木曽御嶽山の噴火に思うこと

2014年9月27日午前11時52分、突然、木曽御嶽山が噴火し、たくさんの登山者の方々が命を落とされました。ご冥福を心よりお祈りいたします。またご家族のご心痛を思い、お慰めの言葉も見つかりません。

私は、噴火から約一ヶ月近く経った10月末日に、大桑村から講演のご依頼を受け、大桑村を訪問しました。そこでお聞きしたことは、木曽御嶽山と結びつきの深い地域の観光がダメージを受けているとのこと。各地域の再生を目指した取り組みが中断され、それぞれの地域力が衰えることを、私は心配しています。

御嶽山の近隣の地域は、今回の被災者の救援に協力を惜しまず、そして救援を待っていたご家族に献身的に関わられたと聞きます。現地の小中校の子どもたちが、救援に関わる人々のために歌を歌い、感謝とねぎらいの思いを届けていました。その歌を聴く消防隊員、警察官、自衛隊員の涙。また、近隣の市町村は、救援の拠点となっている木曽町等を支援していました。この支援の輪を聞き、私は感謝しました。そして、自然の美しさと、自然の中で営まれる人の営みは、今をもって続いています。超多忙な仕事の合間をぬって案内して頂いた大桑村の自然の美しさ、人情、心遣いは、自然から湧き出る温泉のお湯の効用とともに、私の心身の疲れを癒やしてくれました。

突然訪れる自然の猛威を、私たちは予想することができません。私は、このことを、東日本大震災でも経験しております。自然を人間がコントロールすることはまったくできません。ただ、木曽御嶽山は信仰の山です。私は、講演を終えて木曽福島駅に送って頂く途中、山と山の間から遠くに見えた御岳山に向かい、亡くなられた方々のご冥福をお祈りし、ご家族、ご友人の方々に少しでもお慰みの気持ちが届くように願い、過酷な中で必死で働かれた救援隊の方々、それを支えておられた住民やボランティアの方々に感謝の思いを込めて、手を合わせました。

悲しいときだからこそ、祈りながら、明日に向かって、それぞれが一歩一歩、歩み出していくことが大切だと思っています。