聖望学園における入学式メッセージ(2012.4)

聖望学園中学校、高等学校に入学する皆さん、入学おめでとう。ご臨席の皆様、ご入学、おめでとうございます。新たな歩みを始める新入生の皆さんに、お祝いの言葉を申し上げさせていただきます。

東日本大震災から1年、日本は復興の真っ最中です。被災をされた方々の中には、苦しくて、心の整理がつかず、今も当時のことや、亡くなられた方を忘れられず、悲しみにくれている人がたくさんいます。

人は誰でも、答えのない悲しみを受け入れることは苦しくてつらいことです。しかし、日本がひとつになり、その苦難を乗り越えることができれば、その先に必ず大きな幸せが待っていると信じています。だからこそ、日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう、日本の底力、絆を。

高校球児ができること、それは、全力で戦いぬき、最後まであきらめないことです。今、野球ができることに感謝し、全身全霊で、正々堂々とプレーすることを誓います。2012年の高校選抜野球で、石巻工業高校の主将の選手宣誓を聞き、多くの人が涙しました。ルーテル学院大学は、聖望学園も関わりの深い日本ルーテル教団と、石巻市の河北地区、北上地区の仮設住宅の支援に入っており、大震災の大きな被害を見ています。石巻工業高校も被災しました。津波に襲われ、約800人が孤立し、2日目に机を橋にして脱出したそうです。また9月21日に台風15号が襲来し、地盤沈下している校地は水につかりました。彼らは十分な練習ができなかったと思います。なのに、このようなメッセージを全国に送っています。

私は、石巻工業高校野球部の諸君から、3つのことを学びます。私たちは、共に明日を描いていくため、この原点に立つ必要があります。

  1. 謙虚さを大切に。人を理解する謙虚さを養うこと。相手を知らなければ一緒に歩むことはできない。
  2. 粘り強さを忘れずに。日々、粘り強く自分を鍛えてほしい。これからの社会を生きていくために、自分の力をつけるのです。自分が、成長していくこと。
  3. 希望をもち続けること。希望をもっている限り、明日が見えてきます。明日を夢見て、私たちが共にいること。明日があることを互いに確認すること。

伝統と実績のある聖望学園でこの3つを学ぶことができます。1日1日を大切に、歩んで下さい。謙虚さ、粘り強さ、希望という3つの期待を申し上げて、お祝いの言葉にさせていただきます。入学、おめでとうございます。