平成24年度なんじゃもんじゃの会

何回目の会だったでしょうか。2001年、ルーテル学院大学で開催されたなんじゃもんじゃの会の案内には、以下のように書かれていました。

「ご案内
なんじゃもんじゃの会は、社会福祉に携わる者が、日頃直面する課題や取り組み方策等の情報交換と親睦を兼ねて、自主的に集まる場を言います。今回は、特に行政では部長、社協では局長になられる前の方々が、自由に、肩書を外して話し合う場を考えております。
皆様方にご参加いただければ幸いに存じます。
日:2001年9月22日(土曜日)
時:13時〜17時
場所:ルーテル学院大学 三鷹市大沢3ー10ー20
なお当日は、土曜日のため電話連絡がつきにくいので、担当の方の携帯にご連絡なさるか、市川の携帯にご連絡ください。
プログラム
13:00〜13:10 オリエンテーション
13:10〜15:00 報告
1.介護保険の現状と課題(渋谷区高齢者福祉課長千葉博康氏)
2.高齢者福祉の現状と課題(三鷹市介護保険課玉木博氏)
3.小地域福祉活動の現状と課題(世田谷区社協古閑学氏)
4.子育て支援施策の現状と課題(三鷹市吉岡雄司氏)
5.障害者福祉の現状と課題(武蔵野市江幡五郎氏)
15:15〜16:30 分科会
上記テーマで小グループの情報交換を行います。
16:35〜17:00 討議報告
17:45〜19:45 懇親会   」

そもそも、なんじゃもんじゃとは、「見慣れない立派な植物、怪木や珍木に対して地元の人々が付けた愛称」と言われています。型にはまらず、自由に、なんらの拘束もなく、率直に、日頃の悩みを気軽に話し合い、互いの働きを語り合い、意見を聞き合う場を設けようと、私が関わりのあった自治体の責任者の方々と話し合って、なんじゃもんじゃの会をつくりました。なんじゃもんじゃの会は、互いの情報ネットワークをつくる場でもありました。

現在のなんじゃもんじゃの会の構成メンバーは、区部で千代田区、世田谷区、練馬区、市部で小金井市、西東京市、調布市、三鷹市、武蔵野市の行政、社会福祉協議会です。私は、長いところで30数年前より、短いところでも約10年前より、さまざまな形で関わらせていただいています。私にとって、参加者は、社会福祉施策や活動を一緒に考え、作り上げてきた方々です。当初の責任者は世代が代わりましたが、今でもお付き合いのある方々は少なくありません。

ただ、土曜日であるにもかかわらず、参加者は100人を超え、事務局を引き受けてくださる自治体や社協の負担が重いことが、毎回の悩みです。

今回も、三鷹市が事務局になり、7区市の他、ルーテル学院大学社会福祉担当教員、地域医療機能推進機構、厚生労働省、全国社会福祉協議会、神奈川県、東京都、東京都社会福祉協議会の方々も参加しておられました。

2014年度のプログラムは、以下の通りです。
なんじゃもんじゃの会 次第 (平成26年度 三鷹市)
日時:平成26年7月12日(土)
13:30~17:30
会場:ルーテル学院大学トリニティホール(三鷹市大沢3-10-20)
(開場・受付開始 13:00~)
1 開  会
13:30~13:40
(1)開催市挨拶   (三鷹市副市長 津端 修氏)
(2)会長挨拶 (ルーテル学院大学学事顧問・教授 市川一宏氏)
(3)資料確認
2 議  事
テーマ「地域包括ケアをめぐる取り組み」
(1)基調講演
講 演<1> 13:40~14:20(質疑含む)
『介護保険改革と地域包括ケア』
講師 遠藤 征也 氏(厚生省老健局振興課総括課長補佐)
講 演<2>14:20~15:10(質疑含む)
『地域包括ケアをめぐる取り組み』(近年の諸関連改革をふまえ)
講師 和田 敏明 氏(ルーテル学院大学大学院社会福祉学専攻主任)
(休  憩 15:10~15:25)
講 演<3>15:25~15:50(質疑含む)
『東京都における地域包括ケア』
講師 東京都福祉保健局高齢社会対策部介護保険課長 榊 美智子 氏
(2)グループディスカッション      15:50~16:50
(3)話し合いの共有           16:50~17:15
(4)総括(各区市の責任者)       17:15~17:30
3 閉 会    17:30
☆懇親会☆    18:30

私は、今、地域福祉には、以下のような課題があると考えております。

1.地域における孤独死、孤立、虐待、行方不明、貧困による子どもの学習の機会の喪失、子育て中の親、介護している家族の混迷等々、地域でたくさんの問題が顕在化している。そして、それに対応してきた町会、民生委員・児童委員等も様々な課題に直面している。

2.2015年に実施される生活困窮者自立支援法に基づく支援、社会的養護に関する改革で示される児童虐待予防と子育て支援、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に示される地域包括ケアは、どのような地域をつくるのかという共通の取り組みを必要としている。特に人口に占める高齢者の割合が急激に増加し、認知症、一人暮らし、老々介護、認知症の高齢者が認知症の家族を介護するという状態が増加する2025年をにらんで、今から取り組んでいかなければならないことは多い。

3.社会福祉法人も、どのように地域貢献に取り組むか、緊急の課題としています。関係者が、今、同じスタートラインに立ち、取り組もうとしている。

4.今までの行政施策によって築かれた圏域、施策の拠点が錯綜し、システムの再編が必要とされている。

5.福祉領域間、医療と介護・福祉、教育や就労、防災、まちづくり等他領域との協働が実際には難しい。

これらの課題への取り組みは、「どのような地域をつくるのか」「住民、ボランティア、民生委員・児童委員、社会福祉法人、民間事業者、行政、社会福祉協議会がどのように協働していくか」という目標において共通していると思います。

ちなみに、行政の審議会に出て、差を感じることがあります。住民が要望のみを言う地区と、問題を指摘しつつも、自らの役割を提案する地区とがありますが、私は、後者に期待しています。また、行政も、以前の計画策定は、当時者、家族、住民、事業者等から十分なヒアリングをしないまま、内容を固めていく「アリバイづくり」計画でしたが、今は、問題を共有化し、目標と役割を合意し、協働で取り組むシステムが定着してきました。簡単に解決できる問題は少ないのであって、たえず確認し合って計画を実現していくことが大切と思っています。

今回も、参加者は、多くの収穫をもって帰られました。そのことが、種になって、各自治体で実を結ぶことができることを切に祈っています。
ルーテル学院大学                        学事顧問・教授 市川一宏

IMG_1902                                                 基調講演

なんじゃもんじゃの会

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