五色沼探索

7月末、曇りがちで雨が降るかもしれないという不安の中、毘沙門沼から五色沼自然探勝路に入った。すれ違ういくつもの小学生の集団と挨拶を交わしながら、自然の中を歩く。「あと、10分で着くから頑張って」「もう少しだよ」という言葉から、最後は、「すばらしい自然を楽しんで」「道のりは長いが、気がついたら着いている。それぐらいの美しさだよ」というように、励ます言葉が変わっていった約1時間20分の歩きである。  毘沙門沼は、五色沼では一番大きい沼。ところどころから磐梯山が見え、また苔や水草の集落を楽しめる。また、自然が沼の水面にうつり、静けさがそれを包み込む。そしてボートをこぐ人々が見え、自然の絵画のよう。  しばらく毘沙門沼にそって歩き、一度は山道を歩いていくと赤沼が見える。酸性の強い水だそうで、空色に見える沼の水に生えるヨシの根元が赤くなっている。植物と水との共生が織りなす現象で、酸化した鉄分が付着したからだそうだ。  次の代表的な沼が、深泥沼。異なる水草が群落を作っており、所々で見える景色は、それぞれが違う。全面的に沼が見渡せるというより、生い茂る樹木の間から見える。水の色が、それぞれの景色で異なり、絵画館のようだ。  沼にたどり着く道程で、滝のように沼に流れ込む激しい川に驚かされ、比較的ゆったりと川から涼しさとこれから歩く力を与えられ、美しい百合の花を見えたり、紅葉が点在しており、なかなか楽しめる道である。  弁天沼と、屈指の透明度を誇るるり沼を過ぎ、沢を登ると神秘的な青沼がある。その水は、青く輝き、その色から様々な創造が生まれる。私は、水に溶け出した青い珊瑚礁のような気がした。水際の白い模様は、カルシュウムが付着したものだそうだ。  最後に、柳沼に着くが、その一つ前の沼?を見て、衝撃を受けた。静寂の中に、自然の激しい姿があり、屍のように木が倒れていた。まさに暗黒の世界への入り口のようだ。しかし、柳沼は、とても落ち着いた姿を見せ、対面の木々がその暗さをうち消すかのように、空に向かったまっすぐに生え、空からは明るい光が注いでいた。まさに明と暗である。

毘沙門沼

赤沼

深泥沼

弁天沼

るり沼

青沼

倒木

柳沼