須木村(現小林市)

宮崎市から高速も使い、約2時間。山間地すばらしい空気と水にあふれ、栗、椎茸、ゆずの収穫が盛んで、これらを活用して多種の加工品を開発している。何度も通わせていただいたこともあり、私もお金を払って栗のオーナーになっている。須木村に訪問したときには、わざわざ園主の方が来てくださった。昨年は台風で大きな被害を受けられた。園主から、事前に「台風の影響で栗が十分とれませんので、お金をお返しします」とのお問い合わせ。私は、「お金を返していただかなくても結構です。収穫できた分だけいただきます」とお答えした。でも、満足のいく栗が届けられた。多分ご苦労なさったのだろう。今年も、すばらしい栗が届くことを楽しみにしている。加藤建夫村長は、とても行動的な方で社会福祉推進者としても有名である。同時に町おこしのために地場産業の活性化を推進しておられる。高齢者もサービスを受ける側にとどまらず、地場産業を生み出す生産者である。
 地域福祉座談会を、サービス利用者を対象に下田地区センターで、サービス提供者、自治会、婦人会を対象に須木村ふるさとセンターで行った。特に、午前中は寒さが厳しく、下田地区センターも冷え切っていた。でも、地区の責任者の方々も含め、たくさんの方が集まってこられた。そこで出されたことは、1.町村の将来と生活への不安、2.一人暮らしの増加、3.地域のつながりと見守りの大切さ、4.診療費の高騰がもたらす町の財政難、5.特に子どもの問題=少子高齢化、6.後継者問題、7.役員のなり手、活動者の問題等である。真剣に課題を共有化し、可能なことに一つひとつ取り組んでいこうとされる住民の方々の真摯な生き方に私は共鳴した。
 そこでお話ししたことの一端を紹介する。
<5つのSが1つのSをつくる>
 参加(地域社会の創造への貢献)、診断(地域の可能性を掘り起こす)、すりあわわせ(それぞれの役割の合意)、支援(必要な活動への支援は何か)、支え合い(協働した地域づくり)が、すばらしい須木村の明日を築く
<タ行の活動>
  <タ>多様性、<チ>地域性=強み、生活拠点、<ツ>つながり(ネットワーク・助け合い=やってみる+タイミング)、<テ>手間を惜しまない工夫=工夫は、利用者に買わせるより、利用者を買いたい気持ちにする、<ト>とまってみんなで考えること、場が必要
 須木村の内山地区を訪問させていただいた。町の中心から3〜40分あるだろうか。社協の入浴車に乗り、ひたすら曲がりくねった道を走る。そこには、集落があった。小中学校は、生徒が20名未満と聞いた。また、保育所とデイセンターが併設された施設。子どもたちがとても輝いていた。
 大都市型の社会福祉では、まったく対応できない地域が全国の90%以上ある。地域に根ざした工夫が求められている。自然環境も、生活の質であり、資源である。朝の吊り橋からの風景を見て、心が澄み通るようだった。また夜に食べたイノシシ肉、天然ウナギの天ぷらをご紹介する。いずれも天然物。これは須木村に行かなければ食べられない。
 今、小林市になったが、須木村の伝統と強みが継承されてることを切に祈る。