盲ろう者について教えて頂く

盲ろう者(「目(視覚)と耳(聴覚)の両方に障害を併せもつ人」)の理解を広げるために、当事者の方から語って頂きました・

1.盲ろう者に対する理解が不十分であること

そもそも「盲ろう」という障害があまり知られていませんし、障害者手帳にもそのような項目がありません。(私も手帳には視覚障害、聴覚障害の二つが記載されています)

そのため盲ろうとはどういう障害なのか、盲ろう者にどのように配慮したらいいかと言うようなことを知らない方がほとんどです。おそらく盲ろうと言う名前すら聞いたことがない方が多いです。

盲ろう者に対する理解が不十分なために、盲ろう者について誤解されたり、できることにもかかわらず「できない」と思われたりすることがあります。実際にいくつか例としてまとめましたので、ぜひ参考にしていただけると幸いです。

①盲ろう者だからできない=普通にできること、工夫すればできることでも「できない」と言うことにして、物事をさせてもらえなかったり、受け入れてもらえなかったり(受け入れ拒否)することがあります。学校に進学するにも、盲ろう者も教育を受ける権利があり、盲ろう児への個別指導や通訳介助者の配置などの工夫をすれば、盲ろう児も普通に学習できるにもかかわらず、受け入れてもらえなかったり、教育委員会に学校への出入りを認められなかったりすることがあります。教育以外でも、盲ろう者にも権利はあるのに…などと思う場面はあります。

私はまだ経験したことがありませんが、飛行機の単独での搭乗拒否などの話も聞きます。(ホームページにもスタッフがお手伝いするので、単独の利用は可能と記載されていますし、利用者(本人)もスムーズに相手とコミュニケーションを取れるよう工夫をしているはずです。私も経験済みですが、まったく問題ありませんでした。)

②過剰な配慮=差別とは少し違うかも知れませんが、盲ろう者=サポートが大変というイメージがあるのか、手引きがあれば自力歩行が可能にもかかわらず、車椅子を準備されたり、過剰なサポート(体を支えるなど)をされたりすることがあります。なかなか解決できない問題だと思いますが、障害者と言ってもいろいろな方がいますので、相手に応じて必要な支援をすること(過剰な支援をしないこと)が大切だと思います。

2.盲ろう者が利用される(悪用を含む)

盲ろう者について多くの人に知ってもらうことはとてもよいことですし、マスコミなどで取り上げていただけるのもいい機会だと思っています。

しかし、まれに「盲ろう者は特別な人なんだ」と言うように扱われたり、悪用されたりすることがあります。実際盲ろう者を動物のように扱い、イベントのキャラクター的な存在として活動させられたことがあります。また、障害者を受け入れているというお店で、皿洗いなどの一般的な仕事を経験させてもらおうと申し出たにもかかわらず、店長さんが私をアピールしたうえで、お客さんとのコミュニケーションの体験しかさせてもらえず、アルバイト料どころか、講師の謝金も支払われなかったという苦い経験をしました。

講師として講演をしたりすることは問題ありませんが、盲ろう者の扱いには十分注意して頂きたいと思っています。

上記の他にもいろいろ経験していますが、私としての希望をまとめると、以下のようなものになるでしょうか。

1.盲ろう者を正しく理解してもらうこと

2.盲ろう者でも自力でできること、工夫すればできることはあるので、それを知ってほしいこと

3.盲ろう者にも健常者と同党の権利があることを理解してほしいこと(教育など)

4.当事者として、してほしいこと(介助の方法など)の説明はするので、相手(障害者)に応じた配慮をしてほしいこと

5.盲ろう者も一人の人間であるので、過剰なアピールなどはしないでほしいこと(取材・講師などの依頼をするのはかまわないが、盲ろう者の扱いには十分注意してほしい)

以上のように私なりの意見をまとめましたが、最近は盲ろう者に対する理解も少しずつ進んでいることに感謝しております。また、盲ろう者が一つの障害として確立されていないにもかかわらず、盲ろう者向け通訳介助者派遣制度などがあり、そのおかげで健常者と同等の生活を送ることができるので、大変助かっております。(通訳介助者派遣制度では、日常生活において、様々な介助を受けることができます)

これからは盲ろう者に対する差別的な部分をなくし、盲ろう者がより生活しやすい環境になればよいなと思っています。先ほど述べた教育についても、盲ろう者のための学校をつくることは大切ですが、盲ろう者向けの学校を含め、盲ろう者が入学できる学校がもっと増えれば、盲ろう者(保護者を含む)にとっての選択肢も増え、学校へも通いやすくなると期待しています。