土そうさく「離宝窯」

 猛暑が続く夏の最中、神戸に行く機会が与えられた。おもしろいもので、予想しない場所で、陶器と出会う。もしかしたら、今までたくさんの陶器と出会っていたのかもしれないが、心を引きつけるものだけが目にとまり、そして手に取るのかもしれない。

新神戸駅のすぐ目の前にある新神戸オリエンタルホテルのホールを通る時、展示されていた器が目に入った。まぶしいほどに光輝く色彩ではない。驚くような奇抜な形ではない。使いやすさと生活感、そしてあくまでも食材を引きたたせようとする慎み深さに目が引かれた。なるほど。作者の石川勝也氏は、日本料理の料理人でもあった。

今、この器は、我が家の食器棚に置かれているが、決して強烈な自己主張をすることなく、静かに、使われることを待っている。大切にしよう。