社会福祉関連

令和2年度第3回調布市高齢者福祉推進協議会

 2020年8月13日、文化会館たづくり12階大会議室において、コロナ感染を予防する対応をとった会議場において、第3回の協議会(会長:小川聡子調布市医師会)が行われました。今年度より、私は、顧問として、司会を担当しています。

手前の2つのテーブルと右上のテーブルに委員が、
左上のテーブルとその後列が行政担当者が座っています。
司会を担当する市川。右隣は、小川会長。

 介護保険事業計画、高齢者保健福祉計画の策定においては、今までの実績を尊重し、調布市という地で育った木に新しい取り組みを「接木する計画」であることに留意することが大切です。すなわち、福祉施設、医療機関、サービス、住民活動、近隣関係等の社会資源、今までの取り組み等の実績という強みや実績を活かし、強めることが不可欠です。

 たとえば、調布市においては、ケアラー支援を事業として掲げており、他市にはない調布の目玉です。また生活支援コーディネーターと地域福祉コーディネーターの役割が整理されていること。地域包括ケアシステムも,理念と実績において理解が広がっていること。圏域ごとの計画も検討されてきたこと。医師会が委託を受けている「ちょうふ在宅医療相談室」が蓄積している在宅医療の知見。詳細は市のHPをご覧頂きたいですが、「セカンドライフ応援キャンペーン」という行政の担当部署を横断する企画を実施していること等、様々な実績をこれからも大切にしでいく必要があります。

 また、協議会運営に関しても、9名の公募委員に参加して頂き、いわゆる住民、利用者の視点からご意見を伺うとともに、行政は、毎回10名近くおられる傍聴者にも十分伝わる丁寧な説明に心がけています。また、小川会長は、委員の方々が話せるよう配慮してこられました。そして、協議会の討議内容を確認するため、ルーテル学院大学に担当者が10名近く来られ、相談をなさいました。

 本協議会を1つのきっかけとして、これからの地域を描いていくためにも、貴重な話し合いがなされ、当事者、住民、行政、社協、社会福祉法人、医療機関等のそれぞれの役割が確認され、住民のニーズに合わせたサービスや活動が地域で実践されることを願っています。

2020年度長野県地域福祉コーディネーター総合研修

第1回 地域共生社会の実現と生活支援コーディネーター・地域福祉コーディネーターへの期待

8月7日(金曜日)13:00〜16:00、長野県社会福祉総合センター、伊那市防災コミュニティセンター、松川村多目的交流センターすずの音ホールの3つの会場を使い、三鷹からZOOMで、講義、ワークショップを行った。各会場には、合わせて70名を超える方々が出席して学習し、相互の情報提供も行った。実施要項と研修内容、そして写真を掲載いたいます。

長野県社会福祉総合センター
伊那市防災コミュニティセンター
ワークショップ
ワークショップ

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

【新型コロナは、新しい自分を切り開く】

  東京国際大学の松本すみ子と申します。   博士の学位を、2011年にルーテル学院大学で取得しました。博士論文は、「住民の福祉活動参加と主体形成プロセスに関する研究-精神保健福祉ボランティアに焦点化した質的分析-」というテーマです。

  精神疾患や精神障害など、メンタルヘルス課題に直面している方々の地域での生活をより質を高めていくためには、 行政や専門職はもとより、地域住民の果たす役割がとても大きく重要であることに言及してみました。指導教授は、市川一宏先生。研究に向けて右往左往する私を常に優しく見守り、そしてたいへん丁寧に指導してくださいました。市川先生には、ただただ感謝の一言に尽きます。

 私は元々は精神科病院のソーシャルワーカーでしたが、21年前に現職に就き、社会福祉士・精神保健福祉士の養成教育に取り組んでいます。一方、他学部に所属する、将来、ソーシャルワーカーになるわけではなく企業などへ就職していく学生たちに、講義を通して福祉のこと、そして福祉のこころを伝えていくことにも、たいへん     大きな意義を感じながら、日々の教育に取り組んでいます。    

 専門職はもとより、多くの市民が福祉についての理解と、困難な状況に直面する人たちへの理解や思いやりを     もつことがとても大切だと思っていることが、授業への強いモチベーションになっています。

 さて、新型コロナウイルスの感染拡大は、日本だけでなく世界中の人々を脅かしています。     私たちは、生活を変えることを余儀なくされました。     健康を害し、命の危険にもさらされ、仕事を失い、今までの生活を維持することが困難な     人たちがたくさん苦しんでいます。   

 私の勤務する大学は、急遽3月に春学期の授業を全てオンラインに切り替える決定をしました。     何よりも、学生の安全・健康・命を守ることを最優先と考え、全国の大学でも早い段階でオンライン     での実施を決定し準備をスタートしました。     しかし、教育は言うまでもなく一方向ではなく、学生と教員の協働により成りたつものです。果たしてオンラインで大丈夫なのか? 大半の教員の思いでした。また、講義はともかく、スポーツ実技や実験などはオンラインにはなじみにくく、体験しないとどうしても教えられないことや、習得できない技術があります。担当の先生がたの戸惑いは、たいへん大きかったです。

  大学の全ての教員が、4月16日からの春学期スタートに向けて、3月からオンラインでの授業の     練習をしました。     全学で、学部で、そして小さなグループを作って、何度も何度も何度も、練習を繰り返しました。     その過程の中で、 ・やっぱり、無理。授業は対面でないとできない     ・オンラインで実施する授業の方法を何とか習得しよう     ・確かに無理なところは多々あるけれど、対面ではできない何かがあるかもしれない。それを探してみよう。

 いろいろな考え方と、行動が先生がたの中に生まれました 。そして春学期が終了した今、決して対面には及ばないものの、オンラインだからこそ可能な教育方法を駆使して素晴らしい授業が先生がたによって実施されました。とりわけ、スポ―ツ実技の授業で、すばらしいオンラインでの授業が誕生し、学生たちは     その授業を通してたくさんの知識と技術の習得をしました。

 「無理だと言っていたら、なんでも無理になってしまう!」   今回のことから、直面していることはみんな同じでも、そのとらえ方や処し方は、人それぞれだと 改めて痛感しました。「与えられた条件はみんな同じ。でも、その中で自分にできる最大限の努力をし、最高の仕事をする」 プロとはそういうことなのだと改めて学び、自分もそうありたいと強く願っています。    

 きわめて厳しい状況になり、与えられた選択の幅が狭かろうと、他者への思いやり、そして自分の果たすべき役割に真摯に向かいあっていくこと。そして、日々、前に進んでいく自分でありたいと、そう強く思っている今日この頃です。
              東京国際大学 副学長 人間社会学部長    松本すみ子

令和2年度 第2回地域福祉ワーカー連絡調整会議

 2020年7月、東京都の新型コロナ感染症の拡大に伴い、私と長野市と長野市社協の担当者は、遠隔操作による講演とワークショップを実施することになった。講演は慣れていたが、ワークショップははじめてのことであり、いささか不安があったが、ワークショップの現地での司会を土屋さんに依頼でき、安心して取り組むことができた。そして、参加者の方々の満足度が高かったことを知り、改めて充実感が沸いてきた。長野市の担当者の方、ご苦労様でした。

 以下、長野市講義とワークショップの内容をお示ししたい。

 長野市では、都市内分権を推進するため、市内32地区に住民自治協議会を設立するとともに、活動を支援するため、補佐級職員(地域きらめき隊)を各地区に配置しております。

 また、地域包括ケアシステムの構築を目指し、住民自治協議会に地域福祉ワーカー(生活支援コーディネーター)を配置し、介護予防・生活支援検討会(協議体)の設置を進めております。

 一方で、地域包括支援センターには、地域の課題を協議する場として「地域ネットワーク会議」の開催を求められています。

 このような中で、地域福祉ワーカー、地域きらめき隊、地域包括支援センターが連携し、更なる支え合い活動を充実させるため、本会議において下記のとおりご講演等をいただきたくご依頼申し上げます。

1 名  称   令和2年度 第2回地域福祉ワーカー連絡調整会議

2 日  時   令和2年7月20日(月) 午後1時30分~午後5時00分

3 会  場   長野市立更北公民館(長野市青木島町大塚880-5)

4 内容

(1)講演(対象:地域福祉ワーカー、地域きらめき隊、地域包括支援センター)

テーマ:住み慣れた地域で暮らし続けたいという願いを叶えるために~地域福祉の方向性と地域助け合い活動の創出に向けて~

(2) グループワーク(対象:地域福祉ワーカー、地域包括支援センター)

   テーマ:(仮題)改めて考えよう!地域づくりに求められるもの

以下の写真はワークショップの時に写真であり、講演では、地域福祉担当者も加わり、2倍を超える参加者がおられた。

希望のある明日に向かって歩むぞメッセージ

ニューヨークの病院で働く岩◎さんからのメッセージです。

岩◎さん、おはようございます。元気ですか。ニューヨークはどうですか?また、そちらから日本はどのように見えますか。
コロナは弱い層に打撃を与えています。僕は在宅の高齢者の支援に必死になっています。フレイルになった高齢者、フレイルから要介護になった高齢者、認知症を発症した高齢者、介護負担の増加した家族等の現状、福祉従事者の疲労、感染の危険等々の福祉崩壊の危機等、皆で福祉の絆を強めたいと思っています。
体調にくれぐれも気をつけて下さい。また会いましょう。
市川

気がつけば、もう7月ですね。元気にしております。こちら、NYでは新型コロナウイルスの感染率も低いまま落ち着いています。しかし、他の州では感染率の急激な増加で、医療機関はパンク状態です。既に、カルフォルニアではICUナースの不足が深刻で、カリフォルニア州の看護団体からリクルートが来ました。それほど、厳しい状態にあるようです。この新型コロナウイルスは気を許すとすぐに感染が増えてきてしまい、一人ひとりの行動が直接的にまた間接的に感染率の増加に結びついています。誰が、被害を受けるかと言うとやはり高齢者などの弱い立場の方たち、または低所得者の方たちですね。これは日本もアメリカも同じだと思います。私から見た日本の印象ですが、中央政府のサポートが一番働いている重要な人達の所に届いていないことです。アメリカもトランプ大統領がとんちんかんな事を言ったり行動を取ったりで、こんな大切な時に新型コロナウイルスの感染率の増加をあおるようなことが続いています。しかし、その反面、各々の州単位での州知事などのリーダーは素晴らしいリーダーシップを発揮してこの困難を切り抜けています。また、コミュニティの結束もそれに反映していると感じます。これからは、日本もコミュニティ単位、または地方自治体単位での結束を益々強めて行くべきでしょう。特に日本では福祉関係の方たち同士のネットワークが整っているので、この絆を強める良いコミュニティが出来ると思います。この福祉の絆がとても弱いのがアメリカの社会の問題点だと日本を見て思いました。先生がおっしゃる福祉の絆を強めることが、もしかしたら今後の日本の社会を担うことになるかも知れませんね。大変、尊いことだと思いました。岩◎

私は、また、岩◎さんに勇気をもらいました。僕たちルーテルの絆を、これからも守っていきたいです。そして、保健医療福祉実践現場や地域にいる、同じ志をもつ仲間と一緒に、今の日本の危機に挑戦していきたいと思います。

今、私たちが問われていること

 新型コロナウイルスが拡大する4月より6月中旬まで、小金井市・調布市・三鷹市・武蔵野市・東京都と情報交換の場を設けてきました。そして、今週より委員会が開催され、私は、以下の危機感を強めました。この危機感は、私だけでなく、会議に出席しておられる委員の方々も共通してもっておられる危機感であると思っています。以降、練馬区、東京都と委員会が続きます。

『在宅の高齢者の状況は厳しく、 ADL、IADLの低下、認知症の発症、孤立が顕著になり、さらに熱中症の危険性が顕著になってきていることを確認しました。そしてコロナの広がりによって民生委員、サロン関係者等のインフォーマルケアの担い手、福祉、医療関係者等の対応する専門職がなかなか動けない。どうしていくか、待ったない状況にあると考えています。』

さらに、今考えていることをお伝えします。

1.地域における高齢者等の生活問題の深刻化               ①着実に進行し、悪化する高齢者の疾病・ADLの状況、生活状況:電話やベルによる現状把握には限界があり、フレイル等の実際の状態が把握できない。深刻な状況の進行している危険性がある。

②孤立状態にある高齢者の増加:介護予防につながる活動の場、地域の仲間づくりの場がほとんどなくなり、状況高齢者の社会的なつながりが切れてしまっている。

③要介護者の増加:身体機能及び生活意欲の低下等リスクの増加、認知症高齢者の増加の危険性。

④介護負担の増加による家族介護の危機:要介護者を介護していた家族が感染した場合の濃厚接触者である要介護者への対応はどうなるか。

2.介護事業者・見守り活動等の活動の課題                ①外出自粛及び利用者が自主的にサービス利用を控えることにより、事業所の収入の減及び経営の状況が悪化している。特に、地域密着型通所介護で半日型の軽度者向けにリハビリなどを行う事業者の経営が逼迫していると言われています。

②コロナ対応がいつまで続くか、どこまでやればいいのかわからないため、事業所職員の体力的、精神的な負担となっています。

③衛生資材が引き続き不足しているとの情報もあります。:事業所によって「高齢者の生活を支えるために,事業を継続するべき」という考え方と,「感染した場合重症化するリスクを考え,業務を縮小・休業するべき」という2つの考え方に分かれている。利用者の利用に関する意識においても同様の傾向。

④通所型では、職員または利用者に陽性が出たということで休業するケースもあり、特に区部で多い。訪問系も試行錯誤状態。

⑤ふれあいいきいきサロン、見守り活動等のインフォーマルケアで活動を休止しているところも多い。総合事業と生活支援サービスの量的確保が可能かどうか検討する必要がある。

⑥特別養護老人ホーム等において集団感染が起こった場合の対応をどうするか、地域全体の問題として対応を考える必要がある。ふりかえって、新型コロナウイルスの拡大期には、介護サービス事業者からは、連日のように、マスクや消毒液が足りずに行政に何とかしてほしいとの訴えや、デイサービス等の利用者が2~4割ほど減っているため事業収入が減り、事業継続の不安を訴える事業者、逆にコロナが不安で休業してほしいといった当該事業所の従業員の不安の声や近隣住民の声が電話や窓口に殺到した。今、備えを。

3.検討の基本方針 市川案                       ①現状把握と高齢者等が直面する生活課題の明確化:第7期の進捗状況の評価を踏まえ、かつ新型コロナ感染拡大の結果は、事実として把握し、確認し、可能な対応を検討していく。私は、どのような対応が可能かと聞かれますが、率直に「必ず解決できるかどうかわからない」とお答えします。答えを見いだす作業がこれからの討議です。

②未曾有の危機に対する協働の取り組み行政だけでできない。民間だけでもできない。住民だけでもできない。それぞれの役割を確認し、協働する取り組みが不可欠です。その意味では、6Hと2Wを明確にする必要があります。(Who, Whom, Why, What, Where, WhenとHow, How much):

③今までの実績を尊重し、練馬区という地で育った木に新しい取り組みを接木する計画:各自治体には、福祉施設、医療機関、サービス、住民活動、近隣関係等の社会資源、今までの取り組み等の実績という強みや実績があります。それを活かし、強めることが不可欠です。

④優先順位の明確化:今は、優先順位を決め、着実に実行できる計画を策定することが必要です。★㋐横軸:期待度(夢の明るさ、波及効果)㋑縦軸:実現可能性、経済性と効率性 ★危機管理㋐横軸:深刻度・緊急性 ㋑縦軸:発生確率

⑤委員会における合意形成課題が山積していることは申し上げた通りです。それらの課題は、この委員会を通して、具体的に検討すべきであると思います。そうでなければ、行政はパンクしますし、計画も実効性を担保できません。

4.具体的な検討課題(市川案)                      ①高齢者の安否確認、現状把握のための仕組み作り:㋐ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみ世帯で、サービス未利用者、市の緊急通報システム事業利用者(慢性疾患のある方)、要介護1・2の認定者を対象とした確認(食の確保、服薬や医療、外出(フレイル、閉じこもりの状況把握)、支援者の有無等)と必要に応じた自宅訪問、㋑牛乳の配達、事業者との見守り協定等

②介護予防・生活支援サービスの再建

③感染予防および感染時対応 ㋐要介護者の介護をしている家族の感染の場合の濃厚接触者である要介護高齢者への対応、㋑施設内における集団感染への対応、㋒パーソナルなケアをしている従事者の健康チェックの支援、㋓事業休業に伴い、介護サービス利用者を他の事業者で継続して介護する等のケアマネ等との連携

④保健医療福祉の連携強化 ㋐医師・薬剤師・歯科医師・介護事業者等の連絡手段の活用と事業の連携の明確化、㋑介護事業者が連携し、不足する介護を補い合うというためで、介護資源が不足した場合、重い方はなるべく施設で対応し、介護度が中軽度の方に、在宅サービスの資源を集中するという介護トリアージを提案されています。 

⑤サービスの見込み量の確認

⑥ITを含むこれからの福祉サービスの開発

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

 ご無沙汰しています!1991年3月卒の吉村誠司です。95年1月の阪神淡路大震災より神戸に救援活動に入り、そのままNGOとして12年被災地で活動を続けました。その後、神戸から長野県北部へ拠点を移動し、その後も国内外での災害への支援活動で動き続けていました。

 忘れられない2011年3月11日発生の東日本大震災でも救助に入り、拠点を構えた宮城県石巻市にて、市川先生との奇跡的な再会を経て、現地に一般社団法人OPEN JAPANを設立し、今も理事として終わらない災害支援活動、特に昨年の台風19号千曲川決壊被災地支援活動を継続しています。(写真のオレンジジャケットが私です)http://openjapan.net/shien/201910taifuu10gou

 今回のコロナ禍災害をきっかけに、人間の生き方、亡くなり方も問われている中、医療体制や防護体制も不備な発展途上国での支援も今、求められています・・・仲間はアフリカでの支援を開始。

 また、お会いしてお話出来れば幸いです。ルーテル時代の仲間達とも時々、活動を共にしています。様々な出会いに感謝しつつ・・・(つづく)

ルーテル学院大学 チャペルアワーメッセージ 「私たちのよりどころ」    聖書:詩編23編

  4月2日午前8時、同期を介して、ニューヨークの病院で看護師として働いている卒業生の岩◎さんよりラインが届きました。私の卒業式のメッセージや卒業生への呼び掛け文を読んで、涙したこと、心が癒やされたこと、そして新型コロナの感染が爆発的に広がっているニューヨークにおける医療現場の厳しさが書かれていました。

 私は、早速、今でも繋がっている卒業生に対して、以下のメール・ラインを送りました。  <岩◎さんへの応援メッセージの依頼>「こんにちは。さて、1992年度卒業の岩◎さんから、ラインが届きました。励ましのメッセージを送ろうと思います。

 「私は今、マンハッタンのMount Sinai Hospital と言う大きなhealthcare system の中の一つのHospital のCOVID ICUで働いています。3日前ですでにMountSinai System の全部の病院での死者が187人に上り、今日の時点では死者の数がもっと増えていると思います。霊安室も一杯でご遺体を置く場所もありません。ICUベッドもICUナースも足りないし、人工呼吸器も足りません。私の働くICUでは<省略>まさに、戦場下です。数週間前までは普通に生活をしていたのに、人間の生活ってこんなにまで急に変わってしまうのですね。自分の身を守るためのマスクやガウン、フェイスシールドなども不足して、自分の身も守れません。こんなに時ですが、いつも私が神様に願っていたこと「神様のために私を用いて下さい」と言うことが、もしかしたらこれなのかも知れません。・・・・・。」 励ましの気持ちを伝えたい卒業生は、私個人に100字以内のメッセージを送って下さい。今週末には、まとめて送りたいと思います。」  そのメール・ラインを受けて、私にたくさんの卒業生、教職員からの励ましのメール・ラインが届きました。4日の午後、まず第一陣として、それらをまとめて岩◎さんに送りました。私たちの思いを込めて。

  早速5日に、岩◎さんからメールが届きました。「ルーテルの皆さんからのメッセージを一つひとつ大切に読ませて頂きました。涙が止まりません。皆さん、本当にありがとうございました。そして、多くの方の祈りに支えられて私の毎日があるのだと思いました。皆さんの祈りを大切にこれからも頑張っていきます。どうぞ、これからも私たちのために祈ってください。」

 これらの応答から始まり、今は、卒業生、ルーテル学院の教員、関係者と一緒に「希望ある明日に向かって歩むぞメーセージ」を集め、『市川一宏研究室』に掲載しています。  

 新型コロナウイルスの世界的な拡散と混乱は、経験していない未知の世界です。将来がまったく見通せない。家での学生へ遠隔授業を行い、送られてくる一人ひとりのコメントを読んだり、メールで応えたり、ZOOMでゼミを行ったりという、今までとまったく異なる生活を強いられています。数年後に迎える定年のようです。

 他方、私には、貧困、失業で住まいを失い、生活に行き詰まっている多くの方々の悲鳴が届きます。また、地域では、高齢者や障害をもつ方の孤立の問題が広がり、また介護者や親がコロナに感染した場合の濃厚接触者である要介護者や子どもへの対応も緊急の課題になっています。 コロナウイルスの広がりは、今までの関係を打ち砕き、不安、恐怖、不信、怒りを生み出し、負の連鎖が広がってきていると実感しています。だからこそ、私は、大切なもの、大切なことを守る決意が必要だと思います。私、そのなかに「人への思いやり」を加えたいと思います。

 そのアクションの一つが、「希望ある明日に向かって歩むぞメーセージ」です。そこには、ルーテルの関係者が、援助を必要とする方々と共に生きる姿と日々の思いがメッセージとして綴られています。 このことを可能にした背景は何でしょうか。ルーテル学院という場における、友人との出会い、教職員との出会い、様々な学内外の活動との出会い、そして神様との出会いだったと思います。そこから、絆が生まれ、育ち、卒業してからも広がっていると、私は実感しています。  そして、私は、教員としての37年間の経験を通して、詩編23編の聖句にたどり着きました。皆さんと一緒に、読み、私のメッセージを終えたいと思います。

  主は羊飼い、  わたしには何も欠けることがない。   主はわたしを青草の原に休ませ    憩いの水のほとりに伴い 魂を生き返らせてくださる。   主は御名にふさわしく    わたしを正しい道に導かれる。   死の陰の谷を行くときも    わたしは災いを恐れない。    あなたがわたしと共にいてくださる。    あなたの鞭、   あなたの杖    それがわたしを力づける。    わたしを苦しめる者を前にしても    あなたはわたしに食卓を整えてくださる。    わたしの頭に香油を注ぎ    わたしの杯を溢れさせてくださる。    命のある限り    恵みと慈しみはいつもわたしを追う。    主の家にわたしは帰り   生涯、そこにとどまるであろう。                           詩編 23編

未来をひらく             ボランティア活動

未来をひらく  ボランティア活動

1.ボランティア活動とは新たな出会い 今から50年前、私が大学生1年生の時、たまたま友人の代わりに、ボランティアとして知的障害児施設の東京都大島の大島藤倉学園(現在は障害者支援施設・施設入所支援・生活介護事業を実施)を訪問しました。私が中学・高校を過ごした東京都内にも、伝統ある障害児者施設があるにも関わらず、学校の行き帰りに障害児者に出会うことはありませんでした。そのため、大島藤倉学園を訪問した際、日常とのギャップに戸惑ったことを思い出します。その時出会った言葉が、知的障害児者の父と言われた糸賀一雄先生の「この子らを世の光に」という言葉でした。私は、この子らが地域で当たり前の生活をしていることが、社会の光となり、それを一緒に実現する活動がボランティア活動であると胸に刻みました。

2. 「助ける」「助けられる」から、「互いに助け合う」ボランティア活動(福井県新庄小学校)

3.ボランティア活動の根本にある     
       Hospitality
   1992年デンマークのクリスマス

4.必要な活動を生み出すボランティア活動
    岐阜県垂水町  あゆみの家

5.人と人を繋げて絆を生み出し、地域を守るボランティア活動       コロナウイルスの広がりは、今までの関係を打ち砕き、不安、恐怖、不信、怒りを生み出し、負の連鎖が広がってきています。だからこそ、私は、大切なもの、大切なことを守る決意が必要だと思います。私は、その中に「人への思いやり」を加えたい。そしてボランティア団体や市民活動団体も守ろうとしてきたこの絆を、これからも大切にしていきたい。絆を寸断されるのではなく、より強めたいと思っています。今、私たちに問われていることにどのように答えていくかが、今回の感染症防止対応が一定終息した後の、これからのボランティア・市民活動の発展に繋がっていくと信じています。  

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

 ルーテル学院大学の先生方、岩◎さん、卒業生の皆さまのメッセージを拝読し、励まされています。岩◎さん、卒業生の皆さまがそれぞれの現場で、感染の危機やそれによるさまざまな影響と向き合いながら、一人ひとりの命と生活を護り支えるべく日々ご尽力なさっている姿に触れ、深く感銘を受けています。

 私は、がんセンター よろず相談のMSWとして、小児から若年、成人、高齢者までさまざまな年代のがんと向き合う方や家族からご相談を受け、闘病生活を支える仕事をしています。現在、多くの病院や施設では感染予防として面会が制限されており、オンラインでの面会等の代替方法で本人と家族のつながりを保つよう工夫していると思います。私の勤務先ではがんに対する積極的な治療だけではなく、緩和ケア病棟もあり終末期も含めてがんの闘病を支えていますが、余命がわずかしか残されていない患者さんとその家族もこれまでのように自由に面会できなくなっています。そのため、つらさをぎりぎりまで我慢して自宅で過ごし緊急入院する方も増えてきています。やっとの思いで入院した後、家族は患者さんのそばにいることが許されず、感染対策の必要性を理解していても気持ちがついていかず葛藤を抱えるというような事態がおきています。人が亡くなっていく時に直面するさまざまなつらさは医療的なケアだけではなく、家族や親しい方とのコミュニケーションや大切な方がそばにいて手を握るといったことにより和らぐこともあります。また、遺される家族にとってもその方との最期の時をどのように過ごすことができるかが、死別後の哀しみや喪失に大きく影響します。

 私はさまざまな年代の方にお会いし、その方が大切になさってきたことや家族の関係性をどのように築いてこられたのかを教えていただきながら、面会制限があるなかでもその方と家族がお互いの存在を近くに感じることができるような方法を共に模索し、試行錯誤を繰り返している日々です。また、余命の限られた子どもが、学校の先生や友だちとのつながりを感じることができるよう、どのような取り組みができるかも大きな課題です。

 昨今の社会情勢を受け収入が激減し経済的に厳しい状況に追い込まれているなかで、がんが見つかったけれど治療の費用を支払うことができないといった相談も増えてきています。一人ひとりの命を護ること、生活を維持できるよう支えていくこと、孤独にならないよう関係性をつないでいくことが我々ソーシャルワーカーに求められており、院内の多職種スタッフや地域の関係機関と連携しながら、どのように支援体制を築いていくことができるかが今まさに問われているように感じます。

 今後もしばらくこのような事態が続くなかで、支援者である自分自身の心身の健康を維持していくことも重要だと思っています。市川先生が創り出してくださったこのルーテルの支援者支援のネットワークにより、多くの卒業生と関係者の方々が勇気とエールを分かち合うことができていると感じています。

先生方、卒業生の方々への感謝と祈りを込めて。   

                   2020年6月14日  御牧由子