トロッコ列車

 宮崎県北部の高千穂と延岡間を走る電車に乗ることができた。日之影町で勉強させていただき、日之影温泉駅(駅の2階が温泉浴場になっている)から延岡経由で宮崎に向かう、約2時間30分の旅である。昨日の大雨が嘘のように空は快晴、日の下は汗が吹き出るような暑さだが、日陰はことのほか涼しかった。
 1日の数本のトロッコ列車(400円の追加料金)が走る。日之影町のお計らいで、トロッコ列車に乗ることができた。列車は、川の両側を、たびたび橋で渡りながら、滝、見上げる大きな橋、急な流れ等々の見せ場を通過する。特に、川を渡る時の風景のすばらしさとそれぞれの橋の個性に、私は強く引きつけられた。対岸から川を渡り、向こう側の緑の中に一気に吸い込まれていき、そしてしばらくして視界が広がり、川の流れと人々の生活に出会う。それぞれの橋には、名前があるのだろうが、私には、眼鏡橋、黄金の橋、ブロック橋等々、思い出橋の風景が心に刻まれた。また、見上げると、川面まで数百メートルありのだろうか、いくつもの大きな橋が丘と丘を繋ぐ。
 トロッコ列車は、私たちの夢をのせて、いつまでも走ってほしい。自然の中にあるコミュニティと、巨大都市という仮想コミュニティとを繋ぐ貴重な架け橋のように思えてならなかった。互いの求めることが見つかれば、きっと未来への架け橋になる。