東海北陸市区町村社会福祉協議会(社協)員研究集会

2004年7月8・9日、岐阜観光ホテルにおいて、「市町村社会福祉協議会とその経営戦略を考える」という総合テーマで社会福祉協議会職員研究集会が行われた。基調説明を依頼いただき、社会福祉協議会の存在意義という本質的議論とともに、マネジメントの基本をお話しした。

多数の社協関係の参加者がおられたが、見てみるとは、いままで良く知っている職員の他の大多数がはじめて会う職員。私の記憶力の問題と、狭い行動範囲の問題があることは当然として、新しい職員が多いことを実感した。社協そもそもの役割に関わる議論が大切に思った。そしてその現実に、東海北陸ブロックの有力な職員が挑んでいる。

講演後の分科会は、以下の通り。

第1分科会「在宅福祉サービスの新たな経営について」
司会者:早崎正人氏(大垣市社協)
助言者:蒔田勝義氏(三重県社協)
第2分科会「小地域における地域福祉活動を進めていくために」
司会者:久松定昭氏(岐阜市社協)
助言者:野田智(富山県社協)
第3分科会「総合相談・援助体制の充実に向けて」
司会者:荒木篤氏(笠松町社協)
助言者:杉本吉弘氏(福井県社協)
第4分科会「在宅生活を支えるホームヘルプサービスの運営管理について」
司会者:伊藤多津子氏(多治見市社協)
助言者:仁地美代氏(石川県ヘルパー協議会)
第5分科会「これからのボランティアセンターの機能強化について」
司会者:中川淳一氏(高山市社協)
助言者:水野初代氏(愛知県社協)

私は、基調説明の中で、社協の基本的役割を説明し、以下の基本的な経営戦略とともに、具体的な対応と課題を、実績を踏まえて述べた。

  1. 住民主体の原則
    利用者=地域社会の一員としての参加
    多様な参加=計画・サービスの提供・評価等
    住民のニーズに敏感に
  2. 利用者支援の原則
    利用者の意向を尊重し、利用者の立場に立った、選択できる複数の情報の提供
    地域福祉権利擁護事業
    総合相談
    住民の利用者としての意識の向上をめざす啓発活動
    苦情対応
  3. 経営の原則
    経営基盤の自主的な強化と福祉サービスの質の向上および事業経営の透明性
    社協が企画力をもち、必要な事業を行政に交渉して実施していく姿勢
    委託等の事業のメリットを最大限活用していく姿勢
    社協が直接的な実施者にならずとも、地域の人・機関、サービス、財源、情報等と連携していく姿勢
    組織基盤の強化は優先的事項

社協の姿が見失われてはならない。全国に広がる実践を踏まえて、各ブロック単位で行われている研修を評価したい。なぜなら、優れた職員がいて、それぞれに研修の担当を担っているから。各分科会の司会や助言者を見ると、私がまずお教えを請うべきである。

時間の許す限り、懇親会にも出させていただいた。懐かしい顔と会いながら、互いに励まし合った。言葉は悪いが、「戦友」である。また、何人もの若手が話しに来てくれた。彼らの姿を見て思う。社協にしか通じない常識は非常識。そして彼らの柔軟な発想を理由もなく抑えるならば、責任者は説明責任を負うべきである。