卒業生の中島です。感染が拡大している中、皆さん大変な中にあるかと思いますが、守られるようにお祈りいたします。私が勤める特別養護老人ホームでは、一時期、面会の制限緩和の動きもありましたが、この再拡大を受けて慎重にならざるを得ません。幸いにも今のところ感染者は発生していませんが、皆さんご高齢で重症化リスクの高い方たちばかりですから、なんとしても食い止めていきたいと思っています。
1年近くと長期化している中で、ご家族や親しい方と会えない辛さは計り知れません。最期の時が近いと思われる方などには面会をしていただけるようにしていますが、タイミングが合わないと、ほとんど会わないまま最期を迎えるという方もおり、何ともやりきれない想いになることがあります。オンラインでの面会も準備はしていますが、多くのご家族方が直接会いたいと、窓越しでも直接お会いになる面会を希望して来られます。ご家族との絆の深さや、直接会うことの価値をあらためて感じます。
先日はクリスマス会を行いました。例年であれば多くのご家族を招いて賑やかに過ごすのですが、今年はご利用者と職員だけでした。職員は、そんな中でもできるだけ楽しい時を過ごしていただきたいと、いつも以上に張り切り、寸劇や二人羽織を行って、大笑いの時を持ちました。ご利用者の多くが来年のクリスマスを迎えられるかわからない方々です。「コロナが収まったら、、、」が口癖になり、いろいろなことを先延ばしにしたり、諦めたりしがちですが、今日できることを精一杯やり切ること、後悔しないようにしていくことの大切さを、これまで以上に説得力をもって受け止めています。「夕暮れ時に、光がある。」聖書ゼカリヤ書の言葉ですが、人生の夕暮れ時、つまり人生の最期の日々に光、希望があるように、今日できることを精一杯していきたいと思います。2020年12月24日
練馬キングス・ガーデン 施設長 中島真樹
投稿日 20年12月24日[木] 4:29 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,希望ある明日に向かってメッセージ,社会福祉関連
ご無沙汰しております。実は小生、脳梗塞で10月16日から11月21日まで入院していました。脳幹の出血でした。医者からは全ての運動神経が通っているところで、出血がひどければ死ぬところだったといわれました。幸い極めて早く気が付き、コロナの中でしたがすぐ入院できたことで、回復し退院できました。右手の握力が半分くらいになり、右足が少し重くなりましたが、幸い日常生活に大きな支障はなく、現在は体力の回復と、日常生活を通じてのリハビリに努めています。大学院の授業も中断してしまいご迷惑をおかけし心苦しく思っています。
理事長をしている東京聖労院の理事会や大事な会議にはオンラインで出席し始めました。100年前世界を襲った「スペイン風邪」は、当時の日本の人口5666万人の、およそ半数の2380万人を罹患させ、死者は10万8000人という凄まじいものでした。第一波が襲った1918年は東京聖労院の創始者たちが、前身の事業を開始した年でもありました。創始者たちの熱い思い、実践を100年受け継いでいる私たちは、新型コロナウイルス感染症にもしつかり対応し役割を果たしていきたいと思っています。
ルーテル学院大学 名誉教授 和田敏明
投稿日 12:19 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,希望ある明日に向かってメッセージ,社会福祉関連
希望ある明日に向かって歩むぞメッセージを読ませていただきました。とても勇気づけられました!どこの国でも感染率が上昇傾向で、社会は益々閉塞していますね。アメリカではワクチンの接種が今週から本格的に始まりました。国民の半分以上がワクチン接種に積極的でない反面、全国民の80%近くの接種が達成できなければ、ワクチンの効果がないと言われています。そして、多民族国家であり、不法滞在者の多いアメリカで今後これだけ多くの国民に適切に接種をすることの難しさにも直面しています。
そんな中、私は先週からコロナ患者さんのICUの勤務になり、今日、ワクチンを受けました。ワクチンがこの世を救うのか、それとも一人ひとりの他人を思いやる気持ちと行動がこの世を救うのか・・・そんなことを毎日考えています。
先週、ルーテル学院大学の一年生の授業 (社会福祉原論Ⅱ)でコロナ禍におけるソーシャルワーカーと看護師の働きについて話す機会をいただきました。私は看護師として働いており、社会福祉の仕事とは長く離れてしまっていたので、もう一度原点にもどり、様々な文献と私の職場でのソーシャルワーカーの方たちとの働きの中から、 ソーシャルワーカーの働きを見つめ直してみました。そして、驚くことに、ソーシャルワーカーの働きの幅の広さ、奥の深さなどなどが次々に浮かび上がり、今の閉塞した社会に光を与える仕事なのだと再度実感した瞬間がありました。学生さんたちに伝えたいことは沢山あったのですが、その中の一つ。Equality(平等)と Equity(公平)のコンセプトです。私たちは今までなんでも平等に配ることが大切だと思ってきましたが、今回のコロナのパンデミックなども含めて、社会の体系はますます変化し貧富の差もますます広がります。ですから、今後の社会の中では Equity(公平)つまり、必要な所に必要なものを供給することの大切さが焦点になってくると思いました。
みんなが幸せになれるためには、私たちが必要な所に必要なものを・・・が大切であり、みんなの幸せが実現できるのかも知れません。そして、今こそ、私たちが外にでて、手を指し伸ばしていく時なのかも知れませんね。
今年、2020年を振り返り、長い長い一年だったと思いました。3月の末からコロナのパンデミックが襲ったニューヨークでのコロナICUでの仕事はとても悲しく辛い毎日でしたが、このようにルーテルのコミュニティが私を支えてくれました。ルーテルファミリーからの励ましのお手紙がどれほど勇気づけてくれて、私を前に進めてくれたことか。このようなネットワークに感謝の気持ちでいっぱいです。
今、今年最後のホリデーシーズンのクリスマスを迎えています。アメリカでは、家族がそろって楽しい時間を過ごす11月末のサンクスギビングからクリスマスにかけての時期に自殺者の数が増えると聞いています。みんながみんな、楽しく幸せなはずに時期に、寂しい思いをする人がますます寂しい思いをする悲しい時期でもあります。孤独、貧困、希望を失うこと、などなど。こんな時だからこそ、他人を思うこと 、私たちが外にでて、他人へ手を指し伸ばしていく時なのでしょうね。そして、みなさんへのたくさんの感謝をこめて。岩間恵子
投稿日 20年12月23日[水] 4:37 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連
クリスマスの喜びを直前にして皆さんにメッセージを送らせていただきます。今年はコロナ禍にあり、学校も教会も特別なクリスマスになりました。学校で毎年行われてきたキャンパスクリスマスは一部と二部に分け、一部はZoomを用いたクリスマスストーリーとクイズ大会、二部は50名に制限してのチャペルでの礼拝です。ルーテル三鷹教会のクリスマスイブ礼拝も密を回避するため三度に分けて行われ、チャペル内で賛美歌を歌うこともありません。これらはいつもと違うクリスマスです。でも確かに変わらないことがあります。それはイエス・キリストのご降誕の聖句が読まれることです。「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。」(ヨハネ福音書1章14節)ヨハネは、栄光に輝くイエスが「わたしたちの間に宿られた。」と記します。オンラインとなった「わたしたちの間」、直接触れることを避け、距離を取らなければならない「わたしたちの間」、そこにイエスはお生まれになったと告げるのです。だからコロナ禍にあり人と人との間について悩まされる今こそ、「わたしたちの間」にお生まれになったイエス・キリストの福音(Good News)が大切になるのです。皆さんの職場や家庭にもイエス・キリストはお生まれになります。すべてのクリスマスが祝福に満たされることをお祈りいたします。
ルーテル学院大学 チャプレン 河田優
投稿日 9:42 AM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連
クリスマスが近づいてまいりました。皆さんは、いかがお過ごしですか。私は、昨日、岩◎さんにニューヨークからZOOMで、社会福祉原論Ⅱの受講生等を対象にした授業を行って頂きました。また先日、講演のため栃木県社協に行き、久しぶりに卒業生に会いました。また家族で蘭を育てている卒業生にお願いし自宅に送って頂きました。皆さんに美しい花の写真を送ります。そして市役所に行くとまた卒業生が呼びかけてくれました。私は介護保険に関する委員会の委員長をしていましたが、その部署で数年前から働いていたとのこと。またその後に行った幼老ケアで有名なNPOでは、卒業生が働いていました。思いがけなくうれしい出会いでした。このようなちょっとしたことで心が温まります。
しかし、本年はコロナ禍にあって、さまざまなことが深刻化し、私たちの心を揺らします。だからこそ、私は、家族、友人、卒業生、今まで一緒に歩んできた隣人との絆を大切に、支え合いながら、今日という一日を過ごしていきたいと思っています。
そこで、『明日に向かって歩むぞメッセージ』を再開して、新年に向かっていきたいと考えました。近況、日頃の何気ない出来事、生活や仕事で大切にしていること、皆さんへの応援メッセージのいずれでも結構です。メッセージを 私のメールに送っていただけませんでしょうか。 では、またお会いしましょう。 市川一宏
投稿日 9:20 AM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連,希望ある明日に向かってメッセージ
まずは、感謝を申し上げます。
2020年2月に始まる新型コロナウイルスの広がりは、今までの人々の関係を打ち砕き、不安、恐怖、不信、怒りを生み出し、負の連鎖が広がってきています。そして、約10ヶ月を過ぎても感染症の危機はおさまらず、さらに自殺者の増加、失業者の増加、経済不況という状況は深刻化してきており、高齢者自身や介護する家族が直面する問題も改善の兆しはありません。
このような事態に直面して、今こそ、地域ケアに関わる者が、高齢者、高齢者を介護する家族の方々、サービスを提供する事業者が直面している課題を共有するとともに、目指すべき地域ケアを確認し、それぞれの役割を合意し、協働で取り組む時期であると考えています。
そこで、毎年、三鷹ネットワーク大学と共催して開講しているルーテル学院大学大学院『高齢者福祉研究』の4回分をトークセッションの場とし、三鷹市、調布市、小金井市の地域ケアの実績と知見をお持ちの方々に登壇していただき、地域ケアの現状と課題、そして打開策を具体的にお話しいただくことになりました。
ご多忙な中、本トークセッションのゲストとしてご参加いただき、貴重なご報告とご提案をして下った以下の方々、またプランに始まり、ZOOMの準備、受付、運営等の支援をした下さった三鷹ネットワーク大学の宇山陽子さん、貝原岳さん、田辺伸一さんに心より感謝いたします。ありがとうございました。
<トークセッションのプログラム>
第1回 新型コロナウイルスが猛威を振るう時代における地域ケア
第1部
医療・看護の専門的見地から最新の情報を提供していただき、新型コロナ感染症の実像と予防について学びました。また、社会福祉の視点から、現状と課題、対応について報告しました。
『新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るう時代における地域ケア〜医療の視点から〜』◎角田徹氏(東京都医師会副会長・角田外科消化器科医院院長)
『新型コロナウイルス禍における地域ケア〜看護の視点から〜』◎嶋澤順子氏(東京慈恵会医科大学医学看護学科教授・JANPセンター「みんなの保健室」部門長)
『新型コロナウイルス禍における地域ケア〜社会福祉の視点から〜』市川一宏
第2部
◎原口彰男氏(調布市地域包括支援センターちょうふの里センター管理者)、久野紀子氏(小金井にし地域包括支援センター管理者)、◎麻生喜美江氏(三鷹市社会福祉事業団高齢者福祉部次長)より、地域包括支援センターや事業団の役割について説明を受け、顕在化している高齢者、高齢者を介護する家族、また事業所の問題について学びました。
第2回 困難な時代だからこそ、在宅医療・福祉サービスの原点に立ち返る
第1部 第1回目の議論を踏まえ、重点課題へ取り組む具体的な提案をして頂きました。
「集合住宅における高齢者の孤立とフレイルに対する試み」原口氏
「コロナ禍における退院・退所調整、介護予防活動をどう進めていくか~解決策の提案」久野氏
「現状の取り組みと今後に向けて~変化と役割 自分らしさと備え~」麻生氏
第2部
医療の最前線で働かれてきた医師としての経験と地域ケアの働きをふまえ、介護予防、医療介護連携の取り組み等をご報告いただき、コロナ禍におけると福祉の連携の意義と可能性について学びました。
『新型コロナウイルス時代の介護予防を考える』◎内原正勝氏(医療法人社団うちはら内科クリニック理事長・院長、三鷹市医師会会長)
『ちょうふ在宅医療相談室~調布市 在宅医療・介護連携拠点事業~』◎小川聡子氏(医療法人社団東山会理事長、調布市医師会理事)
『小金井市に於ける在宅医療・介護連携体制の構築』◎斎藤寛和氏(医療法人社団汎和会・さいとう医院院長、小金井市医師会理事・前会長)
第3回 明日の地域を切り開く介護保険・高齢者保健福祉計画
高齢者及び介護する家族が直面する状況、福祉事業者等が直面する課題の認識、計画作成のプロセスと概要をご説明頂き、各市・都の計画の主要な取り組みについてご報告いただきました。なお、3市の比較表がまとめられていますので、ご参照ください。
◎市橋宗明(三鷹市健康福祉部介護保険課長補佐)
①地域の支え合いの仕組みづくりの推進による地域共生社会の実現、②介護人財確保事業の拡充
◎松井佳孝(調布市高齢者支援室室長)
①生活支援体制整備事業、②ケアラー支援
◎鈴木茂哉(小金井市介護福祉課長)
①小金井市さくら体操、②アプリを活用した見守り
◎武田文彦(東京都福祉保健局高齢社会対策部計画課長)
①ウィズコロナの介護予防・フレイル予防活動支援事業、②介護事業者の地域連携推進事業
③区市町村介護人材緊急確保対策事業について
第4回 明日の地域を切り開く福祉実践
それぞれの地域福祉実践をご紹介いただき、地域ケアの原点と可能性を学ぶことができました。そして、3市におけるその働きは、3市の地域ケアに留まらず、地域発の「これから私たちが目指す社会づくり」に繋がると確信しました。
実践報告
[地域ケアネットワーク] ◎畑谷貴美子(地域ケアネットワーク・新川中原会長)
[共生型デイ] ◎森田和道(NPO 法人地域の寄り合い所また明日)
[0 歳から 108 歳までの在宅ケア] ◎柳本文貴(NPO 法人グレースケア機構代表)
[ボランティア・地域活動のバックアップ] ◎道三啓吾(三鷹市社協ボランティア推進係係長)
[セカンドライフ応援キャンペーン] ◎藤島秀雄(調布市高齢者支援室計画係地域ケア担当)
私は、今回のトークセッションを通して、以下のことを学びました・
1.身に染みて学んだコロナ感染症に関する正確な医療・看護情報の大切さ
1回目の最初に、角田先生より、コロナ感染症に関するエビデンスに基づいた情報をご提示いただき、コロナの実態を知ることができ、さらに感染症予防について具体的に考える機会をいただきました。また続いて嶋澤先生より、実際の現場の状況と地域看護から見た地域の現状と取り組みについて、ご報告をいただきました。医学的根拠に基づいた知識を得ることができ、地域ケアの今後のあり方を考える上で、示唆を与えられました。なお、市川は、福祉の視点から、コロナ禍における地域ケアについて報告しています。
2.地域ケアの最前線から届けられた課題と取り組み
地域包括支援センターや在宅福祉サービスの拠点という地域ケアの最前線で働かれている3名の専門職の方々より、高齢者や介護する家族が直面する、日常生活能力の低下、その結果としての自宅における骨折者増、サロンや見守り活動の休止による孤立に深刻化、認知症等の発症等高齢者本人をめぐる問題や、福祉機関や事業所が直面する事業の危機等を理解できました。また集合住宅における孤立予防、入退院の調整、地域における介護予防等の取り組みをご提案いただきました。課題を共有し、保健医療福祉の関係者、住民、当事者の役割の合意に結びつく道が開かれました。
3.それぞれの医療の実践から、地域ケアのあり方を学ぶ
3市の医師会において重要な役割を担っておられる方々より、新型コロナウイルス時代の介護予防、ちょうふ在宅医療相談室~調布市 在宅医療・介護連携拠点事業、小金井市に於ける在宅医療・介護連携の取り組みのご報告と共に、医師としての視点から、地域ケアへの明確な関わりをご提案いただきました。具体的には、①介護予防に関する体系的な学び、②市の特性に応じた、病院、かかりつけ医、地域包括ケアセンター、保健所、訪問看護事業者等による保健医療福祉体制と、医師会に設置された医療相談室の取り組み、③医療介護連携を目指した地道な取り組みと実績を学ぶことができたことは貴重な機会でした。今回、保健医療福祉等の関係者が協働して取り組む必要性を認識できましたので、コロナ禍に相応しい連携が進められていくと思いました。
4.コロナ禍において通用する計画の作成を目指した行政の挑戦
コロナの感染症の拡大が明確になった4月以降、三鷹市、調布市、小金井市、武蔵野市、そして東京都は情報交換を行い、できることに取り組んでまいりました。そして、本年は、2021年より2023年の介護保険・高齢者保健福祉計画の作成年度にあたり、①高齢者等が直面する生活課題の現状把握を踏まえた計画、②当事者や関係する事業者・団体・機関の意見に丁寧に解答し、取り組みの合意形成を目指した、計画策定のプロセスを大切にする計画、③新型コロナ感染症の影響による、未曾有の危機に対する協働の取り組みを目指した計画であったと思います。3市及び都の担当者の取り組みに敬意を表します。
5.足に靴を合わせた福祉は、地域ケアの可能性を提示するだけでなく、目指すべき社会づくりへと繋がる
「靴に足を合わせるのではなく、足に靴を合わせる福祉活動」とは、活動の枠組みに利用者のニーズを合わせようとするのではなく、利用者のニーズに合わせてふさわしい活動を創り上げていくという考え方です。地域ケアネットワークは、「共助」の取り組みで、たくさんの方々が参加しておられます。住民から求められる要望に応じ、薬剤師や保健師、地域包括ケアセンターの専門職のサロンへの関わりを依頼し、時にはPTAをかつて担っておられたOBと一緒に活動し、担い手を広げることに尽力しておられていました。「また明日」では、児童、高齢者、近隣の友人、職員間の関わりの中で、それぞれが認めあい、助け合い、人間としての誇りと存在と尊厳が守られていました。グレースケア機構は、高齢者等の、現在の制度では対応できないニーズにもこたえるとともに、介護サービスの担い手が働きがいをもち、適切な労働条件を整備できる仕組みを取り入れておられました。社協は、住民や行政、関係者、企業とともに地域福祉課題に取り組む社協の使命と多様な役割、具体的支援を丁寧に説明されました。行政は、2つのプロジェクトを通し、行政内の横断的連携とともに、行政の枠組みを超え地域におけるネットワークを広げ、市民や企業,福祉関係者と協働した運営を行う新たな行政の役割を提示なさいました。
3市におけるその働きは、3市の地域ケアに留まらず、地域発の「これから私たちが目指す社会づくり」に繋がると確信しました。
6.「求められていること」「したいこと」「できること」を模索しながら進められる福祉実践を考える
第一に、コロナ感染症が急激に拡大している今、予定していたサロン活動を延期した畑谷さんやメンバーの方々の判断をお聞きして、私は以下のように考えました。㋐皆で話し合い、医師のアドバイスをいただき、延期を決めたことに意味がある。そのプロセスは、活動の継続に繋がる。㋑サロン活動の目標は、サロンの実施ではなく、健康維持、孤立予防、幸せな生活であり、サロンはその手段だと思います。ならば、利用者と活動者が一緒に活動することは当然大切だが、「一緒に活動の時を待つ」ことも重要な協働であると思います。
第二に、コロナ禍にあって、私たちは、0か100ではない活動、すなわち「しない」=0と、本格的に行う=100ではなく、1〜99を加えた100通りの選択肢を考えることが大切であると思います。その結果、多様な実践が生まれ、地域ケアの裾野が広がります。
第三に、コロナ感染症がもたらす、経済的問題、孤立の問題、自殺の問題はより深刻化し、対応をより強く求められるかもしれません。ですから、私たちは、今から地域ケアの原点に立ち返り、今までの実績を大切に、それを強みとして、実践を進化させていくことが必要ではないでしょうか。すでに地域で育っている木に、ボランティア、医師会、社協、公社等の保健医療福祉団体等と協働した新たな取り組みを接ぎ木していく作業が大切だと思います。
ふりかえって、新型コロナ感染症がまったく終息していないこの時期に、たくさんのゲストの方々にお願いして「新型コロナウイルス時代の地域ケアを考えるトークセッション【Zoom講座】~三鷹市・調布市・小金井市の現場から~」という4回のトークセッションを企画しましたが、企画当初、開催して良いのかという気持はありました。しかし、高齢者や高齢者を介護する家族、またサービスを提供する方々が直面する危機を知り、広く呼びかけようと思い、さまざまな方々に協力をお願いしました。
しかし、私は、これだけ多くのゲストが登壇して下さったこと、またそれを三鷹ネットワーク大学が支え、また予想を超えるたくさんの方々がご参加くださったことに心より感謝しています。それぞれのゲストの思いは、参加した皆さんの心に響き、私にいくつもの感謝のメールが届いています。
また、困難にある今、地域ケアの原点に戻って、できることに挑戦できないならば、普段の時は当然無理だし、より困難が予想されるこれからにも対応できません。そして、ご提案頂いた取り組みが当たり前のことであると、多くの方々が理解した時、期待が確信に変わり、地域は変わると考えています。厳しい時に、明日への希望を生み出そうとする協働が始められるのではないかと思っています。
本当の勝負は、これからです。私は、それぞれの現場で、今回築かれたネットワークが引き継がれ、発展していくと信じています。その期待を込めて、最初に中間報告と書きました。
また、お会いしましょう。
2020年12月1日
市川一宏
投稿日 20年12月02日[水] 10:23 PM | カテゴリー: カテゴリ無し,共助社会づくり,大学関連