リアン文京のチャレンジ
リアン文京は老人福祉センター、地域振興施設、子育て支援、障害者支援施設(入所支援、短期入所、生活介護、就労継続支援 B 型、自立訓練)、放課後等デイサービス、就労継続支援 A 型をはじめ地域活動支援センターや特定相談支援並びに居宅支援等の大小 27 事業を運営し、高齢者部門、障害者部門、子育て部門、地域部門を持つ都市型複合施設です。
リアン文京は、2021年度・2022年度のニッセイ財団の先駆的事業助成・地域福祉チャレンジ活動助成を受けて、以下のプロジェクトを実施し、私がアドバイスを行った。プロジェクトの内容と成果は、掲載のお許しを頂いたので、以下のパワーポイントと報告原稿をご覧頂きたい。
https://www.dropbox.com/scl/fi/4bo2dpf679h0e48u3nqmm/.docx?rlkey=re4ble9dqtegt50qcxp8i14ps&dl=0
ふりかえって、このプロジェクトの2年間には、コロナの影響を受け、プロジェクトを進めることができなかった時期もあった。また、施設長であり、今回の企画の中心的役割を担っていた山内さんが、リアン以外の施設の責任も担うことになり、推進体制も揺らいだ時期もあったと思う。このような困難に対応し、NPO法人の創設にたどりついたことに、改めて敬意を表したい。
なお、報告の当日の私のコメントをここに書かせて頂く。
「特徴を3つ申し上げたいと思います。
1つは、接ぎ木型というような特徴があるかと思います。すなわち文京総合福祉センターという地域の拠点があり、資料で示している多様な事業をしていました。その事業を基礎に、今回の報告で示された事業を企画し、実施して地域に広げ、地域に定着させていった。その取り組みは、センターという施設に新たにサービス、活動を接ぎ木し、施設から地域にある施設へ本格的に脱皮していった。この点は、とても評価できることだと思います。
2点目は、私はタコ足配線と思っています。地域に必要性だと思った時に、必要なサービス、活動を生み出し、どんどん広がっていく。やってみて必要だということが分かり、またつぶやきを得て、さらにそれを実践していく。そのような、タコ足配線的な取り組みによって、幾つもの拠点や活動が生まれていった。それが2番目の特徴だと思います。
3点目は、地域支援の原則、すなわち、住民にやってもらおうと思うなと、住民にやりたい気持ちになってもらう姿勢が貫かれていたように思います。さらにリアン文京が新たに事業・活動を実施する際には、住民との話しあい、住民参加を重視していますので。住民自身が自分たちの活動だとみんな思って、やらされじゃなくて、やっていこうと展開できているところがその特徴であり、これがある意味で新しいまちづくりのヒントになるでしょうし、つながりの束をつくり出していくチャレンジともなるし、住民の主体形成にもなっていると評価します。
ふりかえって、NPOを作ろうという取り組みは、最初、なかなか起動できなかった。コロナで集まるのも難しかったし、実際、施設で感染の問題も生じたり、施設長が違う施設の施設長を兼務したり、いろいろ苦労がありました。
私が1回目にリアン文京に行った時、「このプロジェクトは大丈夫かな、NPOの立ち上げという最終目標まで達するかな」と不安に思いましたが、2年目は、拠点や具体的な取り組みができてきて、そこにたくさんの住民や関係者が集まってきた。そして、施設長だけではなくて、職員も今回のプロジェクトにアイデンティティを持っていろいろな企画を提案し、実施してきた。その結果、NPOの立ち上げという大きな最終目標に達することができたと思っているところです。
ただ、私は、タコ足配線と申しましたが、タコ足配線は漏電する場合もあったり、維持はなかなか難しい。最初は必要だけど、それをどうみんなで安定したシステムに作り上げていくのか、これからが勝負だし、私も応援していきたいと強く思うところです。」以上
なお、山内さんは、閉店した店も目立ち、活力を失ってきた商店街にさまざまな拠点をつくり、人の行き来を増やそうとする取り組んできたねらいを、「子どもたちにとって、商店街に居場所があることは、幼き頃の原点である『ふるさと』を築くことだ』と言われた。
私は、このような、将来の地域共生社会の希望を抱かせる素晴らしい地域福祉実践に出会うことができたことを、心より感謝したい。アフリカの砂漠の緑化に挑戦するNGOの代表が言ったように、生活の基盤であるそれぞれの地域で、「一本の木を植え続けなければ、砂漠の緑化は実現できない」と言った原点に立ち戻りたいと思いました。感謝。