三鷹市ほのぼのねっと30周年記念

1992年に創設された「ほのぼのネットワーク」は、30年の歴史を刻んできました。それを記念する会が、たくさんの関係者の参加のもと、盛大に行われました。私は、ご依頼を受け、記念講演をさせて頂きました。

ほのぼのネットへの期待、互いに支え合い、地域を耕して30年 ほのぼのネットの実績が明日の三鷹を拓く

1.私たちにとっての1992年(設立当初の状況

①社会状況

②福祉状況

・参加型福祉社会をめざして、市民の福祉活動を支援する基盤づくりを強調された。そして、㋐労働省による勤労者の社会参加としてのボランティア活動の推進施策、㋑個人の豊かな生活のためのボランティア活動の推進施策、㋒各ライフステージにおける学習をすすめるためのボランティア活動推進事業が実施された。

・老人福祉法等八法改正による自治体のサービス実施責任の強調

③三鷹市の状況とほのぼのネットの創設

・高齢化率16%弱

・世帯あたりの家族員数は2.1人弱

・昼間人口は84%で市外へ通勤通学する者も多く、家庭内の介護などの福祉機能の低下がある。さらに近隣の付き合いが減少してきた。

⇒ほのぼのネット活動事業がふれあいのまちづくり事業の地区指定を受ける。

<私が考えるネットの特徴は>

特徴1.地域住民がボランティアとなり地域でボランティア活動を行う「靴に足を合わせるのではなく、足に靴を合わせる活動」

特徴2.自主的な運営、多様な活動「0か100ではない本来の地域福祉活動」

特徴3.社協は住民が主体の地域福祉活動を支援「社協は歌舞伎の黒子である」

参考「ほのぼのネット活動」三鷹市社会福祉協議会海老沢芳宏氏執筆

2.活動を始めて30年という意味を振り返る

  • いくつもの自然災害により、地域の福祉力が問われた。
  • 地域のつながりの希薄化により、孤立化する住民が増加し、行政だけでは対応が難しくなった。共助の必要性が確認されている。
  • 貧困状態にある子ども、家族が増加し、公的支援と共に、様々な支え合いが増えた。ちなみに貧困と孤立は、児童虐待の大きな要因となっている。
  • ハートビル法、交通バリアフリー法、バリアフリー新法等に見られるバリアフリーの社会作りが進められた。
  • 介護保険制度に地域包括ケアシステムが位置づけられ、当事者、住民に等よる支援が重要視された。

<私が考えるほのぼネットの貢献>

①本来の地域福祉活動の原点を守り、地域における定着を進めた。継続が、信頼のネットワークになっている。

②接ぎ木ができる実績。新たな取り組みのほのぼのネットの実績があるから、実現可能になる。「1本の木を植えなければ、砂漠の緑化はなりたたない」そもそもほのぼのネット員は、地域ケアネットの取り組みに貢献なさっておられます。

③ほのぼのネットの活動があるから、心のバリアフリーを含むバリアフリーの社会づくりを目指すことができる。

④どれだけ多くの住民が助けられたか。ご近所同士のインフォーマルなつながりの中で課題がある方を発見してもらい、社協や地域包括支援センターなどにつないでもらうことで適切な支援につなげてもらい、その後も見守りや声かけ、ちょっとした支援をしてもらえている現状を十分評価したい。

・社協職員から一言「ネット員さんが見守りや声かけ、特にお茶会や外出行事などのイベントを行うことで、地域のたくさんの方が笑顔になり幸せな暮らしにつながっていることは非常に大きいと思っており、我々職員としてもネット員の皆さんに感謝しています。」

これらのほのぼのネットワークの実績は、確実に三鷹市の地域福祉の基盤を作り上げてきたと確信しています。