今、私たちが問われていること

 新型コロナウイルスが拡大する4月より6月中旬まで、小金井市・調布市・三鷹市・武蔵野市・東京都と情報交換の場を設けてきました。そして、今週より委員会が開催され、私は、以下の危機感を強めました。この危機感は、私だけでなく、会議に出席しておられる委員の方々も共通してもっておられる危機感であると思っています。以降、練馬区、東京都と委員会が続きます。

『在宅の高齢者の状況は厳しく、 ADL、IADLの低下、認知症の発症、孤立が顕著になり、さらに熱中症の危険性が顕著になってきていることを確認しました。そしてコロナの広がりによって民生委員、サロン関係者等のインフォーマルケアの担い手、福祉、医療関係者等の対応する専門職がなかなか動けない。どうしていくか、待ったない状況にあると考えています。』

さらに、今考えていることをお伝えします。

1.地域における高齢者等の生活問題の深刻化               ①着実に進行し、悪化する高齢者の疾病・ADLの状況、生活状況:電話やベルによる現状把握には限界があり、フレイル等の実際の状態が把握できない。深刻な状況の進行している危険性がある。

②孤立状態にある高齢者の増加:介護予防につながる活動の場、地域の仲間づくりの場がほとんどなくなり、状況高齢者の社会的なつながりが切れてしまっている。

③要介護者の増加:身体機能及び生活意欲の低下等リスクの増加、認知症高齢者の増加の危険性。

④介護負担の増加による家族介護の危機:要介護者を介護していた家族が感染した場合の濃厚接触者である要介護者への対応はどうなるか。

2.介護事業者・見守り活動等の活動の課題                ①外出自粛及び利用者が自主的にサービス利用を控えることにより、事業所の収入の減及び経営の状況が悪化している。特に、地域密着型通所介護で半日型の軽度者向けにリハビリなどを行う事業者の経営が逼迫していると言われています。

②コロナ対応がいつまで続くか、どこまでやればいいのかわからないため、事業所職員の体力的、精神的な負担となっています。

③衛生資材が引き続き不足しているとの情報もあります。:事業所によって「高齢者の生活を支えるために,事業を継続するべき」という考え方と,「感染した場合重症化するリスクを考え,業務を縮小・休業するべき」という2つの考え方に分かれている。利用者の利用に関する意識においても同様の傾向。

④通所型では、職員または利用者に陽性が出たということで休業するケースもあり、特に区部で多い。訪問系も試行錯誤状態。

⑤ふれあいいきいきサロン、見守り活動等のインフォーマルケアで活動を休止しているところも多い。総合事業と生活支援サービスの量的確保が可能かどうか検討する必要がある。

⑥特別養護老人ホーム等において集団感染が起こった場合の対応をどうするか、地域全体の問題として対応を考える必要がある。ふりかえって、新型コロナウイルスの拡大期には、介護サービス事業者からは、連日のように、マスクや消毒液が足りずに行政に何とかしてほしいとの訴えや、デイサービス等の利用者が2~4割ほど減っているため事業収入が減り、事業継続の不安を訴える事業者、逆にコロナが不安で休業してほしいといった当該事業所の従業員の不安の声や近隣住民の声が電話や窓口に殺到した。今、備えを。

3.検討の基本方針 市川案                       ①現状把握と高齢者等が直面する生活課題の明確化:第7期の進捗状況の評価を踏まえ、かつ新型コロナ感染拡大の結果は、事実として把握し、確認し、可能な対応を検討していく。私は、どのような対応が可能かと聞かれますが、率直に「必ず解決できるかどうかわからない」とお答えします。答えを見いだす作業がこれからの討議です。

②未曾有の危機に対する協働の取り組み行政だけでできない。民間だけでもできない。住民だけでもできない。それぞれの役割を確認し、協働する取り組みが不可欠です。その意味では、6Hと2Wを明確にする必要があります。(Who, Whom, Why, What, Where, WhenとHow, How much):

③今までの実績を尊重し、練馬区という地で育った木に新しい取り組みを接木する計画:各自治体には、福祉施設、医療機関、サービス、住民活動、近隣関係等の社会資源、今までの取り組み等の実績という強みや実績があります。それを活かし、強めることが不可欠です。

④優先順位の明確化:今は、優先順位を決め、着実に実行できる計画を策定することが必要です。★㋐横軸:期待度(夢の明るさ、波及効果)㋑縦軸:実現可能性、経済性と効率性 ★危機管理㋐横軸:深刻度・緊急性 ㋑縦軸:発生確率

⑤委員会における合意形成課題が山積していることは申し上げた通りです。それらの課題は、この委員会を通して、具体的に検討すべきであると思います。そうでなければ、行政はパンクしますし、計画も実効性を担保できません。

4.具体的な検討課題(市川案)                      ①高齢者の安否確認、現状把握のための仕組み作り:㋐ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみ世帯で、サービス未利用者、市の緊急通報システム事業利用者(慢性疾患のある方)、要介護1・2の認定者を対象とした確認(食の確保、服薬や医療、外出(フレイル、閉じこもりの状況把握)、支援者の有無等)と必要に応じた自宅訪問、㋑牛乳の配達、事業者との見守り協定等

②介護予防・生活支援サービスの再建

③感染予防および感染時対応 ㋐要介護者の介護をしている家族の感染の場合の濃厚接触者である要介護高齢者への対応、㋑施設内における集団感染への対応、㋒パーソナルなケアをしている従事者の健康チェックの支援、㋓事業休業に伴い、介護サービス利用者を他の事業者で継続して介護する等のケアマネ等との連携

④保健医療福祉の連携強化 ㋐医師・薬剤師・歯科医師・介護事業者等の連絡手段の活用と事業の連携の明確化、㋑介護事業者が連携し、不足する介護を補い合うというためで、介護資源が不足した場合、重い方はなるべく施設で対応し、介護度が中軽度の方に、在宅サービスの資源を集中するという介護トリアージを提案されています。 

⑤サービスの見込み量の確認

⑥ITを含むこれからの福祉サービスの開発