、利用者と活動者が一緒に活動することは当然大切だが、「一緒に活動の時を待つ」ことも重要な協働であると思います。

第二に、コロナ禍にあって、私たちは、0か100ではない活動、すなわち「しない」=0と、本格的に行う=100ではなく、1〜99を加えた100通りの選択肢を考えることが大切であると思います。その結果、多様な実践が生まれ、地域ケアの裾野が広がります。

第三に、コロナ感染症がもたらす、経済的問題、孤立の問題、自殺の問題はより深刻化し、対応をより強く求められるかもしれません。ですから、私たちは、今から地域ケアの原点に立ち返り、今までの実績を大切に、それを強みとして、実践を進化させていくことが必要ではないでしょうか。すでに地域で育っている木に、ボランティア、医師会、社協、公社等の保健医療福祉団体等と協働した新たな取り組みを接ぎ木していく作業が大切だと思います。

ふりかえって、新型コロナ感染症がまったく終息していないこの時期に、たくさんのゲストの方々にお願いして「新型コロナウイルス時代の地域ケアを考えるトークセッション【Zoom講座】~三鷹市・調布市・小金井市の現場から~」という4回のトークセッションを企画しましたが、企画当初、開催して良いのかという気持はありました。しかし、高齢者や高齢者を介護する家族、またサービスを提供する方々が直面する危機を知り、広く呼びかけようと思い、さまざまな方々に協力をお願いしました。

しかし、私は、これだけ多くのゲストが登壇して下さったこと、またそれを三鷹ネットワーク大学が支え、また予想を超えるたくさんの方々がご参加くださったことに心より感謝しています。それぞれのゲストの思いは、参加した皆さんの心に響き、私にいくつもの感謝のメールが届いています。

また、困難にある今、地域ケアの原点に戻って、できることに挑戦できないならば、普段の時は当然無理だし、より困難が予想されるこれからにも対応できません。そして、ご提案頂いた取り組みが当たり前のことであると、多くの方々が理解した時、期待が確信に変わり、地域は変わると考えています。厳しい時に、明日への希望を生み出そうとする協働が始められるのではないかと思っています。

本当の勝負は、これからです。私は、それぞれの現場で、今回築かれたネットワークが引き継がれ、発展していくと信じています。その期待を込めて、最初に中間報告と書きました。

また、お会いしましょう。

                           2020年12月1日

                           市川一宏


卒業生の吉村誠司さんが表彰されました。

吉村さんは、被災地支援のプロフェッショナルです。彼には、いろいろ学ばされます。吉村さんから、以下のメールが届きましたので、お知らせします。

昨年の台風19号千曲川決壊被災地での救助活動が知事表彰されました❗下記記事です~吉村 
https://lin.ee/WcswvPl?utm_source=line&utm_medium=share&utm_campaign=non

石巻市社会福祉協議会に感謝

 2020年11月1日(日曜日)、石巻市社会福祉協議会第2回社会福祉大会が、石巻市河北総合センタービッグバンで開催され、私は感謝状を頂きました。



 ふりかえって、2011年3月11日の東日本大震災の後より、私から願い出て、社協のボランティアセンターアドバイザー、地域福祉アドバイザーの役割を与えて頂き、たくさんの方々と、石巻市における地域福祉実践を話し合いました。大槻会長は私の恩人で、私にアドバイザーとして関わる機会を与えて下さいました。また石巻市地域福祉活動計画の策定のために、何回も、作業委員の渋谷さんをはじめとする社協職員と話し合いました。彼らは、私の親友です。また、現実の状況を把握し、活動しておられるたくさんの住民の方々にお会いしましたが、皆さんが私にとって教師でした。

 前日、門脇地区、大川地区を訪問しました。震災遺構として保存されることになった、門脇小学校と大川小学校を訪問しました。

門脇小学校(門脇小学校のある地区での津波の高さは6mを超えた。校庭に停めてあった保護者の車を含め、多数の自動車が流された。やがて漏れ出したガソリンが引火して校舎は炎に包まれた。津波と余震のために消火活動は出来ず、火災は3日間継続した)
大川小学校(海から来た津波と、川を上り小学校近くの橋にぶつかり戻って来た津波に襲われ、校庭にいた児童78名中74名、教職員13名中、校内にいた11名のうち10名が死亡した、悲しい出来事が起こった)

 大きな被害を受け、大震災の津波がもたらした親族や知り合いとの別れ、住居や財産の喪失等の決定的な困難状況にあっても、石巻の方々は、希望を見出してこられました。また何人もの方々が避難所→仮設→復興住宅という生活を経験し、その生活をたくさんのソーシャルワーカー・医師・保健師が支えていました。そして、石巻市の今があると思います。そのことを学ぶ機会が与えられたことに、私は心より感謝しています。

 今、コロナの感染の拡大により、全国で、全世界で、経済不況が今後も深刻化しています。失業者が増え、貧富の差は拡大し、自殺者も増えていくことを、私は恐れます。このような事態に直面して、行政や社協がどのような役割を担っていくのか、問われていると思っています。私自身も問われています。  しかし、忘れていけないことがあります。石巻の方々は、とてつもない被害に会いながら、その解決を目指して今があることを。

 私は、2020年の3月に任を終えるまで、年に数回、石巻市を訪れ、社協、行政、住民の方々と地域福祉実践を考え続けてきました。その経験から、諦めないこと。できることから始めることを学びました。その学びを、コロナ禍における地域福祉活動を考えるために活かしたいと思っています。

2011年3月11日に東日本大震災が起こり、その後、たびたび石巻を訪ねました。そこで出会った看板です。とつもなく大きな被害に直面して、活動の足を止めてしまうことが多かった時に、まず始めようという言葉に、私は感銘を覚えました

第8期練馬区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画策定に向けた答申

 2020年10月29日(木曜日)、前川練馬区長に、答申を手渡すことができました。委員の方々と事務局の努力の成果として、現実に根ざした積極的な提案がなされています。具体的な内容は、練馬区のHPに掲載されています。

高齢者福祉研究~地域ケアシステムの強化をめざして〜

ルーテル学院大学大学院サテライトキャンパス講座[ZOOM講座]を、三鷹ネットワーク大学と共催で開講します。10月30日・11月6日・13日・20日・27日・12月4日・11日いずれも午後6時30分より8時50分

詳細は、下記のページでご確認できます。https://www.mitaka-univ.org/kouza/C2031700

なお、人数の制限がございますので、ご了解下さい。

民生委員児童委員新任研修  

今年は、新任研修を集合研修として行うのではなく、社会福祉総論「地域福祉の支え手としての民生委員・児童委員」という講義を行い、撮影をしてDVDにして配布することになり、私は都民連よりご依頼を受けました。

確かに、新型コロナ感染症により、従来の民生委員児童委員活動は、休止を余儀なくされましたが、その役割が大きかったことを再確認した数ヶ月でした。

そこで、講義では、まず民生委員児童委員制度の歩みを以下のように列挙し、歴史的背景に基づいて説明しました。

<民生委員児童委員制度の歩み>・1917(大6)年:岡山県に「済世顧問制度」が発足・1918(大7)年:大阪府にて「方面委員規定」公布・1928(昭3)年「方面委員制度」が全府県に普及・1936(昭11)年11月13日方面委員令制定・公布・1946(昭21)年民生委員令公布・1947(昭22)年児童福祉法公布(民生委員は児童委員に)・1948(昭23)年民生委員法制定・公布・1955(昭30)年民生委員・児童委員協議会を組織・1968(昭43)年「在宅ねたきり老人実態調査」を実施・1985(昭60)年「在宅痴呆性老人の介護者実態調査」・2000(平12)年民生委員法名誉職規定削除・2001(平13)年児童福祉法改正(主任児童委員法定化)・2006(平18)年<民生委員・児童委員発 災害時一人も見逃さない運動>を全国展開・2017 (平29)年創設100周年

ついで、孤立、貧困、虐待等の今日の生活問題を示し、それらに対応してきた民生委員児童委員の役割を、民生委員制度創設100周年活動強化方策に基づき、以下のように整理しました。①地域に散らばるアンテナ→福祉問題の早期発見(発見者)/情報の提供(提供者)、②住民の生活全体を支えるために、保健医療福祉関係者、ボランティア団体、住民との連携(協働者・連携者)、③救急車型活動→つかんで離さない(つなぐ専門家)、④繰り出し梯子→新たなサービスの開拓(開拓者)、⑤利用者と住民の代弁者(受けとめる専門家、⑥住民の福祉理解を促進する福祉の土壌づくり→問題を見つめる機会を(啓発者・普及者)→住民自身が自分の問題として地域における福祉を考える機会の提供

そして、結論として、「令和2年東京都民児連合会会長メッセージ」に基づき、今、大切なことは、「何を求められているか」「何をしたいか」「何ができるか」であるとまとめました。

○ご自身やご家族の安心と安全を念頭に置きましょう。地域に出て活動する際は、くれぐれも環境を踏まえ体調と相談し、感染防止対策に努めながら無理のないように、また相手の方の体調にも配慮しましょう。

○ 感染者やその関係者、医療従事者や外国人の方々等に対する差別・偏見・いじめ・誹謗中傷は許されません。人権への配慮に十分留意しましょう。

○ 気がかりなことは一人で抱え込まず、民児協の仲間や行政・関係機関、支援ネットワークなどとつながりましょう。 

○ 住民の方々への直接の訪問ができない代わりに、電話やファクス、メール等のほか、例えば手紙や往復はがきを活用するなどアイデアを出し合ってみましょう。 

○ 定例会が行えない場合、例えばメールや SNS、電話連絡網を使うなどして普段よりも意識的に連絡を取り合いましょう。とりわけ新任委員さんの活動を支え合いましょう。

○ この機会に、災害時にも資するよう委員同士、そして地域をもつなぐ複数の手段を検討し活用してみましょう。  

☆これまでに築いた住民との信頼関係やつながりを何とかつないでいこうと、各地区では工夫を凝らしながら、様々な実践が始められています。都民連の資料等、参考に可能性をご検討下さい。

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

新型コロナウイルスはすべての人の生活に影響を与えています。こ れまでできていたことや、やりたいたいことができなくなる、いま までの生活様式を変える、いままでの仕事の仕方を変える、人との 距離をとる、人との関わり方を変える、人と関わらない・・・とさ まざまな「変える」「変わる」を今まさに経験しています。新型コ ロナウイルスに「感染しないため」に。
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先日、以下のような話をとある大学の先生から伺いました。
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「私のすんでいる地域はいわゆる“田舎”です。先日、母子家庭のお 母さんが新型ウイルスに感染しました。お母さんと高校生の娘の世 帯です。それまでその地域では新型コロナ感染者は出ていなかった のですが、このお母さんが感染したことによって起こったこ と・・・それは「うわさ」による地域からの差別・排除でした。 “田舎”に暮らしたことがあればわかると思いますが、住民の間では 『どこどこの誰々さんはどんな仕事をしていて、子どもはどこの学 校に行っていて・・・』とプライバシーが住民の間ですぐに共有さ れてしまいます。うわさも含めて。結局、その母子はその地域で暮らしていくことができなくなり、 引っ越しを余儀なくされました。」
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この話を聞いたとき、とても大きな衝撃・悲しさとともに、地域に 暮らす人びとの「恐さ」に、私たち福祉に携わる人間は目をそらし てはいけないと思いました。そもそも感染してしまったことは罪なのでしょうか。私たち(ソーシャルワーク専門職養成教育界隈)はこれまで、「地 域」や「地域住民」像をキラキラしたきれいで理想的な一面だけを 切り取って伝え過ぎていやしないか・・・(自戒の念です)
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いま、「地域共生社会」という政府の政策理念のもとで社会福祉士 等の国家資格養成教育の内容も見直されることとなりましたが、 ソーシャルワーク専門職の養成に携わる人間は、国の政策理念がど うであれ、すべての人が持っている「個」を大切にし、多様性を認 め、「社会的つながりが弱い人」「つながることができない人」 「つながりたくない人」「つなぎたい人」などいろんな考え方の人 たちがいることを認めた上で「共生」を考えなければならないと思 います。そして、社会で弱い立場にある人が差別(うわさ)され、 抑圧(いやがらせ)され、排除(引越し)される状況を良しとせ ず、変えようとするソーシャルワーカーを育てなければならないと 思っています。このスタンスは「変えてはならない」「変わっては ならない」ものでしょう。
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新型コロナウイルスを正しく恐れる事はとても大事なことですが、 もっと恐れるべき「こと」が起こっています。それはソーシャル ワーク専門職養成にとって極めて重要なイシューであること、そし て私たち福祉に関わる人間はこのイシューにもっと敏感にならなく てはなりません。そのために私もがんばろうと思います。

小森 敦/日本ソーシャルワーク教育学校連盟事務局(日本ルーテル教団北見教会と繋がりのある方です:市川より)

希望ある明日に向かって歩もう

静岡にある「やまばと学園」が毎月発行する「やまばと」(2020年10月1日)に原稿を投稿させて頂きました。

 やまばと学園は、静岡県牧之原市にある社会福祉施設です。牧師長沢巌先生がリーダーとなり、「地域に仕える教会」の目標を掲げ、重度知的障がい児の施設建設に取り組まれました。施設運営にあたっては「ともに生きる」や「施設民主主義」などキリスト教精神を土台にしつつ、「他者との対話」を重んじる方針を貫かれました。私は、青春時代、長沢巌先生の『にじを仰いで』を読み、福祉が目指すべき姿を学びました。やまばと学園は、現在、障がい者支援施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、通所サービスを実施しています。

なお、やまばと学園との関わりをたどりますと、1985年8月に学生と共に、やまばと学園にボランティアに行った時にさかのぼります。ただ、宿泊していた晩に、日航ジャンボ機が墜落したことを知り、衝撃を受けました。ジャンボ機は、エンジントラブルを起こし、私たちがいた学園の上空近くを飛行していたと聞きました。

「新型コロナウイルスの広がりは、今までの関係を打ち砕き、不安、恐怖、不信、怒りを生み出し、負の連鎖が広がってきています。だからこそ、私は、大切なもの、大切なことを守る決意が必要だと思います。私は、その中に「人への思いやり」を加えたい。そして、コロナウイルスの脅威にさらされている私たちだからこそ、今、すべきことを考え、今できることを実践していきたいと思っています。

<自らの働きを問い直す>

そのために、まず、私たちが、日々の働きの意味を問い直すことが必要です。確かに、コロナウイルスによって、様々な支援が止まりました。その結果、大切なFACE to FACEの関わりができにくくなってきました。そのことによって、互いの心の交流ができなくなり、支援してきた方々が寂しさのただ中に置かれてしまったならば、今までの関わりが大切であったことを意味します。何としても関わりを再生するか、それに代わる行動を生み出していかなければなりません。

 私には、たくさんの教え子がいます。今、病院は、院内感染に敏感になっており、面会を制限しています。ガンセンターに勤める教え子は、家族と会いたがっておられる入院患者の方々と、見舞いに行きたくても行けずに病院の外からずっと病院を見上げている家族や友人の方々との関わりをどのように繋いでいくか、患者の傍らにいて、日々苦闘しています。私たちは、何をすべきか、コロナに問われているのではないでしょうか。

<希望の光を灯す>

お金を失うと生活の危機、名誉を失うと心の危機、希望を失うと存在の危機と言われます。私たち福祉の担い手にとって、大切なことの1つは、希望を失わないこと。

私は、『「おめでとう」で始まり、「ありがとう」で終わる人生〜福祉とキリスト教』(教文館)という書籍を出版しました。誰もが神様から祝福され、命を与えられた。誰もが神様から祝福され、命が与えられた。神様から愛された命を皆で大切にしていきたい。また、老いて亡くなる時に、私は世話になった人に「ありがとう」と言うことが、私の最後の役割と考えています。また、「ありがとう」と当事者が言うことができる環境をつくることが、医療や福祉従事者の仕事ではないでしょうか。

「あんなに人に迷惑をかけてまで生に執着するなんてエゴだ」という言葉を聞きますが、懸命に生きている人が放つ光が忘れられている。共に明日に向かって日々歩んでいく先に、希望の光が見えていると思っています。

<これからの勝負は、コミュニティをどのように再生するか>

今、孤立、貧困、虐待、自殺、認知症や要介護状態にありケアを必要とする人々が着実に増加しています。しかし、これは今に始まったことでなく、今まで見て見ぬふりをしてこられた現実が深刻になり、明らかになったと考えることが正しい。ならば、より多くの方と協働して、その防止と対応に取り組む機会が生まれたと考えたい。そして、生活の拠点であるコミュニティを再生しないと、コロナの予防・対応もできません。感染を恐れ、罹った人の非難・排除、最前線で対応している医療や福祉従事者に及ぶ中傷は、互いの存在を認め合ったコミュニティがいたる所で寸断されている証拠。ならば、様々な関わりの方法を開発し、地域にある資源を掘り起こし、相互の関わりを取り戻すことが急務であると思います。困難が深まる今、私たちは、覚悟をもって明日に歩んでいきたい。」