大学関連

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

 クリスマスの喜びを直前にして皆さんにメッセージを送らせていただきます。今年はコロナ禍にあり、学校も教会も特別なクリスマスになりました。学校で毎年行われてきたキャンパスクリスマスは一部と二部に分け、一部はZoomを用いたクリスマスストーリーとクイズ大会、二部は50名に制限してのチャペルでの礼拝です。ルーテル三鷹教会のクリスマスイブ礼拝も密を回避するため三度に分けて行われ、チャペル内で賛美歌を歌うこともありません。これらはいつもと違うクリスマスです。でも確かに変わらないことがあります。それはイエス・キリストのご降誕の聖句が読まれることです。「言は肉となって、わたしたちの間に宿られた。わたしたちはその栄光を見た。それは父の独り子としての栄光であって、恵みと真理とに満ちていた。」(ヨハネ福音書1章14節)ヨハネは、栄光に輝くイエスが「わたしたちの間に宿られた。」と記します。オンラインとなった「わたしたちの間」、直接触れることを避け、距離を取らなければならない「わたしたちの間」、そこにイエスはお生まれになったと告げるのです。だからコロナ禍にあり人と人との間について悩まされる今こそ、「わたしたちの間」にお生まれになったイエス・キリストの福音(Good News)が大切になるのです。皆さんの職場や家庭にもイエス・キリストはお生まれになります。すべてのクリスマスが祝福に満たされることをお祈りいたします。
ルーテル学院大学 チャプレン 河田優

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

 今年を振り返ると、まさに新型コロナウイルス感染症対策に社会全体が追われ続けた一年でした。私自身も、在宅勤務を併用するなかで、オンライン会議・研修への対応など、さまざまな対応に追われました。コロナの影響力を鑑みると決して「良い年だった」とは言いにくい年ではあったかと思います。ただし、コロナによって、社会が一体となり、ICT化を加速度的に進めることができました。改めて地域でのつながりの大切さがわかった1年でした。(被災地などでは、外部支援が当たり前のようになっていましたが、 コロナ禍では、できるだけ地域の力で支え合っていこうという風潮がより強く見られました)など、できる限りポジティブな影響も意識するようにしています。直近でも、オンライン研修会で、東北で働かれているルーテルの卒業生の方とお話する機会がありました。その方も集合研修で東京に数日行くことは難しいが、オンライン会議だから参加できたとお話されていました。また、全社協でもオンライン会議が基本となり、遠方からの移動がなくなった分、全国各地の役員さんとこれまで以上に議論の回数を増やすことができました。このように、遠方の方とも、簡単に繋がることができるようになったのは、社会の大きな歩みだと思います。
 なお、全社協では、コロナ禍で、日夜、福祉サービス利用者を支えている全国のエッセンシャルワーカーの皆様へ、全社協および関係大臣から、心からの感謝を込めて応援メッセージをお届けしています。ぜひ、ご覧ください。https://www.shakyo.or.jp/tsuite/ouen_video.html

                 全国社会福祉協議会 A.K

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

 皆さま、どうお過ごしでしょうか。私は新型コロナウイルスの影響から失業、生活困窮された方たちの支援活動、政策提言に奔走しております。日本が経験する史上初の社会的危機と言ってもいい惨状で、頼るべき場所がない方たちが大勢相談に来ています。社会福祉はその時々の時代情勢の変化に応じて、弱くさせられた人々と向き合って来たのだと思います。そのような先人たちの歩みを参考に、今回も多くの人たちと共に苦しさを少しでも和らげていけるように尽力していきます。厳しい時期、辛い時期は長く続きませんので、コロナ収束を願いながら現場で奮闘していこうと思います。新型コロナに細心の注意を払いながら、お過ごしください。全ての方たちが新年を安らかに迎えられることを願っております。特定非営利活動法人ほっとプラス理事 藤田孝典

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

 クリスマスが近づいてまいりました。皆さんは、いかがお過ごしですか。私は、昨日、岩◎さんにニューヨークからZOOMで、社会福祉原論Ⅱの受講生等を対象にした授業を行って頂きました。また先日、講演のため栃木県社協に行き、久しぶりに卒業生に会いました。また家族で蘭を育てている卒業生にお願いし自宅に送って頂きました。皆さんに美しい花の写真を送ります。そして市役所に行くとまた卒業生が呼びかけてくれました。私は介護保険に関する委員会の委員長をしていましたが、その部署で数年前から働いていたとのこと。またその後に行った幼老ケアで有名なNPOでは、卒業生が働いていました。思いがけなくうれしい出会いでした。このようなちょっとしたことで心が温まります。

 しかし、本年はコロナ禍にあって、さまざまなことが深刻化し、私たちの心を揺らします。だからこそ、私は、家族、友人、卒業生、今まで一緒に歩んできた隣人との絆を大切に、支え合いながら、今日という一日を過ごしていきたいと思っています。 

 そこで、『明日に向かって歩むぞメッセージ』を再開して、新年に向かっていきたいと考えました。近況、日頃の何気ない出来事、生活や仕事で大切にしていること、皆さんへの応援メッセージのいずれでも結構です。メッセージを 私のメールに送っていただけませんでしょうか。 では、またお会いしましょう。 市川一宏

宇都宮の卒業生

 12月7日、栃木県民生委員児童委員協議会主催の単位民児協会長・副会長研修会で、講演をしてきました。栃木県社協には私の教え子がおり、会うことができました。また、宇都宮市内で蘭を育て、販売等をしている卒業生と電話で話すことができました。2人は卒業して30年以上になりますが、それぞれが頑張り屋さんで、人生のいろいろな出来事に会いながらも、誠実に歩んできた卒業生で、私も励まされて今があります。2人に感謝しています。

 コロナの影響で、蘭の販売も大変かと勝手に思い、自宅へ配送を依頼しましたところ、今日、黄色い蘭が届きました。見事な花で、早速飾りましたところ、居間が一気に明るくなりました。

 学生時代の出会いが、黄色の蘭になり、その蕾が、これからも咲いていく。楽しみです。

 株式会社蘭のすずひろ 〒320-0856宇都宮市砥上町76 ☎028-648-8054

福祉系大学経営者協議会勉強会

 2020年12月3日、zoomで、「with コロナ時代の福祉専門職の育成を考える」をテーマに勉強会が行われました。以下、報告いたします。

新型コロナウイルス時代の地域ケアを考えるトークセッション【Zoom講座】~三鷹市・調布市・小金井市の現場から~中間報告

まずは、感謝を申し上げます。

2020年2月に始まる新型コロナウイルスの広がりは、今までの人々の関係を打ち砕き、不安、恐怖、不信、怒りを生み出し、負の連鎖が広がってきています。そして、約10ヶ月を過ぎても感染症の危機はおさまらず、さらに自殺者の増加、失業者の増加、経済不況という状況は深刻化してきており、高齢者自身や介護する家族が直面する問題も改善の兆しはありません。

このような事態に直面して、今こそ、地域ケアに関わる者が、高齢者、高齢者を介護する家族の方々、サービスを提供する事業者が直面している課題を共有するとともに、目指すべき地域ケアを確認し、それぞれの役割を合意し、協働で取り組む時期であると考えています。

そこで、毎年、三鷹ネットワーク大学と共催して開講しているルーテル学院大学大学院『高齢者福祉研究』の4回分をトークセッションの場とし、三鷹市、調布市、小金井市の地域ケアの実績と知見をお持ちの方々に登壇していただき、地域ケアの現状と課題、そして打開策を具体的にお話しいただくことになりました。

ご多忙な中、本トークセッションのゲストとしてご参加いただき、貴重なご報告とご提案をして下った以下の方々、またプランに始まり、ZOOMの準備、受付、運営等の支援をした下さった三鷹ネットワーク大学の宇山陽子さん、貝原岳さん、田辺伸一さんに心より感謝いたします。ありがとうございました。

<トークセッションのプログラム>

第1回 新型コロナウイルスが猛威を振るう時代における地域ケア

第1部

医療・看護の専門的見地から最新の情報を提供していただき、新型コロナ感染症の実像と予防について学びました。また、社会福祉の視点から、現状と課題、対応について報告しました。

『新型コロナウイルス(COVID-19)が猛威を振るう時代における地域ケア〜医療の視点から〜』◎角田徹氏(東京都医師会副会長・角田外科消化器科医院院長) 

『新型コロナウイルス禍における地域ケア〜看護の視点から〜』◎嶋澤順子氏(東京慈恵会医科大学医学看護学科教授・JANPセンター「みんなの保健室」部門長)

『新型コロナウイルス禍における地域ケア〜社会福祉の視点から〜』市川一宏

第2部

◎原口彰男氏(調布市地域包括支援センターちょうふの里センター管理者)、久野紀子氏(小金井にし地域包括支援センター管理者)、◎麻生喜美江氏(三鷹市社会福祉事業団高齢者福祉部次長)より、地域包括支援センターや事業団の役割について説明を受け、顕在化している高齢者、高齢者を介護する家族、また事業所の問題について学びました。

第2回 困難な時代だからこそ、在宅医療・福祉サービスの原点に立ち返る

第1部 第1回目の議論を踏まえ、重点課題へ取り組む具体的な提案をして頂きました。

「集合住宅における高齢者の孤立とフレイルに対する試み」原口氏

「コロナ禍における退院・退所調整、介護予防活動をどう進めていくか~解決策の提案」久野氏

「現状の取り組みと今後に向けて~変化と役割 自分らしさと備え~」麻生氏

第2部

医療の最前線で働かれてきた医師としての経験と地域ケアの働きをふまえ、介護予防、医療介護連携の取り組み等をご報告いただき、コロナ禍におけると福祉の連携の意義と可能性について学びました。

『新型コロナウイルス時代の介護予防を考える』◎内原正勝氏(医療法人社団うちはら内科クリニック理事長・院長、三鷹市医師会会長)

『ちょうふ在宅医療相談室~調布市 在宅医療・介護連携拠点事業~』◎小川聡子氏(医療法人社団東山会理事長、調布市医師会理事)

『小金井市に於ける在宅医療・介護連携体制の構築』◎斎藤寛和氏(医療法人社団汎和会・さいとう医院院長、小金井市医師会理事・前会長)

第3回 明日の地域を切り開く介護保険・高齢者保健福祉計画

 高齢者及び介護する家族が直面する状況、福祉事業者等が直面する課題の認識、計画作成のプロセスと概要をご説明頂き、各市・都の計画の主要な取り組みについてご報告いただきました。なお、3市の比較表がまとめられていますので、ご参照ください。

◎市橋宗明(三鷹市健康福祉部介護保険課長補佐)

①地域の支え合いの仕組みづくりの推進による地域共生社会の実現、②介護人財確保事業の拡充

◎松井佳孝(調布市高齢者支援室室長)

①生活支援体制整備事業、②ケアラー支援

◎鈴木茂哉(小金井市介護福祉課長)

①小金井市さくら体操、②アプリを活用した見守り

◎武田文彦(東京都福祉保健局高齢社会対策部計画課長)

①ウィズコロナの介護予防・フレイル予防活動支援事業、②介護事業者の地域連携推進事業

③区市町村介護人材緊急確保対策事業について

第4回 明日の地域を切り開く福祉実践

 それぞれの地域福祉実践をご紹介いただき、地域ケアの原点と可能性を学ぶことができました。そして、3市におけるその働きは、3市の地域ケアに留まらず、地域発の「これから私たちが目指す社会づくり」に繋がると確信しました。

実践報告

[地域ケアネットワーク] ◎畑谷貴美子(地域ケアネットワーク・新川中原会長) 

[共生型デイ] ◎森田和道(NPO 法人地域の寄り合い所また明日)

[0 歳から 108 歳までの在宅ケア] ◎柳本文貴(NPO 法人グレースケア機構代表)  

[ボランティア・地域活動のバックアップ] ◎道三啓吾(三鷹市社協ボランティア推進係係長) 

[セカンドライフ応援キャンペーン] ◎藤島秀雄(調布市高齢者支援室計画係地域ケア担当) 

 私は、今回のトークセッションを通して、以下のことを学びました・

1.身に染みて学んだコロナ感染症に関する正確な医療・看護情報の大切さ

 1回目の最初に、角田先生より、コロナ感染症に関するエビデンスに基づいた情報をご提示いただき、コロナの実態を知ることができ、さらに感染症予防について具体的に考える機会をいただきました。また続いて嶋澤先生より、実際の現場の状況と地域看護から見た地域の現状と取り組みについて、ご報告をいただきました。医学的根拠に基づいた知識を得ることができ、地域ケアの今後のあり方を考える上で、示唆を与えられました。なお、市川は、福祉の視点から、コロナ禍における地域ケアについて報告しています。

2.地域ケアの最前線から届けられた課題と取り組み

地域包括支援センターや在宅福祉サービスの拠点という地域ケアの最前線で働かれている3名の専門職の方々より、高齢者や介護する家族が直面する、日常生活能力の低下、その結果としての自宅における骨折者増、サロンや見守り活動の休止による孤立に深刻化、認知症等の発症等高齢者本人をめぐる問題や、福祉機関や事業所が直面する事業の危機等を理解できました。また集合住宅における孤立予防、入退院の調整、地域における介護予防等の取り組みをご提案いただきました。課題を共有し、保健医療福祉の関係者、住民、当事者の役割の合意に結びつく道が開かれました。

3.それぞれの医療の実践から、地域ケアのあり方を学ぶ

3市の医師会において重要な役割を担っておられる方々より、新型コロナウイルス時代の介護予防、ちょうふ在宅医療相談室~調布市 在宅医療・介護連携拠点事業、小金井市に於ける在宅医療・介護連携の取り組みのご報告と共に、医師としての視点から、地域ケアへの明確な関わりをご提案いただきました。具体的には、①介護予防に関する体系的な学び、②市の特性に応じた、病院、かかりつけ医、地域包括ケアセンター、保健所、訪問看護事業者等による保健医療福祉体制と、医師会に設置された医療相談室の取り組み、③医療介護連携を目指した地道な取り組みと実績を学ぶことができたことは貴重な機会でした。今回、保健医療福祉等の関係者が協働して取り組む必要性を認識できましたので、コロナ禍に相応しい連携が進められていくと思いました。

4.コロナ禍において通用する計画の作成を目指した行政の挑戦

コロナの感染症の拡大が明確になった4月以降、三鷹市、調布市、小金井市、武蔵野市、そして東京都は情報交換を行い、できることに取り組んでまいりました。そして、本年は、2021年より2023年の介護保険・高齢者保健福祉計画の作成年度にあたり、①高齢者等が直面する生活課題の現状把握を踏まえた計画、②当事者や関係する事業者・団体・機関の意見に丁寧に解答し、取り組みの合意形成を目指した、計画策定のプロセスを大切にする計画、③新型コロナ感染症の影響による、未曾有の危機に対する協働の取り組みを目指した計画であったと思います。3市及び都の担当者の取り組みに敬意を表します。

5.足に靴を合わせた福祉は、地域ケアの可能性を提示するだけでなく、目指すべき社会づくりへと繋がる

「靴に足を合わせるのではなく、足に靴を合わせる福祉活動」とは、活動の枠組みに利用者のニーズを合わせようとするのではなく、利用者のニーズに合わせてふさわしい活動を創り上げていくという考え方です。地域ケアネットワークは、「共助」の取り組みで、たくさんの方々が参加しておられます。住民から求められる要望に応じ、薬剤師や保健師、地域包括ケアセンターの専門職のサロンへの関わりを依頼し、時にはPTAをかつて担っておられたOBと一緒に活動し、担い手を広げることに尽力しておられていました。「また明日」では、児童、高齢者、近隣の友人、職員間の関わりの中で、それぞれが認めあい、助け合い、人間としての誇りと存在と尊厳が守られていました。グレースケア機構は、高齢者等の、現在の制度では対応できないニーズにもこたえるとともに、介護サービスの担い手が働きがいをもち、適切な労働条件を整備できる仕組みを取り入れておられました。社協は、住民や行政、関係者、企業とともに地域福祉課題に取り組む社協の使命と多様な役割、具体的支援を丁寧に説明されました。行政は、2つのプロジェクトを通し、行政内の横断的連携とともに、行政の枠組みを超え地域におけるネットワークを広げ、市民や企業,福祉関係者と協働した運営を行う新たな行政の役割を提示なさいました。

3市におけるその働きは、3市の地域ケアに留まらず、地域発の「これから私たちが目指す社会づくり」に繋がると確信しました。

6.「求められていること」「したいこと」「できること」を模索しながら進められる福祉実践を考える

第一に、コロナ感染症が急激に拡大している今、予定していたサロン活動を延期した畑谷さんやメンバーの方々の判断をお聞きして、私は以下のように考えました。㋐皆で話し合い、医師のアドバイスをいただき、延期を決めたことに意味がある。そのプロセスは、活動の継続に繋がる。㋑サロン活動の目標は、サロンの実施ではなく、健康維持、孤立予防、幸せな生活であり、サロンはその手段だと思います。ならば、利用者と活動者が一緒に活動することは当然大切だが、「一緒に活動の時を待つ」ことも重要な協働であると思います。

第二に、コロナ禍にあって、私たちは、0か100ではない活動、すなわち「しない」=0と、本格的に行う=100ではなく、1〜99を加えた100通りの選択肢を考えることが大切であると思います。その結果、多様な実践が生まれ、地域ケアの裾野が広がります。

第三に、コロナ感染症がもたらす、経済的問題、孤立の問題、自殺の問題はより深刻化し、対応をより強く求められるかもしれません。ですから、私たちは、今から地域ケアの原点に立ち返り、今までの実績を大切に、それを強みとして、実践を進化させていくことが必要ではないでしょうか。すでに地域で育っている木に、ボランティア、医師会、社協、公社等の保健医療福祉団体等と協働した新たな取り組みを接ぎ木していく作業が大切だと思います。

ふりかえって、新型コロナ感染症がまったく終息していないこの時期に、たくさんのゲストの方々にお願いして「新型コロナウイルス時代の地域ケアを考えるトークセッション【Zoom講座】~三鷹市・調布市・小金井市の現場から~」という4回のトークセッションを企画しましたが、企画当初、開催して良いのかという気持はありました。しかし、高齢者や高齢者を介護する家族、またサービスを提供する方々が直面する危機を知り、広く呼びかけようと思い、さまざまな方々に協力をお願いしました。

しかし、私は、これだけ多くのゲストが登壇して下さったこと、またそれを三鷹ネットワーク大学が支え、また予想を超えるたくさんの方々がご参加くださったことに心より感謝しています。それぞれのゲストの思いは、参加した皆さんの心に響き、私にいくつもの感謝のメールが届いています。

また、困難にある今、地域ケアの原点に戻って、できることに挑戦できないならば、普段の時は当然無理だし、より困難が予想されるこれからにも対応できません。そして、ご提案頂いた取り組みが当たり前のことであると、多くの方々が理解した時、期待が確信に変わり、地域は変わると考えています。厳しい時に、明日への希望を生み出そうとする協働が始められるのではないかと思っています。

本当の勝負は、これからです。私は、それぞれの現場で、今回築かれたネットワークが引き継がれ、発展していくと信じています。その期待を込めて、最初に中間報告と書きました。

また、お会いしましょう。

                           2020年12月1日

                           市川一宏


希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

新型コロナウイルスはすべての人の生活に影響を与えています。こ れまでできていたことや、やりたいたいことができなくなる、いま までの生活様式を変える、いままでの仕事の仕方を変える、人との 距離をとる、人との関わり方を変える、人と関わらない・・・とさ まざまな「変える」「変わる」を今まさに経験しています。新型コ ロナウイルスに「感染しないため」に。
------
先日、以下のような話をとある大学の先生から伺いました。
------
「私のすんでいる地域はいわゆる“田舎”です。先日、母子家庭のお 母さんが新型ウイルスに感染しました。お母さんと高校生の娘の世 帯です。それまでその地域では新型コロナ感染者は出ていなかった のですが、このお母さんが感染したことによって起こったこ と・・・それは「うわさ」による地域からの差別・排除でした。 “田舎”に暮らしたことがあればわかると思いますが、住民の間では 『どこどこの誰々さんはどんな仕事をしていて、子どもはどこの学 校に行っていて・・・』とプライバシーが住民の間ですぐに共有さ れてしまいます。うわさも含めて。結局、その母子はその地域で暮らしていくことができなくなり、 引っ越しを余儀なくされました。」
------
この話を聞いたとき、とても大きな衝撃・悲しさとともに、地域に 暮らす人びとの「恐さ」に、私たち福祉に携わる人間は目をそらし てはいけないと思いました。そもそも感染してしまったことは罪なのでしょうか。私たち(ソーシャルワーク専門職養成教育界隈)はこれまで、「地 域」や「地域住民」像をキラキラしたきれいで理想的な一面だけを 切り取って伝え過ぎていやしないか・・・(自戒の念です)
------
いま、「地域共生社会」という政府の政策理念のもとで社会福祉士 等の国家資格養成教育の内容も見直されることとなりましたが、 ソーシャルワーク専門職の養成に携わる人間は、国の政策理念がど うであれ、すべての人が持っている「個」を大切にし、多様性を認 め、「社会的つながりが弱い人」「つながることができない人」 「つながりたくない人」「つなぎたい人」などいろんな考え方の人 たちがいることを認めた上で「共生」を考えなければならないと思 います。そして、社会で弱い立場にある人が差別(うわさ)され、 抑圧(いやがらせ)され、排除(引越し)される状況を良しとせ ず、変えようとするソーシャルワーカーを育てなければならないと 思っています。このスタンスは「変えてはならない」「変わっては ならない」ものでしょう。
------
新型コロナウイルスを正しく恐れる事はとても大事なことですが、 もっと恐れるべき「こと」が起こっています。それはソーシャル ワーク専門職養成にとって極めて重要なイシューであること、そし て私たち福祉に関わる人間はこのイシューにもっと敏感にならなく てはなりません。そのために私もがんばろうと思います。

小森 敦/日本ソーシャルワーク教育学校連盟事務局(日本ルーテル教団北見教会と繋がりのある方です:市川より)

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

 現在、私はがん専門病院の緩和ケアチームに属し、未成年の子どもを育てる若年がん患者とそのご家族の支援に携わっております。この支援の目的は、「病気の患者」という側面からだけでとらえず、「その人らしさ」を大切に、その人と家族の社会生活を含めて支えることですが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、支援もこれまでどおりとはいかなくなりました。入院患者さんへの面会は制限されています。患者さんは感染症からの安全は守られるかもしれませんが、ご家族やご友人など親しい方と、身を寄せ、触れながら安らぐ関係性が得られにくくなりました。同じく看護や支援のあり方も変化せざるを得ません。

 そういったなか、日常の中で“いたみ”に気づくことが増しています。患者さんやそのご家族のみならず、力を尽くす医療関係者も、これまでの「当たり前」を失い、それぞれにいたみを抱えています。誰でも、疲れた身体と揺らぐ気持ちから、理解し合うことが難しくなること、思いやる行動に気づきにくくなることがあります。それぞれがいたみを抱えるこの現状に、未来が臨めず闇が深まる感覚をおぼえることがあります。

 ですが、「希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ」を読ませていただくと、現在が未来と断絶されているのではないということが感じられます。皆さまのお姿は、それぞれの地において現在の一断面にあって、なしうる工夫を重ねながら、支え手として、誰かを伴走しつつ、いたみを分かち合うバトンを、明日のために引き継いでおられるように思えます。先行きの見えない現状にあって、そのことは、一筋の光のように、私には感じられます。

 市川先生にお招きいただき、このような先生方、岩◎様をはじめ卒業生の方々の交わりに加えていただき、ありがとうございます。

 どうぞ、それぞれの場で、安全と安心が守られますように。

                 2020年9月8日 小嶋(左近)リベカ

2020年9月19日 朝日新聞「be report]

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

 このたび、市川先生よりお声掛けいただき、メッセージを寄せさせていただきます。 

 このコロナ禍に置きまして、罹患された皆様方にお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた皆様方に対しまして、哀悼の意を表します。  

 そして、同窓生の皆様におかれましては、医療・福祉実践の最前線でご尽力されておられますこと、感謝と尊敬の念でいっぱいでございます。 

 少しだけ自己紹介をさせていただきたいと思いますが、私は編入生として1990年代半ばにルーテル学院大学の一員とさせていただきました。その後、別の大学院を修了し、社会福祉協議会に勤務した後、都内の大学にて社会福祉士養成に携わっております。市川先生には、ことあるごとに声をかけていただき、お心にとめていただけますことをありがたく思っております。

 これまで、大学に勤務されておられます御卒業生の皆様もおっしゃっておられますが、4月から現在まで、すべての授業がオンライン授業となっており、実習指導でさえ、オンライン中心でした(実習開始前に数度の対面授業はありましたが…)。

 4月以降は例年であれば、実習前の学生さんたちの相談に乗ったり、就活や卒論で悩む学生さんたちに付き合う日々でしたが一変してしまいました。学生さんたちも、まじめな学生さんたちが多いので、人と会うことを避けてきた結果、体調不良を起こす人も少なくない状況でした。私たちにできることは、話を聞くことしかできませんでしたが、学生さんたちが「聴いてもらうこと」、いわば傾聴の意味を体験的知識として得ていく結果となりました。ゼミ生たちからもここ最近出てくる言葉は、「人と会うことがこんなにも大切なことだとは思わなかった」ということです。確かに、大学生ともなれば、自己学習の機会は増えてくると思います。ですが、本やインターネットの知識だけではなく、他者との交わりの中で、紡ぎだされるものがあるということを改めて「知る」ということは、SNSが生活の主体となる若者の大きな糧として、活きてくることと思います。 

 これまで私はゼミ生とともに、「当事者とともにある」ということを主眼に活動を行ってきました。近年では、寿町での炊き出しのお手伝いや、性被害にあわれた方々とのコラボレーション企画などを進めていましたが、このコロナ禍でストップしてしまった状態です。ですが、当事者の方々が持つ力の大きさやしなやかさに、私たちは学ばせてもらっている昨今です。ともすれば、支援者側が「支援している」感覚に陥りがちですが、当事者の方々の苦しみから得た「体験的知識」に、私たちが学び、突き動かされていることを、このコロナ禍で知る機会となっています。形を変えながら、支援を続けることに英知を結集して挑みたいと思わされる日々です。

 これからも御卒業生のみなさまの各地での働きに力を得ながら、ともに歩み続けたいと思います。 

                              Sato M.