第10回縁の会が開催されました。

8月27日(土曜日)の14:00〜16:30に、「当事者の社会参加とは〜共に歩むソーシャルワーカーとしての想い」というテーマで、縁の会第10回目の研修会を行いました。

縁の会とは、福祉現場、特に高齢者福祉に関わる卒業生を含む仲間が、日頃感じていること、直面していることを率直に話しあいながら、互いに支えあい、一緒に歩んでいこうとする会で、10数年前から定期的に研修会を開催してきました。

コロナ禍にあって、活動は休止していましたが、本年は、パンフレットに書かれていますように、ルーテル学院大学の卒業生である伊藤恵里子さんをお招きして、講演をして頂き、「当事者と共に歩む」という原点に立ち返えりたいと考えています。そしてコロナによる深刻な生活問題が明らかになっている今、援助する側と誤解していた私たち自身が当事者であり、このテーマは、私たちがこれから生きていく社会を描くことであると思っています。

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参加された方々へのご挨拶

第10回の縁の会では、ルーテル学院大学の卒業生である伊藤恵里子さんを講師にお招きして、「当事者の社会参加とは〜共に歩むソーシャルワーカーとしての想い」というテーマで講演をして頂き、「当事者と共に歩む」という原点に立ち返えりたいと考えています。

その理由は、3つあります。

第1に、私は、今、私たちを取り巻く環境は、非常に厳しいと実感しています。貧困、生活困窮、孤立、虐待、自殺等の地域における問題は、コロナによって一層深刻になっています。これは、言葉を換えれば、私たち自身もその当事者であるということを意味します。援助する側と誤解していた私たち自身が当事者であるという認識の立ち、再スタートをしたいのです。それは、厳しい現実にあるからこそ、できることだと思っています。

第2に、福祉制度自体が、変革を求められています。今までのような制度設計でいいのか、それを担う私たち自身が問いかけられています。私は、今まで、そして今もたくさんの計画策定、実施、評価に関わっています。しかし、従来の高齢者福祉・障がい者福祉等の制度の枠組みで組み立てられていた。それでは、今、「生きる」一人の人間と、専門職が把握する利用者との狭間がなかなか埋まらず、利用者の決定的な不満を生み出しています。また同様に、実践現場において、悲しみや痛みを感じ、喜びや感動する心を抱き、自分らしく生きたいと葛藤し、人間としての誇りを生きる糧とし、安心する心の拠り所を求めさまよう、そうした人生を一歩一歩積み重ねて生き抜いてきた利用者とともに、専門職は歩いてきたのか、自分自身の問題として、私も考えていきたいと思います。

第3に、困難な状況にある人を支援している私たち自身が孤立してはならない。私たちはコロナの影響をまともに受け、疲弊しています。また福祉人材が不足しているという福祉の根幹が揺らいでいると思います。ならば、担い手が支えあう、励まし合う機会が大切であり、縁の会が、互いを知り合う場、互いに認め合う場、学び合う場、新たな縁を確認する場であることを願っています。

ちなみに、縁の会の幹事は、篠宮妙子さん、竹内もみさん、武市裕貴さん、森田和道さん、森田真希さん、森松徳美さん、そして今回から西田さおりさんでした。この方々が、日頃の仕事でお忙しい中、コロナ禍にあって利用者への対応にご苦労なさりながら、準備をして下さいました。本当に感謝しています。

最後に、参加者の皆さん、今日は、参加して下さり、本当にありがとうございました。懐かしい顔、新たに出会った方々の顔を見て、皆さんにお会いできて、本当に感謝しています。厳しい社会だからこそ、互いに支え合っていきましょう。

ご参加ありがとうございました。

総括

8月27日14:00〜16:30に「当事者の社会参加とは〜共に歩むソーシャルワーカーとしての想い」というテーマで、第10回の縁の会が開催されました。浦河べてると関係が深い浦河ひがし町診療所のソーシャルワーカーで、ルーテル学院大学の卒業生である伊藤恵里子さんが講師をお引き受け下さいました。

今回は、zoomによる開催で、35名の参加が予定されていましたが、一人の欠席者もなく、講演→グループディスカッション→分かち合い→まとめというプログラムが順調に運営されました。ちなみに、会には、居宅介護支援事業所、地域包括支援センター、訪問看護事業所、成年後見センター、精神医療センター、精神障害者生活支援センター等で働かれている方々や学生も2名参加し、講演の後、活発なグループディスカッションがなされました。

伊藤さんの講演に対する感想の一部をご紹介しますが、とても好評でした。

「本日の縁の会の研修に参加させていただき、ありがとうございました。

ルーテルの大先輩である、伊藤恵理子さんのご講演「当事者の社会参加とは〜共に歩むソーシャルワーカーとしての想い」を伺い、当事者の方と共に歩むこと、そのことがソーシャルワークの原点であるとの認識を新たにすることができました。また、先日の研修も、今回も、様々な形でご縁のある方々とつながり、皆さんがそれぞれの現場でソーシャルワーカーとして一人ひとりの尊厳を支えていこうと奮闘されている様子を知ることができ、大きな励ましをいただきました。貴重な研修会に参加させていただき、深く感謝申し上げます。」

「伊藤さんのことはケイ先生や長島さんからお話は伺っていましたが、じっくりと直接伺うことはなかったのでとても勉強になりました。奥田さんに続き、伊藤さんと素敵な生き方をされている人の話を聞くのはいいですね。私のグループは久しぶりにお会いできた人がいて嬉しかったです。このような縁を積み重ねてくださり、ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。」

私も、伊藤さんのソーシャルワーカーとしての生き方に接し、心が揺るがされました。診療所の建設計画が公表されてすぐ、隣の方が壁を建築し、その期間が数年続いたが、最近壁が取り払われたこと。その理由が、デイサービスに通う当事者の方々が、診療所の前だけでなく、広く雪かきをしてきたが、その日々の活動が隣の方の心の雪を徐々に溶かしていったこと。休耕田を使って当事者の方々が米の栽培を行っていたが、たくさんの住民が関わり、交流の場が生まれたこと等の当事者が地域で生きていくことを支援する様々な挑戦や実績にを知り、参加者は感動しました。そして、私自身の日頃の取り組みを検証する意味でも、非常に有意義でした。

小金井市にある「また明日」の森田ご夫妻、三鷹市社会福祉事業団の森松さん、所沢市内の地域包括支援センターの竹内さん、吉祥寺ホームの篠宮さん、元あんず園の武市さん、そして今回から、「また明日」の西田さんも準備、運営を担って下さっており、それらの方々の献身的お働きなくして、ここまでの盛り上がりは期待できなかったと思います。特に森田さんご夫妻の活動から、いつもたくさんのことを学んでいます。

そして今回も、ルーテルのネットワークの強さを確認できました。講演者は伊藤恵理子さんで(10期)で、前田ケイ先生の教え子。伊藤さんが診療所のメンバーと豪雨被災地の支援に入り、現地で出会った被災地支援のプロパーである吉村さんは伊藤さんの2年先輩。さらに伊藤さんが勤めている診療所の所長である川村医師の娘さんは、ルーテル学院大学の卒業生。彼女は現在、天畠参議院議員の介護者。また全体の司会をしていた竹内さんは、私が仕事に就いた1983年に入学した人。そして高知県四万十で、地元の食材を使ってシュトーレンをつくっているカゴノオトの経営者小清水さんも卒業生。山口麻衣先生もご出席下さり、皆さんも喜んでおられました。

そして、グループディスカッションの司会をして下さった森田さん、篠宮さん、森松さん、竹内さん、土屋さん(葛飾区地域活動支援センター)、ありがとうございました。

これで、私が信頼する方々と協働したアクションをひとまず終えます。いろいろご支援下さり、ありがとうございました。

                  2022年8月末日