旧林家住宅(岡谷市)2014.3
2014年3月の半ば、駒ヶ根で行われる新しい任期を迎える約800人の民生委員・児童委員を対象にした研修のために、駒ヶ根に行くことになっておりました。午後のプログラムですから、当日の朝でも行くことはできましたが、約3時間半の行程になり、疲れから、自分で満足のゆく講演にはならないことを経験していましたので、前日の最終で岡谷に入りました。
飯田線の時間がありましたので、駅の看板を見ていると、名所として駅の近くに旧林家住宅があることを知りました。
簡単行くことができるはずが、道に不案内な私は迷ってしまい、戸惑っていますと、遠くから高校生が自転車でこちらの方に向かっていました。近きに来たので、「すいません」と言うと、自転車を降り、丁寧に私の話を聞いてくれました。また、目的地を告げると、そこまで案内をしようとしてくれました。それはいかにも申し訳ないので、お断りをして、感謝を申し上げ、笑顔で分かれて教えられた道を歩いて行きました。少し歩いて曲がり道で確認のために、歩いてこられた一人の60歳代の女性に聞きますと、「この細い道をまっすぐ歩いて、突き当たりを左に」と教えて下さいました。私は、しばらく道を歩きますと、後ろから先ほどの女性が手を振りながら駆け寄られてきました。そして、言われました。「ごめんなさい。突き当たりを左ではなく、右です。どうぞ間違わずに行かれますように」
私がたまたま道に迷ったことによって出会った岡谷の2人の方。その時知った人情。この当たり前の言葉を、多くの街はこの数十年をかけて失いました。この岡谷の地で、これらの言葉に出会い、私の心は、温かい思いで包まれました。
また住宅は、素晴らしかった。写真をご覧下さい。ホームページの説明を掲載し、写真でご紹介します。
「明治9年に天竜製糸所として創業した一山カ林製糸所の初代林国蔵の旧住宅。明治30年代に建てられ、40年秋にほぼ完成した。林国蔵は開明社の年番社長をつとめ、生糸の品質管理システムを構築し、日本の製糸業発展の基を築いた。住宅は主屋と離れの座敷、茶室、洋館に分かれ、主屋の南側には繭倉庫の形式をとどめる土蔵が並ぶ。西洋装飾の芸術、「幻の金唐紙」と呼ばれる壁紙が張り巡らされている和室や欄間彫刻の希少価値は高い。」
なお、当日は、たくさんの素晴らしいお雛様が飾られていました。
岡谷駅に戻り、飯田線に乗って、駒ヶ根に行こうとホームに行きますと、そのホームは0番線。仕事が続いて疲れ気味の私も、民生委員の方に教えて頂いた初心に返り、気持ちを改め、駒ヶ根に向かい、講演を無事終えることができましたが、講演の原点には、岡谷でお会いしたお二人の親切さがありました。どなたか存知ませんが、心より御礼を申し上げます。