会津の街並み

仕事先で、旅先で、時々気が付くことがある。文化的に保護された街並みとは、特別な空間であることを。古い建物、白壁、蔵、格子戸等々、共通点も多い。しかし、そこには、人が住んでおり、織りなす雰囲気はそれぞれ異なっている。

会津の街並みは、日常生活と同居している。一本道の両側にかたまって店や家があるのではなく、比較的広い地区に点在している。そして、観光客とともに、自然に住民が行き交い、買い物をしているし、ビジネスマンが食事に行く。そして近くに新築の建物、ビルもある。

会津の人は、なかなか心を開かないが、信頼する人に対しては、とても強い絆ができると、前日、地元の人から聞いた。私をまだ信頼していないという意味かとも思うが、その街並みの伝統を日常生活の中で活かし続けることは、とても辛抱のいることであり、誇りがなければできない。そして、その街並みから、さらに地域への愛着が生まれるかもしれない。会津の人の心意気を見た気がした。もちろん、文化財を保護するための行政からの補助はあるかもしれないが。

大型店舗が郊外にでき、商店がたてなみ閉店し、昼間でもシャッターが降りている街、すなわちシャッター街が全国に広がっている。そこでは、地域へのこだわりと愛着が薄れる。なぜなら、そこは、生活の拠点としての意味が壊れているからだ。東海のある市に行き、伝統的な繊維関係の商店の姿に驚かされた。10近く年前から感じていたことではあったが、ほとんどがシャッター街になり、とても寂しい。街おこしは、生活と密着することも必要であると私は思う。