民生委員・児童委員研修のあり方に関する検討委員会報告

報告にあたって

地域における孤立や孤独、虐待、そして貧困等の問題を解決するために、民生委員・児童委員、主任児童委員(以下、民生委員と言う)への期待が高まっています。しかし、民生委員は、5つの壁に直面していると思います。

①<先行する期待の壁>地域の問題を民生委員だけで解決することは無理です。それぞれの地域は、民生委員、専門職、ボランティア、住民が協働して課題に取り組むために、それぞれの具体的な役割を確認することが不可欠です。

②<多様な役割の壁>どこまで、どのような活動したら良いか、民生委員自身が戸惑うことがあります。それぞれが、「したいこと」「できること」「求められていること」を確認し、活動のための知識と技術を高めていくことが必要です。

③<地域の理解の壁>多くの住民は、民生委員活動には長い歴史があり、先人の重要な働きが地域を支えてきたという事実、現在も民生委員活動が地域問題を予防解決しているという現実を知りません。民生委員も、自分の活動を説明し、地域の理解を広げることが求められています。

④<日頃の活動の壁>民生委員は、日々、切磋琢磨しながら活動をしています。同時に自分だけで課題を背負い、活動の目標と意味を見失うこともあります。民生委員同士、関係者と共に、活動を振り返る機会があり、活動の意味を再確認できる場が大切です。

⑤<活動を支える体制の壁>活動を支援する体制を確認しなければなりません。民生委員・児童委員協議会において新任民生委員を支える体制、同協議会において民生委員、同協議会担当者、専門職がともに情報交換し支え合う体制を築くことが活動の前提です。

本報告は、研修を通して、以上の課題を解決することを目指しました。

①多様な活動をバックアップする研修:「発見」「相談」「地域連携」「啓発」「民生委員・児童委員協議会の運営、活動の記録」という項目に分けています。

②スキルアップできる研修:講義と受講者の参加型研修を組み合わせ、「学ぶ」→「気づく」→「描く」→「変わる」サイクルを取り入れています。

③啓発を目的とする研修:研修を通して、民生委員が住民の福祉理解を促進し、地域における福祉を考える機会を提供することを目指しています。

④アイデアを大切にする研修:活動は地域の特性等によって異なります。民生委員それぞれが日頃工夫しているアイデアを共有することを大切にしています。

⑤活かす取り組み:民生委員が自分の強みと課題に気づき、強みはより強化し、課題は改善していくことのできるプログラムにしています。

今日の委員活動に関する負担の増大が指摘されるなか、委員同士の「助け合い」、「支え合い」が重要となっており、そうした人間関係づくりの面からも研修の重要性が増しています。本研修体系の実現により、委員の皆さまの活動支援につながることを切に願っています。

平成25年3月 民生委員・児童委員研修のあり方に関する検討委員会

委員長 市川一宏

民生委員研修体系

ワークブック

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