社会福祉関連

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

                                Marie O. 

―あなたがたはそれぞれ、賜物を授かっているのですから、神のさまざまな恵みの善い管理者として、その賜物を生かして互いに仕えなさい。(Ⅰ ペテロの手紙4:10)―

 世界中の新型コロナウイルスの感染爆発により、私たちの生活は一変しました。公共交通機関を使っての通勤、仕事仲間との自由な意見交換、ちょっと気分転換の買い物、おいしいと評判のレストランに行くこと、すべてがあたりまえではなくなりました。そして、新たな生活行動様式という名のもとに3密を避け、他の人々との社会的接触を最小限に抑え努力することを要請されました。

 さて、自己紹介からさせて頂きます。私は、ルーテルを1990年に卒業し、他大学の大学院で修士を終えた後、大学病院のMSWとして勤務しました。その後、博士後期課程を終え、現在は東京都内の大学教員です。今年、教員生活20年目を迎えました。皆さんがご存知の通り、大学はオンライン授業が主流になりました。この5カ月、私も自宅での生活を余儀なくされ、毎日のようにパソコンに向かいリモートワーク、画面の向こうにいる学生達に話しかけ、理解を求め、慣れない生活から、身も心も限界に達することがしばしば。

 その間に、様々なことを振り返り、自分に、社会に、世界に問いかけてみました。人生において何が必要なもので、何が必要でないのか、どう生きていけるのか、どう生きたいのか、各人が問われてきたのではないでしょうか。

 今回は折角の機会、思いつくままに筆を走らせてみたいと思います。皆さんは、ルーテルで過ごした学生生活がその後の人生にどのような影響を与えたでしょうか。そんなことを思いながら、私は30年前にタイムスリップして、今回はルーテルの先生方から支えられたことが今の私の礎になってきたことをお話しします。

この企画をされた市川先生、30年前の話になりますが、アメリカに行くことが決まっていた私に、当時、入手困難な越乃寒梅で乾杯してくださり、送り出してくださったことを今でも覚えています。最近では、お仕事でご一緒させて頂くこともあり、素晴らしい研究者である先生にお頼りすることが多くあります。学生達を大事にされている市川先生の姿勢は多くの卒業生の励みであり、学生達から慕われる先生は私の憧れです。 

 そしてK先生、私にソーシャルワーカー魂を教えてくださったロールモデルであり、あり続けています。当時、先生は、「モーセは約束の地に辿り着くまで40年間かかったのだから、貴方も数年間の修業をしてきたら」と海外で学ぶ機会を与えてくださいました。これまでも人生のターニングポイントで適切なアドバイスを頂いています。今も忘れない・・お優しいお母様のようなI先生。当時ルーテルには実習がなかったのですが、精神科病院の実習先を探してくださいました。これが私のMSWになるきっかけとなりました。私にとっては本当に貴重な経験でした。

 皆さんもご存知の学生全員の名前を覚えてらっしゃった今は亡き、N先生。的確に、端的にご意見をおっしゃる先生からは、当時、苦手な英語の勉強方法を教えて頂きました。そうそう、どこからか頂いてきたパンを寮生に配っていた(と言えばわかるのでは)アメリカからいらしていたN先生は、偶然にもアメリカの大学でもご一緒することになり、テニス仲間でもありました。チャレンジ多き時期に「信仰」の大切さを先生から教えて頂きました。

 最後にF先生。学問の師であり、人生の師であり、言葉では言い尽くすことのできないほど、感謝しています。日本のソーシャルワーカーの育成のために邁進されている先生とご一緒させて頂ける機会が多くあり、私にとっては学びの機会でもあります。その中で「尊厳」の具現化するソーシャルワークを考えさせられています。これは人が人を「尊厳」をもって関わることですが、このコロナ禍だからこそ、尊い命ある一人一人が、自らを大事にし、自分と同じように他者を大事にすることが、互いに仕え合うことにつながり、誰にも優しい社会が生まれるように思います。

 ルーテルの卒業生の皆さんが、色々なところで活躍されていることを心から嬉しく、そして誇りに思いました。多くの私たちの仲間が牧会で、社会福祉の現場で活躍し、それぞれの賜物を神様が豊かに用いてくださっていることを皆さんの声を通して、私にも届きました。このコロナ禍にあっても、仲間が、そして神様がこれからもあなたを、私を支えてくれていることを確信しています。きっとお読みになっている方々も同じような思いではないでしょうか。

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

ルーテル学院大学、大学院 卒業生の皆様

 石田賢哉と申します。2003年3月にルーテル学院大学大学院修士課程を修了しました。福山和女先生、前田大作先生に修士論文をご指導いただきました。2007年より青森県立保健大学で精神保健福祉士養成課程の担当をさせていただいております。出身は静岡県で青森県とは何のかかわりもなかったのですが、青森に来させていただいてから14年目をむかえています。職場の方々や、福祉や医療現場の方々、当事者の方々やそのご家族の方々、たくさんの素晴らしい方々と出会いがあり、多くのことを学ばせていただいております。プライベートでも青森の方と結婚しました…。最近では、青森の現場の方々、研究者と一緒になり、青森の福祉の取り組みを1冊の本(石田賢哉・工藤英明・村田隆史(2020)「福祉課題への挑戦~青森の未来へ~」泰斗舎)にまとめることができました。すべてはご縁なんだろうなと思っています。

 コロナ禍において、大学も大きな影響を受けました。一番は実習でしょうか。医療機関や福祉事業所、行政機関などで実習受け入れの中止、見送り等がありました。患者さん、利用者さんの命を守ることが最優先であり、実習現場の指導者の方々も申し訳ないということをお話してくださりました。

 養成校としては、学生にとって実践現場で学ぶことが何より大事であると考えていて、学生自身もそのように考えていてくれていると思います。学生は実習に気持ちを高めている中で、突然の延期、中止、本当に申し訳なく思いました。多くの学生は今できることに気持ちを切り替え、学内実習に取り組んでくれています。

 幸い、多くの医療機関、福祉事業所では、感染症対策をしっかりやるということで実習が再開されました。ただ、今年1年は実習受け入れNGという機関・事業所や、突然、実習中止ということがまだあり、安定しない状況は続いております。

 学内においても、手洗いうがいの推奨、マスク着用、Web授業など今までと異なる形で大学が再開されています。きっと不満があるのだろうと思うのですが、学生さんたちは、今の状況を理解し、学業、大学生活を送っています。若い人たちの生活態度、本当に素晴らしいと思います。こちらが学ぶことばかりです。

 現在、医療機関や福祉事業所、福祉行政等で活躍されている方々が多くおられることと思います。多忙な業務に加え、コロナ感染対策を含め、心身ともにきつい状況にあるのではないかと思うと、自分自身本当に苦しく思います。

 そのような中でも、皆さんの支援や応援を必要としている人たちがたくさんいると思います。私自身のことになりますが、昨年12月に母が亡くなりました。2017年から介護保険サービスを使うことになり、利用者の家族としてたくさんのスタッフの方々のケア、支援を受けました。そのなかで、素晴らしいスタッフの方々の応援があり、最後まで母を看取ることができました。病気や障害は良くならないとしても、最後の最後までその人らしさを尊重し、その人が旅立った後も、その人がいたことの意味を認めてくれる、本当に福祉の仕事は尊いこと、福祉は誰にとっても必要であるのだ、ということを家族という立場から実感することができました。皆さんが担当されている患者さん、利用者さん、ご家族の方々は、みなさんの支援やケアを必要としている人たちで、皆さんからの支援にきっと勇気づけられていると確信しています。

 感染症対策でやれることは皆さん徹底していることと思います。やれることが分かってきているので、その範囲でまず私たちはしっかり対策に取り組んで、必ず良くなる、必ず落ち着くということに確信をもって、誰のために仕事をしているかということを忘れず、今起きていることに向きあうことが私たちのすべきことだと思っています。落ち着いてから、いろいろな検証をおこない、責任問題などについて追及していけばよいわけで、今はそのような時期ではないと思います。不安を煽ったり、コロナ感染者のプライバシーを侵害したり、そのような情報を目にするたびに本当に怒りの気持ちになります。そうではなく、私たちがすべきは認め合い、問題があればお互いに注意し合って、すべきことをしっかりやって、ということだと思います。

 自分自身の挑戦ですが、青森には素晴らしい実践家、利用者さん、ご家族、行政スタッフの方々がたくさんおられます。とても魅力的な人たちですし、素晴らしい熱意や思いをもっています。そのような人たちの取り組みを継続的に全国に発信していけたらと思っています。記録がなければ、素晴らしい取り組みも引き継がれていくことは難しいですし、その活動を知らない人にとっては「ない」ということになってしまいます。文章に起こし、論文に残したり、本にするなどして、これからの社会の財産にしていくことが大事だと思っています。コロナ禍において何が行われたのかということは記録に残し、最終的には本に残して、医療・福祉現場の人たちがこんなにも頑張ったのだと、どのような取り組みが友好的であったのか、あるいはどのような取り組みに問題があったのかを検証するなどして、改善をしていく事が大事なのではないかと今の自分は考えております。

 最前線でチャレンジされている皆様を本当に尊敬します。自分も微力ではありますが、精一杯チャレンジをして、今起こっている出来事から学ぶべきことを記録に残していきたいと思います。

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

大学院卒業生の西田ちゆきです。

 岩◎さんのメールを市川先生から配信いただき、最前線で頑張っておられる様子にエールを送りたくなりましたし、そんなルーテルの仲間がいることがとても励みになりました。

 さて、私にとっても新型コロナウィリスの感染拡大は少なからず生活に変化をもたらしました。

 まずは仕事の面での影響についてご報告します。

 現在大学の実習指導室に勤務しており、学生を実習に出さなければいけないのですが、緊急事態宣言出された後、相次いで医師薬系実習がオンラインに切り替わっている中、SW・PSW実習の現場に送り出すかどうか話し合いが重ねられました。

 厚労省から、学内での実習(演習形式で行う)に代替えできるとの通知も出されましたが、たとえ事務室に座っているだけであっても、現場の雰囲気を体験するのとしないのとでは学びの深さが違ってきますので、私としてはどうしても現場に行って欲しいと考えていました。幸い加入している保険もコロナにも対応できるようでしたので実習実施となりました。

 その後、実習生受け入れ中止になった施設も多数ありましたが、なんとか再配属でき、一旦は安堵しました。ただ、現在は、第二波の到来による実習受け入れ中止の電話にハラハラドキドキする毎日です。また、夏休みに入り、すでに実習を開始している学生もおります。感染する・させることなく終わってくれるのを祈るばかりです。

 もうひとつは同居家族以外の人々との接点が極端に減少したことによるストレスの問題です。

 私自身は、コロナ禍でも、授業以外の仕事では対面で仕事ができていましたので不満を感じることなく生活できていますが、気になったのは障がいのある方のストレスです。

 私が所属する法人後見で後見をしているOさんは、グループホームに暮らし、作業所に通う日常でした。しかしコロナ禍で作業所は閉鎖、GH待機となりました。真面目な性格のOさんは、外出を極力控え、ストレスを感じていましたが、朝夕作業所からかかってくる確認の電話ではうまくその感情を伝えられず、体調を崩していました。幸い、7月から作業所に通えるようになったことや、訪問看護を開始することで、現在は日常を取り戻しつつありますが、障がいのある方のリモートワークの支援については課題が多いと感じました。総じて一見自立していそうに見える方の変化は見逃されやすく、放置されやすいので、後見人としては引き続きアンテナを張っていかなければならないと思ったと同時に、電話やリモートだけの対応に限界があることや対人コミュニケーションが少なくなくなる弊害について実感した出来事でした。

 コロナウィルスの猛威はまだ衰える様子がありません。今はただ、少しでも早く、以前と同様に教室で授業ができ、自由に出かけ、思いっきり知人・友人と話ができる生活に戻って欲しいです。

 ルーテル学院大学をご卒業された皆様のご活躍は市川先生や同窓会を通じて伝え聞いております。これからも皆さんの頑張りを励みに、様々な課題に取り組んでいきたいと思います。

 最後になりましたが、これからも市川先生はじめ、皆様のご健康を祈願しております。


令和2年度第3回調布市高齢者福祉推進協議会

 2020年8月13日、文化会館たづくり12階大会議室において、コロナ感染を予防する対応をとった会議場において、第3回の協議会(会長:小川聡子調布市医師会)が行われました。今年度より、私は、顧問として、司会を担当しています。

手前の2つのテーブルと右上のテーブルに委員が、
左上のテーブルとその後列が行政担当者が座っています。
司会を担当する市川。右隣は、小川会長。

 介護保険事業計画、高齢者保健福祉計画の策定においては、今までの実績を尊重し、調布市という地で育った木に新しい取り組みを「接木する計画」であることに留意することが大切です。すなわち、福祉施設、医療機関、サービス、住民活動、近隣関係等の社会資源、今までの取り組み等の実績という強みや実績を活かし、強めることが不可欠です。

 たとえば、調布市においては、ケアラー支援を事業として掲げており、他市にはない調布の目玉です。また生活支援コーディネーターと地域福祉コーディネーターの役割が整理されていること。地域包括ケアシステムも,理念と実績において理解が広がっていること。圏域ごとの計画も検討されてきたこと。医師会が委託を受けている「ちょうふ在宅医療相談室」が蓄積している在宅医療の知見。詳細は市のHPをご覧頂きたいですが、「セカンドライフ応援キャンペーン」という行政の担当部署を横断する企画を実施していること等、様々な実績をこれからも大切にしでいく必要があります。

 また、協議会運営に関しても、9名の公募委員に参加して頂き、いわゆる住民、利用者の視点からご意見を伺うとともに、行政は、毎回10名近くおられる傍聴者にも十分伝わる丁寧な説明に心がけています。また、小川会長は、委員の方々が話せるよう配慮してこられました。そして、協議会の討議内容を確認するため、ルーテル学院大学に担当者が10名近く来られ、相談をなさいました。

 本協議会を1つのきっかけとして、これからの地域を描いていくためにも、貴重な話し合いがなされ、当事者、住民、行政、社協、社会福祉法人、医療機関等のそれぞれの役割が確認され、住民のニーズに合わせたサービスや活動が地域で実践されることを願っています。

2020年度長野県地域福祉コーディネーター総合研修

第1回 地域共生社会の実現と生活支援コーディネーター・地域福祉コーディネーターへの期待

8月7日(金曜日)13:00〜16:00、長野県社会福祉総合センター、伊那市防災コミュニティセンター、松川村多目的交流センターすずの音ホールの3つの会場を使い、三鷹からZOOMで、講義、ワークショップを行った。各会場には、合わせて70名を超える方々が出席して学習し、相互の情報提供も行った。実施要項と研修内容、そして写真を掲載いたいます。

長野県社会福祉総合センター
伊那市防災コミュニティセンター
ワークショップ
ワークショップ

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

【新型コロナは、新しい自分を切り開く】

  東京国際大学の松本すみ子と申します。   博士の学位を、2011年にルーテル学院大学で取得しました。博士論文は、「住民の福祉活動参加と主体形成プロセスに関する研究-精神保健福祉ボランティアに焦点化した質的分析-」というテーマです。

  精神疾患や精神障害など、メンタルヘルス課題に直面している方々の地域での生活をより質を高めていくためには、 行政や専門職はもとより、地域住民の果たす役割がとても大きく重要であることに言及してみました。指導教授は、市川一宏先生。研究に向けて右往左往する私を常に優しく見守り、そしてたいへん丁寧に指導してくださいました。市川先生には、ただただ感謝の一言に尽きます。

 私は元々は精神科病院のソーシャルワーカーでしたが、21年前に現職に就き、社会福祉士・精神保健福祉士の養成教育に取り組んでいます。一方、他学部に所属する、将来、ソーシャルワーカーになるわけではなく企業などへ就職していく学生たちに、講義を通して福祉のこと、そして福祉のこころを伝えていくことにも、たいへん     大きな意義を感じながら、日々の教育に取り組んでいます。    

 専門職はもとより、多くの市民が福祉についての理解と、困難な状況に直面する人たちへの理解や思いやりを     もつことがとても大切だと思っていることが、授業への強いモチベーションになっています。

 さて、新型コロナウイルスの感染拡大は、日本だけでなく世界中の人々を脅かしています。     私たちは、生活を変えることを余儀なくされました。     健康を害し、命の危険にもさらされ、仕事を失い、今までの生活を維持することが困難な     人たちがたくさん苦しんでいます。   

 私の勤務する大学は、急遽3月に春学期の授業を全てオンラインに切り替える決定をしました。     何よりも、学生の安全・健康・命を守ることを最優先と考え、全国の大学でも早い段階でオンライン     での実施を決定し準備をスタートしました。     しかし、教育は言うまでもなく一方向ではなく、学生と教員の協働により成りたつものです。果たしてオンラインで大丈夫なのか? 大半の教員の思いでした。また、講義はともかく、スポーツ実技や実験などはオンラインにはなじみにくく、体験しないとどうしても教えられないことや、習得できない技術があります。担当の先生がたの戸惑いは、たいへん大きかったです。

  大学の全ての教員が、4月16日からの春学期スタートに向けて、3月からオンラインでの授業の     練習をしました。     全学で、学部で、そして小さなグループを作って、何度も何度も何度も、練習を繰り返しました。     その過程の中で、 ・やっぱり、無理。授業は対面でないとできない     ・オンラインで実施する授業の方法を何とか習得しよう     ・確かに無理なところは多々あるけれど、対面ではできない何かがあるかもしれない。それを探してみよう。

 いろいろな考え方と、行動が先生がたの中に生まれました 。そして春学期が終了した今、決して対面には及ばないものの、オンラインだからこそ可能な教育方法を駆使して素晴らしい授業が先生がたによって実施されました。とりわけ、スポ―ツ実技の授業で、すばらしいオンラインでの授業が誕生し、学生たちは     その授業を通してたくさんの知識と技術の習得をしました。

 「無理だと言っていたら、なんでも無理になってしまう!」   今回のことから、直面していることはみんな同じでも、そのとらえ方や処し方は、人それぞれだと 改めて痛感しました。「与えられた条件はみんな同じ。でも、その中で自分にできる最大限の努力をし、最高の仕事をする」 プロとはそういうことなのだと改めて学び、自分もそうありたいと強く願っています。    

 きわめて厳しい状況になり、与えられた選択の幅が狭かろうと、他者への思いやり、そして自分の果たすべき役割に真摯に向かいあっていくこと。そして、日々、前に進んでいく自分でありたいと、そう強く思っている今日この頃です。
              東京国際大学 副学長 人間社会学部長    松本すみ子

令和2年度 第2回地域福祉ワーカー連絡調整会議

 2020年7月、東京都の新型コロナ感染症の拡大に伴い、私と長野市と長野市社協の担当者は、遠隔操作による講演とワークショップを実施することになった。講演は慣れていたが、ワークショップははじめてのことであり、いささか不安があったが、ワークショップの現地での司会を土屋さんに依頼でき、安心して取り組むことができた。そして、参加者の方々の満足度が高かったことを知り、改めて充実感が沸いてきた。長野市の担当者の方、ご苦労様でした。

 以下、長野市講義とワークショップの内容をお示ししたい。

 長野市では、都市内分権を推進するため、市内32地区に住民自治協議会を設立するとともに、活動を支援するため、補佐級職員(地域きらめき隊)を各地区に配置しております。

 また、地域包括ケアシステムの構築を目指し、住民自治協議会に地域福祉ワーカー(生活支援コーディネーター)を配置し、介護予防・生活支援検討会(協議体)の設置を進めております。

 一方で、地域包括支援センターには、地域の課題を協議する場として「地域ネットワーク会議」の開催を求められています。

 このような中で、地域福祉ワーカー、地域きらめき隊、地域包括支援センターが連携し、更なる支え合い活動を充実させるため、本会議において下記のとおりご講演等をいただきたくご依頼申し上げます。

1 名  称   令和2年度 第2回地域福祉ワーカー連絡調整会議

2 日  時   令和2年7月20日(月) 午後1時30分~午後5時00分

3 会  場   長野市立更北公民館(長野市青木島町大塚880-5)

4 内容

(1)講演(対象:地域福祉ワーカー、地域きらめき隊、地域包括支援センター)

テーマ:住み慣れた地域で暮らし続けたいという願いを叶えるために~地域福祉の方向性と地域助け合い活動の創出に向けて~

(2) グループワーク(対象:地域福祉ワーカー、地域包括支援センター)

   テーマ:(仮題)改めて考えよう!地域づくりに求められるもの

以下の写真はワークショップの時に写真であり、講演では、地域福祉担当者も加わり、2倍を超える参加者がおられた。

希望のある明日に向かって歩むぞメッセージ

ニューヨークの病院で働く岩◎さんからのメッセージです。

岩◎さん、おはようございます。元気ですか。ニューヨークはどうですか?また、そちらから日本はどのように見えますか。
コロナは弱い層に打撃を与えています。僕は在宅の高齢者の支援に必死になっています。フレイルになった高齢者、フレイルから要介護になった高齢者、認知症を発症した高齢者、介護負担の増加した家族等の現状、福祉従事者の疲労、感染の危険等々の福祉崩壊の危機等、皆で福祉の絆を強めたいと思っています。
体調にくれぐれも気をつけて下さい。また会いましょう。
市川

気がつけば、もう7月ですね。元気にしております。こちら、NYでは新型コロナウイルスの感染率も低いまま落ち着いています。しかし、他の州では感染率の急激な増加で、医療機関はパンク状態です。既に、カルフォルニアではICUナースの不足が深刻で、カリフォルニア州の看護団体からリクルートが来ました。それほど、厳しい状態にあるようです。この新型コロナウイルスは気を許すとすぐに感染が増えてきてしまい、一人ひとりの行動が直接的にまた間接的に感染率の増加に結びついています。誰が、被害を受けるかと言うとやはり高齢者などの弱い立場の方たち、または低所得者の方たちですね。これは日本もアメリカも同じだと思います。私から見た日本の印象ですが、中央政府のサポートが一番働いている重要な人達の所に届いていないことです。アメリカもトランプ大統領がとんちんかんな事を言ったり行動を取ったりで、こんな大切な時に新型コロナウイルスの感染率の増加をあおるようなことが続いています。しかし、その反面、各々の州単位での州知事などのリーダーは素晴らしいリーダーシップを発揮してこの困難を切り抜けています。また、コミュニティの結束もそれに反映していると感じます。これからは、日本もコミュニティ単位、または地方自治体単位での結束を益々強めて行くべきでしょう。特に日本では福祉関係の方たち同士のネットワークが整っているので、この絆を強める良いコミュニティが出来ると思います。この福祉の絆がとても弱いのがアメリカの社会の問題点だと日本を見て思いました。先生がおっしゃる福祉の絆を強めることが、もしかしたら今後の日本の社会を担うことになるかも知れませんね。大変、尊いことだと思いました。岩◎

私は、また、岩◎さんに勇気をもらいました。僕たちルーテルの絆を、これからも守っていきたいです。そして、保健医療福祉実践現場や地域にいる、同じ志をもつ仲間と一緒に、今の日本の危機に挑戦していきたいと思います。

今、私たちが問われていること

 新型コロナウイルスが拡大する4月より6月中旬まで、小金井市・調布市・三鷹市・武蔵野市・東京都と情報交換の場を設けてきました。そして、今週より委員会が開催され、私は、以下の危機感を強めました。この危機感は、私だけでなく、会議に出席しておられる委員の方々も共通してもっておられる危機感であると思っています。以降、練馬区、東京都と委員会が続きます。

『在宅の高齢者の状況は厳しく、 ADL、IADLの低下、認知症の発症、孤立が顕著になり、さらに熱中症の危険性が顕著になってきていることを確認しました。そしてコロナの広がりによって民生委員、サロン関係者等のインフォーマルケアの担い手、福祉、医療関係者等の対応する専門職がなかなか動けない。どうしていくか、待ったない状況にあると考えています。』

さらに、今考えていることをお伝えします。

1.地域における高齢者等の生活問題の深刻化               ①着実に進行し、悪化する高齢者の疾病・ADLの状況、生活状況:電話やベルによる現状把握には限界があり、フレイル等の実際の状態が把握できない。深刻な状況の進行している危険性がある。

②孤立状態にある高齢者の増加:介護予防につながる活動の場、地域の仲間づくりの場がほとんどなくなり、状況高齢者の社会的なつながりが切れてしまっている。

③要介護者の増加:身体機能及び生活意欲の低下等リスクの増加、認知症高齢者の増加の危険性。

④介護負担の増加による家族介護の危機:要介護者を介護していた家族が感染した場合の濃厚接触者である要介護者への対応はどうなるか。

2.介護事業者・見守り活動等の活動の課題                ①外出自粛及び利用者が自主的にサービス利用を控えることにより、事業所の収入の減及び経営の状況が悪化している。特に、地域密着型通所介護で半日型の軽度者向けにリハビリなどを行う事業者の経営が逼迫していると言われています。

②コロナ対応がいつまで続くか、どこまでやればいいのかわからないため、事業所職員の体力的、精神的な負担となっています。

③衛生資材が引き続き不足しているとの情報もあります。:事業所によって「高齢者の生活を支えるために,事業を継続するべき」という考え方と,「感染した場合重症化するリスクを考え,業務を縮小・休業するべき」という2つの考え方に分かれている。利用者の利用に関する意識においても同様の傾向。

④通所型では、職員または利用者に陽性が出たということで休業するケースもあり、特に区部で多い。訪問系も試行錯誤状態。

⑤ふれあいいきいきサロン、見守り活動等のインフォーマルケアで活動を休止しているところも多い。総合事業と生活支援サービスの量的確保が可能かどうか検討する必要がある。

⑥特別養護老人ホーム等において集団感染が起こった場合の対応をどうするか、地域全体の問題として対応を考える必要がある。ふりかえって、新型コロナウイルスの拡大期には、介護サービス事業者からは、連日のように、マスクや消毒液が足りずに行政に何とかしてほしいとの訴えや、デイサービス等の利用者が2~4割ほど減っているため事業収入が減り、事業継続の不安を訴える事業者、逆にコロナが不安で休業してほしいといった当該事業所の従業員の不安の声や近隣住民の声が電話や窓口に殺到した。今、備えを。

3.検討の基本方針 市川案                       ①現状把握と高齢者等が直面する生活課題の明確化:第7期の進捗状況の評価を踏まえ、かつ新型コロナ感染拡大の結果は、事実として把握し、確認し、可能な対応を検討していく。私は、どのような対応が可能かと聞かれますが、率直に「必ず解決できるかどうかわからない」とお答えします。答えを見いだす作業がこれからの討議です。

②未曾有の危機に対する協働の取り組み行政だけでできない。民間だけでもできない。住民だけでもできない。それぞれの役割を確認し、協働する取り組みが不可欠です。その意味では、6Hと2Wを明確にする必要があります。(Who, Whom, Why, What, Where, WhenとHow, How much):

③今までの実績を尊重し、練馬区という地で育った木に新しい取り組みを接木する計画:各自治体には、福祉施設、医療機関、サービス、住民活動、近隣関係等の社会資源、今までの取り組み等の実績という強みや実績があります。それを活かし、強めることが不可欠です。

④優先順位の明確化:今は、優先順位を決め、着実に実行できる計画を策定することが必要です。★㋐横軸:期待度(夢の明るさ、波及効果)㋑縦軸:実現可能性、経済性と効率性 ★危機管理㋐横軸:深刻度・緊急性 ㋑縦軸:発生確率

⑤委員会における合意形成課題が山積していることは申し上げた通りです。それらの課題は、この委員会を通して、具体的に検討すべきであると思います。そうでなければ、行政はパンクしますし、計画も実効性を担保できません。

4.具体的な検討課題(市川案)                      ①高齢者の安否確認、現状把握のための仕組み作り:㋐ひとり暮らしの高齢者や高齢者のみ世帯で、サービス未利用者、市の緊急通報システム事業利用者(慢性疾患のある方)、要介護1・2の認定者を対象とした確認(食の確保、服薬や医療、外出(フレイル、閉じこもりの状況把握)、支援者の有無等)と必要に応じた自宅訪問、㋑牛乳の配達、事業者との見守り協定等

②介護予防・生活支援サービスの再建

③感染予防および感染時対応 ㋐要介護者の介護をしている家族の感染の場合の濃厚接触者である要介護高齢者への対応、㋑施設内における集団感染への対応、㋒パーソナルなケアをしている従事者の健康チェックの支援、㋓事業休業に伴い、介護サービス利用者を他の事業者で継続して介護する等のケアマネ等との連携

④保健医療福祉の連携強化 ㋐医師・薬剤師・歯科医師・介護事業者等の連絡手段の活用と事業の連携の明確化、㋑介護事業者が連携し、不足する介護を補い合うというためで、介護資源が不足した場合、重い方はなるべく施設で対応し、介護度が中軽度の方に、在宅サービスの資源を集中するという介護トリアージを提案されています。 

⑤サービスの見込み量の確認

⑥ITを含むこれからの福祉サービスの開発

希望ある明日に向かって歩むぞメッセージ

 ご無沙汰しています!1991年3月卒の吉村誠司です。95年1月の阪神淡路大震災より神戸に救援活動に入り、そのままNGOとして12年被災地で活動を続けました。その後、神戸から長野県北部へ拠点を移動し、その後も国内外での災害への支援活動で動き続けていました。

 忘れられない2011年3月11日発生の東日本大震災でも救助に入り、拠点を構えた宮城県石巻市にて、市川先生との奇跡的な再会を経て、現地に一般社団法人OPEN JAPANを設立し、今も理事として終わらない災害支援活動、特に昨年の台風19号千曲川決壊被災地支援活動を継続しています。(写真のオレンジジャケットが私です)http://openjapan.net/shien/201910taifuu10gou

 今回のコロナ禍災害をきっかけに、人間の生き方、亡くなり方も問われている中、医療体制や防護体制も不備な発展途上国での支援も今、求められています・・・仲間はアフリカでの支援を開始。

 また、お会いしてお話出来れば幸いです。ルーテル時代の仲間達とも時々、活動を共にしています。様々な出会いに感謝しつつ・・・(つづく)