大学院時代からの学友を偲ぶ

 私には、たくさんの研究者仲間がおり、今までも、そして今でも多くの刺激を受けています。感謝にたえません。そのような学友が一人、亡くなっていたことを本年になってから知りました。大学院時代から恩師である杉森創吉先生の元に8名の院生・若手研究者が集まり、自分の研究報告をし、互いに意見を述べ合いました。特に福祉系大学ではなく、法学部で学んでいた私は、社会福祉研究において皆から何歩も遅れ、自分の能力のなさを痛いほど知りました。それが、謙虚さを身につける要因となり、今の研究に活かされていると思っています。ただ、恩師が40数歳の時に倒れ、また兄弟子と言える方も二人、病に倒れ、辛い思いを味わいました。そして、今回の学友の死。

 その友人は、数年前、ある公立大学法人を定年で退職し、単身で生活していました。地道な研究を積み重ね、読んだ本の冊数は数え切れません。

 2021年1月に、昨年送った年賀葉書が、「郵便ポストが一杯で入れません」と書かれた紙を貼り付けられて戻ってきました。不安に思った杉森先生の奥様と、その学友と同期の研究会メンバー、そして私が事情を調べ始め、2020年6月に自宅で急に亡くなっていた事実を把握することになりました。6月に数日、郵便ポストに郵便が溜まっていたため、管理人が保証人と一緒に部屋に入り、机の横で亡くなっていた友人を発見したとのことでした。警察は事件性がないことを確認しましたが、マンションはそのままの状態で残されていました。

 亡くなっていた事実が分かってから、ある機関に預けられていたお骨は、大学の同僚であった方のお寺に納められています。

 元気だと思っていた学友が6月に亡くなり、年をまたいで、そのお骨が安置されなかったことを知り、私の周りでも起こる無縁現象の広がりを痛感しました。

 今年は、東京から遠く、コロナの緊急宣言も出され、一周忌の法要に出席することはできませんでしたが、時を見て、皆で法要に出かけようと考えています。

 ご冥福をお祈りいたします。

                              2021年6月末日